メールマーケティングについて、久々に少し書きたいと思います。
いくつかのツールを追いかけているのですが、やはりメールマーケティングのツールとして世界で1,200万人が使っていると言われるMailChimpの配信方法は参考になります。
私は国内の方々に対しては、日本代理店があり日本語対応しているBenchmarkEmailをお勧めしています。しかし、全世界レベルで言えばMailChimpをお勧めするかもしれません。
他にはCampaignMonitorも使いましたが、MailChimpと比べると新しい機能への追随速度や、HTML編集モードの使い勝手などは少し劣るかなと思います。
この辺の吟味をしたのは2年くらい前なので、もしかしたらそれ以外にも色々とツールは出ているかもしれませんね。
さて、今回は、誤解されがち・過小評価されがちなメールマーケティング業界を牽引するサービスとして、MailChimpのメール配信のやりかたを掘り下げます。
データとしては解析ツールの「MailChart」を使っています。メール解析するだけで1万円くらい毎月かかりますが、なかなか面白いです。日本のメールには対応していないのが難点ですが…。
A.配信日時・曜日・頻度に注目
まず配信タイミングです。以下のグラフをご覧下さい。
縦軸が配信時間、横軸が配信曜日です。今年2016年の1月から7月現在までのメールをカウントしています。
ここから見えてくるのは、まず配信曜日と時間帯としては
- 配信時間帯は朝の4時〜8時にかなり集中している、次いで8時から12時
- 水曜日(20%)と木曜日(25%)と金曜日(28%)が配信数が多い
- 土日はほぼ配信がない
と、今まで通年としてあるB2Bのセオリー通りに思います。
興味深いのは配信数 – 週に1回でOK?
そして配信数は「月間約5通」です。これが面白いですね。
一般的なメールマーケティングの配信頻度的には「こんなに少なくていいの?」という印象があると思います。
しかし、これがMailChimpの答えです。
この数字は他の企業のメルマガと比べて非常に興味深く見るべきだと思います。なぜなら、Mailchimpはただのメール配信ツールではなく、メールマーケティングを行うためのツール。そのノウハウが最も詰まっているのが、この自社配信のメールマガジンですから、この数字は入念に導き出されたノウハウの結晶のはずだからです。
メールは接触頻度を上げるために、毎日のように送る方がいいと思われがちですが、MailChimpの配信の仕方は違います。月に5通ですから、ざっくり週に1通だけです。それでいいというわけです。
この頻度は非常に示唆的です。
みなさんは無意識に、メールマガジンは内容が相手の役に立つものであれば、毎日のように送るべきだと考えていないでしょうか。
しかし、想像してみて下さい。
そうですね、ホームページ作成会社が、ホームページ活用に関するメルマガを発行していて、少し興味があるからと登録したら毎日メールがやってきたとしたら。
きっと、うっとうしくなるのではないでしょうか?相手のことを考えてないと感じるのではないでしょうか?
私の経験としても、一般的なサービスや商品販売サイトで毎日のようにメールを送ると、解除あるいは迷惑メールフォルダに入れられるケースが多いです。ないしスルーです。
ザイオンス効果と言って、何度も接すれば接するほど、相手に好感度や良い印象を与えられるという考え方?があり、これを根拠にたくさんメールマガジンを送ることをお勧めする方もいるかもしれません。
しかし、実際の所ザイオンス効果は、相手に対してある程度良い印象を構築した上で機能する物です。悪印象な物は送れば送るほどマイナスが強まるのです。そして突然大量のメールが送られてきたら、知り合いでも悪印象ではないでしょうか。
ダイレクトマーケティングのセオリーとも一致
昔から、ダイレクトマーケティングの世界ではレターやDMは月に4回。内訳は3回情報レターを送って、1回だけセールスレターを送るというのが定番の頻度とされてきました。これはつまり週に1回だけ接触すると言うことです。MailChimpの配信頻度と同様なのは示唆的です。
もちろん、全ての業種やサービスにおいて週刊配信がいいとは限りません。しかし少なくとも「がんばって毎日送ることを目標にしよう」というのは、決して良い物ではないということを、知っておくことをお勧めします。
B.ウェルカムメールを大切に
MailChimpでは無料有料に限らずアカウントを開設するとメール配信が始まります。その時最初に送られてくるのが、ウェルカムメールです。MailChimpのようにアカウント登録ではなく、通常のメールマガジンであったとしても、ウェルカムメールは大きな役割を果たします。
よくある「登録ありがとうございました、毎週メールをお送りしますので、ぜひご覧下さい」だけが書いてあるメールやサンクス画面はもったいないです。
人間、個人情報を入れた後などは少し心が開きます。なので、登録をゴールと考えず通過点と考え、サンクス画面でさらに別のダウンロードを促したり、サイト内のコンテンツに誘導したりすることが大事です。
AmazonなどのECサイトは購入後の画面にも、オススメ商品を出しています。それと同じように、通常のメルマガなどでも、ウェルカムメールやサンクス画面でさらなる誘導を行うと、より相手にいろいろな情報を伝えることができるようになります。
例えばMailChimpは、このようなメールです。
アカウント登録後なので機能に直接誘導する物がほとんどです。登録後というのは気持ちが盛り上がっている、メールマーケティングをやろう!という気持ちにあふれているときですから、このタイミングで一息つかせずに実際の配信まであわよくば進んでもらいたいわけですね。
特に無料アカウントなどは、そのまま放置されてしまうことも多いですから、登録者のモチベーションがあるうちに配信まで連れて行きたいですね。そのためにウェルカムメールはとても重要です。
ブログを自然なリテンションコンテンツとして使う
また、MailChimpはブログのアップデート情報もメールで流しています。ただしこれは単純なノウハウ紹介ではありません。これらの記事の中には必ずと言っていいほど、MailChimpの機能を使って説明をしている部分があります。
例えばこのようなデモグラフィック予測レポートです
自社ツールやサービスの機能説明をストレートに書くといかにもセールスのようになります。しかしブログという形式で、ノウハウ半分、それを基にしたツールの使い方半分くらいの分量で書くと、かなり売り込み色が減ります。
そして実際にそのまま同じ使い方でツールを使ってくれますので、リテンションに繫がりやすくなります。
ブログは何のために発信しているのか?という目的を設定し、そのために必要な情報をできるだけ、相手に受け入れてもらいやすく配信するという観点で、ブログ記事は非常に有効です。
まとめ
想像以上にさまざまな示唆を得られたなというのが率直な感想です。メールマーケティングの最初の一歩としてMailChimpのやり方からはじめるというのは非常に良いのではないかと感じました。
是非このやり方をベースに、自社として最適な配信のやり方や内容を煮詰めていってみてはいかがでしょうか。メールはこれからも重要な顧客とのチャネルです。是非活用することをお勧め致します。
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから