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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回はAIの話をもう一度取り上げます。業務に取り入れたい気持ちはあるのに、何から始めればいいのか分からない方や、そもそも重要性がまだ実感できず第一歩が踏み出せない方に向けて、私が日々のやり取りの中で感じていることを整理します。
AIを使ったほうが良い、というのは私自身がいろいろなツールを触っていても実感がありますし、世の中でも業務の効率化や無駄の削減、新しい事業づくりなど、幅広い目的で使われています。それでも導入できるところと、なかなか進まないところが出てくるのはなぜなのか。今回は、業務の側に踏み込んで考えてみます。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
結論から言うと、AIが使えない理由は「AIツールが弱いから」だけではない、という話です。むしろ、業務プロセスの整理と、現場にある課題の言語化ができていないことで、AIの活用イメージが固まらないケースをよく見かけます。
この記事では、次の3点を持ち帰れるようにまとめます。
- AIが便利に感じられないとき、まず疑うべき視点
- 業務プロセスと課題認識が整理できると、導入が進みやすくなる理由
- AIありきにしない考え方と、最初の一歩の作り方
AIが便利じゃないと感じる理由は「ツールの力不足」ではない可能性
慣れやスキル以前に、「何に使うか」が見えていない
以前の回でも、AIが使いこなせない背景として「慣れていない」「問いを立てるのが苦手」といった話をしたことがあります。もちろんそれも一因になり得ますが、今回はもう少し業務の側に寄せます。
AIをまだうまく取り込めていない企業を見ていると、一定の確率で共通する状況があります。それは、そもそも自分たちの業務プロセスが整理されておらず、どこにどんな課題があるのかが見えにくい、という状態です。
課題が言語化されないままだと、活用の想像が固まりにくい
業務プロセスそのものは、業種ごとに違いはあります。ただ、業務を分解して「どこで困っているのか」を捉える枠組みは、共通して使えることが多いです。
管理する立場の方であれば、全体像がどうなっていて、どの部分で無理・無駄・ミスが起きやすいのかを把握しているかどうかで、次に何を検討するかが変わってきます。ここが曖昧なままだと、AIの話以前に、導入の方向性が定まりにくくなります。
業務プロセスが整理されていると、AIの導入はとてもスムーズになる
「課題が先にある」と、ツール探しがまっすぐになる
業務プロセスを分解できていて、課題が言葉になっている会社は、AI導入の検討が進みやすいです。なぜなら、「この課題を助けてくれる仕組みはあるか」という探し方ができるからです。
たとえば社内で質問が多く、ナレッジデータベースを作ったものの、うまく機能していない場合は「ナレッジデータベース × AI」で調べれば、候補のツールは出てきます。そこから、自分たちの要件に合うか、同じような事例があるか、といった検討に進めます。
属人的な状態が見えていると、打ち手も見えやすい
もう一つ例を出すと、需要予測や生産計画のような話です。毎月の見立てが特定の人の経験に依存している状態は、当たっている間は回りますが、担当者の不在や離脱が起きたときにリスクが大きくなります。精度が落ちてきているなら、なおさら気になってきます。
このように「ここが属人的で危ない」「ここでムダが出ている」と認識できていると、在庫・生産・人事・社内の生産性など、どの観点でツールを探すかが定まります。結果として、AIを含む選択肢の中から試す対象が見えやすくなります。
試す段階に進めると、要領が分かってくる
課題が整理されていれば、優先度の高いところから順に試す、という動きが取りやすくなります。多くのツールには相談窓口や無料トライアルがありますし、検討を進める場は用意されています。
ここで一つでも業務に合うものが入ると、「業務にツールを組み込む感覚」が分かってきます。そうするとAIに限らず、他の部分もツール化できないか、という見直しがしやすくなります。
課題認識が曖昧なまま、他社の事例を見ても得るものは少ない
成功事例は“見栄えのする部分”が中心になりやすい
世の中には成功事例がたくさん出ていますが、事例はどうしても、分かりやすい成果や見栄えの良い点が前面に出やすいものです。導入前後の状況や、なぜそれを入れたのか、といった背景が揃っていないと、読み手の側は自社に置き換えにくくなります。
そのため、成功事例を眺めても「自社には合わない気がする」「何から始めればいいかは結局分からない」となりやすい。これは、事例が悪いというより、前提となる自社の課題の地図がまだ描けていないことが原因になりがちです。
製造業の事例が多いのは、土台があるから
もう一つ、よく見かける特徴として、製造業などの事例が目立ちやすい点があります。これは、もともとデータを持っていて、生産プロセスや現場の流れが見える形になっているケースが多いからです。課題の見つけ方や、改善の会議体がすでに回っている場合もあります。
ただ、だからといって「自分たちの業種は関係ない」と捉える必要はありません。他社の業種よりも、自社が抱えている問題意識に目を向けて、解決策を探していくほうが、結局は近道になります。
AIありきにしない(結果的にAIでなくても良い)と考えることが大事
解決できるなら、AIである必要はありません
今回の話で私が強調したいのは、AIを名乗っているツールにこだわらなくて良い、という点です。コストや信頼性を踏まえ、問題が解決できるなら、AIではないツールで片づくこともありますし、それで十分です。
AIが流行しているからAIを入れる、という順番にしてしまうと、導入が目的化しやすくなります。そうではなく、業務のどこを楽にしたいのか、どんなミスやムダを減らしたいのかを先に置いておくと、検討が迷いにくくなります。
「何が問題か」から始めると、相談の質も上がります
私が実際に相談を受けるときも、まずは「いま何が問題ですか」というところから入ります。課題がいくつか出てくれば、その場で一緒に候補を見ながら「この機能は状況に合っていますか」「ここも同じ悩みですか」と整理していけます。
このとき、特定のベンダーに寄せず、中立に比較していくほうが進めやすい場面もあります。要件が見えてくると、ベンダーとの打ち合わせや試用の場でも、判断材料が揃ってきます。
まとめ:まず業務の分解と課題の言語化から始める
AIの組み込み方が想像できない、どこに使えばいいか分からない、という方は、AIの話に入る前に「業務プロセスが分解できているか」「現場の課題が言葉になっているか」を自分に問いかけてみてください。
もしそこで立ち止まってしまうなら、まずは業務の流れを整理し、面倒なところ、ミスが起きやすいところ、ムダが出ているところを拾い上げることから始めるのが良いと思います。そのうえで、見つかったボトルネックに対してツールを探し、結果としてAIが一番合うならAIを使う。そういう順番で十分です。
AIが入っているかどうかよりも、問題が解決できるかどうかが大切です。多くのツールにAIが大なり小なり入っている時代ではありますが、焦らずに、まずは自分たちの業務の見直しから進めていきましょう。
関連リンク
- DX推進指標 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
- 産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX) | 経済産業省
- デジタルガバナンス・コード | 経済産業省
- ChatGPT が登場 | OpenAI
よくある質問(FAQ)
- AIを入れたいのに、どこから始めればいいか分かりません。
-
まずは業務プロセスを分解して、どこで面倒が起きているのか、どこでミスやムダが出ているのかを言葉にするところから始めるのが良いと思います。課題が言語化されると、必要なツールの探し方が明確になります。
- AIが便利に感じられないのは、ツールの性能が足りないからでしょうか?
-
ツールの問題だけではない可能性があります。業務の全体像や課題の位置づけが整理されていないと、何に使うべきかが決まらず、便利さを実感しにくくなります。
- 業務プロセスの整理とは、具体的に何をすることですか?
-
業務の流れを工程ごとに分けて、担当・入力・判断・出力がどこで発生しているかを見える形にすることです。そのうえで、面倒な作業、ミスが起きやすい作業、属人的になっている作業を拾い上げます。
- 成功事例を読んでも、自社には当てはまらない気がします。
-
事例は成果や見栄えの良い部分が中心になりやすく、導入の背景や前提が省かれることがあります。自社の課題が整理されていない状態だと、何を参考にすべきかが見えにくくなるので、先に自社の問題意識を固めるほうが効果的です。
- AIでなくても良いなら、どう判断すればいいでしょうか?
-
目的は「AIを入れること」ではなく、業務上の問題を解決することです。コストや信頼性、運用のしやすさを踏まえて、解決できるならAIでなくても問題ありません。課題に合う道具を選ぶ、という順番で考えるのが良いと思います。
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