ホーム » podcasts » Web・IT人材育成 » 第522回:AI時代にWeb担当者に求められる真のスキルとは「中間層・平均レベル」にならないためには?

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内容について

今回は以下の様な内容を、現場での肌感覚中心に、雑談的に扱います。

今回のテーマは、ウェブマーケティング業界における、AIの進化とその影響について。AIが普及することで最も影響を受けるのは、業界関わらず中間層の仕事。そのため、中間を超えて上に行けるか、AIより安価な単価で働く下に行くかが、生き残るために重要です。

まず重要なのは、AIが一般化すると、マーケティング戦略や施策はAIを通じたある種の「二次情報」に基づいて立てられがちになるということ。言い方を変えれば直接的な一次情報の体験機会は意図的に取らないと減ってしまうということ。

なぜそれにこだわるか?それは、ウェブマーケティングでは、現場での体験がスキルに直結するからです。

そのため、今のうちに多くの一次体験を積むことが、将来的なキャリアの基盤を築くために非常に重要です。現場での経験が、他のプレイヤーとの差を生み出し、その後のキャリアに大きな影響を与えるからです。

データ解析やAIツールが便利だからと頼ることは悪くありませんが、情報の次元が1つ増えることはおさえておかなければなりません。「Web担当者」を初めとしてWebと言う名前に縛られると、成果が出なくなります。

結果として、AIの活用が進むと、プレイヤー間のスキルや経験の差は広がります。一部の優れたプレイヤーに仕事が集中するため、他のプレイヤーは厳しい状況に直面する可能性があります。

だからこそ、AIが本格的に浸透するまでの早い段階でのスキルアップと実践経験の積み重ねがますます重要になります。

今回はそんな内容です。

このPodcastが解決できるFAQ

AIの進化によって、Webマーケティングの仕事は本当になくなってしまうのでしょうか?
全ての仕事がなくなるわけではありません。AIは単純作業や情報処理を代替しますが、戦略立案や顧客との対話、現場状況に基づく最終判断など、人間ならではの経験が求められる業務の重要性はむしろ高まります。仕事内容は変化しますが、需要がなくなるわけではありません。
AI時代に、Web担当者としてどんなスキルを身につけるべきですか?
ツールの操作スキル以上に、AIが生成した情報やデータを基に、ビジネスの現場で適切な判断を下す能力が重要です。また、顧客や社内関係者を動かすための対人スキルや、業界特有の課題を理解する「現場感」を養うことが、他者との差別化につながります。
AIを使えば、誰でも簡単にWebマーケティングができるようになるのでしょうか?
AIは情報収集や定型業務を効率化しますが、それだけでは成果につながりません。AIが出力する情報は汎用的なものが多く、個別のビジネス状況に合わせた戦略に落とし込むには、専門的な知見と経験が必要です。AIはあくまで強力な「補助ツール」と捉えるべきです。
なぜ「現場での生の体験」がAI時代に重要になるのですか?
AIが提供するのは、過去のデータに基づいた二次情報です。しかし、ビジネスの現場では、予期せぬ問題や顧客の微妙な心理変化など、データ化されていない一次情報が意思決定を左右します。生の体験から得られる洞察力や肌感覚は、AIには再現できない価値を持ちます。
「Web担当者」という肩書や役割は、今後どうなっていくと考えられますか?
「Web」という限定的な領域だけを担当する役割は、時代に合わなくなりつつあります。今後はWebサイトだけでなく、SNS、広告、オフライン施策まで含めた、より広い視野でのデジタルマーケティング全般を担う能力が求められます。肩書もより包括的なものに変化していくでしょう。

続きはPodcastをご覧下さい。

配信内容の詳細

はじめに:AI時代におけるWeb業界の未来

AI技術、特に生成AIの進化は、Web業界で働く人々のキャリアに大きな影響を与え始めています。今後、どのような仕事が残り、どのようなスキルが求められるようになるのでしょうか。本記事では、長年のコンサルティング経験から得られた現場の肌感覚に基づき、これからのデジタル領域で価値を生み出し続けるための視点を解説します。

AIの進化は想定より緩やか、しかし変化は確実に来る

現状のAI進化のスピード感

ChatGPTやStable Diffusionなどが登場した当初、その進化の速さに驚いた方も多いでしょう。しかし、ここ半年から1年ほどの動きを見ると、そのスピードは当初の想定より緩やかになっている印象があります。これは、技術的な課題に加え、社会的なコンセンサス形成など、様々な要因が関係していると考えられます。

革新的な技術を社会に実装するには時間がかかります。そのため、既存の技術を改良し、社会に受け入れられる形で少しずつ進歩させていくのが現実的な流れと言えるでしょう。

それでも仕事が減っていく理由

進化が緩やかだからといって、安心はできません。新しい技術が導入されると、最も影響を受けるのは「中間層」の業務です。これは、AIのようなツールでは代替できない高度な専門業務と、ツールを使うより安価な単純業務の間に位置する仕事です。この中間層の業務がAIに代替される流れは、今後も確実に進んでいきます。

AIがもたらす「生産性の向上」と「格差の拡大」

個人の生産性向上による影響

AIを使いこなすことで、個人の生産性は飛躍的に向上します。体感的には、一人で2倍から3倍の仕事をこなせるようになるケースも珍しくありません。これは、一見すると素晴らしいことのように思えます。しかし、社会全体の仕事の総量が変わらない場合、問題が生じます。

資本主義社会は、常に新しい市場や需要を生み出すことで成長してきました。しかし、需要の伸びが鈍化する中で個人の生産性だけが上がると、同じ仕事量をより少ない人数でこなせるようになります。結果として、仕事を得られる人の数そのものが減少する可能性があります。

スキルを持つ人と持たない人の二極化

このような状況は、スキルのある人とない人の間で深刻な格差を生み出します。

  • スキルを持つ人:AIなどのツールを駆使して生産性を高め、より多くの仕事を受注し、収益を伸ばすことができます。
  • そうでない人:価格競争に巻き込まれたり、仲介サイトで手数料を引かれたりして、手取りが減少していく可能性があります。

この二極化は、すでに現場レベルで起き始めている現実です。自身の生産性を高めるために、新しいツールを積極的に学び、活用していく姿勢が不可欠です。

今後、価値が高まるスキル:AIにはない「生の体験」

二次情報に頼るリスク

今後5年から10年で、AIを使えば多くの情報を簡単に入手できるようになるでしょう。しかし、そこには大きな落とし穴があります。それは、生の体験を伴わない「二次情報」だけで仕事を進めてしまうリスクです。AIが提供する情報は汎用的であり、特定の業界や企業の個別具体的な課題解決には、力不足な場合がほとんどです。

AIに「この業界はどうすればいいか」と尋ねても、返ってくるのは教科書的な答えです。その答えに対して顧客から「なぜそう言えるのか」と深掘りされた時、実体験がなければ説得力のある説明はできません。

なぜ一次情報(生の体験)が重要なのか

本当に価値があるのは、自らの体験を通じて得られる「一次情報」です。ビジネスの現場では、顧客を動かし、関係者と協力しながらプロジェクトを進める必要があります。そのためには、以下のような人間的なスキルが欠かせません。

  • 状況判断力:刻々と変わる現場の状況を読み、適切な舵取りをする力。
  • 対人折衝能力:顧客やチームメンバーに働きかけ、行動を促す力。
  • 戦略的思考:生のデータや体験から、独自の戦略を構築する力。

これらのスキルは、二次情報だけを扱っていては決して育ちません。AIが処理や分析を担うからこそ、その先にある「判断」と「実行」の部分で、人間の経験価値が問われるのです。

「Web担当者」の終焉と、これからのキャリア形成

デジタル以外のスキルセットの重要性

これからのデジタル領域で活躍するためには、PCの前でツールを操作するスキルだけでは不十分です。むしろ、以下のような一見アナログに見える経験が、将来の大きな資産となります。

  • 営業活動(飛び込み、提案営業など)
  • 社内でのプロジェクト推進
  • チームマネジメントや関係部署との調整

こうした経験を通じて培われる「ビジネスの勘所」や「人を動かす力」こそが、AI時代における競争力の源泉となります。

「Web担当者」という言葉の限界

もはや「Web担当者」という言葉自体が、現代のビジネス環境に合わなくなってきています。Webサイトだけで完結する仕事はほとんどなく、デジタルマーケティング全体を俯瞰する視点が不可欠です。Webという言葉に固執せず、より広い視野で自身のキャリアを考える必要があります。

まとめ:これからのデジタル領域で生き抜くために

AI時代を生き抜くために重要なポイントを以下にまとめます。

  1. 生産性の向上:AIをはじめとする最新ツールを積極的に学び、自身の業務効率を最大化すること。
  2. 一次情報の獲得:二次情報に頼らず、現場での生の体験を積み重ね、独自の洞察力を養うこと。
  3. 人間的スキルの強化:人を動かし、ビジネスを前に進めるための対人スキルや交渉力を磨くこと。

技術の変化は速いですが、本質的に求められるビジネススキルは普遍的です。デジタルとアナログの両輪で経験を積むことが、これからの時代に価値を提供し続けるための鍵となるでしょう。

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