ビジネス用のアプリケーションマーケットプレイスであるGetApp.comに、クラウド上でのアプリケーションの利点に関する記事がありました。
記事はこちら。
▼Top 5 Unknown Reasons Why Business Belongs in the Cloud
「なぜ今ビジネスはクラウド上の
オンラインアプリケーションに移行すべきか?」
について、GetApp.comの見解が書いてあります。
よく言われている「スケーラブルで」「コストが安くつき」「どこからでもアクセスできる」といったものだけではないよ、という内容です。
ただ、読んでいるとむしろ
「これからのITサービス作成会社はこうやって売込んでいくべきだよ」
という記事として捉えるべきなのかな、と思いましたので、その方向でご紹介します。
ITサービス、ソフトウェア開発会社、特に小規模な方には何かのヒントになるのではと思います。
概要
大きくまとめるとこのような内容です。
- うたうのは「機能」ではなく「嬉しいこと(ベネフィット)」
- 継続的に改善し、すぐにサービスに反映できる体制を整えろ
- ユーザの声を取り入れるコミュニティを作れ
- APIは必須。無償で提供してフリーミアム的に使うことも
それでは、それぞれについて順番に書いていきたいと思います。
1.うたうのは「機能」ではなく「嬉しいこと(ベネフィット)」
開発の世界は、
- 歴史的にオーダーメイド案件が多かった
- 機能要件を最初に作らなければいけないケースが多いため、自然と機能で売るようになった
- もともと商売と少し縁遠いところにあった
などの理由から、どうしても機能重視の売り方になりがちです。
しかしマーケティングという観点からだとこれはNGです。ドリルを売るには穴を売れ、買い手が本当に欲しいのは「穴」ですよね。ドリルフェチ以外は。RYOBIー!みたいな人以外は。
…
もちろん機能をアピールするのは悪いことではありません。
しかし、そのメッセージは買い手側に伝わるものにしなければいけません。
例えば
- 「1分間に1万レコードのデータベースから瞬時に情報を検索して取り出し、お客さまのお好みの形に整形して出力することができるんで す」
- 「顧客情報が1万人あったとしても、たった1分でお好みの帳票が出力できて、経理業務が一気にコストダウンできますよ!」
一般のお客さんが反応する、というか分かるのはどちらでしょうか。
やっぱり2番ですよね。
得られる「ベネフィット」を前に出しましょう、ということです。
2.継続的に改善し、すぐにサービスに反映できる体制を整えろ
今後のサービスは原則「クラウドアプリケーション」ちょっと前の言葉で言えばASPやSaaSであるべきです。
なぜなら、バージョンを一元管理できるからです。
従来のソフトウェアは、なにか改修をすれば「バージョンアップ版に入れ替えてもらう」「現場に行って改修する」かでした。
しかし、これってすごく大変ですよね。
意外な所に旧バージョンが動いていて、それが実は基幹業務に関わるものだったりして、大変なことになることも。
ITに詳しくない人は「今ちゃんと動いていれば、むしろ変えたくない」ものです。その前ではバージョンアップ通知機能も意味をなしません。
そして大事なのが、次の項目で取り上げることですが、ユーザの意見やニーズ、不具合やバグ報告をする場を作ることです。
結構これって開発者側は嫌がることが多いのです。
仕様なのにバグと言われて…簡単じゃないのにすぐに修正しろと言われて…などなど。
でも仕方ありません。そういった人々に便利に使ってもらえるようなサービスを作ることが、開発者側の使命なのです(^_^;)
3.ユーザの声を取り入れるコミュニティを作れ
2の後半を実現するためには、何か場を用意する必要があります。
海外のオンラインサービスは大概「ユーザーフォーラム」や「コミュニティ」があり、そこでバグ方向や機能改善要望などを広く受け付けています。
これは他の効果も狙っています。
- 顧客と開発者が直接対話することで、顧客満足度があがる
- ファンを作ることができる
- より深くユーザのニーズを掘っていける
- 外部にも一般公開することで、サポート面も充実しているというプラスイメージを与えられる
- 次の開発案件を決めるときの有効な材料になる
- ユーザ同士で問題を解決してくれたりもする
などなど。
正直良い事ずくめです。
しかしこれは生半可な覚悟では逆効果。ソーシャルメディアと同じです。
フォーラムに書いたのに開発会社から1ヶ月立っても返信がない、といった状況は最悪。
きちんと担当者をアサインして会社として取り組む必要があります。
4.APIは必須。無償で提供してフリーミアム的に使うことも
オンラインアプリケーションについては、他のシステムと連携するためにAPIの提供は必須と考えるべき です。どんなAPIかはさておき。
今や「閉じたシステム」は受け入れられづらいです。他のシステムと連携させてなんぼになっていくと思います。そもそも売りにくい。
また、APIだけをある程度の制限をかけて無償提供するのもいいと思います。
フリーミアム的なイメージですね。
システムって使ってみなければ分からないのですが、よくある30日間無料トライアルって、結局いろんな情報を入力しなければいけなかった り、営業電話がかかってくるんじゃないかなと考えると、二の足を踏んでしまうものです。
それに対してAPIなら、商品選定の段階で開発者がなんとなく使ってみることもできます。
また、無料版を組み込んでとりあえずローンチさせて、マネタイズできそうならきちんと契約するというやりかたを、他の開発会社も取ることが できます。
もちろん、こういったイメージでのAPIを提供できるサービスばかりではないと思いますが、それができるようなサービスを行なっているので したら、APIは有効なフロントエンド商品になると思います。
いいものなら、開発者間でバズってソーシャルで爆発!という可能性もありますしね。
おわりに
元記事の趣旨からは外れましたが、開発者側からのこれからをマーケティング的に考えてみました。
個人的な目線から言うと、改善サイクルを高速で回していくような手法がどんどん広まっていけば、どんどんと、使いやすいソフトウェア、IT サービスが増えてくると思い、ワクワクしています。
10年後は、いや5年後はどんな世界になっているでしょうか。楽しみです(^_^)
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから