コンテンツはWebマーケティング上で非常に重要なポジションを占めます。それは今に始まったことではなく、過去から続くことです。
なぜなら、ウェブサイト上に関わらず、ビジネスにおいて、売り手から買い手に商品やサービスなどの情報を伝達するにはコンテンツを介する以外にないからです(PPCなど広告文のみで繋がることができるかもしれませんが、ひとまず例外として。また、情報を介するもの=コンテンツ、とも言えるので後述するように鶏と卵なのですが)
コンテンツが注目され始めたのは、そのものの重要性というよりも検索行為・SEOの文脈かなと思います。コンテンツを追いかけてきた身としては、少々残念なことではあるのですが結果オーライかなと思います。
さてそのWebコンテンツですが、とは言えうまく活用できないという声は多く、お手伝い案件は多いです。一部のノウハウを「【保存版】戦略的WEBコンテンツ制作・作成術(コンテンツ・マーケティング) 」に載せているので、よろしければご覧ください。40記事くらいあります。
今回は、それとは別に、老舗Content Marketing Institute(CMI)から1つまとまった記事をご紹介します。
こちらです。
▶7 Surefire Ways to Get More Impact From Your Content Marketing :
https://contentmarketinginstitute.com/2015/08/more-impact-content-marketing/
どうしたら、コンテンツを使ってビジネスにプラスの影響を与えられるか、インパクトを与えられるのか?その7つのポイントを紹介した記事です。
では具体的にはどういうことなのでしょうか。
具体的な7つのポイント
記事内で紹介されている7つのポイントは以下です。
文脈を加味して意訳していますのでストレートな内容を知りたい方は原文をぜひご覧ください。
- 着実にやり続けること(期待するペースに沿う)
- ベストな人材が必要だと認識し、雇うこと
- 常にそもそもの目的を意識し続けること
- うまくやっているところの真似をすること
- 革新ではなく有益を追い求めること
- 常に最高のコンテンツを作ることを第一に、それによって発生する埋没費用について考え過ぎないこと
- たくさんの成果を追い求めないこと、目的を絞ること
それぞれについて、気づいたことを書いていきたいと思います。
基本的に引用符がないかぎり、当ブログのコメントです。
1.着実にやり続けること(期待するペースに沿う)
非常に耳が痛いはなしではあるのですが、継続的に配信されることが期待されるコンテンツについては、その期待に応えるべく、定期的に一貫性を持って配信するのが望ましいです。
今は情報があふれていますので、ちょっとした期待はずれやすれ違いで買い手は別のところに行ってしまいます。
新しい情報があると思ってやってきたらなかったり、あるいは今日から新商品の情報があってもおかしくないだろうと思ったらなかったり、そんなことが重なると、次第に買い手はやってこなくなります。
例えば、気になっている店の業務日誌が、いつもは毎週1回更新されているのに、今週は更新されていない…それが何度も続くと、期待はずれな気持ちになるのが嫌なのでサイトに来る頻度が減ります。そうすると、接触頻度が減りますので、営業成約率は落ちます。
どれくらいの頻度でコンテンツを出すべきか? = 買い手が期待する頻度
ニュースサイトなら1日数度更新されることを願うでしょうし、ニュースまでは行かないまでも情報配信サイトなら、週に数度は更新があることが期待されるでしょう。そうではないサービスページなら、キャンペーン情報等が月に1〜2回更新されるくらいが期待の度合いかもしれません。
まずはそれを着実にクリアすることが、買い手を掴み続けるためには必要条件です。その上で、いかにして接触頻度を上げるか、あげられるようなコンテンツを企画していけるかが、その先にある重要なステップとなります(ステップメールなどがまさにこのあたりを自動化する存在です)
※私は、何もかも不定期配信ばかりで悪い例です
しばらく見守る覚悟が必要(結果はすぐに出ない)
また、難しいのは結果がすぐにでないことです。ここは、経営層が理解してきちんとまってあげることが重要です。SEOと同じで、ミニマム半年くらいは見守る覚悟が今の時代必要だと私も思います。本文にも以下のように書かれています
3ヶ月毎の収入や、キーとなるパフォーマンスの指標、測定基準は、現在のマーケティングテクニックが正当であることを証明するためには、グラフが右肩上がりでないといけないものです。しかし問題は、コンテンツマーケティングはそのようにはいかないことです。結果は、すぐには表れません。
組織はコンテンツマーケティングの努力を長い目で見て発展させるべきです。
この辺りは、今までWebが「効果が出るのが速い」「PDCAが高速で回せる」などを売りにしてきた部分もあったので、悩ましいところです。しかしWebはリアルの世界にどんどん近づいているのが現実です。
2.ベストな人材が必要だと認識し、雇うこと
実はもう2〜3年前から囲い込みが始まっていて、ライターやデザイナーでコンテンツ作成経験が豊富、あるいは向いている人は囲い込まれています。今から人材市場で探すのは、かなり難しいです。紹介でうまくあたるくらいが限界かもしれません。あるいは、シードを広く集めて可能性のある人を水揚げするパターンです。
良いコンテンツ、これは作るのが得意な人と不得意な人に綺麗に分かれます。この判別は私はまだうまくできていません。うーんだと思った方がぐんぐん書けるようになることもあれば、逆もあります(人を見る力がないと言われるとそれまでですが)
これは恐らく得意不得意であって、能力や何かの良し悪しではない、と思います。
では、良いコンテンツとは何なのか?これは難しいところです。良いコンテンツ=結果が出るコンテンツ、というと卵が先か鶏が先かという話になります。結果が出たから良いコンテンツだと逆算することも多いですよね。
ひとまず、ここではCMIの元記事の内容を引用します。
では、質の良いものは何で構成されているのでしょうか?こちらにいくつかのガイドラインがあります。
- 深いこと。その話題について深いところまで扱った記事は、読者の心に届き、説得するのに成功します。
- 長いこと。長いコンテンツは、圧倒的に読者の心を射止めるチャンスがあります。1,000ワードを超える記事は、検索エンジンで上位表示されやすくなり、結果としてコンバージョン率を高めます(中山注:※文字数と因果関係があるわけではなく、相関関係としてあるだろうという意味かと思います。)
- 様々なコンテンツ形態を使うこと。最近では、コンテンツのバリエーションが要求されます。画像、分析画像、ツイートの埋め込みやFacebookの投稿、動画などです。 (中山注:→ 3年前にコンテンツ形態について話したオンラインセミナーです、今も通じると思いますよろしければ)
- 読みやすいこと。ユーザーの経験値は、信頼性、説得力、コンテンツの成功において、極めて重大な要因です。モバイルでの読みやすさ、フォーマット、スタイル、レイアウトなどが経験値に影響します。
とにかくひとつ上げるとしたら「買い手の気持ちに寄り添って、ベストな形と内容で出してあげる」事につきます。
3.常にそもそもの目的を意識し続けること
コレはコンテンツ作成にはまってしまった人に特に気をつけていただきたいポイントかもしれません。
一言でいえば「手段が目的化する」ということです。
コンテンツ作成は、パターンがわかってきたり、あるいはもともと好きな人がやりはじめると、気づくと「コンテンツを作ることだけを考え、それによって達成しようとしていた本来の目的を軽視あるいは忘れる」と云う事態に陥ります。
日記系日誌系が特に多いですが、そもそもなんで例えば社長現場日誌をやったかというと
- 「それによって、人間味や人柄を伝え、親しみを持ってもらう」
- 「お客さんのことを考えていることを客観的に伝え、信頼感を得る」
- 「きちんと毎日仕事が有り、繁盛していることを間接的に伝える」
などの目的があるはずです。
しかし気がつくと「毎日更新しないと」と云う思いが強くなり、また、知り合いからコメントが付いたりすると、その人達を意識して書くようになってしまって「うちわでしかわからないネタを書く」「商売には関係ないネタを書く(今日の昼ごはんなど)」などの事態が発生します。
これを防ぐための方法は「目的を忘れないこと」につきます。いろいろな方法があると思います、例えば記事を作る前に特定のテンプレートに記入してから始める、など(それには、その記事の狙いと、それを実現するために何を行ったのかを記載させるなど)
しかしそもそも開始時に目的が決まってなければどうしようもありません。
ただブログを書いていてお客さんが来るかというと、来ません。
例えば元記事では以下の3つを基本的な目標としてあげています。
- そのコンテンツはセールスを促しているか
- そのコンテンツはコストを抑えているか
- そのコンテンツは消費者をより幸せにし、保存されることで役立っているか
この3つをキープできているかを常に問いなさいという内容です。
ともすれば楽しくなってハマってしまうものは、こうやって常に確認する体制を作っておくことは非常に重要です。また、元記事ではこの目的を3つ以内に絞るべきだと説いています。
4.良い物をたくさんチェックしろ
うまくやっているところの真似をする、というのは、きちんと考えて行わないとリスキーな側面もあります。
メディアに大きく扱われるようなものについては、業界とコネクションがあり、とりあげられるようなことを行えるリソースがあり、品質の高いコンテンツを実際に世に送り出せるような企業が行っている事例が多いです。
そういったものは、一般的な記事からは見えてこないような裏側にある様々な努力や検証、ノウハウなどの存在があってはじめて実現していることが多いため、外から見える一部を真似するだけだとうまくいかないケースが多いですね。
しかし、そういった前提を理解した上で「成功事例」を見ることは、価値があります。どんな世界でも「良い物をたくさん見る」ことが、自分の中の感性をブラッシュアップさせることに繋がると言われます。芸術でもビジネスモデルでもそうです(コピーするということではなく)。また、たくさんのものを見ることでパターンの引き出しが増えます。引き出しは掛け算できるので、増えるとどんどん加速度的に増えます。
元記事では、筆者が「これは効果的だな」と感じたコンテンツの種類を8つ提示していますが、一般的なものなので割愛します(コンテンツシンジケーションやインフォグラフィックスやUGCなど)
5.革新を追い求めるな、価値が有ることを追い求めよ
これは元記事から転載します(やや意訳)
もっともっと他と違うことを…と追い求めていると、マーケターは時折足を踏み外すことがあります。大きな事件があった時、それを自らの利益のために利用するなどです。しかし、それが、例えばセレブの死であったり、大変な自然災害であったり、文化的な問題などの話題なら、それらは痛ましいものなので、結果としてそのニュースに頼ったマーケティング活動をすると、企業は品位を落とし、うんざりされてしまいます。
特に集客を考える時に、人々が飛びつきやすいネタを取り扱ってしまいたくなる、そんな欲望はどうしても発生すると思います。
しかしそこで一歩踏みとどまって「我々が行うべきは何なのか?」を考えることが重要だと、元記事では述べられています。
つまりは
賞賛に値するものというのは、消費者の求めていることを聞き、それを提供することです。価値を与えることに焦点を当てれば、価値が返ってくるのです。
ということです。
コンテンツを活用して集客しようと考える時に、このことは重要です。意図的にやるという戦術ももちろんあると思います。その意図で行うなら、それは良いと思いますが、ゴシップ系でなくても、ニュース系のネタはそういった目線で見られがちなことは、押さえておくべきかなと思います。
6.常に最高のコンテンツを作ることを第一に。
それによって発生する埋没費用について考え過ぎないこと
何かを始めると、意味が無いかもしれないと感じても「これは行い続けていないと機会損失をするのではないか」「今まで頑張ってやってきたのだからやめてしまったら、今までの費用が無駄になる」と思い、なかなか止められないということはないでしょうか。
しかし、コンテンツの世界は際限のない世界です。コンテンツを提供できる場所は山のようにあります。コンテンツ自体も作ろうと思えば、ある程度際限なく作ることが出来ます。
しかし、逆にリソースがなければコンテンツは良い物を作ることはできません。
無理に大量生産しようとすれば、それはただの低品質なコンテンツになってしまいます。
この点について、筆者は以下のように述べています。
もし、すべてのソーシャルアカウントを管理するための人材や社員がいるのなら、全てのブログに載せ、すべてのフォーラムにコメントし、すべてのプロフィールを管理して、目標に向かって進んでください。
しかしながら、場所が多すぎて良い仕事ができないのなら、やめることです。素晴らしいコンテンツが高い契約率をあげられるような、一つか二つのチャネルを選んで、それらに集中することです。
これは身につまされる物があります。
私自身、基本的にすべてのコンテンツを私自身で作っている関係で、インプットの量や質、取れる時間の関係で過去何度も「これは無理やり出したなぁ」と思えるものを作り出してきてしまいました。
そして確かに、そういったものは、大して効果を産まないことが多いです。また、後でメンテナンスするコストが逆に掛かってしまいます。なぜメンテナンスするコストが必要かというと、後で見なおすと明らかにおかしいことが分かるからです。品質が低いことが分かるからです。
コンテンツはひとり歩きしますから、そうなったら「修正する」か「消す」かどちらかしかありません。(どちらの選択肢も取ったことが有ります。)
例えばPodcastは今やっているものの前に、別のものをやっていましたが、文字起こしを除いて音声はiTunesStoreから消しました。また、ウェブ解析入門や動画マーケティング入門は、3度以上修正を入れています。
他にも思い切ってWebの世界から抹殺したものも結構あります。その時は悩みますが、結果的にはオーライだと思っています。メンテナンスできないので…。
7.たくさんの成果を追い求めないこと、目的を絞ること
これは元記事を引用します。
「The One Thing」の著者のGary Kellerは、「より効果を得たいなら、より多くのことをするのではなく、より少ないことをする必要がある」と書いています。優先順位をつけ、最も効果が出ることに集中しろということです。
例えば、あなたのビジネスの目的が、より多くのコンサルティングの仕事を売ることだとしましょう。ほとんどの見込み客は、メールマガジンのリストから来ていることがわかっています。
それならば、目標は、メールリストへの登録を増やすことです。
Facebook戦略や、ツイッター戦略や、Google+戦略、Reddit戦略、ピンタレスト戦略、LinkedInコンテンツ戦略、ゲストポスティング戦略などなどに無駄な時間を費やす代わりに、1つのことに注力するのです。それはもちろん、メールマガジンの登録者数を増やすことです。
今ここからあなたがすべきことは、その一つのことに焦点をあわせることです。他のことはすべて捨ててください。一点に集中するのです。
これは簡単なようで難しい話です。まず自分の商品やサービスを売る際に最も効率のよいチャネルや経路がどこなのかを、ウェブ解析によって把握している必要があります。これは、それなりのデータやA/Bテストなどを行わないと仮説すら出てこないもので、つまりはまず自分のビジネスの把握をしようよという、大前提が有ります。
そして、それを把握した上で、最も効率が良い所にまずは注力し、そこからのセールスフローを確実に作ることにひたすら力を注ぐ。様々なことに手を出すのではなく、そこに一点集中する。それを筆者は勧めています。
今は様々なメディアやチャネルがあるため、ひと通り手を出して浅く広くでもいいから成果を得ようとしがちです。しかし、片手間にやっていることというのは、意外と情報の受け手には伝わるものです。
自分のセールスの道筋を把握し、その上で自社のリソースや限界CPAを考えたものに注力することが重要です。
終わりに
コンテンツは、いくらでも自分だけで作り出せる故に、それが良いのか悪いのか、何をどれだけ作ればいいのかなどに解答がありません。それ故にきちんと、自分自身でチェックできるような仕組みを作っておくことが重要です。
それは解析ツールの設定かも知れませんし、仮想顧客にチェックしてもらうことかもしれません。
むやみに、○○○ページを半年で作る!という数を目標としないように、常に頭の中にこういったことは置いておかなければならないなと、私も改めて感じました。手段の目的化ですね。