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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
ヒートマップやマウストラッキング(マウスの動きを録画して追える機能)を使うと、「数字だけでは見えない違和感」を見つけやすくなります。特にMicrosoft Clarity(マイクロソフト クラリティ)は無料で始められるので、定性的な分析の敷居が大きく下がっています。
- どこがクリックされているか、どこが押されていないかを把握できる
- どこまでスクロールされているかを確認し、「見られている前提」のズレを直せる
- 録画から仮説を作り、定量データ(アクセス解析)で検証する流れが作れる
ヒートマップとマウストラッキングで「何が見えるのか」
クリックヒートマップ:押してほしい場所が押されているか
ヒートマップは、ページの上で「よく反応が起きている場所」を色で可視化するものです。クリックが多い場所は暖色、少ない場所は寒色、というサーモグラフィーのようなイメージですね。
たとえば、グローバルメニューやファーストビュー(最初に表示される範囲)の誘導ボタンは反応が集まりやすい一方、端の装飾画像などは反応が薄くなりがちです。ここを見るだけでも、「本当はここを押してほしいのに押されていない」「意外にここが押されている」といった気づきが出てきます。
スクロールヒートマップ:どこまで読まれているか
もうひとつ大事なのが、スクロールヒートマップです。ページのどのあたりまで読まれているかが分かり、「全体の何%がどこまで到達したか」を見られます。
これが分かると、たとえば「ここにバナーを置くと、ページの終わりと誤解されてスクロールが止まりやすい」「段落のつながりが弱くて離脱が増えているかもしれない」といった、コンテンツの流れに関する改善のヒントが出てきます。
録画(セッションリプレイ):動きを“そのまま”見られる
マウストラッキング(セッション録画)は、訪問者のマウス移動やスクロール、クリックの流れを、動画のように追える機能です。フォーム入力などはマスクされる設計が一般的で、必要以上に個人情報を見てしまわない配慮がされています。
数字の集計だけだと気づきにくい「迷い」「ためらい」「誤解している動き」が、録画だと一気に見えることがあります。
定量分析だけでは見えにくいものがある
ウェブサイトの改善には、大きく分けて定量分析(数字の分析)と定性分析(行動や背景の理解)があります。定量分析は基礎としてとても大切で、全体の傾向や変化を追うには欠かせません。
一方で、数字はまとまるほど平均化され、鋭い気づきが埋もれてしまうことがあります。少数事例(N=1)の「変わった動き」には、次の改善につながるヒントが隠れていることもあるので、定量で裏付けを取りつつ、定性でも観察するのが理想です。
昔は高かった。だから勧めづらかった
私はヒートマップをかなり前から触ってきましたが、昔はとにかく高価でした。最低でも月3万円、しっかり使うなら月7〜10万円が当たり前、という時代もありました。
最近は価格が下がり、選択肢も増えています。とはいえ、「無料でまともに使える」とうたっていても制限が厳しく、実運用では厳しいものも多い印象でした。たとえば、取得できるページ数や録画数が極端に少ない、レイアウト変更後にデータが重なって見づらいなど、継続利用で困るケースがあるんですね。
Microsoft Clarityで敷居が下がった
そこで強く勧めたいのが、Microsoft Clarityです。完全無料で、私が最初に触ったころの高額ツールと比べても、定性分析に必要な機能は十分に揃っています。
「まずは定性分析を始めたい」「ヒートマップを入れたことがない」という場合は、Clarityだけでほとんど困らないはずです。もし将来的に、特定の連携や目的で別ツールが必要になったら、そのときに乗り換えを考えれば大丈夫です。
Clarityが拾ってくれる“違和感”のサイン
Clarityは、ただのヒートマップ/録画だけで終わりません。たとえば、クリックできない場所を連打してしまうような「苛立ちのクリック」や、ボタンだと思って押したのに反応がない「デッドクリック」など、改善の糸口になりやすい動きをまとめて見せてくれます。
しかも、それが起きている録画を抜き出して見られるので、「どんな状況で起きているのか」まで追いかけやすいのが助かります。
録画が多すぎて見切れない問題は、フィルターで対処する
ヒートマップや録画は、真面目に見始めると時間が溶けてしまうのが悩みどころです。Clarityはフィルターが細かく、見る価値がありそうな録画を絞れます。
- パソコンのみ、スマートフォンのみなどデバイスで絞る
- 特定ページ(重要ページ)を通った人に限定する
- ページ閲覧数や流入元(オーガニックなど)で条件を付ける
こうした条件を使うと、闇雲に眺めるのではなく、仮説に沿って観察しやすくなります。
導入は意外と簡単で、立ち上がりも早い
導入方法はシンプルで、タグをサイトに入れる形で動きます。タグマネージャー(タグを管理する仕組み)を使っている場合は、そちら経由で入れても構いません。
私の感覚では、設定してから録画が取り始めるまでが早く、導入直後から「もう見られる状態」になりやすいのが良いところです。
「見たくない」を越えて、習慣にする
正直に言うと、録画を見るのは怖いです。自分が思っていたより見られていない、想定どおりに動いてくれていない、といった現実が出てくるからですね。
それでも、改善したいなら避けて通れません。私は「1日1レコード」をルーティンにすることをおすすめしています。慣れてくると受け止め方が落ち着いてきて、必要以上に感情的にならず、客観的に改善点を拾えるようになります。
月に1〜2回の共有会が、定性データを活かしやすくする
理想を言えば、月に1〜2回くらい「面白かった録画」や「気づき」を持ち寄って共有する場を作ると良いです。定性の発見は少数事例(N=1)になりやすく、単発で判断すると振り回されることがあります。
だからこそ、チームで眺めて解釈の偏りを減らし、次の検証につなげる前提で扱うと、定性データの価値が上がります。
定性で仮説を作り、定量で検証する
定性分析で得た気づきは、「すぐ直す」よりも「仮説として置く」ほうが安全な場面が多いです。そして、アクセス解析などの定量データで裏付けを取ったり、A/Bテスト(2案を比べて検証する方法)で確かめたりして、判断の確度を上げていきます。
定性と定量の両方を回せるようになると、サイト改善の質が上がり、検証の設計そのものも上手になっていきます。Clarityは、その入り口としてとても扱いやすい道具です。
関連リンク
- Microsoft Clarity(公式)
- Microsoft Learn:ClarityとGoogle Analytics 4(GA4)の連携
- Lucky Orange(公式)
- Independent Analytics(公式)
- Matomo(公式)
よくある質問
- ヒートマップは、どんな場面で役に立ちますか?
-
「押してほしい場所が押されていない」「想定外の場所が押されている」といったズレを、ページ上で見つけやすくなります。クリックヒートマップとスクロールヒートマップを合わせて見ると、導線とコンテンツの両方に手を入れやすくなります。
- スクロールヒートマップは、何を見ればいいですか?
-
どこまで読まれているかの分布を見て、「このあたりで離脱が増えている」「ここから先がほとんど届いていない」などを確認します。段落のつながりや、途中に置いた要素が誤解を生んでいないか、という観点で仮説が立てやすいです。
- Microsoft Clarityは、まず何から見ればいいですか?
-
最初は録画をいきなり大量に見るよりも、重要ページに絞って数本見るのが良いと思います。加えて、デッドクリックなどの“違和感の指標”から録画を抜き出すと、改善の材料を拾いやすくなります。
- 録画を見るのが怖くて、手が止まってしまいます。
-
最初は誰でも抵抗が出ますし、見たくない現実が出てくることもあります。それでも「1日1レコード」のように小さく習慣化すると、だんだん客観的に見られるようになり、改善の速度が上がっていきます。
- 定性の気づきは、そのままサイト修正に使っていいですか?
-
少数事例(N=1)に引っ張られすぎないよう、まずは仮説として置くのがおすすめです。アクセス解析などの定量データで裏付けを取り、必要ならA/Bテストで検証してから判断すると、手戻りが減ります。
配信スタンド
- Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ)
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