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今回の内容について

第207回:「テレワーク・モバイルワークへの見方はなぜ2分してしまうのか」

今回は、テレワーク(リモートワーク)についてです。

ネット上の記事などを見ていると、肯定派と懐疑派の2つに分かれているように思います。

なぜでしょうか。中山の考える理由と、そもそものテレワークに対して持つべき考え方、打開策などをお伝えしています。

詳しくはPodcastをお聞き下さい。

書き起こし・ShowNote

今回のテーマ

今回のテーマとしては、テレワークですね。

いろんな言い方がありますよね。モバイルワーク、リモートワーク、テレワークなど。「テレ」というと、いろんな意味があるんでしょうけども、どうしてもテレフォンのイメージがありますので、何か、違う言葉が良かったようにも思います。

いろんな協会もできちゃってますから、後戻りもできないですよね。「リモートワーク」の方がいいような気がします。

これについて、端的に言えば、肯定派というか「できるよね」っていう人と、「何となく腑に落ちないなー」って言う人に分かれるなぁ、というのが、私としての感想ですね。

私は外部の人間としてお客様と接していますが、大前提として、「リモートでやりますよ」ということでやってます。もちろんそれに関して何か言われることはないですし、またこのリモートワークとかテレワークとかで問題になるような、会社の中の一社員がそういう勤務形態でやることとは少し違います。

ですが、リモートでずっとやっていると気づけることもたくさんあるので、そのあたりも含めてお話しします。

従来の働き方とリモートワークを比べる必要はない

時々、今の働き方、つまりオフィスに集まって、そこでみんなで働くことが基本という働き方に対して、「テレワークやリモートワークの方が優れている、みんなそうなるべきなんだ」という考え方をする方がいます。

私としては、それは違うと思います。

私は、いろいろな事情で、会社でリモートワークしていたこともあるんですけれども、やっぱりコミュニケーションの速度や、やりやすさについては、圧倒的に、会社にきちんと集まって、みんなで近い位置でやれたほうがいいです。

隣の人のちょっとした呟きなんかを拾いながらフォローアップしてあげるとか、それから、
ちょっと気になるけど質問するほどでもないことを、メモ書きにして渡しておいて、後で少しアドバイスを受けるとか。

そういう細かいケアは、やっぱりその場にいて、お互いが見える範囲にいてこそ、できることですよね。

そういったものがやはり、チームの強さになっていきます。OJT的な意味でも、こういうふうに仕事をしているんだなぁと姿が見えますから、そういう意味で、みんなで集まってオフィスで仕事するということ自体は、とても効率的な形です。

なので、リモートワークが、従来の働き方に対して優れているとはまったく思わないです。

リモートワークにも当然メリット・デメリットがある

リモートワークが一番大変なのは、コミュニケーションなんですね。

なぜかというと、ビデオ会議とかもありますけど、基本は文字がベースになっていくんですよね。

ビデオ会議といっても、常時接続でやっているわけではなく、本当に必要な時にやるっていう形です。会議じゃない時に、お互いのちょっとしたコミュニケーションを取るようなことはできないんですよね。

まあ常設でお仕事しているという方もいらっしゃるので、それはすごく面白いなぁと思います。

そういうことを考えるとリモートワークって、決してそんな優れているわけではないです。メリットもデメリットもあるよっていうことは、確実に言えます。

なのでリモートワークと、会社で集まって仕事をすることは、決して、どっちを取るっていうふうに考えるものでもないし、どっちが優れているというふうに取るものでもないです。

そのように、経営者の方も、働いている方も考えていただいた方がいいです。

リモートワークの必要性とは

リモートワークって、じゃあなんでやるのか。じゃあ、やんなくていいじゃん、っていうことなんですけど。

これは、普通に働いている人たちがいて、でも何らかの理由で家でないと仕事ができない、会社に通って働くことが何らかの理由で難しい。あるいは、移動すること自体が遠いとか、
ただそういう理由で無駄が多いとか。そういう理由があると。

働いている内容も、成果物をこう作って見てもらってっていうような、営業さんみたいな活動というよりは、どちらかというと制作など、何かを作るような職種。あるいは書類をまとめるとか、レポーティングするとか、切り出してできる業務であると。

そういう場合に、昔はそれによって、辞めるしかないという状況だったんですけれども、それでやめちゃう人がたくさんいて、日本の生産労働人口が減ってしまう。

それは、ちょっと少子化の今まずいぞ、そういう人たちもちゃんと働けるようにしようということで、じゃあテレワークを推進して行ったほうがいいんじゃないのっていう政府の考え方から始まっていると、私は解釈してます。

ネット上の情報は「テレワークしたい人」発の物が多い

皆さんはテレワークについて、主にネット上の情報を見ているかと思います。ネット上にいる人は、基本的にIT系の方が多いです。

私自身も元々フリーで、その後入社した先でリモート業務と通常のオフィス勤務両方やっていたので(リモートは深夜などの要するにグレーな仕事ぶりでしたが…!)さておき違和感なく受け入れられました。元々フリーで黙々とやってきて自立することにイメージがついているので、できてしまうのです。だから、他の人もできるだろうと思ってしまう傾向は正直あります。

それに対して普通の働き方をしてきた方は経験したことがないので、イメージがつかないと思います。家で仕事をするとなると遊んでしまうのでは?別のことをしてしまうのでは?と考えがちです。他の人がテレワークでやると聞いても、「Aさんは本当にテレワークでちゃんと仕事しているのかな?」と思ってしまうのは、仕方のないことです。

旧来の「世間の常識」を簡単に否定してはいけない

「仕事は公私混同せず会社に来てやるものだ」という考えは、世間の常識に組み込まれている概念だと思います。この常識は別に悪いものではありません。要は人間の考えるリソースを大幅に削減してくれるツールが常識なのです。

もし常識というものがなくて毎回1から自分で考える必要があったとしたなら、何につけても相当量のことを考えなくてはいけないと思います。

常識を知っていれば何も考えずに即実行しますし、周囲も違和感なく受け入れられますし、非常に効率の良いメソッドなのです。常識があることで、頭の中で考える余地が大きくなっているはずです。常識がなければ毎回1から考える必要があるので、永遠に進化できません。もちろん時代に合わせてアップデートされていく必要はありますが、常識というものがあるのは当然で、それを良い意味で打ち壊していく必要があるということです。

ネット上の議論はなんとなくVSなんとなく

話を戻しますが、常識というものがぶつかっていることが問題なのです。ネットでは文章化できる人が多いので良い点悪い点が書かれたりします。しかし大部分のそうではない人たちにとっては、「モヤモヤとしたイメージの中でなんとなく腹に落ちない人たち」と、「なんかできるんじゃないの?と思う人たち」の、なんとなくの争いになるわけです。なんとなくVSなんとなくなので、解決しません。

現場でも、なぜそう思うのかということを会社全体で共有して、「こういう条件があるからこういう人に対しては実行しても良い」という合意を取った上でやっていくのが良いでしょう。そこが、見方が分かれる理由です。

ネットの情報はWEB・IT業界やPR・マーケティング業界の一部の人の話ばかりですから、それ以外の人々の声は入っていません。しかしそういうところで働いているのがほとんどの企業なので、そういうところでは一度明らかにすることから始めると良いと思います。

理想のテレワークの姿とは

最近本当のテレワークにつながるのではないだろうかと思ったものがありました。英語のYouTubeなのですが、tele presence robot in actionというものです。

自走式で人の腰あたりまであるようなもので、いわゆるロボットの見た目ではありません。スーツケースの持ち手部分を大きくしたものの下に台座が付いていて、恐らくローラーか何かで動いているのだと思います。アシモのように歩くわけではありません。

一番上にカメラとモニターが付いていて、そこにテレワークをしている人と常に映像を繋いでくれています。テレワークをしている人は、遠くからそのロボットを動かすことができます。

例えばキョロキョロ周りを見渡して、部屋に入って、食事をしている人の隣に行って話をしたり、仕事中に廊下を行ったり来たりして通りがかる人とちょっとした話をしたり、自分のチームへ行って話したりすることができます。ぜひこれは動画を見ていただきたいです。

これがもし人型のロボットになっていたら、気持ち悪さは別として、テレワークっぽくはないけれどテレワークの良いところを残せるかたちになりそうではないでしょうか?テレワークで最も問題となるコミュニケーションの部分は、これによりカバーできるので画期的だと思うのです。

ロボットがハイブリットワークを良い方向に解決するかもしれない

テレワークは10人や20人いると確実にぶつかると思うのですが、より小型のロボットになってうまくよけるような技術が発達していくと面白いと思います。私が思う一番良いかたちは何かと言うと、全て裏返しです。つまりバーチャル空間にオフィスがあり、その中に皆がログインして、その中でオフィスにいるかのように左右を向いたりするし、もちろんそこで仕事もできるというVRのようなものです。

そうすると家にいるまま仕事ができるし、コミュニケーションも問題がないし、さらに言えばオフィスという空間が必要ないので家賃や設備代もかかりません。資源や二酸化炭素の削減にもつながります。ネットとリアルが融合した最高の空間になると思います。

オキュラスを使っている方は分かると思いますが、VRチャットというものがあります。自分が適当なスキンをまとった姿でVRゴーグルをかぶってチャットルームに入ると、その中で歩き回ることができて、横の人と話すことができます。そこまではできているのです

これがさらに高精細化していき細かいこともできるようになり、目に負担がかかるVRゴーグルに代わる手段が何か出てくる頃になると、そこで始めて全てをテレワークに移行しても良いのではないかと思います。

そういう裏返しが起こる前の今のリアル世界にリモートを滑り込ませるという点では、このtele presence robot in action に出ているものが面白いと思います。

 


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中山 陽平

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