メールは、一時はスパムメールの嵐によって「相手に届きづらい」ものになってしまっていました。
しかし、随分状況は変わっています。活用すべきチャネルとして十分成立します。今回はその上で「メールの活用を」改善するための5つの視点についてです。
今回は、その前提としての「なぜ成立するようになったのか」「脱却すべき観念」などについてまず書いていきます。まずはこの内容をおさえて頂ければ幸いです。
まず、「メールマガジンはスパムと思われるからやめよう」という観念からは脱却すべき
メールマガジン自体は、まだまだ見込み客育成などの手段としてメインストリームです。
自分自身がスパムメールで苦しんだ方は特に「メールマガジンをマーケティングにつかうなんてとんでもない、スパムと思われて意味もないしマイナスだ」と思っている方が多いかもしれませんが、そんなことはありません。
そして、後で「E-mailから集客するためにまず押さえたい”5つ”のコツ」も押さえていただくと効率よいかと思います。
改善する前に押さえておきたい「5つの視点」
世の中にはメールマーケティングに関して、改善ノウハウがたくさんありますよね。
配信時間は何時が良くて、文章の作り方はPREP法…一行の文字数は…パーソナリゼーション…
それらのTIPSが効果的に動くのは事実です。
ただ、それ以外にも考えるべきことがあります。
マーケティングは「人間対人間のコミュニケーション」
です。
その視点で以下の5ポイントを押さえることをお勧めします。
1「裏切」
メールマガジンの登録ボックスには、「このメールマガジンに登録すると、あなたのメールアドレスを頂く代わりに、こんなことをお送りできますよ」というものを記載してみて下さい。
もし、なにも書かずただメールアドレスのBOXがあるだけだったら、あなたは登録するでしょうか。また、ただ登録してね!と書くだけで登録するでしょうか。すでに媒体としてオーソリティがあるなどの場合を除き厳しいのです。きちんと、書くべきことは書かなければいけませんよね。
それではいったい何を書くべきでしょうか?
それは相手が知りたいことです。例えば
- まず、メルマガに登録することによるメリットなどを書く
- 加えて、こういう頻度でこんな内容がいきますよという「お約束」を書く
- それをきちんと守る(変える時はちゃんとメールで告知する)
- 上記を破った事を行うと「裏切り」と思われて、一気にマイナスの感情が産まれる。
などです。では、具体的にはどういうことでしょうか。
購読することのメリットを書く、ベネフィットを書く
登録を考えている人がまず何よりも知りたいのは「どんないいことがあるの?」ですよね。言い換えると「メリット」や「ベネフィット」です。また、それに付随する情報です。
例えばうちの場合以下の様なBOXがサイドバーにあります。(当時)
ここでは、基本週間配信で、土曜日にはまとめ記事が配信されて、3,000人以上の読者、そしてサンプルはバックナンバーのページをリンクしているので、こちらを見て気に入ったら登録して下さいね、と書いています。
そして、バックナンバーのページをクリックすると「【メルマガ】ウェブ解析メールマガジン登録とバックナンバー」にジャンプします。(※バックナンバーをご覧いただき、よろしければ、ご登録ください)
登録を検討している方は、このバックナンバーの内容を見て、これが週に一回くらい送られてくるなら、登録してもいいかな、と思って、登録してくれるわけですよね。
この記載内容を、みな覚えている。そして齟齬があると「マイナスの感情」になる。
ここに記載されている内容は、とにかく守らなければなりません。
なぜなら、
最悪なのは「登録した時に得られる(と記載されていた、期待していた)内容とはぜんぜん違う内容が、書いてある頻度以上に大量に来る」と言う状況。
この状況が最も嫌がられるからです。
一昔前だと、何かのeBookをダウンロードしたら全然知らんところからメールが来た、なんていうことがありました。嫌ですよね。
今そこまでひどい状況は「ほとんど」ありませんが、どちらにしても「相手の期待や想像を下回って裏切ってはダメ」です。
意図しないところで「マイナスの感情が産まれる」可能性をできるだけ減らす
しかし、こちらが意図せず「裏切られた」と感じる方はいます。なので、メールマガジンは、
「どんな内容がどんな頻度で来るのか」を明確に登録する際に記載することをオススメします。
裏切られた!と思われてネガティブな感情を持たれるよりも、登録してもらわない方が、お互い幸せですよね。
2.不適(不適切)
これは、1番の裏切りに近いです。メールとして送る内容がその趣旨にそっているかどうかです。
メールマガジンは、運用が慣れてくれば慣れてくるほど、内容が散漫になりがちです。企業ブログと似ています。
だんだん「相手が知りたいこと」ではなく「自分が伝えたいこと」「今日メールマガジンを出すために、今手持ちのネタで書けること」などになってしまいます。
その結果
- キャンペーン情報だらけ、商品やサービス紹介だらけ
- 自社の自慢
- 受信者にとってはどうでもいい社内の情報、身内のネタ
- ホームページに掲載しているネタの丸々コピー
などを配信してしまうことがあります。
しかし、ほんとにこれは陥りがちです。
とは言え、こんな内容では、セールスには繋がりません。撲滅しないといけません。
これは「仕組み化」して対処することをオススメします。
とにかく「第三者的に見る」ステップを作り、毎回のメールマガジンをきちんと「相手の目線で」チェックする仕組みを作る。これにつきます。
いっそ、社外の人間にチェックさせたほうがいいかもしれません。気が付かない「わかりづらいポイント」「テクニカルターム」などの指摘も欲しいところです。
3.窓口
続いて3つ目は「窓口」です。特に苦情窓口です。苦情というと厳しい印象がありますが「ご意見ご感想」と言い換えてもいいかもしれません。
一般的な苦情もそうですが、苦情内容をうけていかに改善していくかが大きなポイント。
そのために「窓口がない」のは絶対に避けるべきです。ない場合はまず設置を考えてみてはいかがでしょうか。設置と言っても、システムは不要です。
- メールの解除完了画面に、アンケートフォームをつける
- メールの末尾に、目立つように「ご意見ご感想はこのメールの返信でぜひお待ちしております」と書く。実際に返信が来たら、きちんと対応する。
- 専用のフォームを1つ設置する。
これらで十分です。
そして大事なのは「苦情窓口を実際に設置しているかしていないか」に加えて「買い手の声を受け入れるつもりがあるかないか」です。
今のご時世、買い手の声を取り入れない企業に先はない
また、買い手の声を受けとりやすい「メールマガジン」という媒体は非常に特殊なのです。
ホームページを見てわかりづらかったからといって、わざわざそれを報告してくれる人はまずいません。
サイトのアンケートサービスなどありますが、まず建設的な意見は集まりません(やり方が悪かったのかもしれませんが…)
実店舗でも、満足行かずに購買に至らなかった人がその理由を教えてくれることなんて、普通はありませんよね。
でも、メルマガは、比較的レスポンスが得やすい媒体です。
なら、活用しない手は、ないですよね。
私も頂いたご意見ご感想は、どうしても返信は遅れてしまいますがすべて返信させて頂いています。それでサービス変えたりもしています。
4.計測
これはシンプルな話です。できるだけ定量的に情報を得ましょうということです。
そういう意味、HTMLメールをもうデフォルトにすべきではと思います。
ホームページについては「モバイルファースト」という言葉が広まってきていますが、なぜかメールマーケティングではその声は聞こえません。
スマートフォンのMMSなら、HTMLメールは見られます。HTMLメールなら、開封率や開封時間、どんなメールソフトあるいはサービスを使っているのか、などなどアクセス解析の「ユーザー」でわかるような情報を得ることができるようになります。これはマーケティング部門にとっては非常に大きな資産になります。
5.透明
最後は透明性です。
メールアドレスは、以前ほどではありませんがやはりデリケートです。
どのようなポリシーで扱っているか、先ほどのようなご意見ご感想はどのように処理されていくか、配信停止した場合の個人情報はどう扱われているのか、どれくらいの読者がいて、どれくらい解除されているのか…メールアドレスを登録する際に、相手が不安に思っていることは、きちんと情報開示することをおすすめします。
そんなことまで知りたい人は、ほとんどいないのではないか、と思われるかもしれません。
しかし、一度「メールアドレスを登録する側」ありはもう一歩進んで「名前や電話番号まで登録する側」になって考えてみてはいかがでしょうか。
なんとなく「なんとかなるだろう」と思いつつも不安なことが、でてこないでしょうか。
また、もし登録先が「海外サイト」だったらどうでしょうか。もっと不安なことが出てこないでしょうか。
表立って、大きな改善点とならないかもしれませんが、買い手側は確実に求めていることがあります、知りたい情報があります。
そういったものを、先回りして提供していくと、「親切な企業だ・誠実な企業だ」と思ってもらえるのです。
…
インターネットとはいえ、感覚としては「人と人との付き合い」です。肌感覚のようなものは大事にすべきかと思います。
終わりに
以上で、まずもっておきたい「改善の5つの視点」でした。
「なるほど」と思って頂けるものもあれば「ふーん」も合ったかと思います。最終的にはみなさんのご商売に照らし合わせて考えるべきです。
とは言え、いわゆるノウハウ・テクニック論もさながら、こういったそもそも論も是非考えて頂ければと思います。
この内容がご参考になれば幸いです。
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから