WEBに限らず、また、マーケティングに限らず「ペルソナ」を設定することは非常に大切です。
お客さんという漠然とした存在ではなく、具体的な姿や特徴を与えてあげると、さまざまないいことが有ります。
もしペルソナを考えていないのなら、すぐに取り組む事をお勧めします。
しかし、設定しているからといって安心ではありません。
例えばペルソナの定義が1年間変わっていない、なんていうことがあれば、もうそのペルソナは賞味期限が切れているかもしれません。
そこで今回は、ペルソナについての基本的な考え方と運用方法について、書いていきたいと思います。
そもそも「ペルソナ」とは?
そもそもペルソナとは、ですが、色々な所で説明されているので完結にまとめます。
ペルソナとは
「自分たちが狙っているターゲット、あるいは狙って行きたいターゲットを、まるで生きている人間のように性格付けをしたもの」
です。細かい定義の差はあるかもしれませんが、ほぼほぼこのような共通認識ではと思います。
どんな情報を設定するのか
具体的にどこまで属性を設定するかは様々ですが、よくあるのは
- 年齢層、性別
- 価値観、物の考え方
- 配偶者の有無、家族構成
- 人間関係
- 生活パターン(仕事含む)
- 収入、貯蓄性向
- 趣味や興味の対象
場合によってはこれをPowerPointの1ページに小さい字でぎっしりと書く場合もあります。
ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社のものを見たことがありますが、凄まじかったです。写真までどこかから持ってきて貼り付けていました。
なぜ「ペルソナ」を設定するといいことがあるのか?
ここは大事な部分です。
なぜペルソナなんて作らなければいけないのか。それは大きく2つの理由があります。
- チーム全体で、お客さんのイメージの認識合わせをする。その結果として一貫性のあるマーケティング策を打つため
- 細かくお客さんのことを考えると、新たな気づきを得るため
です。
どちらも重要です。
1.チーム全体で認識合わせをする重要性
お客さんに対しての認識が個人個人でズレているとどうなるか。
例えば
- あるキャンペーンのランディングページは、中年〜壮年の写真を使うなど、注年以上向けのデザインになっていた
- 別に打っているメルマガは、記号やカタカナ文字が並ぶ、ポップな雰囲気のメルマガになっていた
- バナーの中の文字サイズがバラバラ、字体も微妙に統一されていない
といったことが起きます。この状態では、チグハグで見込み客フォローなども足並みが合わないケースも多いです。
これらは、ルールが決まっていないなどが原因かもしれませんが、根本的には「個々人がお客さんのことを考えていない、あるいは個々人が考えているお客さん像がズレている」ことが原因です。
全員が
- 同じお客さん像を想定し
- その人に対して最適な物を作ろう
という意識を持っていれば自然と、デザインテイストも文字のサイズもライティングも、キャンペーンの打ち出しもサイトの各パーツも、歩いていど方向性が揃ってくるものです。
…
このように、認識合わせを行うことはとても大事です。その時に役立つのがペルソナなんです。
なぜなら具体的にイメージしやすいからです。「私が作っているこのページはこのペルソナが読むんだな」と思って作るということができるようになるからです。
2.細かくお客さんのことを考える重要性
人間、気が付くとお客さんのことを「数字」だと思って見てしまいます。アクセス解析とにらめっこばかりしているとなおさらです。
そんな時に、ペルソナを設定すると、一つ一つの数字が人間に見えてくるようになります。
そうすると「もしかしたらこの人は、ここのボタンが見つけられなかったんじゃないか」「この人がこのページで去ったのは、買いどきじゃなかったからじゃないか」など、ただ数字としてみているだけでは出てこない「気付き」が生まれます。
もちろん、気付きは気付き、ただの思いつきの延長ですから、それを検証していく必要はあります。
ただ、気づけるか気づけ無いかは大きな違いですよね。
ペルソナは賞味期限を設定する方がいい
まず第一に「最初に決めたペルソナがばっちり正解」というケースはほぼ100%ない。と考えるべきです。
どれだけホワイトボードの前で唸っても、どれだけリアル調査をしても、ばっちりはありません。
ペルソナは仮説検証のサイクルとともに、変わっていくのが普通です。
それはそもそも設定の時点で間違っていたのかもしれません。しかし、そうではなくても「お客さんは変わっていくものです」新しいテクノロジーが出れば行動は変わります。PEST分析で見るような大局的な要因が変われば、動きも変わってきます。全ては相対的です。
一度決めたペルソナは死守するようなものではありません、よね。
普段の仮説検証のサイクルの中で「これって、どちらかというとペルソナがおかしいんじゃないか、ちょっとそれを次は検証してみよう」「想像しているより、みんなお金を遣うことに抵抗がないぞ、それから男性が多いな」なんていうことは、少なくありません。
ペルソナの更新を定期タスクに入れる
そういう意味で、ペルソナには「賞味期限」をつけたほうがいいのでは、と思っています。
うちの場合は、業種によりますが3ヶ月〜半年です。
その間に変更が加わっていなければ、そのタスクを行ってもらっています。もちろん、変えなければいけないわけではありません。「同じでした!」でもいいです。
定期的に行うことを、お勧めします。
大事なこと:ペルソナは妄想の存在ではない
時々、ペルソナを見せてもらう時に「おやっ」と思うことが有ります。びっしりと設定が書いてあるケースに多いです。
それは、ペルソナがただの「私が考えた理想のお客さん」になっているケース。何でこの特徴なんですか?と聞いても「多分そうだろうなと思ったから」といった返事しか返ってこないケースです。
もちろん、想像で書かざるをえない部分はあります(本当はそこは未検証フラグを付けて、検証のプロセスを回してもらいたいのですが)とはいえ、大部分が想像だとしたらどうでしょうか。
せっかくWEBからはデータが取れます、定量的なデータが取れます。そのデータを元に、納得の行く仮説を出して、その仮説で作るべきです。経路解析などをすると色んなモノが見えてきます。
GoogleAnalyticsのナビゲーションサマリーを見るだけでも、そこにデータはあるわけですので、データに出来るだけ基づいて、出していくことをお勧めします。
例外:スタートアップ時
1つ例外としてスタートアップ時があります。つまり「こういうお客さんを取りたい!」が第一の場合です。この場合は、ペルソナを固定して、ひたすらに攻めるので良いと思います。
ただ、そのお客さんってほんとうにいるの?は常に問いかけないと、いけませんね。荒野の中で叫び続けるハメになるかもしれません。
終わりに
ペルソナは、知っている人は多いものの、あまりうまく運用されていない印象があります。
しかし、きちんと使えば、非常に良いものです。マーケティングに一貫性をもたせるだけで、大きく改善することはよくあります。
一度、棚卸しも兼ねて、再考してみてはいかがでしょうか。きっと発見があると思います。
この記事が、ご参考になれば幸いです。
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから