B2Bで商売を行われているお客様に多いのですが「ホームページ(Webサイト)をどう活用していったら、商売の役に立つのでしょうか。」というご相談が少なくありません。
それなりにお金をかけて作ったのに、なかなか反響が出ていないケースもあれば、出ているけれども更に上にと考えた時にはてどうしたものか、と前に進めなくなってしまったケースもあるでしょう。
こういった場合、何から行えばいいのでしょうか?
結論から言えば、多くの場合「自社の営業プロセスの可視化」を行った上で、何を目的としてHPを使っているのかを把握すれば、やることが見えてきます。
HPに期待する「役割」を決めることがスタート地点
行うべきは「なんのためにHPを使うのか」の把握に基づいた改善です。そしてその前提として自社の営業プロセスが可視化されていないと、「何のために」が分かりません。なので、可視化が第一歩です。
大雑把には、以下のステップでお客様は流れてきます。コンバージョンファネルという言葉で表現されるものとだいたい同じです。
- ターゲットに知ってもらう(認知される)
- ターゲットに来てもらう(集客する)
- ターゲットが興味を持って情報を集めてくれる(見込み客育成・ナーチャリング)
- ターゲットが情報の欠片をくれる(見込み客育成・ナーチャリング)
- ターゲットが接触してきてくれる(初回接触)
- ターゲットがその先の営業プロセスに進んでくれる、成約してくれる(商談・成約)
- リピーターになる、ファン化する(顧客化)
「営業プロセスの視覚化」をぜひやってみましょう
会社によって、引き合いや紹介が強かったり、商品やサービスカテゴリによって過不足はあるかもしれませんが、大体「認知→集客→見込み客育成→初回接触→顧客化」の流れは共通です。
まずは、これをベースに、皆さんのお客様がどうやってお客様になったかを、そのために自分たちが何をしているのかという「営業プロセスの視覚化」をしてみて下さい。
幅1800mmくらいのホワイトボードに皆さんで書きながらやると、ブレストにもなってよいです。
そしてそのプロセスの中で
- HPは今現在どこを担っているのか?
- 今後はどこを強化していきたいのか、あるいは補っていきたいのか?
を考えていくんですね。
現場の数字を持つべし、精度が全く違う
この時大事なのが「数字を持っているか」です。
認知などは難しい部分がありますが、例えば問合せからの商談率、既存客からの引き合い獲得率、フロントエンド商品からの本番商品成約率…などなど、ステップごとに何%が次に行っているのか持っているかどうかが重要です。イメージではなく実際の数字で。
大概ここを「何となくこれくらいじゃない?」で終わらせてしまいがちです。
でもそうすると、良くなっているのか悪くなっているのかわからないんです。実は数字上良くなっているのに、例えば、ネットが絡んで「感覚的に」面倒になっているから、悪くなっているという印象を持っているようなこともあります。
行ったことが良い効果を上げているかどうかは、可能な限りデータで見たほうが良いです。
でないと
「脳内お客様との自分よがりの対話による、思いつきの改善活動」
から脱することはできません。
解析ツールのデータでは足りない、現場の定量・定性データが必要
アクセス解析ツールの数字では足りません。
営業プロセスの特に後ろ側の数字が大事です。フォローしている営業の方の訪問回数や成約数や商談数や平均単価などの定量的データ、そしてお客さんの態度や質問内容など定性的なデータが重要です。
でないと以下のような認識ズレを起こしがちです。
「HPを作ったのに直接問い合わせが来ない」と悩んでいるが
- 実は成約率や商談率が良化している
- 営業先でのお客様の対応が変わっていて、クロージングが楽になっている
- 問い合わせしてくる見込み客が、自分たちの求める客層に変わってきている
など、コンバージョンという数字だけを見ていたら気づかない変化が、バックで起きていることが往々にしてあります(例として良化しているものをあげましたが、もちろん悪化しているケースもあります)
例えば上記のような状態であれば、無理にアクセス解析ツールの数字を気にしすぎず、HPを「フィールドセールスの加速」という目線で運用するのが良いでしょう。
外回りの営業活動自体の大体とするのではなく、そこからの成約率や商談率を上げるために事前情報や追加情報を与える媒体としてどう使うかを突き詰めると、結果につながるでしょうし、やることも見えてくるのではないでしょうか。
他にも色々なケースがあると思いますが、基本はどこをひろうかを考えて、それに合った活動をするというスタンスをおすすめします。
フィールド営業⇔ウェブ営業のフィードバックループを作ろう
某警察ドラマではありませんが、大事な情報は現場に転がっています。
そういう情報を元にHPをブラッシュアップしていくことが必要です。現場は人と人がぶつかり合う場所なので、最も一次情報が転がっている場所なのです。
現場での情報をフィールドからフィードバックしてもらい、HP上にそれを反映したコンテンツを作っていくことはとても有用です。お客様が良いと思う内容や、求められた内容があれば、それを自分たちの特徴として載せていきましょう。
そして、HPのデータを元にフィールドセールス側に情報提供していくことも重要です。もらいっぱなしでは協力体制が作れません。
ウェブはデータが取れるのが強みです。ABテストなど仮説検証を回すのが簡単で高速にできます。フィールド側で、お客様のところへ行って仮説検証を行うのは現実的に厳しいですよね。自分自身でトライアンドエラーは繰り返していると思いますが、統計的にどうだ、というと N=1ではなんともというところです。
なので、そのフィードバックを元に、ウェブ側で検証してみて、良し悪しがでたらフィールドに返してあげれば、少なくとも悪い気はしないものです。営業資料を一緒に作ってさしあげても良いですね。
と、巻き込みながらPDCAサイクルを回すというのが、理想的な中小企業のHPの回し方です。
ループを繰り返して、会社に溶け込むHPにしていく
HPだけで売上を上げられるように頑張ろうとするケースが多いですが、それだけで反応が取れることは稀です。
それでうまくいくのはよほど圧倒的な何かを持っているか、もしくは実は既存のお客様がいて、名前で検索して勝手に引き合いを作ってくれるような下地があるかというような、イレギュラーな要因がある時だけです。
Webだけでなんとか頑張るぞー!は失敗します。会社全体の中にきちんと馴染んで収まる、周りと協力して進めていく。そういう風土づくりも含めてやっていかなければいけません。
補足:ホームページの守備範囲は作った人の視野によってある程度決まる
ECを除けば、B2Bにおいて、HPを使ってものを売る際には、HP単体では完結しないケースのほうが多いと考えたほうが良いです。電話やフォームがあったら、それからアクションがあった先のところが大事ですよね。
ただこういうものは、経験していないと、わからないじゃないですか。
正直私も、運良く?(運悪く?)就活できず、いきなり実績殆どなしフリーランスWebデザイナーになって、自分で飛び込み営業してWebの仕事取ってきたり、フリーの営業さんと利益折半で提案営業に回ったり、入るところはいるところなぜかベンチャー系で、いろいろな部署ぐるぐる回されたりしていなければ、分からないことだらけだったと思います。
ただ、そのおかげで、
- 一見うまく行っていそうだけれど、現場に確認しないと怖いところ
- やれたらよいけど、ハレーション起こすから今やらないほうが良いこと
- 現場で盛り上がるのはいけれど、やるなら先に根回しせんといかんところ
- フィードバックを毎月拾ってきてもらった上で、データを元に改善提案をしないといけないところ
などなどを、押さえられていると思っています。失うものも多かったですが、得るものも多かったですね。はい。
作った人の守備範囲によって変わるのがHPです。なので依頼するときは、そういう知見を体験している会社に依頼することをおすすめします。他社でじゃなくて自社で体験しているかが大事ですね。
あるいはその部分がかけていても、みなさんがフォローするという形でタッグが組めると、いいのではないかと思います。
お悩みのことがあれば、お気軽にご相談下さい。
ということで今回は以上です。
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