[質問箱]Googleフォームはホームページで使ってもいいの? ─ 答えはダメです
今回は、中小・小規模事業者の方々に質問されることが多い「補助金・助成金」の話です。 特にホームページ制作(Webサイト制作)などで、まとまった金額が出る際に、補助金などで使えるものがないか?という切り口が多いです。
一般的には、普通の販促HPであれば小規模事業者持続化補助金、生産性改善のためのシステム込みであれば、IT導入補助金が有名です。
それ以外にも各自治体(都道府県、市町村)で独自の補助金や助成金を用意している場合もあります。また、Web人材育成という観点では、雇用系の助成金が役に立つこともあるでしょう。
そこで今回は、具体的にはどうやって調べるのか、また、ただのお金以上に得られるものを得るためにはどうしたらよいかなどの観点でお伝えしています。
動画内容の書き起こし
今回はFAQシリーズとして、補助金と助成金について、大きな考え方や、どう捉えればいいのかというところをお伝えします。
ホームページに限らず、Web活用に関して補助金や助成金が使えないかと検討している方は、是非最後までご覧ください。こういうものなのかなということがわかっていただけるのではないでしょうか。
社内で調べて把握しておこう
補助金や助成金に関しては、社労士さんに相談するケースが多いと思うんですね。
もちろん、顧問の社労士さんがいらっしゃるような会社であれば、その方にまずご相談いただく方がいいです。
ただ、社労士さんによって、あんまりwebやIT のことをよく知らないとか、助成金や補助金についてあまり詳しくないとか、それぞれ得意分野があったりします。
そういうとき、社労士さんが「よくわかんないです、あんまりないんじゃないですか」って言われたから、じゃあそうかというふうに思ってしまうと、逃してしまうものが多かったりします。
ですので、担当の方や経営者の方は、きちんと調べておいていただくことをお勧めします。
補助金と助成金の違いは?
まず、補助金や助成金の違いについてお話しておきます。
補助金は、基本的には採択されるかどうか分からないです
小規模事業者の方であれば「小規模事業者持続化補助金」というものがありますけれど
も、これも採択率があって、50%とか30%と言われています。何パーセントかわかんないですけれども、受かるかわかんないですね。
受かれば、そのうちの何割かが返ってきます。もらえるわけではありません。
支払った費用のうち何割かを補助してもらえるという形です。プラスになる事は基本的にないわけですね。
皆さんが何かの事業に対して50万円使ったら、そのうちの3分の2とか2分の1が返ってきますよっていう形です。絶対、持ち出しが必要になります。
それに対して助成金は、基本的に、その基準に対して適合していれば必ず返ってきます。不正な事をしない限りは必ずもらえるお金です。
たとえば雇用関係が一番有名で分かりやすいです。例えば最低賃金を上昇させるとか、特定の技能のレベルを上げるための教育をさせるとか、そういう場合においては、提出すれば確実に貰えるというものが助成金ですね。
ホームページを作る・Web 活用するというような場合は、人材育成を除くと、それ以外についてはホームページ作成に関した助成金は無いです。
あるのは基本的に、補助金です。
目的は販促のことが多いです。販促か生産性の向上ですね。これを目的としたときに、「うちはこういうことをやりますんで」という計画書を提出して、それが合格すれば返ってくるというような感じです。
補助金と助成金には、そういう違いがあるということですね。
補助金や助成金の情報はどこで手に入る?
では、補助金や助成金の情報はどこで手に入るか。
補助金や助成金の内容は、毎年変わるんですね。金額であったり、詳細であったり、何割助成されるのか。あるいは今まで使えていたものが使えなくなることもあります。
それにはいろいろな理由があります。
やってみたけれども政府としてこれは効果がなかったと判断して辞めちゃうケースや、あるいは不正があったから行った制度を変えちゃうとか、審査基準を変えちゃうとか、いろんな理由があります。
ですので、まず、今、「自分たちが使えるものは何か」を調べるところから始めないと危険です。
Web の場合は、ミラサポですね。中小企業の方はミラサポを見ていただくのがいいでしょう。
Web関連では、どの補助金を使えばいい?
今は一番メジャーなのは、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」の3つです。
「ものづくり補助金」は格が違って金額も大きくて、いろいろやれることがあります。
この中でもちろんホームページ制作をすることもできますが、もっと幅広く自分たちの事業そのものについていろんなことをやる中で「ホームページも作ります」とか「販促やりますよっていうような時に使うものです。
「ホームページ作りたいから、ものづくり補助金使いましょうか」っていうのは
規模感がずれるので、あんまりないですね。
よくあるのが「小規模事業者持続化補助金」です。これは Maxで50万円です。今のところは上限3分の2の助成が受けられます。
これは、販促活動にまつわるものは何でもいいので、使い勝手がいいです。ただ金額としては Max50万円なのでそんなに大きくないです。
あとタイミングが限られます。年に二回か三回募集があって、そのタイミングに合わせなきゃいけないです。事業がやりたいというタイミングに必ずしも合うかどうかわかりません。
あとは、年々知れ渡ってきて競争が激化しているため、採択率が下がっていっているというのがあります。
3つ目の「 IT導入補助金」。これは生産性向上という観点なので、単純なホームページ作成だと落ちる可能性が高くて、例えば業務効率化のためのツール込みとか、そういう形にしないとうまく通らないケースが多いですね。
これも動画を見ているタイミングでまだやっているかどうかは、わかりません。
商工会に相談してみよう
基本は商工会の方に問い合わせるっていうのが一番早いです。
商工会ってなんかめんどくさいなあという印象があるかもしれないですけれども、問い合わせて「自分たちがこういう状況で補助金ないですか」って聞いちゃった方がいいです。
地域によって温度差があるという声もあるんですけど、少なくともうちの地元とか家の周辺の埼玉県の商工会の方々は、非常に親切に対応してくれました。
あとは、うちでは常備しているのが「中小企業施策利用ガイドブック」ですね。中身は経営改善、資金繰りということで、補助金の話がほとんどなんですよね。ネット上にもあります。
補助金についてや、いろいろな情報源、専門家派遣、ものづくりマイスター制度、金融系のサポートについても載っています。
定義としては製造業その他であれば資本金3億円以下、従業員数が300人以下というような、中小企業基本法で中小企業になっている方に使える情報が載っています。
これ必ず商工会にあるはずですし、ない場合は送料だけ負担すれば、中小企業庁に請求できます。うちも欲しいという方にプレゼントするために30冊ぐらいは常にストックしています。
これを観ていただいて、あとは商工会に相談するのがいいかなと思いますね。もちろん社内に詳しい方がいらっしゃれば、その人に任せるのがいいですね。
というわけで、ちゃんとまず事前に把握しなきゃいけないっていうことが一つあります。
そして、ホームページ絡み・Web活用絡みで使える物はそんなに多くないと考えてもらった方がいいです。あまり期待しない方がいいということですね。
今、撮影しているのは令和二年ですけれども、この先もしかしたらもっと違うものが増えていくかもしれませんが、現在は、基本的に無いということですね。
ただ人材育成をしますとか、資金調達したいという場合にはそっち系の助成金だとか、経営革新計画などを使うことによって、日本政策金融公庫から融資を受ける際に金利を下げてもらったり、制度融資が通りやすくなったりということもあります。
電子申請もできるようになってきたけれど・・・
補助金の申請は、従来、非常に審査が面倒くさいというのがあったんですね。IT導入補助金はネットでの申請が可能だったんですけれども、特に小規模事業者持続化補助金とか、そのあたりは紙で提出しなきゃいけないということです。
紙となぜかCD-ROMですね。CDに情報を焼いて渡さなきゃいけないっていう謎仕様、めんどくさかったんですね。商工会さんに行って書類もらったりとか、そういうやりとりが必要になってきたわけなんです。
ですが、補助金申請システム「Jグランツ」というのが始まりまして、これを使うことによって、小規模持続化補助金含めていくつかのものが電子申請できるようになりました。
もちろん必要な書類は変わらないんですけれども、これによって電子申請が可能になります。
ただGビズIDというIDを取らなきゃいけません。
GビズIDを取るためには、印鑑証明とかいろいろと用意しなきゃいけないものがあります。審査は2、3ヶ月くらいかかるようです。そういう前提ではありますが、一応できるようになりました。
そうなると、楽になったから、便利だから、もう誰にも相談しないで申請しちゃおうと思われる方が多いと思うんですけど、私としてはあんまりそれをお勧めしていないんですね。
補助金にチャレンジする本当の価値
なんでかというと、自分でも持続化補助金とか経営革新計画とか取っているんですけれども、それをやっていて一番の価値だと思う部分は、もらえる金額だけじゃないんですね。
自分一人だったらやらなかったであろう様々な計画を立てる部分とか、それからタイミングが良ければ専門家派遣で中小企業診断士に来てもらったりとか、その中でも「こういう分野に強い人いませんか?」というと、例えば金融関係に強い人が来てくれたり。
そういう人たちと相談しながら、計画を作ることができたり、サポートしてくれるのですね。
基本無料なんですよ。
普通にコンサルタントや、中小企業診断士の方にお願いしたら、結構なお金がかかりますよね。もちろん来てくれる方々は、国の方からお金貰ってるんで遠慮することはありません。
経営計画や数字を見て「こうした方がいいですね」ということを話しながら行っていく、いいチャンスなんですよね。口実として。
自分に対しての口実もそうですし、商工会に行くことに対しての口実もそうです。
それを大事にしてもらった方がいいです。
実際、補助される金額は、そこまで大きくないわけですよね。50万円ぐらいが マックスです。
IT導入補助金はもっと高いですけど、システムとかを入れる前提なので、どうしても実費分が多くあります。特に小規模事業者持続化補助金はマックス値が高くないんですね。
外部のチカラを使って、「考える」きっかけに
少人数で運営していたり、ほとんど一人親方みたいな状態の企業さんだと、社長さんとして相談する相手が全然いないとか、その人を探すだけでお金がかかるとか、そういうケースが非常に多いと思うんですね。
そうしたら、基本空いていれば無料。空いてなくても商工会の相談員さんが必ず相談に乗ってくれます。
そこでいろんな悩みとか、こういうものがあるんですよとか、「近くのある会社さんはこういうふうにしていますよ」とかそういう話をすることができる。経営計画書まではいかないですけれども、補助金を受けるために企画書が必要なので、数値計画とか市場分析とか、そういうものを作っていく。
それを自分たちでつくるとどうしても自分たちの中から離れられないですし、いわゆる経営者の孤独みたいなところから抜けられないんです。
けれども、それをうまく外部の力を使ってやることができて、そのおまけとして補助金がもらえる。それぐらいのイメージでやるといいんじゃないでしょうか。
そこの付加価値が一番大きいと思うんですよね。
そういう意味で、補助金を申請するということはどんどん進んでやったほうがいいと思いますが、その時に「考えることをやるタイミング」として捉えてもらった方がいいです。
そういう形でやってもらって、うまくいけばそこでホームページなり CRMやSFAなどのシステムを入れたりすることに対して、後からバックしてくるお金があるというような感覚でやってみてください。
今回のまとめ
補助金・助成金に関しては大きく二つのことをおさえておきましょう。
Web 活用に関して直接的に使える補助金というのはないです。商工会に問い合わせするか、ガイドブックを常にチェックしておいてください。
また中小企業庁のホームページを見て、情報をキャッチアップしていく。ミラサポだとメールマガジンもあります。
あとは、補助金・助成金を受ける場合にも、そのプロセスというものを大事にしてください。自分で考えるところにを追い込むひとつの手段としてうまく活用していただく方が絶対に良いです。そこを大事にして取り組んでいただきたいなあというところですね。
ホームページ作成というものは、ただ箱物をつくるだけではダメです。
それを作る中で、自分たちの事業をちゃんと見直して、自分だとけど誰に対してどういう価値を提供できるのかというのを考えて、市場分析をして、これからこういう風にしていこう、自分たちのビジョンはこうだ、コンセプトはこうなんだ、みたいなことを考えていくことができる、いいタイミングととらえましょう。
「web 活用を、ただの箱ものづくりに終わらせない」ということを大事にやってみてください。
そういう作り方に関して興味があるという方は、ぜひお問い合わせください。全国対応で、遠隔コンサルティングもやっています。ホームページ制作含めていろんなことを全部やってます。
以上、参考になれば幸いです。