第511回:事業毎にWebサイトやドメインは分けるべき?分けないべき?

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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、事業が複数あるときに「Webサイトやドメインを分けるべきか」をどう考えるかを、現場の判断軸として整理します。

このPodcast/書き起こしで得られること(要点)

事業ごとにサイトやドメインを分けるかどうかは、「これが正解」という型がある話ではありません。その代わりに、迷ったときに外さない判断軸として「お客さん視点」を中心に据え、別ドメイン・サブドメイン・サブディレクトリの選び分けを考えられるようになります。

結論:正解は一つではなく、まず「お客さんにとって使いやすいか」で決める

この相談は本当によく受けますが、現場で判断していくと、どれも正解になり得ます。だからこそ、最初からSEO(検索エンジン最適化)の話に寄せすぎない方がよいと考えています。

もちろんSEOも大切ですが、それより先に見るべきは「お客さんが迷わず使えるか」「お客さんにとってどう見えるか」です。その前提を固めた上で、その形に合わせてSEOや広告、解析(アクセス解析)を設計していく順番が、結果に結びつきやすいです。

最初に整理したい3つのパターン

このテーマは、だいたい次の3パターンの選択肢に集約されます。自社の状況に照らして「どの距離感で見せるか」を考える入り口として、まずここを押さえておくと整理しやすくなります。

  • 別ドメイン(例:A事業とB事業でドメイン自体を分ける)
  • サブドメイン(例:method.roundup-inc.co.jp のように前に付ける)
  • サブディレクトリ(例:roundup-inc.co.jp/method/ のようにスラッシュ配下に置く)

テクニックから入ると、後で「はしごを外される」ことがある

サイトを分ける話は、ドメインが絡むぶん、どうしてもSEOの話から入りがちです。営業でも「これはサブディレクトリがいい」「今はサブドメインの時代だ」と、断言する言い方をされることがあります。

ただ、検索の世界はルール変更が起きますし、評価を借りるようなやり方は無意味になっていきます。たとえば、仮想ディレクトリに全然違うコンテンツを置いて「下駄を履かせる」ような考え方は、軸にしてしまうと後で困ることがあります。

判断のイメージ:「店舗を分けるか」を想像してみる

サイトを分けるかどうかは、店舗を分けるくらいのイメージで考えると、迷いが減ります。別の店として離れた場所に作るのか、隣の敷地に置くのか、同じオフィスの中で並べるのか、といった距離感です。

距離感が変わると、2つの部門のページ同士を「行ったり来たりしやすいか」「目につくか目につかないか」が変わります。遠くに作れば偶然目に入ることは減りますし、同じオフィスの中にあれば、見せ方次第で自然に行き来させることができます。

一緒に見せると「良い影響」が出るなら、同じサイトに寄せる

たとえば、同じ掃除領域でも「法人向けのハウスクリーニング」と「個人向けのサービス」を両方やっている場合を考えてみます。個人向けのお客さんが法人向けの実績を目にすると、技術力や安心感、信頼感につながることがあります。

こうした良い影響が期待できるなら、同じサイトの中で“ちょろちょろ目に入る”くらいの距離感で置いておくのが合うことがあります。運用面でも、サブディレクトリで分けるとまとめて管理しやすい、という判断になることも多いです。

一緒に見せたくない、印象がマイナスになるなら、離す

逆に、見せ方によってはマイナスになる組み合わせもあります。たとえば、大屋さん向けに「退去後の費用をどう抑えるか」を扱う一方で、借りている人向けに「退去時のトラブルをどう避けるか」を扱っていると、利益相反に見えやすくなります。

また、全然関係のない事業が同じ場所に並ぶと、「専門性が薄い」「いろいろやっているうちの1つなのかな」という印象につながることもあります。そういうときは、別ドメインで切ってしまった方がよい、という判断になり得ます。

中間の選択:見せる導線は残すが、積極的に誘導しない

「絶対に見せたくないわけではないが、強く押し出すほどでもない」というケースもあります。その場合は、どこかしらから移動できる導線は残しつつ、積極的に誘導する感じにはしない、という作りが合うことがあります。

距離感としては「隣にある」くらいです。選択肢としては、別ドメインというより、サブドメインかサブディレクトリのどちらか、という判断になりやすいです。

運用体制も判断材料:分けすぎると情報の質と量が落ちる

社内にWeb担当のチームがない、あるいは兼務で人数が少ない場合、サイトが分かれているだけで現場から遠ざかります。その結果、出す情報の量が減ったり、質が落ちたりすることがあります。

その状況なら、まとまっていた方が手が届きやすく、「隣にお店がある」くらいの距離感が現実的、という判断になることもあります。逆に、事業がはっきり違うなら、余計な情報を混ぜない方がよい、という判断も十分あり得ます。

情報があふれる時代は、「たくさん並べる」が不利になる

今は情報があふれていて、サイトの中を全部見て「有益そうなものを拾い尽くしてから判断する」という動きは現実的ではありません。似た内容が並びやすい状況もありますし、比較検討自体を避けて「早く答えがほしい」という感覚も強まっています。

だからこそ、余分な情報をいかに与えず、必要な情報をストレスなく渡せるかが、ホームページに求められます。長いサイドバーに全部載せれば見てもらえる、という発想には注意が必要です。

ナビゲーションは「減らす」と回遊が増えることがある

実際に、サイドバーが40行あるような状態だと、肝心のサービスページも見られず、クリック率が低いことがあります。そこで、そのサービスに関する10個程度に絞り、残りはトップページへのバナーリンクだけにするなど、ナビゲーションを絞り込むと、逆にサイドバーを使ってもらえることがあります。

「とりあえず並べておけば、100人に1人ぐらいは見てくれるんじゃないか」という考えは、やめた方がよいです。100人のうち99人は邪魔だと思っているので、まず解決したい課題に関する情報を、ナビゲーションとして置いておく方が結果につながります。

費用や工数は「その次」:売上に一番近い形を優先する

「複数にすると管理が大変だから」といった理由で結論を出す話を見かけますが、1つ2つ増える程度なら、致命的に変わることは多くありません。ドメイン費用も、円安で上がってきていますが、.comでも2000円以下、.jpはその倍ぐらい、という感覚です。

サーバーもマルチドメインで設定すれば1つのサーバーに2つ置けますし、2つのサーバー維持でも極端に大きくは変わりにくいです。それで売上が変わるなら、はっきり言って十分経費をペイしますし、サーバー代だけで議論する優先順位は高くないと思っています。

解析の話:Google Search Consoleは「楽さ」だけで決めない

解析は影響が出ますし、コントロールのしやすさも変わります。Google Search Console(検索の状況を確認するためのツール)は特に大事なので、サブディレクトリに置くと情報が一緒に入ってきて、毎回フィルタリングが必要で面倒、という気持ちはよく分かります。

だからといって、解析の楽さだけで先に形を決めるのではなく、お客さんにとってどうあるべきかを先に置く方がよいです。その上で、最善の設計に落としていく、という順番が基本です。

相談で多いのは「新規」より「リニューアル」

新しく何かを始めるので新サイトを立ち上げたい、という相談もありますが、どちらかというとリニューアルのときに「実は出したかった情報がある」というケースが多い印象です。分けるべきか、分けないならナビゲーションをどうすべきか、という相談になります。

そのたびに毎回考えて調べて、「この場合はこうかな」と戦略の部分で答えを出し、テクニックや戦術の部分は後から組み立てる、という進め方をしています。

お悩みQ&A(FAQ)を2024年版として書き直しました

少し告知になりますが、ラウンドナップWebコンサルティングのサイトでは、グローバルナビゲーションに「FAQ(よくある質問)」を置いています。いわゆる一問一答ではなく、1つのテーマに対して3000文字ほどの「お悩みQ&A」として、紙幅を割いて書いています。

今回、その一部を2024年版として書き直しました。サイトには無料で読めるノウハウも載せていますので、必要なところから見ていただければと思います。

まとめ

事業ごとにサイトやドメインを分けるかどうかは、ケースバイケースです。SEOや管理工数からではなく、まず「お客さんにとって隣にあるべきか、離れているべきか」という距離感から決めるのが基本だと考えています。

形が決まったら、その形に合わせてSEO、広告、解析を設計して最善を尽くす。これが一番ぶれにくい進め方です。

関連リンク

FAQ

事業ごとにサイトを分けるか迷ったら、最初に何を基準に考えればよいですか?

最初はSEOではなく、「お客さんが使いやすいか」「お客さんにとってどう見えるか」を基準に考えるのがよいです。その形が決まってから、SEOや広告、解析の最善を組み込む順番が安定します。

別ドメイン、サブドメイン、サブディレクトリはどう使い分ければよいですか?

どの距離感で見せたいかで考えると整理しやすいです。見せたくないなら別ドメイン、常に見える範囲に置くならサブディレクトリ、導線は残すが強く押し出さないならサブドメインやサブディレクトリ、という発想になります。

一緒に見せるとプラスになるのは、どんなときですか?

たとえば法人向けの実績が、個人向けのお客さんの安心感や信頼感につながるような場合です。こうした良い影響が期待できるなら、同じサイト内で自然に目に入る距離感に寄せる判断が合うことがあります。

情報が多くてごちゃごちゃしてしまう場合は、どう考えればよいですか?

必要な情報をストレスなく渡すために、ナビゲーションを絞る発想が大切です。たくさん並べるより、見るべきものを減らした方が回遊が増えるケースがあり、「とりあえず並べておく」考え方には注意が必要です。

運用や解析の都合(Google Search Consoleなど)は、どのくらい優先すべきですか?

解析は大事ですが、それだけで先に形を決めるのではなく、お客さん視点を先に置く方がよいです。形が決まった後に、Google Search Consoleの見え方や運用のしやすさを踏まえて設計していく、という順番が基本になります。

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代表取締役・コンサルタント 中山陽平

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