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今回の内容について
自分たちの強みを考えるということは、競争戦略の中で重要なポイントです。
しかし重要であるせいか、分かりやすい切り口のせいか、HP作成時などに安易にヒアリングされ、安易にそのまま掲載されがち・諦められがちな要素です。
しかしそれは様々な落とし穴の入り口です。具体的にはどういうことでしょうか。そして本来行って欲しい「決め方」とは?
エピソード詳細
目次
今回のテーマは、実際にコンサルティングを行う過程の中でも、お問い合わせの中でもよく聞かれる部分で、同時に落とし穴になっているところでもあります。
そこで、基本的な考え方や注意点を押さえておいていただきたいなというのが趣旨です。
今回のメイントピックスとしては、「強み」という言葉ですね。
お客さんを取っていけるホームページを作っていこう、というような流れが出来始めた時に、結構そこら中で発されていた質問が、ヒアリングシートや初期ヒアリングの際に「御社の強みは何ですか」「他社よりと比べてすごいところはなんですか」といった質問だったんですね。
この質問が、非常に危険かつ難しい問題だというところをまず知って頂きたい。
その強みっていうものに対して一体じゃあどういう風に構えていけばいいのか。そもそも強みとは何なのか。強みはどういうふうに見つければいいのか。
そういったところについて、今回思いつくままにお話します。
「強み」を聞き出すことの怖さ
まずなんで強みを聞くこと自体が愚かしい行為なのかというと、オンリーワンが強みを持っている企業さんが、日本の国内にいくつあるんだっていう話なんですよね。
すべては総体的であって、その競争相手と比べて、うちはここが強いんだろうなとかあっい
が強いんだろうなとかそういうふうに判断することができるんです。
けれども、ホームページは全国に対して開かれているものですから、皆さん無意識的に、ここが全国と比べてうちがナンバー1に、あるいはナンバー5くらいに入ってるんだろうなぁというようなところを探し出そうとするわけです。
で、実際そういうものってなかなかなくて、そうするとどうなってしまうか。
これは、ヒアリングするほうの能力にもよるんですけれども、「いろいろ考えてみたけれどもうちには何もないからじゃあもう価格でいきます」とか、ぼんやりとした「親切で丁寧みたいなところでいきます」とか、それから「すごく速いです」とか。
そういう疲弊してしまう特徴を上げてしまったり、あるいはぼやーっとしたよくわからないものを上げてしまったりして、「とりあえずじゃあこれを強みとして出していきますか」というような形で作り出してしまったりするわけなんですよね。
これは適切な作り方ではありません。また怖いのが、そういうふうに自分たちに対して失望してしまったような状態でヒアリングを置いてしまって、そしてそれをホームページという形にしてしまうと、自分達の商売に対してなんだか自信が持てなくなってきてしまうんです。
例えばホームページ上で、「自分達の強みは価格です」みたいにしてしまったら、もうなかなか、会社としてそれを高価格路線にしたいとか、出す商品を他社に比べて高い値付けにするとき、それが根拠がある値付けだったとしても、高い値付けをすることに対して抵抗が生まれてしまう。あるいは働いている人が、強みのない会社なんだなというふうに思ってしまって士気が下がってしまう。
そういうマイナスの効果も生まれてきてしまうという怖さがあるんですね。
そういうふうに最初から強みというものを聞く、「今の強みは何ですか」という質問は、本当に怖い質問です。私はこういう質問の仕方、基本的にはしないですね。
「将来こうなりたい」をまず見つける
とはいっても他社と比べられた時に、何らかの特徴を出していかないといけないですよね、っていうことになるわけですよね。
私がお勧めする考え方としては、また企業としてはこういう風にしていかなきゃいけないんじゃないかということも含めてなんですけども、現在その強みを持っている必要はない。
それは嘘をつけということではなくて、1年後3年後5年後とかにこういう風な強みを出していけるような会社になりたいっていう姿をまず見つけるんですね。
現状では、ちょっとまだ何も正直言えるようなことはないと。だけども例えばじゃあ3年後にはこういうことができて、こういうことをお客さんに思ってもらえるような商品とかサービスとか、あるいは会社の組織っていうものを作っていきたい。
それをまずきちんと考えて会社全体で共有するところが、最初に行うべきスタート地点です。
いろいろとやってきてうちの強みはこれだとか、お客様にこう認知されているというものがあれば、もちろんそれを継続していけば良いのです。
何年後に何を実現したいのか
しかし初めてこれから考える、あるいは考えてきたけれど考え直したい場合は、その時点で強みと呼べるようなものがないケースのほうがはるかに多いです。
それならその時点で決めるのではなく、まずは何年後に何を実現したいのかということを皆で共有するところから始めてみてください。
そうするとやるべきことが決まっていって、それを実現するために動いていきます。例えば3年後と決めて3年間いろいろなことをして、成功すれば3年後にはそれを特徴として言えるわけです。
先に計画を立てることにはもう一つメリットがあります。WEB上で比較検討しやすい強みを作ることができるという点です。強みの中には、HPではなかなか伝わりづらいものもあります。例えばふんわりとした言葉になってしまう「優しさ」「親近感」はWEB上では分かりづらいので、比較材料にはなりません。
しかしそれを定量化して「○○という声を○件以上得た」ことを強みの源泉にすることができるのです。それを作ろうと決めて、その先にネット上にマッチした強みを作る準備ができるというメリットもあります。
このようにして自分たちのやりたいこと、従業員の気持ち、ステークホルダーのことも加味した上で将来の強みを考えることをまずやると良いです。
大抵の会社がHPを持っている時代は「現在」だけで勝ちづらい
HPを作る時はつい今のことだけを考えてしまいがちですが、それだけを考えていきなりうまくいくケースはなかなかありません。
特に今のように大抵の会社がHPを持っている時代になると、何らかの似たことを書いた会社が他にもあるということになるので難しいです。一昔前なら先行者として選ばれたかもしれませんが。
では、今は何を強みとして打ち出せば良い?
しかしそうすると、それまでの間は何も書けないのか?という話になってきます。これについては二つの考え方があります。
一つは、そういう将来を目指していろいろなことをやっているという姿勢を強みにすることです。一見ぼやっとしていますがゴールが明確になっているので、そこに向かって今走っているんだなと、分かりやすく伝わります。
今時点で出せる限界のある強みをぼんやりと出すよりは、「3年後にこうなりたいので、今はこういう活動をしてお客様の笑顔を集めています」というほうが分かりやすい強みになっていきます。
また3年後に実現できた時に、ずっと知っているお客様はすごく喜んでファンになってくれる可能性も上がります。そういうストーリーを持った出し方をするというのは一つの方法です。
強みの見つけ方
それ以外にも、強みの見つけ方というものがあります。皆さんはなかなか、自分たちの事業を客観的に見ようという思考回路になりません。自然と自分を内省できる人間はなかなかいません。だいたいこんな感じだろうな、こういう会社だろうなと勝手に想像しているわけです。
例えば
- 客観的に数字で見て、自社の商品の中で一番利益率が高いものは何か
- 売り込んでいないのにお客様が勝手に欲しいと言ってくれるものは何か
- 特に宣伝していないけれど話をすると買ってもらえる商品はないか
- 満足度が高いお客様が共通して言っていることはないか
- 流通チャネルやタイミングから見えてくることは
といった、会社の中でうまくいっていることに焦点を当てていくと、共通点が見つかってきます。
そうすると、どの活動が喜ばれているとか、引き合いを持ってくることにつながっているとか、それが伝わると新規顧客にも良いと思ってもらえるとか、社内で定量化できるデータを中心にして、自社内でうまくいっている部分を見つけて掘り下げていきましょう。そうすると自社の得意な部分が分かってくることがあります。
数年後にこうなりたいということを達成するまでの間は、それを目指している企業だということを示しつつ、その間のサポートとしてこのような点を強みとして出していくのが良いでしょう。
将来のことを考えて、そこに向かっている姿を作る
自社の強みはないから強いて言えばこれかな、という感じで決めてしまってHPも作ってしまうと、だいたい反応がないということになってしまいます。強みを考える場合には、将来のことを考えてそこに向かっている姿を作る、そして将来はそれを強みにできるようにする。
そこに向かっていること自体を自社の特徴として出していく。
また現状の社内の数字や仕組みを見ていき、うまくいっている部分や自然と求められている部分にフォーカスを当てて、その中から喜ばれている点を強みとして出していく。このようなプロセスで作っていくと良いメッセージ・キャッチコピー・コンテンツのタネができていくでしょう。
起業したばかりで市場にアプローチをし始めたばかりであっても、そういう部分で成果を出していくことができます。そういう目線でHPも作っていきましょう。
将来性のある会社は、どちらに向かっているのか、何がしたいのかということが見えてくるだけで反応はかなり変わってきます。
いかにもマーケティング、売り込み、セールスだなというものは今はあまり売れません。法人は人と書くので、それが感じられるものにしていくと成果につながるのではないでしょうか。