何事も最初の一歩、創造するフェーズが最も難儀であるという意味で、ゼロ→イチ(0→1)が大変だと言われます。
これは中小企業・小規模事業者のWeb活用においても同様です。
いかにして、ゼロからイチに持っていくかは、挫折するかしないか、反響獲得などの目指す目的達成まで持っていけるかどうかにおいて最も重要度の高い段階です。ここでやり方を間違えると後に引きます。
特に、よくある落とし穴が「情報収集の段階」から「実際に手を動かし始める段階」のギャップです。
「情報収集だけ」「実際に行動に移していない」「計画を作っただけ」という段階であれば、どんなに時間をかけてそれらを行っていたとしても、まだ第一歩を踏み出してないゼロの段階とニアリーイコールである、と考えることをオススメします
私はこの状態に留まってしまうことを「情報収集満足病」と呼んでいます。
Web活用に限りませんが、新しいことを始めるときは、実際に動いてみて初めて分かることだらけです。
事前に集めていた情報や、それに基づいて想定していた対策やロードマップが一瞬で無意味になってしまうことなんてよくあります。
ではなぜそうなってしまうのでしょうか。そして何に気をつければ避けられて、前にすすめるのでしょうか。今回はそんな話題です。
情報だけが頭にある状態だと「都合の悪いものが見えない」
頭の中に情報だけを取り入れて、なんとなくフワッと考えている状態において、人間は問題点や、都合の悪いところが見えなくなります。そもそも認識できないと言ってもいいかもしれません。
例えば、「画用紙に犬の絵を描いてください」と言われたとします。みなさんの頭の中には犬のイメージがあると思います。
なので描けそうなものですが、実際に描こうとするとなかなか難しいですよね。うろ覚え選手権ですね。
それも、上手い下手の前に「あれ、どこに鼻を描けばいいかな」くらいの基本的なパーツ配置から悩んだりします。
恐らく人間は頭の処理能力を省力化するために、ものをざっくりと捉えているのでしょう。詳細にパーツを記憶しているわけではないのでしょう。日常生活の中で、写真のように覚えている必要なんて、ほとんどないからです。
そのような傾向があるため、Web活用においても
- なんとなく頭の中でウェブについて考えている、情報を集めているだけの段階では
- 成功イメージを持てていたとしても
- 気づかないところに、クリアしないといけない課題がたくさん転がっているもので
- 実際にHPやSEOや広告などで、手を動かしてはじめて、そこに気づいて手が止まる
という流れで頓挫してしまったというケースが多いです。「昔ちょっとやろうと思ったんだけれどね」といった話は大概こういう背景があるように思います。
一般化すると
実際に計画していた第一歩を踏み出してみたところ
- 想定していなかった、考えなくてはいけないことがたくさんでてくる
- スムーズに行く、うまくいくと思ったところがなぜかうまくいかない
- 思ったような評価や反応が返ってこない
- 打ちひしがれたり、社内調整が大変で頓挫ないしお蔵入り
というパターンです。
前進するために必要なのは「計画通り」を捨てて「想定外を受け入れる」こと
人間やっぱり「実体験する」ことは大事
なので、私は「初めてのことは、走りながら考える」ことをお勧めしています。
もちろん、だからといってみすみす落とし穴にハマる必要はありませんから、側面支援として、危険なこと、事前に考えるべきことなどはきちんとサポートしています。
ただ、人間やっぱり「実体験する」ことは大事なんですよ。代わりにやってあげたり、丸投げで引き受けるというのは、その人・その会社がナレッジやノウハウを得る機会を奪っている、に等しい。
だから、一緒に考えるプロセスをできるだけ共有するようにしています。なぜそういう結論に至ったかも、文書や動画でお伝えするようにしています。
失敗してもいい、行う理由や意義を押さえた上で、まずやってみる
つまりは、前に進むために必要なのは、外からもらってきた綿密な計画ではなく、失敗してもいいから、行う理由や意義を押さえた上で、まずやってみること。
そして、その結果に打ちひしがれるのではなく「想定外を受け入れる」「想定外に出会うためにやっている」と考えることです。憎むべきものではなく「やっと本当の敵に出会えたな」と喜ぶべきものです。
そうしていれば、最初はカオスだったウェブ・ネットの世界も、だんだん「想定外」が減り、見通しの良い予測可能な世界になります。
最初は「効率が悪い」「なかなかうまく行かない」かもしれません。でも、その「プロセス」自体に価値があります。担当者もそれを評価する立場の方も、それを前提にしていただくことが、成功への必要条件です。
課題に正面から向き合うことで質問や情報収集の質が変わる
そしてこのように正面から予想外・予想範囲内に関わらず課題を受け止めることで、それを解決するための行動が変わります。
課題をぼんやり捉えている状態だと「見栄えの良い、なんだかうまくいきそうに化粧されている情報」や「いわゆる美味しい話」や「とにかく安く済む話」に惹きつけられがちです。
また、どこかの会社から営業を受けた際も、何を確認すればいいのかわからないので、自分たちに合ったサービスかを選り分けるのも難しいでしょう。
しかし、正面から向き合っていれば、そして「自分たちは何をしたくて」「こういうことをしようとしたけれど」「でもうまくいかない」を把握できていて、その解決策を探しているのだとしたら。
世の中の情報の見方や、他社への依頼、他社からの提案の捉え方が変わります。
例えば
- 「背景や前提条件の錯覚を避けられるようになる」
この事例は自分たちと置かれている条件は似ているだろうか、それともヒト・モノ・カネなどで、大きく違いが合ってこその成功なのではないか? - 「肝心なところが曖昧になってないか気付けるようになる」
提案や見つけたサービスや営業内容について、ここが肝心なのに、何科不明瞭、なんとなくぼかされているところがある、そこ次第でかなり変わるのでは? - 「適切な費用を導けるようになる」
これを自分たちでやるとしたら、何時間くらいかかって、何をその前に勉強しないと、覚えてないといけなくって…だとするとこの価格は高いな(安いな)
などなど…実際に自分たちで分解して考えることを1年、いや半年でもやっていけば、こういう姿になる可能性は十分あります。
とはいえ、ムダはできるだけ減らしたいですよね…
中小企業の方々は時間もないもの、余分なリソースを割きたくはないでしょう。Web関係でこれ以上失敗できないというケースもあると思います。
伴走してくれるパートナーへの費用も難しいケースも、特に今の時代あるでしょう。また、あえて自分たちだけでやろうというケースもあるでしょう。
その場合は、とにかく頭の中でのシミュレーションを深く行うような情報収集とトライアンドエラーをしてみてください。事例なら事例で、その中の人になりきる。そして自分たちが同じ状況を実現できるかを頭の中でシミュレーションする。
それができれば「この事例は、たぶんうちはここでひっかかる」などに気づける可能性は大きく高まります。また、他社のサービス選定などでも、シミュレーションできるくらいの情報を集めなければと自然に思うため、ヒアリングの質も変わりますし、その後の選定の精度もあがります。
また、提案元が良い業者であれば、そのような食いつき方をしてくれたほうが、よりよい提案やツールの使い方などをさらに提案してくれます。お互いにとって良いです。
脳内シミュレーションを、手を動かしながらやってみるというのが、とてもおすすめです。
終わりに
私達は何かを知っただけで、成功までの道を少しでも前に進んだと思ってしまいがちです。しかし特にこのゼロイチの段階では、ほとんど前には進んでいないと考えるほうが良いです。
そこから脱却するために、まずは一歩踏み出して、自ら肌感覚を得ながらやってみることをお勧めします。成功しても失敗しても、大きなナレッジが残ります。
WebマーケティングやWeb戦略というとなにか特別な世界にように思われるかもしれませんが、それぞれマーケティングと販売戦略の一部にしか過ぎません。テクニックには専門性はありますが、基本的な考え方は同じです。
みなさんの商売の専門家はみなさんです。苦手意識は捨てて、ぜひ飛び込んでいただければ幸いです。
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このブログ記事は、過去のPodcast音声セミナーのアップグレード版です。ぜひ音声もお聞き下さい。こちらはこちらで別の伝わるものがあると思います。
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中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから