ラウンドナップ・Webコンサルティングの中山です。
Web上で全国各地の商品やサービスの情報を簡単に手に入れることができるようになった今、特徴のない商品の売り方は悩ましいのではないでしょうか。
いわゆる「型番商品」や「一般的にあるサービス」は、多数存在する他社と比べられて何か特徴がなければ、特徴のない平凡な商品やサービスという烙印を押されかねません。例え比較対象が商圏外であっても。
とは言え、全ての企業がオンリーワンな強みを持てるというのは非現実的です。
そんな時にお勧めしたいアプローチ方法が「ストーリー性」です。
なぜストーリー性を持たせることが重要なのか
ストーリー性を持たせることは効果的です。「伝えるのが難しいな」とみなさんが感じていることも、過去・現在・未来というストーリーを使うことで解決できるかもしれません。
可能な範囲で全てのものにストーリー性を持たせ、それを感じさせることを重要視する事をお勧めします。
言いかえると「サービスや商品を説明する時に、時間軸まで意識して情報を出した方が良い」です。
理由は大きく3つあります。それは
- 伝えられる情報の幅と量が増え、消化しやすくできるから
- それまでにない付加価値を与えられるから
- 比較検討時の判断軸を自然に伝えられるから
です。
1.伝えられる情報の幅と量が増え、消化しやすくできるから
今という瞬間のスナップショット(商品説明)だけでは、その商材に対しての評価は難しいものです。定量的なスペック情報などで判断できる物でない限り、物を見せられて「はい決めて!」と言われて決められる物はそう多くはありません。
そこで人間がよく使うのが「Why」です。
Whyがあると、何でも分かりやすくなります。意思決定にかかわらず「なんでそれをやったの?」「なんでそんなことしてるの?」という質問を私たちが行うのはそのせいでしょう。
例えばあるサービスや商品について
- 昔○○をやっていて、お客様から○○という要望が多いから今こういう○○になっている
- ○○を実現したいから、様々な改良を経て今の○○になっている、この先○○にしていきたい
- 型番商品でも、取扱商品の幅、ラインナップ、対応体制は昔こうで、なぜ取り扱っているかというと…○○だから
などの情報があると、見方が変わってきませんか?
いろいろな商品・サービスの特徴が点と点が繋がって線になってきませんか?
より正確に深く知ってもらうために必要な「消化」を、背景やストーリーが助けてくれます。
あるいは、人が重要になるサービスであれば、会社概要、スタッフ紹介、ブログが重要です。なぜこの事業を始めたのか、このサービスが現状に至るまでどのような出来事があったのか、こういったことが商売全体に「色」をつけてくれます。
2.付加価値を与えられるから
過去はできなかったけれど今何ができるようになったのか、どういう経緯でそれが追加されたのか、その過去からの流れが商品を買う人に取って「語れる価値」となります。
同様に未来もそうです。その物語に載っかるようなイメージです。これまでの歴史を示すことで、この先への期待まで意識してくれる人もいます。
我々は情報を食べ、情報を身にまとってラベルにしています。そのため、今を切り取るスナップショット的な見せ方に比べて、ストーリーがある事は魅力即ち付加価値となるんです。
ちなみに、これは決して「下駄を履かせている」わけではないと、私は考えています。本来人間はそういった物語も含めて物々交換をするものだと思っています。マーケティングで無理に売っているとは思いません(予防線)
3.ストーリーを使うとサービスや商品の判断軸を自然に伝えられるから
なぜその機能が付いたのかという経緯や、前の世代の商品からどう進化してきたかという情報は、過去という付加価値をつける以外にも
買い手に「自然と選ぶ判断軸が伝わる」
というメリットもあります。
どこをなぜ進化させてきたのか?それは自分たち買い手のニーズに沿って進化しているはずだと一般的には考えます。
例えば掃除機なら「吸引力」「ゴミの捨てやすさ」「排気のきれいさ」「軽さ」などなど、訴える判断軸はいろいろあります。
ただ、競争状態が激化し飽和している今、その軸に沿ってただ大きな文字で訴えるだけではなかなか伝わりません。「従来型より吸引力20%アップ!」と言っても、ピンとこないですよね。
「どんなに素晴らしい機能や特徴でも、分かってもらえなければない物と同じ」
それより、「○○という悩みを解決したくって、○○を追求してこれができました、今も毎日研究開発しています」と言ったらどうなるでしょうか。
「掃除機にとって、その軸はとても重要なんだ、それにここは、買い手のために真剣に役に立つ物を作ろうとしているんだな」と捉えてもらいやすくならないでしょうか。
これは一例ですが、ストーリーを使うことで大声でまくし立てる必要が減るのです。
背景としてある「情報過多」
あくまで私の経験上のイメージですが、買い手は今「自分に一番合った物を手に入れたい」とは考えてないと思います。なぜなら「不可能」だと思うくらい情報が溢れているからです。
そうではなく「自分が納得できる立ち止まりポイントを見つけたい」というのが、今の情報探索者のニーズだと思います。落とし所ですね。
昔は自分で商品を選択するための情報をなかなか手に入れられませんでした。
しかしWEBが現れて、自分に最適な商品を比較検討できる時代になりました。結果どうなっているかというと、あまりにも比較検討のための情報が肥大しすぎてしまって、比較検討することに疲れてしまっている状態です。
大型ショッピングモールに行くと、下手すると一日で全店舗回り切ることができません。良さそうな商品を見つけても、この先の店舗でよりお得なもの、より合うものがあるかもしれないと考えたりします。そうなると、良いなと思っても決めることができません。
落とし所を提供してあげる事の重要性
選ぶという行動はものすごくパワーが必要なので、早く自分を納得させてくれるものに出会いたい、と思っているのではないでしょうか。
現状たくさんの同業他社がいるので、比較検討は本当に大変な作業です。そんな中で皆さんがどうするべきかというと、「探せばより良いものはあるかもしれないけれど、ここで買っておけばいいか」と思わせるべきなのです。
自分を納得させるためには、付加価値的な、定性的な情報のほうが響きます。それが一番分かりやすいのが、ストーリーだということです。
ストーリーを使う場合に気をつけるべき事
取りあえずストーリーを意識すれば良いかというと、そういうわけではありません。
まず大事なのは、物語性として提供する情報が、お客様の生活のなかで身近なものとして捉えられることです。ビジネスであれば、自分たちに関係があると捉えられることです。
そのためにコンテンツを使ってシチュエーションを想起させていきます。
商品やサービスに興味はあるけれどピンとこないケース、ありますよね。
それは「提供者さん達としてはそうなんだろうね」という内容が書いてあるだけで、買い手・お客さまにとってどうなのかという点が書かれていないからです。関係あると思わせられていない。
「そうそう、こういうの欲しかったんだよ」
「おぉ、こういう会社があるんだなぁ」
の一言が出るような物を作る事を目指して頂くと良いのではと思います。
ぜひ皆さんのHPコンテンツ、メインビジュアル、キャッチコピー、会社案内、スタッフ紹介がスナップショットになっていないか、独りよがりになっていないかチェックしてみてください。
まとめ
そうして、お客様が共感するようなストーリーを出していけると、非常に反応が良くなります。
全てが「現在」というスナップショットで作られてしまっているサイトの代表格が、大手ECモールサイト(amazon等)でしょう。
店舗がないせいもあり本当に「今」だけが並んでいます。
それと普通のHPを比べた時に受ける印象を想像してもらうと、分かりやすいと思います。「こうなっているんだ」と自分に結びつけられる内容になっていることが非常に重要なポイントです。
自社の諸々を見直して、首をかしげる点があれば第三者を交えながら、どうしたらきちんと伝わるかを考えていくと、見えてくるものがたくさんあります。
世の中には、素晴らしい人たちが素晴らしい商品を売っている会社が、たくさん埋もれていると思って日々私も業務を行っておりますし、実際そうだなぁと思う所です。
今回の内容が何かのきっかけになれば幸いです。
関連Podcast/Webinarのご紹介
Podcastでも過去、類似の話をしていますのでよろしければお聞き下さい。
第192回:中小企業のHPコンテンツ作成では「ストーリー」を組み込めるかが大きな分水嶺 – 中山陽平の会社を強くする実践WebコンサルティングPodcast
https://roundup-inc.co.jp/nakayama/podcasts/vol192_story-importance/
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから