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このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
「データの利活用」と聞くと、専門知識やデータサイエンティスト、難しいツールが必要で、自分たちには関係ないと感じてしまうことがあります。
今回は、その思い込みをいったんほどきながら、無理なく始めるための考え方を整理します。結論としては、きれいに整ったデータや大掛かりな仕組みがなくても第一歩は踏み出せますし、分析結果を出すだけで終わらせず「現場で使われる状態」まで設計することが大切です。
データ活用は「専門家がいないと無理」ではありません
ここ2年前ぐらいからでしょうか、AIの話題と一緒に「データサイエンティスト」という言葉を耳にする機会が増えました。
データをうまく扱って課題を解決する人材が必要になる、という流れ自体は私も強く同意していますし、統計を学ぶことが広がるのは、怪しい数字に振り回されにくくなるという意味でもとても良いことだと思っています。
ただ、その言葉が広まったことで「そういう人材がいないとデータ活用はできないのでは」と萎縮してしまうことも増えたように感じます。
私自身は、ガチガチにデータを見るような会社さんに入り込むというより、中小企業の皆さんを支えることを理念にしています。大企業さんの案件は、時々研修を担当する、といった形が多いのですが、そのギャップがあるからこそ、最初の一歩を重く考えすぎないでほしいと思っています。
第一歩は「みんなが知っておくべきこと」を、すぐ見られる形にすること
ここは極論として、まずこう捉えてみてください。自分たちの仕事の中で「みんなで知っておいた方がいいこと」を、いったん整理してまとめていくことが、データ活用の第一歩です。顧客単位でも案件単位でも、実際に使う場面に合わせて「必要なときにすぐ見られる」状態にする、まずはそれで十分です。
もちろん個人情報など、配慮が必要なものはあります。
そこは既存のツールの権限管理を使うか、必要な部分だけサポートを受けるなど、無理のない方法を選ぶのが良いと思います。そのうえで、最初から専門的なデータベースや難しいツールを前提にしなくても、スタート地点としては、権限管理をしたスプレッドシートのような形でも問題ないケースは多いです。
ガス会社の事例で印象に残った「修理履歴」からの出発
以前、ハーバード・ビジネス・レビューだったと思うのですが、東京ガスか大阪ガスか、どちらだったかはうろ覚えで恐縮ですが、データの利活用に関する事例が紹介されていました。
インフラ企業は最初からデータをたくさん使っている印象があるかもしれませんが、当時の話としては「データが十分に取れていない」「データを揃えても現場で使われない」といった壁があり、それを一つずつ越えていった、という内容だったと記憶しています。
そのとき最初にやったのは、いきなり美しいデータソリューションを組むことではありませんでした。
給湯器やエコジョーズ(給湯器の種類)などの修理で、過去の問い合わせ内容、型番、過去にどこが壊れたかといった「修理履歴」を、お客さん番号を入れたら見られるようにする。今となっては当たり前に見えるかもしれませんが、まずそこから始めた、という点がとても現実的で印象に残っています。
「目的」がないままデータを集めても、何も分からないままになりがちです
データ活用という話になると、「とにかくいろんなデータを入れたら、何か分かるのでは」と考えてしまうことがあります。
特に今はAIの話題もあり、「何か示唆が得られるのでは」と期待して、どんどん項目を増やしてしまいがちです。けれども、目的が定まっていないと、どんなデータを入れればいいか自体が決まりませんし、項目が増えるほど画面は見づらく、探すのも集めるのも大変になります。
先ほどの修理の例でいえば、困っていたのは「直らない」ではなく、確認してから部品手配になり、翌日ではなく1週間、2週間先になってしまう、といった不満でした。
給湯器がお湯を出さなくなると、特に冬は本当に厳しいです。
だから目的は「一回で済ませられるようにする」「その結果としてクレームを減らす」で、その目的のために必要な情報を現場にヒアリングして集めたところ、まずはそれだけで十分に意味のある形になった、という流れだったはずです。
ツールは最初から固めすぎないほうが良いです
データを「誰でも必要なときに見られる」状態にするには、使いやすさがとても大事です。
ここで最初から複雑なシステムを組んだり、外部に頼んで立派な社内業務システムを作ったりすると、大体しくじる、というのが現場感としてあります。
理由は、単に使いにくくなることだけではなく、変えるにも変えられない、いわゆるスイッチングコストが重くなるからです。
最初に設計したものが最後まで通用するとは限りません。実際に使い始めると、「これはいらない」「ここはこう見たい」「今後はこのデータも取っておいたほうがいい」と、必要なものが後から分かってきます。
だからこそ、最初はルーズなツールで始めて、運用しながら整えていくほうが、結果として定着しやすいと思います。
解析して終わりではなく「現場で使われる」までが仕事です
どうしても「集める」「分析する」「問題を解く」というところに意識が向きがちですが、そこで止まってしまうと、現場にインパクトを与えられない解析結果になってしまいます。
データは、データ係が毎回出すものではなく、必要だと思った人が、適切な権限の範囲で自分で使える状態になっていてこそ意味があります。
使ってもらうためには、少なくとも二つの観点が必要です。一つはシンプルに使いやすいか、というインターフェースの問題です。
もう一つは、「価値がある結果なら使われるはず」という期待だけでは乗り越えられない、職場ごとの事情をどう扱うか、という問題です。
人間関係、前任者のやり方、既存のシート運用など、使わない理由は会社ごとにいろいろあります。
AIや高度な分析ほど「説明できる形」が求められます
最近はAIを組み込むケースも増え、この問題が起きやすくなっています。AIの結果は「なぜそれが出たのか」を説明するのが難しい場面がどうしてもあります。
計算式や根拠を口で説明できる形ならまだしも、「何かわからないけどこう言っている」という結果だけが出ると、最終的にお客さんへ説明する人が困ってしまいます。
日本だからかな、とは思うのですが、提案したときに「なんでそう言えるの?」と問われる、いわゆる説明責任は、現場では避けて通れません。
精度が良くても説明できないものより、精度が多少落ちたとしても「これこれこうだから、これがおすすめです」と説明できるほうが選ばれることがあります。
だから、調べて分かった、解けた、で終わらず、使う人が納得して持っていける形まで含めて設計しないと、役に立たないデータになってしまいます。
まとめ:気楽に始めて、使いながら整え、定着まで設計する
データの重要度は増していますが、「使えない」「難しい」と感じて止まってしまうのはもったいないと思います。
今回お伝えしたかったのは、まず共有したい情報を集めて、必要なときにすぐ見られる形にするだけでも第一歩として十分だということです。きれいなデータベースが最初からなくても問題ありません。
もう一つは、解析して答えを出すことがゴールではなく、現場の人に使ってもらい、説明できる形で定着させることまで含めて取り組む、という点です。
そこまで意識できると、自分たちがやったら周りと差がつけられる、という実感につながっていくはずです。ぜひ、できるところから一歩を踏み出してみてください。
関連リンク
- スプレッドシートでの共同編集(Google ドキュメント エディタ ヘルプ)
- 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A(個人情報保護委員会)
- AIガバナンス(経済産業省)
よくある質問(FAQ)
- データ活用は、専門知識やデータサイエンティストがいないと始められませんか?
-
必ずしもそうではありません。専門的なツールや、きれいに整ったデータが最初から揃っていなくても、第一歩は踏み出せます。まずは仕事の中で「みんなで知っておいた方がいいこと」を整理して、必要なときにすぐ見られる状態にするところから始めるのが現実的です。
- 最初の一歩として、何から手を付ければ良いですか?
-
顧客単位や案件単位など、実際に使う場面に合わせて、共有したい情報をまとめることからです。お客さん番号を入れたら修理履歴が見られる、といった「すぐ見られる形」にするだけでも、業務の質が変わるきっかけになります。
- データをどんどん集めれば、AIが何か示してくれるのではないですか?
-
目的が定まっていないまま項目だけ増やしても、結局何も分からないままになりがちです。何を解決したいのかが決まると、必要なデータが絞れ、画面も見やすくなり、集める負担も下がります。修理の例でも「一回で済ませられるようにする」という目的が先にありました。
- 最初から立派な社内システムを作ったほうが、使われやすいのでは?
-
必ずしもそうとは限りません。最初から複雑に固めると、大体しくじることがあります。使いにくさに加えて、変えるにも変えられないスイッチングコストが重くなるからです。最初は柔軟に変えられる、ルーズな形で始め、使いながら整えるほうが定着しやすいです。
- AIや高度な分析結果が出たとしても、現場が使わないのはなぜですか?
-
使う側が「なぜそう言えるのか」を説明できないと、提案の場面で困ってしまうからです。精度が良くても説明できないものより、精度が多少落ちても「これこれこうだから」と説明できる形が選ばれることがあります。解析して終わりではなく、納得して使われるところまで設計することが大切です。
続きはPodcastでお聞き下さい。
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