全文転載の件が少し話題になっています。
いくつかの記事を見ていて、少し違和感があったのでざっくりと個人的な意見を書いていこうと思います。
「SEO」というものを、「自社サイトへの直接流入トラフィック(PV)」という狭い範囲で捉えると、メリットがないように見えるかもしれません。
しかし、もう少し広い観点で見ていくと、やり方と目標によってはメリットはそれなりにあるのではと思います。
何が問題になっているのか
恐らく大元さんの記事が発端ではないかと思います。
▼全文転載メディアに対する対策を考えてみた※記事削除?リンク切れのためInternetArchiveから。
https://web.archive.org/web/20160315080307/https://www.assioma.jp/?p=4640
問題となっている事象は、ざっくりと言えば
- 自分のサイトよりオーソリティのあるサイトに、全文転載(寄稿)をした
- Googleの検索結果から、自分のサイトが消えた、オリジナルなのに
- 寄稿先から、自分のサイトに集客できている数も微々たるもの
という状況ではと思います。
しかしこれは「仕方ないこと」「当然の帰結」と言えます。
全文転載をするということの意味を考える
他のサイトに全文転載をするということを、まずはきちんと見つめなおします。
全文転載をするということは、同じ記事をもう1つ作るということです。
それはすなわち「自分のサイトに来なくても、誰かのニーズやウォンツを満たせる場所をもう1つ作る」という事です。
思い出してみてください。なぜ、全文転載で寄稿したのか。それは「有名なサイトに掲載されること」で何らかのメリットが有ると考えたからではないかと思います。
だとすると、自分のサイトの記事にアクセスが集まらなくなることを「マイナス面」として捉えるのは少しおかしいのです。
なぜなら、あるキーワードで検索した時、ざっと出てきた検索結果に出てくるのが、寄稿先のサイトではなく自分のサイトであったら、寄稿した意味がないからです。
他のサイトでのゲストブロギングは、そのサイトのオーソリティを使わせてもらって、自分やサイトに対する興味やブランド価値を作っていくために行うものですよね。
だとしたら、できるだけ「大手サイトに掲載されているあなたの記事」を見てもらわないといけないのです。
寄稿をする第一の目的は、そのメディアのオーソリティをうまく使うこと。その代償としてコンテンツを渡しているわけです。コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティングにおいて「コンテンツは財産」です。
メディアも欲しいものがある
コンテンツをわざわざ提供して、そのうえアクセスまで奪われるのはおかしい、と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本来メディアに載ることは「費用を払って」行うことです。プレスリリース然り、取材記事然りです。メディアもお金をかけてその地位を維持しています。
メディア側から「お金を出していい」「原稿料を払う」と声をかけてもらえるのは、提供するコンテンツの価値が「掲載料」を超えてプラスになっているからに過ぎません。
寄稿先サイトにとっても、検索結果からの流入は重要ですから、noindexやcanonicalを指定してもらうことは現実的にはありえないと考えるべきです。
Google+のrel=Author属性を設定してもらって、顔写真だけでも出してもらうのが限界です。(今は非対応 2021/06/22)
それに、noindexやcanonicalを指定してくれたとしても、それはそれでおかしなことになります。
大手サイトに掲載されることでオーソリティを借りることができる、それが目的のはず。しかし、検索結果に寄稿先のサイトが出ずに自分のサイトが出てしまったら、その目的は達成できていないことになりますよね。
もし、自分のサイトの記事が検索結果に出るようになっても…
また、もしGoogleの仕様が変わって、寄稿元のサイトと寄稿先のサイト両方が検索結果に表示されることになっても、結果は大して変わらないとも思います。
なぜなら、同じ記事が2つ検索結果に並んでいたら、大手サイトの記事を一般人は読むだろうからです。
有名な全国紙と聞いたこともないローカル紙に、全く同じニュースが掲載されていたら、普通は大手を見るはずです。
あなたのサイトが検索結果に出ようが出まいが、大手サイトに同じ記事を渡してしまった時点で、同じ結果になるのです。
#Googleがこのような仕様に変えることは、まずありえないと思いますが
ではどうするのがいいのか
全文転載という手段を取った以上、自分のサイトに有るコンテンツにはアクセスが集まらなくなることは覚悟すべきです。
繰り返しになりますが、むしろ「集まる方がマズイ」のです。
その上で、
- その寄稿先に掲載されることでどんないいことがあるのか。
- 箔が付くのか。
- プロモーションに使えるのか
- 寄稿先といい関係性を築くとっかかりになるのか、
- 自分のサイトにいつも来ているアクセス者の層とはまた違った層にアプローチできるのか、
などを、考えるべきです。
それが「プラスだな」と思ったら、寄稿すればいいですし、むしろマイナスだなあるいは意味ないなと思ったら寄稿しない方がいいでしょう。
「大手サイトのオーソリティにも乗っかることができて」「自分のブログのアクセス数に悪影響を及ばさなくて」「余分な時間がかからない」この3つをすべて得るのは、無理です。どれかを犠牲にして、他の2つを得る、いわゆるバーターです。
ちなみに突然「余分な時間がかからない」と書いたのは、本来は寄稿記事は書き下ろすものだからです。当然そのために時間がかかります。
私も、寄稿したり、教材やらコンテンツを作って提供したり、ゴーストライティングをしたりと、文章をちょこちょこ書いていますが、正直大変です。
ブログは誤字脱字があっても(もちろん無いほうがいいですが…)なんとかなりますが、寄稿するとなると、もう何度もチェックが入って、3倍くらい時間がかかります。
でも、この時間をかけても得られるものがあるので、キーボードを叩いています。そして全文転載は、基本この工数はゼロのはずです。これはとっても羨ましい話です。
まとめ
話がそれましたが、全文転載の寄稿を考えるなら
- 自分のサイトにある記事にトラフィックが集まらないことは覚悟する
- その上で、大手サイトに転載されたことを最大限活用するには、どうしたら良いかを考え、実施する
ことに尽きるのではと思います。
PVが失われることは、大声を上げることでもなんでもありません。
それに、マーケティングの成果はPVだけでは測れませんよね。やれることはたくさんあります。
また、根本的には「寄稿記事は書きおろしにする」ことです。
海外のリンクビルディング作でもゲストブロギングはよく出てきますが、100%「書きおろし記事」です。
そういう意味では、全文転載メディア自体が微妙だといえるかもしれませんが…
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから