配信日:2023年5月9日
発行元:ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表取締役 中山陽平
URL: https://roundup-inc.co.jp
こんにちは、ラウンドナップWebコンサルティング中山です。GWはいかがお過ごしでしたでしょうか。
私は今年は完全にオフでSNSもほぼ見てませんでした。ただ対面相談を再開するので、事務所の掃除に2日くらい使いました。週に1件ほどは対応可能になりましたので、よろしければホームページからお問合せ下さい。
いきなり対面ですと、こちらも準備が出来ないので、先にメールかLINEでご相談頂ければ幸いです。
さて今日はニュースについて。
具体的には銀座の時計店に18時という人通りの多い時間に「堂々と」強盗が入った件について。 これは、Webマーケティング的なトピックスとしても興味深い のです。
詳細は「銀座 時計店 強盗」などで検索して頂ければと思います。ニュースサイトの記事はリンク張っても消えちゃうんですよね…。
Google検索だけ貼っておきます 。
目次
Webマーケティングと正常性バイアスの危険性
さて、事件周りへの意見で散見したのは「これだけ派手にやっているのに、なんで誰も逃げたり通報したりしないんだ」といった声。
なぜかというと、まさに事件が目の前で起きている状況を撮影している動画がSNSに流れたから。「優先順位がおかしいだろ」などと言う声がありました。
ただこれはいわゆる「正常性バイアス」「恒常性バイアス」が働いた結果でしょう。
「ドラマの撮影かと思った」という通行人の声がまさにそうで、人間には目の前で異常なこと・信じたくないことが起きていると思いたくないバイアスが存在します。
よく言われるのが震災や噴火などの非常事態にもなかなか動かない、逃げないといった事象。もっと小さな話だと「ヒトケの無い家のベランダで座り込んで何かやっている人がいるけれど、きっとこの家の人だよね」と思い込もうとするような。
自分が信じたくない情報を無視したり過小評価したりする。
そしてこれは、 このような事件に限らずWebマーケティングにおいても顔を出して来るんです 。
「バイアス」ですから、正しく世界を見ていないことになるので、怖いんですよね。そこで、いくつかの例を今回は出していきたいと思います。ご参考になれば幸いです。
仕事に潜む恒常性バイアス1:今の競争環境は変化無くそのまま続くと考える
日々もっともっと反応を取らないとと考えて、様々な施策を一生懸命にやっている時怖いことの1つが「急に周りの環境が変わって、やってきたことが無駄になる、意味が薄くなる」ことではないでしょうか。
考えに考えて限られた時間の中やってきたのに、それを無にされることを考えたくはありません 。しかし、当然競争環境がそのまま変わらず、みなさんの努力を見守ってくれる訳はありません。
- 競合はWebあるいはローカル戦略など周辺の戦術実行に、より一層リソースをかけて攻めてきているかもしれません
- お客さんは時代の流れや、生活の変化でニーズが変わってきているかもしれません
- 自社の中でWebに対しての重み付けは変わってきているかもしれません。
本来は「変化が起きてきたら、それを受け入れて、その上で方向転換をする」べきです 。しかし、当然それは本来予想していない作業なわけで考えたくない。その結果「大丈夫だろう」「今やっていることを続けていれば大丈夫だろう」と考えがちです。
しかし実際は変わっているわけですよね。今やWebを活用することは当たり前に近くなっています。むしろ「お客さんの変化、敵の変化は当然、そして自分たちも変化するのが当然」だと考えて、受け入れなければなりません。
仕事に潜む恒常性バイアス2:解析データ、悪いことは「一時的」良いことは「成果だ」と考える
続いて少し細かい所。解析データです。なんとなくデータをざっと見る。昨月比して例えば5%悪くなっている。5%は母集団のサイズに寄りますが、なんとも言えない変化です。
これをどう見るか。往々にしてこういう時
- 「悪くなっているときは、一時的なブレだろう、有意性もない範囲だし」
- 「良くなっているときは、これは上昇トレンドのきっかけだろう、きっと何かの成果が出てき始めたに違いない」
と思ってしまわないでしょうか。実際は、調べないとどっちか分からないにもかかわらず。
実際としてはケースバイケースなわけですが、解析ツール周りあるいは広告レポートなどに関しては、 起きて欲しくないことからは目を背けてしまいがちなので意図してニュートラルな立ち位置を自分が取っているか、常に考えることをお勧め 致します。付箋で貼ったり。
仕事に潜む恒常性バイアス3:みんなが同意=正しいと思う
正常性バイアス・恒常性バイアスは「信じたくない・都合の悪い情報を」「無視したり過小評価したりする」というのが大枠の意味 です。
そして、 このバイアスは本当にSNSで働きやすい んです。エコーチェンバーがかかりやすいせいもあるでしょう。信じたい物の情報だけ集めてしまう。
その結果、同じような考え方をする人が集まってしまう、次第に世界の多様性から乖離した人間関係の空間で物事を判断するようになってしまう。確証バイアスもかかるので、本当にSNSは怖いですね…。
SNSにはWeb関係の情報もたくさんあります。それは本来、自分で判断したり、自社内でディスカッションするなりして取捨選択していくべき です。それほど標準化できないですよ次の一手なんて。
業界と企業規模が同じくらいで、そして社内のWeb活用レベルが同じくらい、それくらい条件が同じなら、そのままノウハウを受け取っても良いかもしれません。
しかし、どれか1つズレただけで、 自社に合わせたフィッティングが必要 になります。
万人に通じるノウハウはないです。
しかし、ある情報に「いいね!」やRTがたくさんついていると「有名な人も言及しているし、正しいんだろう」と思ってしまいがちです。信じたい情報があると、それ以外の情報を過小評価してしまう物です。
耳にいたい情報は「無視したり過小評価したりする」のが正常性バイアス 。
むしろ、耳に痛い情報ほどヒントがあると考えた方が、寄り道をせずに済むのではと思うところです。
…
今回は銀座の強盗事件をきっかけに、正常性バイアスとWebマーケティングについて扱いました。
銀座の事件も、本来オオゴトにもかかわらず「ドラマだろう」「何かの間違いだろう」などと考えた結果、通報せずに動画撮影、店の前を普通に通るだけで逃げ出さないと言う事態が起きました。
これはWeb活用の現場でも形を変えて起きがちですというのが今回の趣旨でした。
これ以外にもこのバイアスが関係している事象は多いです。
いつでもニュートラルに判断できる、そのきっかけになれば幸いです。