第300回:地域の中小企業にSNSは必須?商圏・運用の手間・使う目的から考える

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

ホームページをリニューアルする際に、「この機会にSNSもちゃんと活用したい」とご相談いただくことがあります。周りの会社が使っていたり、成功した話を聞いたりすると、気になりますよね。

ただ、中小企業、特に営業エリアが決まっている会社の方には、SNSに期待しすぎないでいただきたいとお伝えしています。始めること自体より、そこで何を得たいのか、自社の商売につながる使い方なのかを先に考えてほしいんです。

フォロワーの増加と、商圏のお客様の増加を分けて見る

SNSで発信すると、自分たちの営業エリアの外にも情報が届きます。見てもらうためには、地域の同業者だけでなく、全国で発信している会社や人たちとも、関心を引くための競争をすることになります。

ところが、営業エリアの外にいる人には、商品やサービスを提供できない商売もありますよね。フォロワーや「いいね」が増えたとして、その人たちは自社のお客様になり得るのか。そこを一緒に考えなければいけません。

SNS上で反応が増えることと、自分たちの営業エリアで商売につながることは、同じではありません。近隣のお客様に来ていただく商売なら、広く見られたという数字だけでは判断できないんです。

全国に商品を届けるメーカーや通販、Web上で完結するサービスなら、話は違ってきます。広く届くことが、そのままお客様との接点になりやすい。そういう会社の成功を、自社にもそのまま当てはめない方がいいと思います。

投稿を続ける労力に見合う目的があるかを考える

「投稿する素材は日々の仕事から取ればいいんですよ」と気軽に言われることがありますが、それも大変じゃないですか。普段やっていなかったことを、新しく仕事に加えるわけです。

素材を集めて、投稿を作り、続けていく。そのための時間も人件費もかかります。バズらせ方や数字の見方を勉強する前に、それだけの力を使う意味があるのかを考えていただきたいですね。

運用方法を覚える前に、SNSで自社の事業にどんな変化を起こしたいのかを確かめてください。媒体の中で存在感を出すことだけが目的になると、頑張ったけれど結局何が変わったのか分からない、ということになってしまいます。

私自身、SNSをかなり頑張った時期があります。でも、その労力に対して大きな反響があったかというと、そうではありませんでした。私のやり方の問題もあるとは思いますが、音声配信やメールマガジン、ホームページを見ていただく経路の方が、ご相談につながってきたという経験があります。

会社の日々の姿を見せる場所として使う

ではSNSには意味がないのかというと、そんなことはありません。私は、入口を逆に考えていただくといいと思っています。

SNSの中で有名になって、そこから人を集めることだけを考えるのではなく、ホームページを見に来た人に、会社の日々の姿も見てもらう。そのためのコンテンツとして使うんです。

普段どんな仕事をしているのか、どんなお客様が来ているのか、どんな雰囲気で働いているのか。そうした写真やちょっとした動画から伝わるものがあります。会社紹介の文章だけでは見えない、「今、ちゃんと活動している会社なんだな」という感触ですね。

まだ知らない人へ広く売り込むだけでなく、会社を調べている人へ日々の様子を伝える役割もあります。私がお付き合いしている会社でも、写真の投稿をお客様が見ているケースがあります。

以前ならホームページに業務日誌を書いていたような内容を、SNSで見てもらう。ホームページからそうした投稿に触れてもらえる流れを作るのであれば、使う意味を考えやすいと思います。

全国へ発信する理由があるなら、その目的で使う

地域の商売でも、全国へ発信する理由がある会社はあるでしょう。ほかの会社とつながって団体を作りたい、同じ思いを持つ人を探したい、取材してもらうきっかけを作りたい。そうした目標があるなら、地域外に届くことにも意味があります。

お客様への情報配信に使うという考え方もありますね。どの媒体を使っているかはお客様によって違いますから、その方たちが受け取りやすい場所で届ける。広く発信することとは、また違う使い方です。

自社の目的に合う使い方があるかどうかで判断し、SNSを使うこと自体を必須にしないでください。面白い情報を流せば何か起こるだろう、というだけでは、力のかけどころを決めにくくなります。

動画も同じで、動画を見てもらうことに価値があるのか、その配信サービスの中で人を集めることを目指すのかは分けて考えられます。うちのお客様には動画で大きな反響を得た方もいますが、扱う分野の需要や悩みを、以前から調べ続けていた方です。その結果だけを見て、どの会社も同じようにできるとは考えない方がいいと思います。

ホームページなど、自分たちで情報を整えられる場所も大事にしながら、必要な役割をSNSに持たせる。限られた時間をどこへ使うかという視点で、取り組み方を決めていただければと思います。

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