ホーム » podcasts » Web・IT人材育成 » 第559回: AI時代のWeb担当者へ、「職種で自分を縛る」ことをやめることがスタートです

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Podcastの概要

AIの台頭により、Web業界の仕事のあり方が大きく変わろうとしています。

「デザイナー」「マーケター」といった専門職の垣根は溶け、より広い視野が求められます。本配信では、分業制の限界と、これからの時代に本当に価値を生むためのスキルセットについて解説。自身の市場価値を高めたいWeb担当者、経営者の方は必聴です。

Q1. これからのWeb担当者として、どんなスキルを学べばいいですか。
A1. 特定の専門スキルに固執するのではなく、担当業務の周辺領域まで幅広く学ぶことが重要です。例えば、デザインだけでなく実装や企画の知識、ビジネス全体の流れを理解することで、提供できる価値が高まります。
Q2. AIの進化で、Web担当者の仕事はなくなってしまうのでしょうか。
A2. 単純作業はAIに代替される可能性がありますが、人間の役割がなくなるわけではありません。AIが生成したものを基に、顧客の状況に合わせて「なぜそうするのか」を説明し、現場を動かすといった、より高度な役割が求められます。
Q3. デザイナーやマーケターのような専門職を目指すのは、もう間違いなのでしょうか。
A3. 専門性を持つこと自体は間違いではありません。しかし、その専門領域だけに閉じこもるのではなく、関連する分野の知識も積極的に取り入れ、柔軟に価値を提供できる姿勢が、これからの時代には不可欠です。
Q4. なぜ、自分の専門外の「体験」をすることが重要なのでしょうか。
A4. 知識として知っていることと、実際に体験したことの間には大きな差があるからです。例えば、営業を体験することで、営業担当者の視点や課題を深く理解でき、より現実的で効果的な提案が可能になります。
Q5. AIが作った提案書やレポートでは、なぜ顧客を説得できないのですか。
A5. AIは最適な答えを提示しますが、その背景にある文脈や、組織内の人間関係といった定性的な要素を汲み取ることが困難だからです。顧客を納得させ、動かすためには、人間による経験に基づいた説明責任と調整力が必要です。
Q6. 中小企業では、一人の担当者がすべてをこなすべきなのでしょうか。
A6. すべてを一人で完璧にこなす必要はありません。しかし、ビジネスの頭からお尻まで、一連の流れを把握していることは非常に重要です。AIなどのツールを活用しつつ、全体を俯瞰して判断できる能力が求められます。
Q7. スキルアップしたいのですが、何から手をつければいいか分かりません。
A7. まずは「顧客にどのような価値を提供したいか」という目標を設定することから始めましょう。その目標達成に必要なスキルを、専門分野にこだわらずリストアップし、AIなども活用しながら一つずつ学んでいくのが効果的です。
Q8. Googleが重視する「E-E-A-T」の「Experience(経験)」とは、具体的にどういうことですか。
A8. 実際にその製品を使用した、その場所を訪れた、そのプロセスを経験した、といった一次情報に基づく独自体験のことです。机上の空論ではなく、実体験から得られるリアルな知見が、コンテンツの信頼性と価値を高めるとされています。
Q9. AIをうまく活用するコツはありますか。
A9. AIを単なる作業ツールではなく、思考を深めるための「パートナー」と捉えることが重要です。自分の専門外の分野について質問したり、壁打ち相手として議論したりすることで、効率的に知識を広げ、深めることができます。
Q10. 専門性を深めることと、スキルの幅を広げること、どちらを優先すべきですか。
A10. これからの時代は、どちらか一方ではなく両方のバランスが重要です。一つの主戦場を持ちつつも、それに隣接する領域の知識やスキルを「中くらいの深さ」まで幅広く持つことで、代替不可能な価値を提供しやすくなります。

配信内容の詳細

はじめに:なぜ「専門職」という考え方は危険なのか

これからのデジタル時代、WebやITの分野で価値を提供し続けるためには、働き方やスキルの捉え方を根本から見直す必要があります。かつてのように「デザイナー」「コンサルタント」といった特定の職種に自分を規定し、その領域だけを深掘りする学び方は、もはや最適とは言えません。

本記事では、なぜ専門性に縛られることがリスクになるのか、そしてAIが台頭する現代において、どのようなスキルセットが真の価値を生み出すのかを解説します。

分業制モデルの限界と現代のWeb業界

かつて有効だった専門特化と分業

Web業界の黎明期では、ウェブサイトを制作できるだけで価値がありました。そのため、戦略、ディレクション、デザイン、実装といった各工程を専門家が分担する「分業制」が機能していました。それぞれの専門家が自身の領域を追求するだけで、十分に高い価値を提供できたのです。

現代における価値提供の難しさ

しかし、現在では状況が大きく異なります。同じようなスキルを持つ人材や企業は増え、多くの業務で「定石」が確立されています。このような環境で他社と差別化し、顧客に高い価値を提供するためには、自分の専門領域だけの知識では不十分です。周辺領域への深い理解がなければ、効果的なアウトプットは生まれません。

  • デザイナーの例:デザインの前段階である企画意図や顧客心理を理解し、後工程である実装のコストや技術的制約まで考慮することで、初めてプロジェクト全体の価値を高めることができます。

理想を言えば、ビジネスの企画段階から納品後の活用まで、デジタル領域の全体像を把握していることが求められる時代になっています。

AIの登場がもたらしたスキルセットの変化

AIによる周辺領域へのアクセス容易化

近年のAI技術の進化は、この状況をさらに加速させています。これまで学習コストや実務経験の不足から手を出せなかった専門外の領域にも、AIの助けを借りることで容易にアクセスできるようになりました。

例えば、以下のような作業は、AIを活用することで専門家でなくても一定レベルまで実行可能です。

  • 業務効率化のための簡単なスクリプト作成
  • データ整理や基礎的な市場調査
  • ワイヤーフレームやデザイン案の生成

AIを自身の能力の延長として使うことで、誰もがスキルの幅を広げられる環境が整いつつあります。

これからのWeb人材に求められる中核的な役割

AIが生成したものに「なぜ」を添える説明責任

AIは優れたレポートやデザイン案を生成しますが、それだけでは顧客は動きません。AIが生成した「それっぽいもの」が、なぜその顧客にとって最適なのかを説明し、納得してもらうプロセスが不可欠です。この「説明責任」こそが、人間に残された重要な役割の一つです。

現場を動かすための「人間的な調整力」

また、最適な正論が常に現場で受け入れられるとは限りません。時には戦略的な判断として、あえて次善の策を選び、段階的にゴールを目指すといった調整力も求められます。このような長期的かつ複雑なプロジェクトマネジメントは、効率だけでは測れないため、当面は人間が担うべき領域と言えるでしょう。

価値の源泉となる「体験」の重要性

知識と実践の埋めがたい差

AIに代替されない説明力や調整力の源泉となるのが「体験」です。例えば、営業の経験がない人が、どれだけ知識を詰め込んでも、現場の営業担当者の心に響く言葉を紡ぐことは困難です。「百聞は一見に如かず」という言葉の通り、実際にやってみることで得られる知見の価値は計り知れません。

Googleも重視する「E-E-A-T」における経験の価値

この「体験」の重要性は、Googleが検索品質評価ガイドラインで掲げる「E-E-A-T」の中の「Experience(経験)」にも表れています。実際に体験した人だからこそ書ける、具体的で解像度の高い情報に価値がある、という考え方です。

具体的に「体験」を積むためのアクションプラン

では、どのようにして「体験」を積めばよいのでしょうか。立場に応じた具体的なアクションを紹介します。

  • フリーランスの場合:自分自身を売り込むためのセールスやマーケティング活動を実践することが、最も効果的な学びになります。顧客と同じ目線で課題に取り組む経験は、何物にも代えがたい財産です。
  • 企業に勤めている場合:自社の製品やサービスが顧客に届くまでのプロセス(バリューチェーン)全体を体験させてもらうよう働きかけてみましょう。他部署の業務を理解することで、プロジェクトは円滑に進み、提案の質も向上します。

まとめ:役割に縛られず、価値提供を軸に学ぶ姿勢

これからのWeb・デジタル業界で活躍するためには、自分を特定の役割に縛り付けるのではなく、「顧客や会社にどのような価値を提供したいか」を起点に考えることが重要です。その目標達成のために必要なスキルや知識を、AIをパートナーとしながら、分野を問わず貪欲に取り入れていく。そして、その土台として、何よりも「体験」を重視する。この姿勢こそが、変化の激しい時代を生き抜くための鍵となるでしょう。

また、「AIエージェントを監督し、最終的な戦略的意思決定を下すマネージャー」と言う役割も問われます。AIに「何をさせるか」という指示の質や、AIの判断を評価する能力が新たなスキルとして重要になります。

詳細はPodcastをお聞き下さい。

#Webマーケティング #デジタル人材 #中小企業

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