ホーム » podcasts » Web戦略(競争戦略) » 第197回:選択肢の多いウェブの世界で選んでもらう為に必要なスタンス

今回の内容について

第197回:選択肢の多いウェブの世界で選んでもらう為に必要なスタンス

今回は、自社と同じようなサービスがたくさん存在しているWebの世界について、どのように考えると効果的な競争が行えるのかという内容です。

一見全てが敵に見えてくる、ボーダーレスなWebの世界ですが、実際はそんなことはありません。買い手側にある限界や、その他様々な理由が存在します。

では、それは何でしょうかそしてどうすればよいでしょうか。

書き起こし・ShowNote

概要

今回のテーマは、「選択肢の多い世界で皆さんがどういうスタンスを取っていくべきなのか」です。

これは実際のコンサルティングという場でもそうですし、ポッドキャストではご質問としていただいている内容でもあります。

確認しておきたい、経済産業省の災害に関する救済措置

その前に、経済産業省からのお知らせです。

大雨で佐賀県を中心として災害救助法が適用されるという事態になっています。企業の方々で、事業の継続が困難とか何らかの難しい部分がある場合には、特別相談窓口が設置されております。

日本政策金融公庫さんですとか商工会さんなどに、まずはお問い合わせください。

経済産業省のホームページでは、「令和元年8月の前線に伴う大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います」というリリースが8月28日に出ておりますので、そちらをご覧ください。

これを聞いている方々が、被害なく過ごしていらっしゃることを祈るばかりですね。

経済産業省は、こういう場合、ほぼ確実にリリースを出しています。何かありましたらチェックしてください。また、相談窓口で救済措置がないかを確認してみてください。

貸付とかセーフティネット保証とかいろいろありますので、ちゃんと使えるものを使っていこうというところですね。

競合に負けない強みを作って勝とう、というけれど…

では、本題に入っていきます。

夏季休暇中に行かなかったところに行ったりとか、それも1人ではなくて家族で行くなかで、様々な選択を急いで迫られるという場面に遭遇しました。

その中で改めて、どうしたら選ばれるのか、あるいは、どういうところに力を入れると選ばれる可能性が出てくるのかについて、改めてお伝えします。

まず、大前提として押さえておいて頂きたいのは、ネット上で様々なことをするっていう場合、よく「敵は全国区ですよ」あるいは商材によっては「全世界ですよ」という言われ方をするんですね。

その中で勝ち残っていくために、3C分析であるとか、それに準じるようなさまざまな分析を行って、戦略を立てて、勝ち残ってかなければなりません、という流れになっていってます。

けれども、これを突き詰めていくと誰も勝てないんですよね。

なんでかというと、ようするに、これは強みをつくりましょうという話に安易につながっていっちゃうことが多いです。

全国に自分たちと同じ商売をやっている会社がどれだけあるかということを考えると、その中で選ばれるような存在になるということを前提に、強みを構成するとか出すとか作るとかしていくっていうのは、非常に現実的に極めて困難なわけですよね。

やはり、ものすごい強い企業さんもたくさんあるわけで、皆さんがそういう企業さんなのであればその力をネットというものをうまく活用することによって、今まで30%しか出せなかったものを100%出せるようにすればいいよという話にはなります。

ですが、当然のごとく、特に地域商圏などでご商売をしている方々にとって全国と勝負して云々というところというのは、現実的に非常に難しいわけなんです。

まず、その思考から抜け出していただきたい。

なんで抜け出していただきたいかっていうと、別にそこまでしなくても勝てます。

買う人はあなたが思うほど比較していない

また買う方の人っていうのも、全世界・全国と比べた上で皆さんのことを選ぶか選ばないかなんていう判断はしてないですよね。

モノを買うというとショッピングモールみたいなものがよく使われるので、全国区との商売になってくるっていうのは確かにあるんです。

けれども普通の一般的なサービス、そういう比較の対象にのってこないサービスであれば、全国のいろんなものと比べてから探しますか?と考えると、普通の人はそれはしないですね。

そういうのが好きな方は徹底的に調べ上げるかも知れませんし、また価格が高くなればなるほどそういう傾向も出てくるわけですけれども、一般的にはそんなに比較しないですね。

なんでかっていうと覚えてられないですよね。何が良くて何が悪いのか。また何を基準に選べばいいのかということもよくわからないです。

行動経済学の実験を見ていると、人間というのはそんなに合理的な判断をしていないというようにも見えます。

例えば1万円の商品がA店では1,000円引きだと分かると、大抵の人はA店に行って得したと喜ぶでしょう。

しかし、20万円のものがA店では1,000円引きだと分かった時にそちらへ行くかというと、あまり行かないと思います。

1,000円という額が元々の金額と比較されると「1,000円が1,000円という価値より上がったり下がったりする」んですね。例えばこのように、全ての人がロジカルに判断をしているわけではないのです。ですからそこまで考える必要はありませんし、考えていたら第一歩が踏み出せません。

「冷静に比較したら、勝てる気がしない」の罠

「自分たちが勝てる気がしないから踏み出せない」というご相談をよくいただきます。

踏み出すというのは、HPを作る、広告を出す、検索エンジンの集客を工夫する等といった広い意味での投資のことです。しかしこれは考えすぎです。仮に勝てないとしても、選んでもらえる可能性は十分にあります。

私はお客様に「なぜ自社を選んだのか」「競合A社と比べてなぜ自社を選んだのか」と聞いてみてもらっています。そしてその結果を見ると、ほとんどの場合そんなに明確に厳密に比較して決めているわけではないのです。

今は情報収集の媒体がスマートフォンになっているので、PCに比べると様々な情報を一度に開いて比較しづらくなっています。つまり頭の中のメモリに依存している状態なので、たくさんのものを比較する際に最後はなんとなくで選んでしまうことが多いのです。

ですから、あまりシビアに自分がどう比較されているのかということを考える必要はありません。

失敗したくない…不安を無くすことの重要性

ただ大事なのは、第一にはお客様が不安に思うことをなくすことです。

お客様の足切りに合わないための努力は確実に必要です。お客様はたくさんの中から選ばなくてはいけないというプレッシャーがあるので、足切りは積極的に行います。

例えば店舗型ビジネスなのに中の写真がない、スタッフの写真がない、ブログが長年更新されていない、最新情報が更新されていない、スマートフォン対応されていない等は足切り対象になってしまいます。これらのマイナス面は確実に排除するべきです。

どのように自社が選ばれるかは、顧客に聞くべき

その次に、ではなぜ選ばれるのかという話になります。これはいろいろと考えあぐねるよりも、お客様に聞いてしまったほうが早いケースが多いです。昔から言われるGoogleのサジェストワード、Yahoo!知恵袋の質問内容、ツールによっては共起語を出してお客様のニーズを吸い取るということは、もちろん足切りを減らす、最低限出しておくべき情報を把握するという初期段階では非常に有用です。

しかし最後の選考に役立つような細かくて感情的だったり、無意識に属したりするような情報をそこから得ることは、どんどん難しくなっています。規模の大きなサイトなら十分通用すると思いますが、少なくとも中小企業・小規模事業者で特に地域商圏の場合は、目に見えないイメージで選ばれているケースが非常に多いのです。

ネット上のキーワード調査ツールだけでは分からないことがある

サジェストワード、キーワードツール、Q&Aサイトを元にして様々なことを網羅してやっているだけで満足していると、うまくいきません。本当に必要な最後の一押しをしてくれるような情報、あるいは最初の一歩でぐいっと引き込むような情報は、感情に近い部分にあるケースが極めて多いです。

感情、それも本能に近い部分にあるものは大抵頭の中で言葉にはなっていません。「こういうことで困っていませんか」というキーワードを見た時に初めて、確かにそうだと思うのです。潜在意識の中にあったものを顕在意識に持ってきて、その気づきを与えてくれた会社に好感を持ちます。

これらの思考は検索キーワードには現れません。潜在的なものなのでワードで打ち込みようがありません。あるいは人によって言葉が違うのでボリュームが出ず、データベース上で上がってこないのです。これを知っているかいないかで、正しい方向で努力を続けられるかどうかが変わってきます。

お客様に対する表面積が広い企業は強い

そこで皆さんがどうするべきかという話です。中小企業・小規模事業者の皆さんは大企業と比べて、お客様に対する表面積が広いです。接している回数、深さの面が広いのです。それを生かさない手はありません。ですから、目の前にいるお客様に聞いてみましょう。

聞く時にも「はいorいいえ」で応えられるクローズドクエスチョンではなく、オープンクエスチョンでリラックスして聞けるような環境を作ることが大事です。そうすることで「そういえばこういう理由で選んだな」「買った後にこの部分が喜ばれた」「ここがもっとこうだと良かった」等の情報を得ることができます。

それをHPに反映させていくと、自然と良くなっていくでしょう。不安な場合にはGoogleオプティマイズを使ってABテストをやっていくと良いと思います。Facebookページへの投稿の反応度合いで見ても良いです。お客様に対する表面積が広いということは、これからの時代非常にメリットになります。

顕在的な言葉はそこら中に飛び交っているので、次第にそれは当たり前になってしまって足切りの基準にこそなれど、最終的に自社サービスを選んでもらうための一押しではなくなっていきます。その先にあるものをどうやって得るかというと、大手さんは恐らくこれをビッグデータやAIでカバーしていく、もしくはPRを使って作り出していくと思います。そこを皆さんは、ダイレクトにお客様から吸い取っていくのが一番良いと思います。

今回このテーマを取り上げたもう一つの理由

何事に対しても選択肢が多すぎるのが今の世の中です。その中でお客様の好むものが、自分が選んだことに対して勇気を与えてくれる、自分がそれを選ぶ理由付けができる、安心を与えてくれる。何となく選ぶのではなく、ここに共感して良いと思ったから、他社より高いけれどこのブランドを選ぶということが、固定客を獲得しやすくなっているのです。

その反面安かろう悪かろうというか、自分の体の一部にならないようなサービスを提供するものは、他に乗り換えられてしまう率が非常に上がっています。これだと常に新規顧客獲得をし続けなければならないので、もたないのです。

さらに皆さんはストーリー性を付けてただものを売るというだけではなく、その先にあるものも含めて、自分たちはこういう考え方だとか、世の中にしていきたいような会社さんのものを使う。

そういうものは、「ブランディング」「ミッション」という言い方をされることが多いので自社には縁がないと思いがちですが・・・。大きな地球の平和を守るとかいうことをしなければ、もう少し軽いものでも良いので、商品を売ることで皆様のこれを解決したいということを添えておくと、またそれは一つ選ばれる基準にもなります。

フォーエーバー21が破産申請をしているらしいという速報を見ました。私も何度か足を運んだことがありますが、とても安く、ただしものとしては値段相応なブランドです。

日本に入ったのは10年ほど前ですが、元は1980年頭頃、移民の方に向けて安い衣料を提供したいということで始まった韓国のブランドです。

日本に入ってきた際には、今は長くものを使う時代ではないということでそれなりに注目を集めて売れていました。

資金調達ができなくなるには様々な理由があると思いますが、端的に言えば売れていないのだと思います。海外は分かりませんが、日本ではものの買い方は離れていて、むしろメルカリのように中古かもしれないけれどきれいに使われていて気に入ったものを買うという時代に入っています。

自分たちが投影する何かがあるようなものが必要なのではないでしょうか。

逆に自分たち何の影響も与えないものを身につける、生活の一部にするということの魅力は、これからどんどん薄れていくのではないかと思います。

インスタ映えするとかしないとかいう次元ではなく、物があふれている現代でサービスや商品に対して求められる一つの役割なのではという印象です。

まとめ

自社が他社に勝っていくためには、今回お伝えした内容を含めてお客様に聞いてみてください。どうやって聞いたら良いのか、競合他社についてどういう捉え方をしたら良いのかということについては、ぜひラウンドナップの月額eラーニングをご利用ください。


お悩み・お困りの方へ

では自分はどうしたらいいんだろう、どこをどうするのがよいんだろうという疑問を抱えているのは気持ちの良い物ではないと思います。もしよろしければお問合せ下さい。

24時間受付 お問合せメールフォーム

中山 陽平

Web活用を本気で頑張りたい企業の成功とノウハウ蓄積を支援。小さな企業専門の伴奏支援。戦略立案から実行提案・診断・HP制作などを提供。無制限全国対応のアドバイザリ・顧問や嫌な営業対応代行など一気通貫で外部の専門家としてお守り。2001年に業界に入り支援経験600社以上。技術評論社から書籍出版、WebセミナーPodcastは月間1万ダウンロード。

View all posts

最新のメルマガ

月別メルマガバックナンバー

運営Webコンサルタント紹介

中山 陽平

Web活用を本気で頑張りたい企業の成功とノウハウ蓄積を支援。小さな企業専門の伴奏支援。戦略立案から実行提案・診断・HP制作などを提供。無制限全国対応のアドバイザリ・顧問や嫌な営業対応代行など一気通貫で外部の専門家としてお守り。2001年に業界に入り支援経験600社以上。技術評論社から書籍出版、WebセミナーPodcastは月間1万ダウンロード。