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今回の内容について
中小・小規模事業者の方々がつまづきがちな「各種ツールやサービスの導入」特に業務効率化系の内部フローに関わる物は問題が発生しがちです。
そこで今回は、ツールやサービス提供者目線とお客さま側の目線両方から見た、どうすると何が問題になるのか、そして丸投げは業者目線ではなく、お客さま目線でも実はデメリットしかないという内容をお送りします。
具体的にはどういうことでしょうか。
詳しくはPodcastをお聞き下さい。
書き起こし・ShowNote
概要
今回のテーマは中小企業・小規模事業者の、ツールの導入についてです。
Web 関連のツール、業務効率化のためのIT系のツール、そういったものも含めて、さまざまなツールがあります。
それを導入していく時に、こういう所に気を付けなくてはいけない、それからこういうところがきちんとしないとうまくいかないというところをお伝えします。
AIツールベンダーのただ働き問題から考える
今回この内容にしようかなと思った理由は、 ITメディアさんの8月6日の記事「マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:AIベンチャーは「ヤフー知恵袋」じゃない タダ働きからの卒業宣言」ですね。
これが非常に面白く、まぁそうだよなと思わせる記事でした。
ある程度大きな基幹システム系のAIを使った、ツールやサービスを導入する際に、こういう状況なんだよという内容がまとまっている記事です。今回これを下地にしながら、いわゆる web バージョンをお伝えします。ぜひ、ITメディアの記事自体もご覧ください。
記事の内容としては、ツールベンダーの方々がいろんなデモとか、相談とか、プレゼンをしても、いろいろな問題があって、結局ただ働きになってしまっていて、その結果いろんなしわ寄せが来ていると、そういう内容になっています。
そして、それに対して「こういうことをしたらいいんじゃないですか」っていうような内容になっていますね。
業界で働く方にとっては、あるあるといいますか、そうだよねという内容です。
AIのツールを、これを聞いている中小企業の方々が実際入れていくかっていうと、そういう段階ではないでしょう。
そうではなくて、一般的なツールですね。
ホームページもそうですし、CRM・顧客管理システムとか、SFA・営業支援システム、マーケティング関連の分析ツール、ITで業務効率化をするとか、何か新しいもの。
そういった、中小企業の方々も普通に使うツールを導入する際、どういう事に気を付けていかなければならないのかについて、お伝えします。
「わからないから専門家を呼ぼう」が産み出す損な事態
まず、一番とってはいけない態度は、Web やITはよくわからないから、専門家の人に教えてもらって、それで決めようっていうことで、とりあえず人を呼んでしまうという対応です。
これの何が問題かというと、ツールやサービスの提供者の方々が辛いとかそういうところは一旦置いておいて、これは皆さんにとっても不利益が非常に大きいんですね。
売り手のシステム屋さんとか、ホームページ制作会社、ツールやさんとか、そっちの目線で書かれた内容が多いので、そっちの話なのかと思われるかもしれないんですけれども、そうではなくて、実は皆さんにとっても不利益が大きいんです。
その理由は大きく2つあります。
無理ムラ無駄は費用の上乗せとなって自分に返ってくる
一つ目。
この業界はツールやサービスの導入といった、業界全体の費用がなかなか下がりません。ツールを使う費用、導入費用、初期費用などが、昔に比べれば落ちてきたとも言えるんですけれども、なかなか下がっていかないんです。
下がっていかない状況を作り出しているのは、とりあえず相談して専門家に教えてもらって、そして自分たちで検討して決めようと、そういう状況だからです。
中小企業全体がそれを当たり前だと思っていればいるほど、どんどんむしろ高くなっていきます。
なんでかっていうと、ツールやサービスを提供している会社は、どちらかというと増加傾向にあります。
そうすると比較検討はどんどんされ続けます。また、違いのわからないようなツールもどんどん増えていくわけです。
そうなると、当然売上を上げるために、あるいはその企業さんの役に立ちたいっていう気持ちのために、相談をされたらきちんと資料を作って、説明して、相手の話を聞いて、じゃあこういうツールを使ってみたらいかがですか?っていうような提案を作り上げる。
そういうことを、ちゃんとした業者さんだったら、頑張って作ります。それには当然人件費を始めとした経費がかかっているわけなんですね。
こういったものがどんどん無駄になっていけばなっていくほど、どこにそのしわ寄せが行くか。
それは、ツールの使用費やサービスの使用費・導入費の部分になっていくわけです。
リスク分を織り込むのはWeb業界に限らないが…
これはもちろんWEBに限ったことではなく、飲食や旅館等の予約系の業界はそういったつらさを抱えています。
見込みを入れて席を確保することが必要になります。本来得られる機会や売上の損失が時たま起きるので、その分を織り込んだ価格になっていきます。本来はそういう無駄がなければ、もう少し価格を低くする、あるいは提供するものの品質を上げることができるはずです。
皆さん自身も損をしないために、きちんと考えてから提案をしてもらうようにする、もしくは提案自体も有料という文化になってしまっても良い。同じ資料を渡されて通り一遍の話をされるだけでも、人件費はかかります。
「よく分からないから話を聞きに来てくれ」という依頼は、一番悩ましいです。
規模感も求められるものも分からないので、やはりいろいろと準備をしていく必要があります。
実際は準備したものの10%しか使わないのに・・・ということも起こります。事前にいろいろな事情が分かっていれば、そこにフォーカスしたプレゼンを準備できたのに、ということになり、無駄が発生してしまいます。
発注側としてもこの流れを変えていかないと、皆さんにとって損な状態が続いてしまいます。
やってはいけないこと2:考えなしにツールを導入する
深く考える前に導入したツールは大抵現場でうまく回りません
もう一つ、自分たちで深く考える前に導入したツールは大抵現場でうまく回りません。サービスやツールを勝手に動いてくれる魔法のように考えてしまう気持ちは分かりますが、実際は違います。
特に業務に深く食い込んでいるようなものだと、むしろツールそのものの機能よりも、それをきちんと社内に定着させる、問題が起きないようにスムーズに移行させるといったサポートやコンサル部分のほうが重要になります。
サポートやコンサルの質が上がれば上がるほど、皆さんが安心して使い続けられて、そこで当初の目的である販売促進や業務効率化が達成できます。
それを全て省いて丸投げして相談して導入してはいけません。
自分たちで考え、調査をすることが大切
当然外部の人よりも、皆さんのほうが一番会社の中のことを理解しています。
分かるようにするには、社内をヒアリングしてもらって、社内の誰かに変わって様々なことを調査・調整して資料を固め、導入方法を考え、教育をして導入する・・・ということが必要になるので、非常にコストがかかります。
取りあえず導入すればうまくいくのではないかという考えでいると、大抵そういう費用が用意されていないケースが多いので、数カ月で使用を中止するようなことになってしまいます。お互いにとても損です。
では皆さんに何をしてほしいか。
問題があることは分かっているけれど、それをどう解決すれば良いかが分からないという状況は、どこも同じです。しかしそこで諦めるのではなく、自分たちで調査をすることが大切です。
- 今どういう仕組みになっているのか
- 何が問題なのか
- 自分たちは何をどうしたいのか
- どこを変えたら良くなりそうなのか
- どのプロセスをどう変えるとスムーズになりそうか
- どういうデータが欲しいのか
できるかできないかはさておき、自分たちの要望や希望の青写真をまずは作ることです。
それを実現するにはどれくらいかかるのか、どんなツールが必要か、マッチするツールがあるか、という相談の仕方をするのが良いです。
自分たちが検討するというプロセスを経ている事が必要
そうすると実際に回り始めた時に、自分たちが検討するというプロセスを経ているので、社内に定着しやすくなります。
そして何か問題が起きた時に、マッチしていない部分はどこかが浮かびやすくなり、その改善活動も自分たちでできるようになります。
導入後の問題発生時にいちいちベンダーを呼んでお金を支払ってサポートしてもらうことなく、社員同士でアドバイスし合って解決することができるようになります。
これは「自分たちで考える」というプロセスを最初に踏んでいるからこそです。それをせずに丸投げするとなると、お金を払って初期のコンサルやサポートからきちんとやってもらうか、なあなあで入れてうまくいけばラッキーという博打の状態になるかのどちらかになります。
具体的な言葉が出てくるようになる
私が見ていてうまくいっているお客様は、外に頼む前に自分たちは何をしてほしいのか、どこを変えたいのかということをきちんと出せるようになっています。
こちらでWEB戦略等いろいろな施策を提案する際も、お客様として「今こういう状況なのでここをもう少し増やしたい」というように具体的な言葉が出てきます。
例えば
「お客様の次回訪問までにうまく情報を伝えることができれば良くなると思う」
「以前キャンペーンの際にこちらのほうが反応が良かったから、それをすぐにWEB上に反映させられる仕組みを作れたら良いと思う」
「最近こういうお客様が増えているから、そこにどうアプローチできるのか。こういう手段はどうか?」
といったことです。
おかしなことを言うのではないか?なんて気にしない
当然WEBやITの力を使ってもそれは無理だとか、とてつもない費用がかかりそうだということもありますが、それを恐れる必要はありません。
考えることのほうがはるかに重要です。
出した内容がトンチンカンだったらどうしようとか、実現にはものすごくお金がかかると言われたら恥ずかしいと思うのは絶対にやめてください。
まったく心配不要です。そんなことでお客様を見下すようなサービス提供者は、少なくとも私は見たことはありません。どこも真剣に対応しようとしてくれると思います。
まとめ
ぜひ導入したいこと、改善したいことがあった場合には、まずは皆さんの中での青写真を作った上で外部に提案してもらうようにしてください。提案をしてもらう際には、「マッチしないなら来てもらわなくて大丈夫です」と伝えてもらえればと思います。
リソース的には、そういう提案に関してはお金を払う文化になっていってほしいと思います。そうすれば皆さんも自然と皆さん自身で考えるようになるだろう、ということもありますが。そうなっていけば、業界全体として良い方向に進んでいくでしょう。
ユーザー目線でのものづくり、ムリ・ムラ・ムダのない状態を実現できると思います。