WEB上での映像・ビデオ、動画コンテンツをマーケティングに活用する。 何となく効果はありそうだけれど、なかなか活用イメージが沸かないということはないでしょうか。
今回は、イメージを湧かせるというために、体系的なガイドではなく「実例も交えたTIPS集として、自社に活用できそうな部分をピックアップ」できるコンテンツをご紹介します。 distilledという海外のマーケティング会社が公開しているオンラインプレゼンテーション「動画コンテンツを使って集客するコツ」です。
Distilled社のSEOアナリストであり、スピーチとドラマスクールもやっている、Phil Nottingham氏のプレゼンテーションですが、全70ページほどありますので、重要な部分をピックアップしてご紹介します。
0.目次
- 「Evianのようなのはできないんですよ…(大手じゃないと)」
- どういう形で動画を置けば、人にリンクしたりシェアされやすい?
- Zapposは商品解説ビデオを開始したことで、被リンクドメイン数が倍以上になった
- 動画ありきではいけない、固執してはいけない
- 文字だけで済むなら動画にする必要はない
- 動画は頭で感情を刺激できるかが大事
- こんなコンテンツはリンクを得られない(受け入れられない)
- オススメの撮影セッティング
- 動画をサイト埋め込みする際に気を付けたいこと
1.集客のための9つのTIPS
1.「Evianのようなのはできないんですよ…(大手じゃないと)」
「Evianのようなのはできないんですよ…(大手じゃないと)」
このサイトでも無料で配布している動画マーケティングガイドブックでも書いていますが、大手がやっているような、費用をかけた動画を作る必要はありません。
Youtubeで動画セミナーを私自身もやっていますが、大体、Webカメラとアプリケーションで、合わせて2万円くらいです。
具体的に言うとLogicoolのC910とMac版のCamtasiaです。後はしゃべるだけです。 外に出て撮影する場合はビデオカメラが必要ですが、安ければ2万円くらいです。HD動画が撮れれば最低限OKです。
(※2019年9月追記:今もホワイトボード背景の動画はロジクールの9xxシリーズでマイク含め入れています。撮影場所自体もデッドにしたため、多少離れていてもそこまで響かないように思います。ただ、ピンマイクはやはり入れようかなと検討中です。
ポッドキャストなど音声のみの場合は、BlueのYetiが相棒です。据え置き型ですがスタンドにぶら下げて振動最小限にしています)
2.どういう形で動画を置けば、人にリンクしたりシェアされやすい?
あくまで、その動画に「リンクされやすい(SNSなどでもシェアされやすい)」という観点だと
「埋め込んであるコンテンツではなく、 ビデオファイルそのものへリンクしたい」
と考えるべきのようです。 実際にアクセスして見に来た時のことも考えると、
- コンテンツ内にYouTubeなどの動画を埋め込みで設置
- その下か上に、YouTubeの動画へのリンクを置いておく
のがいいかと思います。YouTubeを使わずに自社サイトへの埋め込みでやる場合は、
- きちんとビデオサイトマップを作り
- 共有ボタンを設置し
- 直リンクできるURLを用意する
事が必要です。 前述した私のツーリング動画サイトは自社サイト埋め込み型で行なっています。しかし、YouTubeに投稿した低画質版の方が圧倒的に再生数が多いです。
ビデオ共有サイトを使わない埋め込み型は正直、おすすめできません。 YouTubeに投稿してそれを自社サイトに貼り付けるやり方が、一番のおすすめです。
※ちなみにYouTubeを私が前提としているのは、SNSと親和性が高いからです。 YouTube内から「Twitter」「Facebook」「Google+」の主要3SNSへの共有ボタンがついていますので、共有してもらいやすいからです。また、YouTubeに対する信頼性は大きいので、安心感もあるでしょう。
動画の設置はYouTubeにアップロードして、それを自社サイトに埋め込むのがオススメ。ソーシャルボタンを埋め込み動画の近くにおければ、なおOK。
3.Zapposは商品解説ビデオを開始したことで、被リンクドメイン数が倍以上になった
これが、Zappos.comへのリンクドメイン数です。 2009年の末に商品紹介ビデオを作り始めた所、2011年の途中では被リンク元ドメインが2000→4000以上になりました。
なんと50,000件の商品すべてに動画を用意したそうです。
例えばメンズのトラックジャケットのページ。 このページの左側の画像下にある「LargePage and Addional View」という水色のボタンを押すと別ウィンドウがポップアップします。
その右下にビデオのボタンがありますね。 そうすると、右のようなショートムービーが流れます。 そして、そのムービーには「Twitter」「Facebook」「埋め込みコード」のリンクが貼ってあります。 これが、リンク元を増やした大きな要因です。
この量というのはZapposだからできたことですが、商品点数が少なく、このような短いムービーなら、それほど大きな工数にはならないはず。 とても良い事例です。中小規模でも十分実現可能です。
服もそうですし家電製品なども、実際のディティールや質感、動きなど見たかったりしますよね。
4.動画ありきではいけない、固執してはいけない
突然ちゃぶ台をひっくり返すようですが、目的と手段を取り違えてはいけないということです。 最初に動画ありきで「動画を作らないと!」という形からはじめるのではなく、結果として動画が選ばれるという状況でないと上手く行かないということ。 例えばこのスライドで言えば
- チュートリアル的なコンテンツを作らないといけないな
- それにはどんな形態のコンテンツがもっと合っているだろう?
- 動画だね、だから動画チュートリアルをつくろう!
という流れにしましょうということです。
基本的な「コンテンツ形態」は16種類あります。
どの形態を使うかは、やりたい事が先にあって、それに合わせて決めるもの。
逆転してしまうと、効果の薄い、作るために作る、コンテンツになってしまいがちです。 動画がベストか?を判断する1つの「問い」としてスライドにあるのが
Would this content lose something if it were just text and image? (このコンテンツは文字と画像だけだと、何か足りないものがあるのだろうか?)
これがYesなら、動画を含め、他のコンテンツ形態を使うべきですね。
5.文字だけで済むなら動画にする必要はない
悪い事例として、GAIQ(Google Analytics Individual Qulified)の動画が挙げられています。
※GAIQは、GoogleAnalyticsの知識を試す、公式認定試験です。私も所持してます(^_^;)
見て頂くと分かるように、ただ文字が羅列されているだけで、動画にする意味がありません。 青く囲ってある部分などを、きちんと操作動画などを挟んで説明していくなら、いいのです。
私も昔いた会社でCMSの操作サポートを電話でしたことがありますが、操作って本当に説明しづらいです。ソフトの解説書はあんなにスクリーンショットだらけですが、動画ならきっと一瞬です。
6.動画は頭で感情を刺激できるかが大事
このスライドが言いたいのは、テキスト中心のコンテンツと比べて、動画は先に「感情」が反応するということです。
これに関しては、判断が難しいのですが、動画は視覚的な刺激が大きいので、先に感情を揺り動かしやすい、平たく言えば「なんか凄い」と思わせやすい、ということはあると思います。 この図は、テキストは
- 1秒でそれがなんなのか「認知」し
- 5秒で、どんな意味があるのか「値踏み」し
- 10秒で、その意味を「評価」し
- 15秒で、感情的な反応をおこす
- 「どれどれどんなものだろう、こういう意味か、おぉ、役に立った」
動画は
- 1秒でそれがなんなのか「認知」し
- 5秒で、感情的な反応をおこし
- 10秒で、どんな意味があるのか「値踏み」し
- 15秒で、その意味を「評価」する
- 「おぉなんかすごそうな動画だ、どれどれどんなものだろう、なるほどこういう意味か」
という差があると述べています。 感情が先に来るということが、よくも悪くもあるので、動画を作るときには、まず感情を刺激することが大事だと言えます。
具体的に言えば、動画はオープニングの部分が大事だということ。 ある程度お金と時間をかけて、玄人っぽく作っておくべきではないかと思います。そしてサムネイル、ここはYouTubeだと制御が難しいのですが、できるだけいいものを選びたいですね。
7.こんなコンテンツはリンクを得られない(受け入れられない)
受け入れられない(リンクを得られない)コンテンツが3種類挙げられています。
- 販促コンテンツ
- 会社の自慢話(賞をもらいました、パーティ開きました、海外に社員で行きました…)
- 売り込みのコンテンツ
どれも、受け手側の立場に立っていないコンテンツです。 動画は特に、テキストより商売色を出さないくらいが丁度いいと感覚的に思います。 視覚的情報があるので3倍増くらいで悪い気持ちも増幅しがちです(感覚値)
8.オススメの撮影セッティング
これは文字だけのスライドだけなので、文字だけ抜粋します。37ページからです、元のスライドでは。
- 1080pでフレームレートは25か30
- 撮影は良い環境で
- 音声は映像より大事!音声の品質を落とさないこと
また、YouTubeのおすすめセッティングはこれです。
- コーデックはh264
- サイズは1920×1080
- キーフレームは自動
- ピクセルは正方形ピクセル
- BitRateは特に制限なし
- 音声はACCかMP3で256kbpsは
概ね同意ですが、結構ハイクオリティ志向です。編集マシンに高スペックが必要です。私の経験としては、
- コーデックはh264
- サイズは1280×720
- キーフレームは自動
- ピクセルは正方形ピクセル
- BitRateは1500Kbps〜2400kbps
- 音声はACCかMP3で128kbps
くらいでいいのではないかと思います。これで動画サイズは60%OFFくらいにできると思います。 あまり大きなサイズは必要ない印象です。
YouTubeだと「720p HD」という表示が出る程度でいいのではと。
9.動画をサイト埋め込みする際に気を付けたいこと
- HTML5でのプレイヤーを使う
- iFrame形式は恐らくGoogleのクローラが負えないから避ける
- ソーシャルボタンを設置する
- 自動的にHDのきれいな動画が再生されるようにする
- 自動再生を設定しない、これは誰しも嫌がる
- YouTubeの埋め込みパラメータ(スライドからは詳細不明だが、理解しようということ?) → 埋め込みパラメータ一覧
- Googleに適切なキーワードでインデックスされるように、動画の周りに文章を入れよう。
- VideoSitemapは必須(Googleの動画検索できちんと表示させるためにも)
YouTubeでは、今はHTML5で動画を埋め込んでくれるので、Flashを見られないiPhoneでも動画を閲覧可能ですね。 ただ、埋め込み自体はiFrameです。とは言えYouTubeはGoogleがやっているので、そこは問題ないと思っています。 なので、基本的にはYouTubeにアップロードして、それをサイトに埋め込めばいいと思います。
問題は、ソーシャルボタンで、これはYouTubeに遷移するか、再生が終わって右上にさりげなくでる「共有する」ボタンを押さないといけません。これはできれば別途設置すべきだと考えます。
まとめ
ここまで9つのTIPSをご紹介してきました。 元のスライドには、ちょっとグレーハットな人気コンテンツからの集客方法も書いてあったりするのですが、あえて外してあります。それ以外にも有益な情報がありますので、是非ご覧下さい。
▼Incorporating Video into your Link Building Strategy : https://www.slideshare.net/philnottingham/ incorporating-video-into-your-link-building-strategy
また、動画マーケティングに関しては、約3万文字をかけてガイドブックを書きました。 今回のコンテンツを読んで、方向性があっていることを確認できて少しほっとしています。よろしければご覧下さい。
▼YouTubeと動画はこう使う!動画マーケティングスタートアップ連載
https://roundup-inc.co.jp/video-marketing-101/p01/
この章のコンテンツ
動画コンテンツはどう使うのか?これからの主流となるビデオマーケ。