どんな商品/サービスを売るにしても、それが買い手に対して「関係があり」「得る価値がある」ことが伝わらなければ、どうしようもありません。
一般的な商品・サービスは、競合商品や代替商品・代替手段がたくさんあるのが普通です。その中で選ばれるためには、様々なメッセージを伝えて納得してもらわなければなりません。新商品・新機軸系ならなおさらです、なぜなら買い手の頭のなかにその商品やサービスに対する価値イメージがほとんど無いからです。
その部分を担うのがコンテンツです。しかし、日々たくさんの情報に囲まれ溺れている買い手は、一つ一つのコンテンツに対してそれほど注意を向けてくれません。
Microsoftがカナダで行った調査によると、
- 2000年には、1つのコンテンツに注目する時間は12秒
- 2013年には、それが8秒まで短縮
されているそうです。
▶How does digital affect Canadian attention spans? :
https://advertising.microsoft.com/en/cl/31966/how-does-digital-affect-canadian-attention-spans
つまり、8秒間が勝負ということになります。そこで負けると「離脱」あるいは「直帰」されます。
とは言えこれは8秒間でコンテンツをすべて読ませろということでは有りません。
速読の達人あるいはコンテンツが極端に短くないかぎり(ツイッターの投稿などならよいですが)不可能です。
ではどうしたらいいのでしょうか。
それについて、
- まずどのように、買い手はコンテンツを見ているのか
- それに対してどのような対策を打てばいいのか
ということをまとめた記事が、ConversionXLにありましたので、ご紹介します。
元記事はこちらです。
全てを紹介しているわけではないので是非元記事もご覧ください。
▶How to Write Copy People Will Actually Read :
https://conversionxl.com/write-copy-people-read/
「コスト&ベネフィット」を伝えることが重要、とは?
記事内では「あるページを5秒間被験者に見てもらい」「その後どのような言葉が印象に残っているかを聞く」というテスト結果が一部紹介されています。
※usabilityHubの「Five Second Test」というものです。日本語未対応ですが興味のある方はこちらを。https://usabilityhub.com/five-second-test 。
これをテストした所、なんと誰ひとりとして具体的な単語が思い出せませんでした。
実際画像を見てみると、具体的な単語などが目立つ所になく、DEMOやProductといった特徴の無い言葉が目立っていて何のページかわかりません。
もう一つご紹介するとこちら。
これは多少よく、30%の人がPlumbing(配管設備。水道設備)を覚えていました。真ん中左下の部分ですね。右側にもPropertyConversionsやHeatingServicesなどありますが、意味が伝わりづらかったのかもしれません。
お国柄などもあるので一概にこれを議論しても仕方有りません。
ただ、買い手に内容を認識してもらうためには「コスト&ベネフィット」を伝えることが重要だということが、この後に強調されています。
具体的には
- コスト:このコンテンツから情報を吸収するにはどれくらいの時間がかかるか?大変か?
- ベネフィット:どれくらい価値あるものがこれを読み解くと得られるか?
です。この2つはからみ合っています。理想的にはコストが最小限、ベネフィットが最大限です。目指すべき所はそこです。
もちろん、コストが多少掛かっても、得られるベネフィットが多大であると分かれば、読んでもらえます。バランスの問題でも有ります。(読むのは大変だけれど、読み解いて吸収できれば大きなプラスになることが分かれば、頑張って読むということ)
とは言え目標としてはコストが最小限、ベネフィットが最大限です。
ベネフィットは商品やサービスの内容次第、今回はコストについて
この中で後者のベネフィットは要は商品価値に起因するものなので、ここでは省略します。
今回はコスト、つまり「いかに楽に読んでもらうか」「いかに楽に自分に関係有ると思ってもらうか」についてのテクニックをご紹介します。
スキャニング・ザッピングされることを前提にする
まず押さえるべきは読み手の「読み方」
この観点でまず押さえるべきは、読み手がどうコンテンツを読むかです。元記事では「Scanning」と呼んでいます。
マウストラッキングの再生データを見たことがある方は分かりやすいかもしれません。
コンテンツを上から下にいわゆるザッピングする、ザーッと見て何となく内容を把握して、興味が湧いた所を読むと云うやり方です。
このやり方が今の主流だということです。
つまりそういった「スキャニング・ザッピング向きの見せ方にする」事が重要だと、元記事では述べられています。
具体的には?
では具体的にどうすればよいか、それは
- 文章は短く(本文・画像・図など含めて全て)
- 接続詞などで複雑に繋がず極力シンプルな文章構造にする
- コンテンツは、どこからどこまでがひとくくりなのかわかりやすくする
- 文字は見やすくゴシック体
- 読み手が知っている、簡単かつ、使い慣れている言葉を使う(High Cognitive Fluency)
最後の(High Cognitive Fluency)において「簡単」の定義は米国の7-8年生レベル、日本で言うと中学1−2年生レベルということです。その語彙にとどめろと。
簡潔に、中2でもわかるレベルで、読みやすい文章を、意味段落が伝わるようにデザインしてみせる、といったところでしょうか。
区切りをつけるのが大事な理由
なぜ
- コンテンツは、どこからどこまでがひとくくりなのかわかりやすくする
必要があるかというと、それがまさに「スキャニング・ザッピング」を前提にしているからです。
読み手は、それが全体として有益であろうと、最初は自分にとって興味のあるところしか読もうとしません。例えばみなさんがどこかに旅行に行くとして、複数の旅のガイドブックを見比べながら一冊を選ぼうとしているとします。
例えば:ガイドブック選び
その時、その旅行の主眼が「温泉」であったとすれば、ガイドブックの温泉の箇所に注目して、そこだけで比較をするのです。それと同じです。
読みても、何らかのサービスや商品を探している時には、自分が興味があるトピックスをまず探します。それが満足行くものなら、それ以外の部分を読み始めます。
そしてそれを前提とすると、読み手が興味を持つ項目ごとに明確にコンテンツを区切っておく必要があるわけです。
先ほどの旅行の話で言えば「温泉特集」のページがあった方がいいわけです。
タウンページみたいにあいうえお順で全ての情報が並んでいるようなガイドブックだったら、見つけたい情報を見つけるための「コスト」が非常にかかってしまいます。
そうしたら、おそらくそのガイドブックは購入候補から外れてしまうのです。
Webコンテンツも同じ
同じことがコンテンツにも言えます。
読み手が知りたいことを、まずザッピングで見つけられるようにしておいてあげることが重要です。
例としては以下のものがあげられています。
ブロックごとに背景色を変えたり、アイコン付きの見出しを入れています。
これは大きな意味段落でも同じやり方が使えます。
ザッピングされることを前提に、コンテンツの見せ方を考えることが、読まれやすくするコンテンツを作る大きなポイントだということです。そしてその勝負は注意を引ける8秒間です。
終わりに
いかにして8秒間で、読み手が自分の欲しいと思える情報をザッピングして見つけられるようにするか、それが重要だという内容でした。
今回は深くご紹介しませんでしたが、そのためにはそれぞれの見出しなども「誘目性」「視認性」「理解しやすさ」の観点を考慮して作る必要があるともと記事では述べられています
実際、私もおそらく人よりはコンテンツを多く読んでいる方ですが、上から下にザクザクと読んで、その中で「面白そうだな」「誰かの役に立ちそうだな」と思ったら、全体を再度見直す、と云う動きをしています。
うちのコンテンツ作成特集の中にもありますが「次のセンテンスを読ませるためにセンテンスはある」という上から下へきちんと注意を引きながら読ませきるテクニックは、まずこのザッピングされる段階を経て、全体に興味を持ってもらった後の話です。
最初の段階で上から下までじっくり読ませようというのはなかなか難易度が高いです。
とは言え、こういったことをクリアして、買い手にメッセージを吸収してもらえれば、コンバージョンへの距離は一気に縮まります。コンテンツを作成する際は「上からきっちり読ませる」のではなく「ザッピングされて興味を持ってもらえたら、上から読んでもらえる」という前提で、見た目や構成を考えてみてはいかがでしょうか。
この記事がお役に立てたら幸いです。