ここでは「Webからの新規顧客開拓」を悩んでいる方へ、基本的な考え方と、営業とマーケティング策の中で、最初に顧客獲得のために検討するとしたら、これがお勧めという方向性についてまとめています。
Web活用やHP活用のご相談の多くは「新規顧客開拓」です。
細かく分ければ、既存市場で取れていない顧客の獲得と、新規市場への参入(起業含む)があります。
ではどうすればいいかというと、企業の規模やヒトモノカネの状況によって、その時取った方が良い手段は異なります。
目次
全ての企業に共通して通用する手法・ツール・サービスはない
中小企業の中でも強い中堅企業や、ましてや大企業が行っているようなことを、小さな企業・中小企業が行っても意味がありません。
世の中に流れている情報・手法が、あなたに合った物ばかりとは限りません。実際、事例もノウハウも、様々な意図を持って流されており、基本的には単価の高い案件を取るための「中堅企業」「大企業」を前提とした物が多いのが現実です。
そのまま鵜呑みにしてリソースの不足している小さな企業やチームが実行しようとしても、上手くいかないか、身の丈に合わないツールを使いこなせずに費用ばかり、かさんでいくことが少なくありません。
とは言え、手近でできることだけ行っていては大きな前進はありません。
短期的な施策を実行しつつ、中期的視点での目標に向かうことが大事
ではどうすればよいのでしょうか。
それは、大切なのは、目の前のこと(短期的なこと)と、中期的に「こうなっていれば勝てる」という姿を作り、それの実現を目指すことを同時に行う事です。
具体的には
- 短期期には、行う事に意味があり、自分たちの行えることを行う
- 半年、1年先を見据えて「こういうことができるようになっていたい」ことを決める
- 自分たちができる事を行いながら、2番を実現できるように社内のスキルアップや社外との体制作りをする
- 2を実行していく
を繰り返していくことです。
さらに言えば「Webマーケティングの仕組み作り」をして行くことが重要です。
外に新規獲得含め営業を丸投げすることは大きなリスク
と、書くと「大変だな…どこかに丸投げできないかな…」と思われる方もいるかもしれません。確かに気持ち的には楽でしょうが、特に小さな会社が新規顧客開拓をする観点では、お勧めできません。
なぜなら
- 中小企業はお客さんとの距離が近いため、現場の肌感覚をすぐにHPなどに反映させられるかが重要、それを外部に丸投げするのは無理
- お金が入ってくる部分を、外部に任せるのは経営的に大きなリスク
だからです。
結論から言えば「外の力をサポートとして借りながら、コストパフォーマンスよく、自分たちで回せるようにしていく」事ができるようになる、それを目指すことが必要です。
外部の力を借りるのは問題ありません。ゼロから自分たちだけでできる企業はごくごく少数です。
その少数がどんな企業かというと「もともとダイレクトマーケティングなどを自社で試行錯誤してやっていて、マーケティングとセールスの関係性が分かっている」ようなケースです。
つまり、後はそのノウハウをWebに持っていけば良いケースですね。こういう所だけです。
ほとんどの企業は、最初は外部にアドバイスなりサポートを求める方が効率が良いです。少なくとも、その様な人材を採用することに比べれば3分の1、4分の1の費用で済みます。また、変動費にもできます。
と言う前提で、Web活用を前提として、短期的にまず検討した方が良い施策を、オンラインとオフライン共にお伝えします。
短期的:最初の一歩としてお勧めする新規顧客開拓施策
基本的には「集客から見込み客フォロー、初回販売・契約までの流れを作る」ことです。また、それぞれをできるだけ数値管理してボトルネックを把握できるようにすることです。
具体的には
1:集客
無料のフロントエンド商品(情報小冊子・ノウハウ動画・お試し商品・ワンコイン商品・無料体験版など)からの見込み客育成プロセスを構築する。その際、相手の反応に応じて、見込み度をABCで記録する。
- HPや配付する資料など、顧客接点で常にその商品を入り口商品としてオススメする。これからの新規接点について、最初のつながりを確保する
- 社内のハウスリスト(名刺や過去の問合せなどの情報)を整理し、できるだけワンツーワンでメールや電話・FAXなどで、無料フロントエンド商品を案内する。
- HPのSEOを強化して検索エンジンから集客する(後述する見込み客育成の段階でも効果的な手段としてお勧めなのは、お客さまから聞かれることと、お客さまに話すと身を乗り出して聞いてくることを、HP上に分かりやすく記載すること。なぜなら、検索されやすく、ニーズがあるから)
ローカル商圏(地域商圏)の場合は、定常的に出しているチラシやDMからHPに誘導し、フロントエンド商品や、HPのコンテンツに誘導する。
- 紙面に限りのあるチラシなどと異なりHPは求めるコンテンツがあれば、どんどんと読んで、見込み度を上げてくれる。(※スマホ対応必須)
- チラシやDMも、ダイレクトマーケティングの考え方を取り入れて、常にセールスを行うのではなく、インフォーメーション3回、セールス1回など、信頼構築を行った上で、定期的に販売誘導という、見込み客育成の考え方を取り入れた物にする。
2:見込み客育成:HPにとにかく情報を先出しする
- 目標として「HP上で全ての不安が解消できる」「HP上で対面営業で伝えることを全て伝えきる」と考える
- その前提で、社内の情報を集約し、HP上にまずは文章だけで良いのでコンテンツとして展開する。FAQ(良くあるご質問)や、喜びの声(お客さまの声)、商品・サービスの喜ばれている点(強み、特徴などラベル付はお客さまによる。B2Bなら固め、B2Cなら決裁者が周りと話し合うときに使う言葉)
- アクセス解析や、実際のお客さまへの感想を元に、HPコンテンツを改善していく。営業先に持っていく資料もHPの内容をベースにするように統一する。その上で客先での反応などをHPにどんどんとフィードバックしていき、それをさらに営業資料にフィードバックする。改善の連関を作る。
- これを行っていくと自然とHPからの問合せが増えてくるはず。増えなければ、第三者に診断してもらうなりして、何か大きな勘違いや問題が無いかチェックする方が速い。
- 前提として、自分たちである程度更新できるWebサイトにしておくことが必須。毎回制作会社に1ページ何万円かけて作ってもらっていたら、絶対費用対効果が合わない。また、ページを作る事にプレッシャーがかかるため、担当者が動かなくなる。今ならWordpressでの構築がお勧め。あるいはWixやJimdoなどを使うと良い。
- ・この時点では、細かいSEOなどは最低限だけ気にしていればいい、チューニングする段階ではない、具体的には「ターゲットキーワードを押さえる」「タイトルをSEO的にきちんと作る」だけでも何とかなる。
3:初回販売、リピート化
- HPからの商談、成約が発生した場合、できるだけそれを事例として掲載させてもらえるようにする。事例は3つ明確な物が揃うと、一気に変わってくる。1つ2つだと信憑性が薄い。
- 事例は、顔出し、良い結果を得るまでのストーリーが分かる物。ただのアンケートなどだけでは、意味が薄い。インタビュー記事にするイメージ。これは大きな資産となる。営業資料やHP掲載許可を必ず取る。
- 成約した人を徹底的にフォローする。その中で検討段階で悩んでいたことや、どこと比較検討していたかなどをできるだけ引き出す。その上で、それらの競合を調査し、比較されたときに勝てるような切り口に、HPと営業トーク、DMやチラシなどを統一する。テストの繰り返し。
- サービスありきではなく、成約した人をどうやったらリピータにできるか、あるいは紹介してくれる人になってもらえるかを最優先にし、その後のサービスを調整していく。頭の中のお客さま像や、既存サービスに固執しない。
- HPにそこまでリソースを割けないなら、HPは利益率も利益自体も高い物に限定する。一件取れれば結構人件費分はカバーできる様な物を選ぶ。なぜなら、特に初期の段階では、薄利多売はHPで実現するのは難しいから。例外としてはデジタルコンテンツ。
Web広告について
今回あえて広告については触れませんでした。DMやチラシと同様、きちんと汎用を計算して行わないと、思わぬ出費や、逆に想定していない機会損失を引き起こすことがあるからです。
広告は、サポートできるパートナーときちんと相談するか、自社の場合はGoogleやYahoo!のサポートを利用しつつ、全体のマーケティングの流れを理解して数字が取れるようになってから始めることをお勧めします。
出せば反響が来るかというと、全くそんなことはありません。チラシやDMなどより反応が悪くなることもよくあります。ここは最初は絶対に相談した方が良いです。
相談先は広告だからといって広告代理店である必要はありません。制作会社で対応できるところもありますし、うちのようなコンサルを主軸としている会社でも対応できるところもたくさんあります。
営業支援ツールについて
SFAやCRMなど営業を支援するツールは費用や機能などさまざまです。
そして、合う合わないもあります。例えば「自社で架電アウトバウンド営業を行える会社でないと効果が薄い」ような暗に前提があるツールもあります。
どんな物が必要で、何を効率化したいのか?それをまずは最初は手動で行うなかで見いだし、その上で投資することをお勧めします。安い物もありますが、アカウント数を増やしていくと、数万円/月 くらいにはなります。焦らず、セールスに押し込まれないようにご注意下さい。
重要なのは、魔法や隠された武器など無いと知り、正面から立ち向かうこと
Webについては「何か裏技や魔法があるのでは?」「ちょちょっとやれば、多少の成果は出るのでは?」と思ってしまいがちです。
しかし20年前こそあれ、今はそんな物は全くありません。いわゆる「ガチンコ」勝負しかありません。そのためには、搦め手や逆張りから入るのは得策ではありません。
搦め手や逆張りは、正攻法を行ってマスターした上で、行うからこそ裏をかけるのです。
まずは、Webマーケティングとそこからのセールスに正面から立ち向かっていきましょう。その覚悟とモチベーションがあれば、一緒に戦っていけます。
丸投げで通用するのは丸投げ先に100万円以上月に払えて、その使い方や予実に対して、適切にコメントや意見を言える会社だけです。
焦らず、正しい努力を行って新規顧客開拓をWebから行っていきましょう。
また、法人営業(B2B)とB2Cでは違います。ですが、Webマーケティングの仕組みを作り,相手の立場に立ってアプローチする点は共通です。そしてまずはそこを構築しなければならないのです。
細かいことはまだ考えず、最初は基本を押さえていきましょう。今まで「展示会」「テレアポ」「飛び込み営業」「コンサルティング営業」などがメインだったなら、2本目の柱として建てるイメージで、一緒に取り組んで行ければと思います。
お悩みの際はご相談下さい。