自社サイトを中心としたインターネット上で、潜在客や見込み客そして既存客に情報発信することは必要不可欠です。
なぜなら買い手は、付き合う会社を決める際に、まずインターネットで情報をチェックするからです。
全くPCやスマートフォンを使ったことがない層は除外しますが、少なくともスマートフォンを使っている人なら、そうです。
例えば「近所の歯医者を探す」時に
- ◯◯市の歯医者一覧のサイトに載っているだけで、自社のホームページはない
- ホームページは合ったとしても、カタログ的な内容が書いてあるだけで、しかも更新されていない
だと、その歯医者は検討リストから外されます。
ネット上に「期待しているような」ホームページがあり、情報が載っているということは、集客うんぬん以前に「きちんとお客さんの方を向いて商売をやっているかどうか」を判断する1つの大きな基準にもなっています。
これは、過去コンサルをしながらユーザアンケートなどを行なった中で、見えてきたことでもあります(ネットに超疎い&ガラケーな私の母までも)
大事な要素は「必要な情報が見つけられるかどうか」と「この人に任せられるかどうか」
ホームページでまずユーザが求める物は何かというと
- 自分が探している情報があるかどうか
- この人(サービス・サイト)に任せられるかどうか
前者については、一昔前に比べるとどこもきちんとやっている事が多いなと思います。いろいろな意味で「ノウハウが行き渡った」のかもしれません。時々ホームページビルダー手作りみたいなサイトが有り、上手くやれていないケースは有り、もったいないことはあります。
問題は後者です。
ベタだが「ブログ」は運用面でも効果面でもおすすめ
特に、商売の多くを占めるローカルビジネス(地域商圏のビジネス)では、「どんな人なんだろう」「どんな仕事をしているんだろう」という人間性を買い手はチェックします。顔が見えない所には発注しません。
ここをクリアする方法は、いろいろとあります。
取っ付き易い手段としてオススメできるのは、「業務日誌」などのブログです。きちんとマーケティングのことを考えて作れば、これは成約率に非常に大きなプラスをもたらしてくれます。無料ブログで外に作るのではなくサイト内に作ります。コンテンツの増強と、ロングテールでの集客という点でもプラスです。
しかし、ブログを書けと言われても、どうしたら良いかわからないケースが多い
とは言え、突然業務日誌を書いてと言われても、どうしたら良いかわからないのです。そのため「今日のお昼ごはん」や「や応援している野球チームの話題」や「今日も遅くまで頑張っています」「会社の送別会です、飲み会です」といった、お客さんにとって興味のない話題が続くブログになりがちです。
それを避けるためには、押さえるべきポイントが有ります。
そのポイントについて、今回は少し違った切り口の記事をご紹介します。「57-Point Blog Marketing Checklist」というCMIの記事です。これはブログマーケティング、つまりブログをマーケティングに活用するためのポイントをまとめた記事です。
ただ項目を並べていっても面白く無いので、1つ1つに経験論からの注釈をつけていきます。
ぜひこのポイントを念頭に置き、事前に決めるものは決めてから運用を行うことをお勧めします。また、すでに運用をされている方は見直してみてはいかがでしょうか。
最低限の基礎
原文で言うと「Blog Marketing 101」の部分です。ちなみに海外系の記事で「101」というのは「基礎」や「入門講義」という意味です。早速追いかけていきます。
きちんと戦略を立てる
まずはここからです。具体的には
- 誰に対して情報を発信するのか?
ホームページと同様のターゲットを狙うのか?もっと違う見込み度、例えばサイトでは拾いきれないような潜在客を拾うために使うのか? あるいは直接のお客さんではなくても、自社を応援してくれたり、SNSなどでシェアしてくれるような人に読んでもらいたいのか?ペルソナを作る事をお勧めします。
- このブログのゴールは一体何なのか?計測できるか?
ブログはただ書いているだけだと、いまいちその効果が分かりづらいものです。なので、ちゃんと成果を測れるようにしなければなりません。その為にはまずはゴールを決めます。例えば、ブログからサービスの説明ページに誘導し、サービスページを2ページ以上読んでもらう、などです。この場合は、ブログページからの遷移について、サービスページでの離脱数や離脱率が指標になりますね。また、そもそもこのように定量的に計測できるようになっているかも重要です。
また、できれば更に大きなゴール、例えば「見込み客獲得のため」「売上を上げるため」「業界の重要人物を引き寄せるため」なども決めておくと、ブログを書く際の細かい意思決定がスムーズになります。また、ブログの内容に一貫性が出てきます。(「業界の重要人物を引き寄せるため」なら、お昼ごはんの話題なんて書こうと思わないですよね) - 他社の同じようなブログとどのように差別化するのか?
いまや同じようなことをやっている企業はたくさんありますから、 そこと並べて見られた時にどのように差別化するのかを、お客さんの目線で考えます。そのためにはやはり競合分析をお勧めします。その上で、ここに注力すれば効率よく差別化できるというポイントを探します。例えば「施工事例のページに他社は職人の顔を出していないのでしたら、うちは出そう。どんな人間が施工するかお客さんは知りたいだろうから」といった具合です。 - どのようにネタを継続的に拾ってくるか、仕組みを整える
ここが大事です。ブログは継続しなければ逆効果です。例えばみなさんが検討しているサービスの業務日誌が1年前で終わっていたらどう感じるでしょうか。最悪「もう倒産してるんじゃないか」ですとか「飽きっぽい会社なのかなぁ」「計画性がないな」と思われてしまうかもしれません。
ブログが続かない多くの原因は「ネタ」がないことです。なので、継続的にネタが得られる仕組みを作ってから、望むことをお勧めします。
これがまずは最初の一歩です。
すでに企業でブログを始めている方は、この1〜4にスムーズに回答できるかどうか考えることをお勧めします。また、答えられたとして、実際にブログがそれを実現できているかを見なおしてみると、意外な落とし穴が見つかるかもしれません。ブログは現場に任せることも多いと思いますので、気が付かない内におかしな方向にいっていることは、よくあります。
編集方針を決めておく
ブログの運営は1人で行うものであっても、多人数で行うものであっても「ルールを決めて」「ブレなく運用する」ことが重要です。そうしないと、
- 好き勝手書くだけの、お客さんの方を向いていない情報発信になってしまう
- ブログを書くこと自体が目的になってしまい、本来の意義を忘れてしまう
といった、致命的な事が起きてしまいがちです。マーケティングにおいては常に、前回まとめたような「ダレに」「何を」「どうして欲しいのか」という目的やターゲットをブレさせないことが重要です。
なので、編集方針を先に厳格にルール化しておくことをお勧めします。
目的から外れないようにルール化しておかなかった結果が、よく巷で言われる「内輪受け企業ブログ」です。
具体的なチェック項目
具体的なチェック項目がCMIの元記事にありましたので、注釈を加えながらまとめていきます。押さえるべきところが押さえられています。
- どんな種類のコンテンツは発信して良いのか?(文章だけ?画像は?スライドは…?)
- 担当者には(自社に関する)事実の発信だけして欲しいのか、それともその出来事にまつわる物語・意見なども含めて発信して欲しいのか(情報発信はどこまでふくらませていい?)
- 雇い主、自社の従業員について書いてもいいか?(プライバシーはどこまで配慮?)
- 関連している事例などを紹介してもいいのか?(関連コンテンツへの誘導の可否)
- どんなことはブログでは書いてはいけないのか?(NG行動の明文化)
- 誰がチェックするのか、また、どれくらいの裁量を認めるのか(チェック体制と考え方は?)
この6項目全てを守ると、ガチガチなイメージがありますが、実際は特に最初はこれくらい縛ってしまったほうが書きやすい事が多いです。「これは書いていいのかな、書いちゃマズイのかな」というのが常に頭の隅にあると、なかなか良いものは作れません。目の前のものに安心して取り組んでもらうためにも、ルールは最初はキツ目くらいが調度よいです。
次第に体にマーケティング上の意図や、ターゲットのイメージが浸透していきますので、その時から少しずつ緩めていくのがいいのではと思います。その頃には自分で良し悪しの判断ができるようになっているケースが多いからです。企業理念のようなものです。
プラスαのチェック項目
また、それ以外にもいくつか元記事でチェックポイントがあげられています。
- どのようなトーンや語り口にするか決める。例え複数の著者がいたとしても、企業で情報発信を行うなら、それに対する返答は統一されていて一貫性がないとマズい。その場合は同じトーンや語り口にした方が読み手は分かりやすい。(もちろん、一人一人にキャラクター付けをするなら、違ってもいい)
- 著者のプロフィールやスキルを記載するAboutUsページを作り、オーソリティを感じてもらう
- コメントが付いた場合の返信ルールを決めておく
- 成功不成功を決めるKPIを作り、それによって達成度を管理できるようにする。
- スケジュールは絶対に守る(耳が痛いです…)
最後の項目は私は本当に耳が痛いです…。お客さんに流行ってもらっているのに、私自身は不定期更新ですので…。ただそれはさておき、気に入ったものに対しては、お客さんは何度も見に来ます。それで2〜3度見て更新がされていなければ、大概が興味を失ってしまうか、RSSなどに登録して、たまーに見るだけになります。
さきに「毎週水曜日更新」等と書いておけば、水曜日に来てくれます。お客さんとしても無駄なことはしたくないので、書いておいて欲しいものです。
見た目や使い勝手についても決めておく
引き続きCMIの記事内容を紹介します。
どんなによい内容が書かれていても、それが伝わらなければ意味がありません。極端に言えば、透明なインクで書かれていれば、どんな名文も読むことはできませんし、エスペラント語で書いてあったら、見えても読むことも理解することも(一部の人をのぞいて)できません。
なので、見た目やそれによる使い勝手というものは大事です。
CMIの記事では「こうした方がいいよ」という文脈で書かれているのですが、この記事ではチェックポイントとして書きます。なぜなら、必ずしもCMIの考える「正解」が常に正解だとは思わなかったからです。
見た目や使い勝手に関するのチェック項目はその前提で、以下です。
- 有料 or 無料素材を買って使っていいか?全てを自前で賄うべきか決める
- レスポンシブデザインやモバイルテーマを採用しているなら、それでチェックして見づらくなっていないかチェックする
- それぞれの記事は関連記事にリンクを張っているか
- 人気のある記事を分かりやすく表示しているか
- すべての記事に著者が誰なのかと、そのプロフィールへのリンクが張ってあるか
- コメントスパム対策をしているか
素材にかかわる問題と生々しい写真をおすすめする理由
これは結構大事だと思うのは、まずは素材です。素材って今、買い手に見抜かれるようになっているんですよね。本当にその会社が自分たちをとった写真なのか、それとも素材集からとったものなのかは、大概の人にバレていると思ったほうがいいです。
素材辞典のように、たくさんの場所で使われているものでなくとも、あまりに出来過ぎたライティングの写真や、こんな人絶対にいないだろうといったスーツ姿の会議中の姿などは、お勧めできません。
特に中小企業などお客さんとの距離が近い商売の場合は、多少写真のライティングなんぞは甘いほうが、泥臭い写真の方が反応は絶対高くなります(ただ、不潔感があるものはNG)
それは写真に対して求めているものが「リアルな姿や情報」であって「着飾った姿」ではないからです。しかし売り手は往々にして「着飾った姿」を見せたがります。しかしここはお客さんに合わせる方が得策です。清潔感が合って生々しい写真をオススメします。
関連記事の重要性と行き止まりページの危険性
関連記事は重要です。大概のブログで「この記事を読んだ人はこの記事を読んでいます」というリコメンデーション機能が実装されていることがその傍証です。
なぜ大事かというと、基本的にWebコンテンツを見る人は「1ページ見たら次のサイトに行こう」と考えている、からです。ないし無意識にそういう行動を取ろうとするからです。
なので、いわゆる「次に何のコンテンツもオススメされていない行き止まりページ」にしてしまうと「次何を見るかこのサイトで探すよりも、また検索エンジンで探したほうがいいや」と思うのが、今の買い手です。
それを引き止めるためには、コンテンツのつの最後には他のコンテンツへの誘導がなければなりませんし、その誘導は相手が興味が有ることである必要があります。通常リコメンデーションは、今見ている記事に関係している記事が出るはずです。なので、リコメンデーション機能を入れると直帰率が下がるのです、相手が興味のある内容が自然にリコメンデーションされるからです。
著者は誰なのか?
これも大事ですが、とは言え顔出しできない!というケースもあります。その場合うちが提案しているのは、写真全員で遠目から集合写真を取り、投稿者を「◯◯部スタッフ」などとして、全員のプロフィールページを作り、そこにリンクを貼ることです。
写真をほどほどに縮めれば一人ひとりの顔は分かりません。でも、生身の人が一生懸命やっていることは伝わります。
魅力的な社員をアピールする方が、人材採用などの面でもお勧めなのですが、どうしてもという場合は、そんな形でプロフィールページを作ってみてはどうでしょうか。ローカルビジネスなら「こないだあのブログ見たわよ!」などと言われることも多いですよ。
終わりに
。企業ブログは「ブログ」と書いてあるのでゆるく運用しがちですが、きちんと統制するべきです。なぜなら、単純に「結構見られている」からです。とは言え、他のサービス系のコンテンツよりは「ミスが許される」「許容範囲が大きい」のも確かです。
今、企業は自社でコンテンツを作ることができるかどうかで、Webからの成果が大きく変わる時代です。その第一歩として企業ブログはお勧めの場所です。まずはルールをきちんと決めて運用し、人材を育て企業としてノウハウをためていく、そのために今回の記事がご参考になれば幸いです。