Podcast: Embed
Webで購読する Apple Podcasts | Spotify | Amazon Music | Pandora | RSS | More
このPodcastの内容
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
多くの企業が業務の効率化を目指して様々なツールを導入しています。しかし、その導入が期待通りの成果に繋がらず、高価なライセンス料だけを払い続けている、というケースも少なくありません。今回は、特に中小企業が業務効率化ツールを導入する際に、失敗を避けて成功へと導くためのステップについて、コンサルティングの現場での経験を交えながらお話しします。
業務効率化ツール導入の落とし穴
多くの企業が直面する「導入しただけ」の現実
CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)、MA(Marketing Automation)といったツールは、業務を効率化し、新たなマーケティングの可能性を広げるものとして期待されます。特に、経営層や管理職の方々にとっては魅力的に映ることでしょう。
しかし、現実には「数年前に導入したものの、全く使われていない」という状況に陥っている企業に数多く出会います。世の中には成功事例も溢れていますが、その裏で多くの企業がツールの活用に苦戦しているのです。では、成功する企業と失敗する企業とでは、一体何が違うのでしょうか。
成功と失敗を分ける決定的な違い
成功の鍵は「既存の業務フロー」
様々な企業の事例を見ていくと、成功しているケースには共通点があります。それは、ツールを導入する以前に、社内に明確な業務フローが確立され、共有されているという点です。彼らの成功事例は、「もともとこのような業務フローがあったが、この部分に時間がかかっていた。そこでツールを導入し、このように改善された」という形で語られます。つまり、改善すべき「型」がすでにあるのです。
失敗を招く「ツールと仕組みの同時導入」という過ち
一方で、うまくいかないケースの多くは、ツールを導入することによって、業務の「仕組み」も一緒に作ろうとしてしまうパターンです。例えば、見込み客を獲得し、アプローチし、営業部門でフォローアップしていく、という一連の流れが定まっていない状態で、「このツールを使えばうまくいくはずだ」と、仕組みそのものを買うような感覚で導入してしまうのです。
このアプローチは、よほど手厚いコンサルティングがセットになっており、かつ社内に変革を受け入れる体制が整っていない限り、ほとんどの場合失敗に終わります。特に、すでに様々な「暗黙のルール」で業務が回っている企業に、全く新しいデジタルツールと新しい業務フローという、2つの大きな変化を同時に持ち込むと、現場は間違いなく混乱します。
結果として、以前のやり方と新しいツールの二重管理で業務が増えるだけになるか、あるいは「面倒だから」と誰も使わなくなり、高価なツールが放置されることになるのです。
ツール導入を成功に導くための具体的なステップ
では、どうすればツールの導入を成功させられるのでしょうか。答えはシンプルで、「仕組みづくり」と「ツール導入」を切り分けて、順番に進めることです。
ステップ1:まず「仕組み」を構築・可視化する
最初に手掛けるべきは、ツールの選定ではありません。まずは、デジタルに頼らず、今社内にある方法で業務の仕組みを確立し、それを動かしてみることです。
それは、将来的に見れば「なぜ紙で管理しているんだ」「付箋で伝言するのか」と感じるような、非効率な方法で構いません。重要なのは、まず業務のフローを「見える化」し、その流れを関係者全員が理解し、実行できる状態を作ることです。
多くの会社には、明文化されていなくても「この案件は〇〇さんに渡せば進む」「この書類はここに置いておけば大丈夫」といった、暗黙知で成り立っている業務フローが存在します。最初のステップは、こうした流れをきちんと文書や図に落とし込み、誰もがわかる形にすることから始まります。
ステップ2:仕組みが定着してからツールで効率化する
社内で業務フローが確立され、「業務を改善することの重要性」が浸透したら、いよいよツールの出番です。その段階で、「この業務フローの、この部分を効率化するために最適なツールは何か」という視点でツールを選定し、導入します。
この順番であれば、現場のスタッフも「今まで紙でやっていた作業が、このツール入力に置き換わるんだな」「ここの手間は減るけれど、あちらの作業は変わらないな」というように、変化点を具体的に理解できます。業務全体の流れを把握していない段階でツールを導入しようとするから、何がどう変わるのか分からず、大混乱に陥ってしまうのです。
導入前に心得るべき2つの注意点
仕組み化を先行させるアプローチを取る上で、さらに心に留めておいていただきたい点が2つあります。
期間とコストは想定の2倍を見積もる
仕組みの構築からツールの導入・定着までにかかる時間は、自分たちが想定している期間の、少なくとも倍はかかると考えておくことをお勧めします。また、ツールの費用だけでなく、人件費や移行期間中の機会損失といった見えないコストも考慮すると、予算も余裕を持たせた方が賢明です。
ツールの「標準」に自社を無理に合わせない
多くのツールには、「このように使ってもらうのが最も効率的だ」という、作り手側が想定した標準的な業務フローが存在します。自分たちに合うやり方が全く分からない場合に、荒療治としてそのツールの標準フローに自社の業務を無理やり合わせていく、という選択肢も無いわけではありません。
しかし、基本的にはお勧めしません。どの会社にも、これまでの歴史の中で最適化されてきた独自の業務の流れがあります。まずはその流れをツール上で再現することから始めましょう。ツールによって業務が数値化され、ボトルネックが見えてくれば、そのデータをもとに周囲を説得しながら、段階的に業務を改善していく方が、はるかに現実的で成功率も高まります。
まとめ:ツールは魔法の杖ではない
業務の無駄をなくし、効率化を進めたいという気持ちは非常によく分かります。しかし、ツールが仕組みを作ってくれるわけではありません。ツールは、すでにある仕組みをより効率的に動かすための道具です。
この順番を間違えると、効率化どころか、かえって無駄な業務を増やしてしまう結果になりかねません。人手不足が深刻化する中で、業務効率化は喫緊の課題です。一見遠回りに見えても、まずは社内の仕組み化・見える化から着手することが、成功への最も確実な道筋です。
これはマーケティング活動においても同様で、仕組み化を進めることで、何が問題なのかが明確になり、数字に基づいた改善がしやすくなります。ぜひ、貴社の業務プロセスを見直すきっかけにしていただければと思います。
このPodcastが解決できるFAQ
- なぜ導入したMAやCRMツールが社内で使われないのでしょうか?
- ツール導入と同時に、業務の仕組みそのものを作ろうとしているケースが多いからです。新しいツールの使い方を覚えながら業務フローまで変えようとすると、現場が混乱し定着しません。「新しいこと」と「難しいこと」を同時に進めるのは避けるべきです。
- ツール導入を成功させるための、正しい順番を教えてください。
- まずツールを使わずに、社内の業務フロー(仕組み)を確立・可視化します。その仕組みが定着し、改善点が明確になった段階で、その部分を効率化するためのツールを導入するという順番が成功への近道です。
- 仕組み作りは、何から手をつければ良いですか?
- まずは現在、社内で暗黙の了解となっている業務の流れを「見える化」することから始めましょう。誰が何をして、次に誰に渡すのかといったフローを書き出すのです。それを明文化することが第一歩となります。
- ツールの標準的な使い方に、自社の業務を合わせるべきですか?
- 無理に合わせるのは避けるべきです。多くの場合、破綻の原因となります。まずは自社の最適化された業務フローをツールで再現することを目指しましょう。その上で、数字を見ながら部分的に改善していく方がスムーズに進みます。
- ツール導入にかかる期間やコストは、どれくらい見込んでおけば良いですか?
- 少なくとも、ご自身で見積もった期間の2倍はかかると考えておくことをお勧めします。ライセンス料だけでなく、導入に伴う人件費や業務のロスといった「見えないコスト」を含めて計画することが重要です。
続きはPodcastをご覧下さい。
配信スタンド
- Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ)
https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892 - YoutubePodcast(旧:GooglePodcast)
https://www.youtube.com/user/WebMarketingJAPAN - Spotify
https://open.spotify.com/show/0K4rlDgsDCWM6lV2CJj4Mj - Amazon Music
Amazon Podcasts
■Podcast /Webinar への質問は
こちらのフォームへどうぞ。
https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
運営・進行
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/



