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今回は、2025年版の中小企業白書・小規模企業白書を改めて見直して、「人材をどうするか」をウェブ活用・デジタル活用の観点で整理します。
結論
白書の数字と、現場での相談の実感を重ねると、次の結論になります。
- 採用で解決するのは不確実なので、最初から期待値を上げすぎないほうがいい
- 人材育成は効果が出るケースがある一方、現時点で回せていない会社が無理に始めるとコスパが合いにくい
- 現実解としては、信頼できる外部パートナーと柔軟に二人三脚で進める方向が取りやすい
参照元:2025年版「中小企業白書」全文 / 2025年版「小規模企業白書」全文
人材について
私自身、現場に出ていて「人材」の相談を本当によく受けます。
- そもそも人材が取れない。
- 取れたとしても、どう社内で育成していけばいいのかわからない。
- もともと社内にないスキルの人を採用したときに、育てる仕組みがない。
- かといって、自走できる人材は市場に多くない。
- そして、AI(人工知能)で全部がだいたいできるかというと、まだそういう段階ではない。
結果として、やりたいことがあっても進められない。これは体感としてかなり多いですし、白書を見て「同じ悩みが広く起きている」と改めて感じました。
整理したい2つの選択肢
論点は大きく2つです。
内製(人材育成)をするべきか、あるいは社外人材の活用(外部パートナー)に頼るべきか。どちらが現実的かを、白書の数字も手がかりに見ていきます。
内製(人材育成)に関する白書の見え方
人材育成を「強化している」会社は半分以上
白書のアンケート調査では、5年前と比べて全体の半分以上の会社が人材育成を強化していると回答しています。
ここは見方が難しいところで、人材育成は本来「常にやるべき」と考えるなら、まだ半分以上は強化できていないとも言えます。
従業員規模が小さいほど、人材育成ができていない
また、従業員の人数が少ない会社ほど、人材育成を行っていない(あるいは行えていない)という傾向も出ています。
小さい会社ほど、育成そのものが難しい。あるいは、育成に乗せる前段の採用がそもそも難しい。ここは、簡単に覆せない前提として置いたほうがいいと思います。
「人材育成に取り組む会社」の数字は良い。ただし、私はそのまま鵜呑みにしない
白書では、人材育成に取り組んでいる会社のほうが、売上高や付加価値率の変化率が高い、というデータが示されています。
売上高の変化率で言うと、人材育成を増やした企業は中央値として約10.7%増、人材育成を行わなかった企業は約2.3%増、という数字。
参照元:2025年版「中小企業白書」全文
ただ、私の肌感覚としては「人材育成に投資できる余裕がある会社が、もともと伸びやすい」という母集団の偏り(バイアス)も混ざっていると思っています。
人材育成って、言うのは簡単ですが、そんなにうまくいかないことも多いですよね。現時点で人材育成が回せていない状態から無理に始めると、コストをかけた割に付加価値が出ない、ということにもなりやすい印象があります。
採用は「取れたらめっけもの」くらいで組み立てたほうがいい
中途採用市場も取り合いですし、いわゆるカンディデート(候補者)が十分にいる状況ではない、という話も聞きます。
一般の従業員については、採用は不確実性が高い前提で体制を組み、運良く取れたらめっけもの、くらいで考えたほうがいい。
もちろん、経営者の後継者の話は別軸で、ちゃんと考えなければいけません。ただ、ウェブ活用やデジタル活用の担い手を「採用だけで増やす」ことに過度な期待を置くと、計画が崩れやすいと思います。
社外人材活用の現状
活用は「まだ2割くらい」。空気感が追いついていない
副業・兼業なども含めた社外人材の活用は、データ上は全体の2割ぐらいで、まだ「気軽に使える空気感」になり切っていない印象があります。
これは、プラットフォームが全くないというよりも、使う側に「社内説得の材料」や「こう使えばうまくいく」というイメージが足りていない、という側面が大きいのだろうなと見ています。
数字で見ると「活用したことがない」が多数派
調査(24,588件)では、活用状況が次のように示されています。
- 現在活用している:10.3%
- 現在は活用していないが、活用したことがある:6.8%
- 活用したことがない:82.9%
「どう使えばいいか分からない」というハードルが、ここに表れていると私は感じます。
一方で、副業を「やりたい人」は増えている
白書でも、副業・兼業人材の活用はまだ道半ば、という趣旨があります。
ただ、副業をやっている方・副業をやりたい方(追加就業希望者数)は、10年間でかなり増加している、という状況もあるようです。
IT(情報技術)業界周辺だと、一人で会社を立てて複数社を支援する方も普通にいます。そういう働き方自体が無理のあるものではない以上、あとは「受け入れ体制」の問題になってくるのだと思います。
参照元:副業・兼業|厚生労働省
DXの話になると、ボトルネックがより分かりやすい
このポッドキャストではウェブマーケティングやデジタル活用の話を中心にしていますが、その観点で白書を見ると、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で詰まるポイントがはっきりしています。
「費用負担が大きい」ことと、「推進する人材が足りない」こと。大きくこの2つがボトルネックになっています。
現場感覚としても、これはその通りだと思います。外部に見積もりを出すと、プロジェクト単位になりやすく、体感としては数百万円、400万円くらいが普通に出てくるケースもあります。そこまでの投資を、回収の目処がないまま踏み出すのは難しいですよね。
参照元:産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)|経済産業省
一方で、社内で柔軟に進めようとすると、今度は「そもそも人材が取れない」という問題にぶつかる。ここが、デジタル領域での人材不足の苦しさだと思います。
じゃあどうするか
ここまでを踏まえると、私は「うまく外を使える会社になる」ことを目指すのが、2025年以降の時代感として現実的だと思っています。
大きな会社(大手ベンダーなど)は、やることがプロジェクト単位になりやすいので、どうしても高くなりやすい。相手側も人材が潤沢なわけではないので、経営としては利益率の高いクライアントと長く付き合う動きになるのは自然です。
だから、たとえば中堅企業や、ある程度の予算を確保できていて「スピードを上げたい」「追加の施策にも即応してほしい」という会社なら、大きな会社と組むのが合うケースも多いと思います。
一方で、従業員が2桁規模(10〜99人程度)の会社だと、もっと小回りが効いて、現場の知識がある人がちゃんと来るようなパートナーと組むほうが現実的になりやすい。私はそう感じています。
外部パートナー選びで見ておきたいこと
フリーランスでも全然いいと思います。そのうえで、私はインボイス(適格請求書等保存方式)対応の有無も、取引のしやすさを見極める一材料になると思っています。
参照元:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁
選ぶときに私が重視したいのは、次のあたりです。
- 過去の実績(何を、どの範囲で支援してきたか)
- 実際に話してみたときの感触(コミュニケーションが成立するか)
- 現場で運用に落とす知識があるか(ツールに詳しいだけで終わらないか)
ツールの使い方に詳しいだけで、現場で浸透させる・社内を説得する材料を組み立てる、といったところは自分では動けない、というケースも残念ながらあります。そこは、しっかり見ておいたほうがいいと思います。
育成より外注が「安い」と感じやすい背景
昔だったら、育成して会社の資産として長く勤めてもらい、将来の投資にする、という考え方も成立しやすかったと思います。
でも今は、終身雇用を前提にしない人も増えましたし、AIが話題になるように、必要な知識ややり方がどんどん変化します。何をどう学ばせればいいのか、レール自体が見えにくい。
そういう変化に慣れている会社なら研修の設計もできますが、慣れていない会社だと「どうしていいか分からない」になりやすい。だったら、フォローアップできる外部と組むほうが進めやすい、という判断になります。
お金の話で言えば、給料だけでなく、保険など周辺費用の負担もあります。経営していると、この負担が大きいのは本当によく分かります。
外部パートナーなら、必要な範囲を時間単価で買える。合わなければ切り替えもしやすい。従業員とは当然同じに扱えませんが、外部はその前提で仕事をしています。
「もう不要です」と言われるのは、言い方を整えるなら「そこまで自走できる状態になった」ということでもあるので、私は基本的には嬉しいことだと思っています。結果を残せないまま終了になるのは心苦しいですが、卒業できる状態なら前向きです。
今回のまとめ
2025年版の中小企業白書・小規模企業白書を踏まえ、デジタル領域の人材不足を「内製」と「外部活用」の観点で整理しました。
| 選択肢 | 白書・現場の見え方 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 内製(人材育成) | 取り組む企業のほうが売上高・付加価値率の変化率が高い傾向はある | そもそも採用・育成の余裕がないと回しにくい。無理に始めるとコスパが合わないこともある |
| 社外人材活用(外部パートナー) | 活用はまだ多数派ではないが、やりたい人が増えている流れもある | 費用不安、指示の出し方・付き合い方のイメージ不足で踏み出しづらい |
白書には、原価や物価高、相変わらず進んでいない後継者不足など、他にも論点があります。デジタルに関わる部分も、また別の回で扱っていこうと思います。
関連リンク
- 2025年版「中小企業白書」全文
- 2025年版「小規模企業白書」全文
- 産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)|経済産業省
- 副業・兼業|厚生労働省
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁
FAQ
- 人材不足の状況で、内製(人材育成)と外部パートナー活用はどちらが現実的ですか?
- 白書でも人材不足は大きな課題として見えています。人材育成は効果が出る傾向もある一方で、現時点で回せていない会社が無理に始めるとコスパが合いにくい面があります。現実解としては、信頼できる外部パートナーと柔軟に二人三脚で進める形が取りやすい、というのが私の結論です。
- 人材育成に取り組む企業のほうが売上が伸びる、という数字はどう見ればいいですか?
- 白書では、人材育成を増やした企業のほうが売上高の変化率が高いデータが示されています。ただ私は、育成に投資できる余裕がある企業がそもそも伸びやすい、という母集団の偏りも混ざっている可能性があると見ています。数字は大事ですが、そのまま当てはめると合わないケースもあります。
- 副業・兼業・フリーランスなどの社外人材活用が進まない理由は何ですか?
- 費用負担への不安に加えて、「どう使えばいいか」「どう指示を出せばいいか」のイメージが湧かないことが大きいと思います。活用したことがない企業が多数派という数字にも、その難しさが表れています。
- DXが進まないボトルネックは何ですか?
- 白書の整理でも、DX推進の主要なボトルネックとして「費用負担が大きいこと」と「推進人材が足りないこと」が大きく出ています。外部に頼むとプロジェクト単位になりやすく、金額が跳ねやすい一方、社内で進めようとすると人材不足にぶつかりやすい、という構図です。
- 外部パートナーを選ぶとき、どこを見ればいいですか?
- 過去の実績、話してみたときの感触、現場で運用に落とす知識があるかを重視したほうがいいと思います。ツールに詳しいだけで終わらず、社内への浸透や説得材料づくりまで一緒に考えられる相手だと進めやすいです。
詳細はPodcastをお聞き下さい。
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