フルスピード社と提携して、Ahrefsが日本語化されました(プレスリリース)。優れたバックリンク調査ツールがまた1つ身近になり、SEOに関わる方々にとって、ありがたいことかと思います。日本語で無いとレポートなどの敷居も上がるかと思います。
日本公式LP:https://ahrefs.jp/
拡張機能サイトURL:https://ahrefs.com/
SEOツールもGoogleの方針に従ってその主要な機能を変化させております。この記事を書いた当初2013年は「バックリンク調査ツール」「リンクビルディングツール」という打ち出しでした。
しかし今は、コンテンツの重要性が高まっていることもあり「キーワード調査ツール」「競合他社トラフィック調査ツール」「オーガニックでのマーケット調査ツール」「ローカルSEOツール」そして「コンテンツ作成支援ツール」といった機能がメインとなっています。
今後はAI検索への対応や、LLMに取り込まれた際にどのような文脈で出てくるかなど生成AI対策などの機能や、コンテンツ作成部分の効率化などが進むかと思います。この辺りは最新情報を追う必要があります。
さておき、当記事についてはアーカイブ的な意味もこめて2013年当時の記事として、バックリンク調査ツール(リンクビルディングツール)についてと「いろいろあるけれど、いったいどれを使えばいいの?」という内容となります。
1.有名なツールとは?
バックリンク調査ツール(リンクビルディングツール)はこれだけではありません。(※リンクビルディング=リンク構築)
Ahrefs以外に有名なのは
- Moz・MozPro(旧:OpenSiteExplorer(MozScape))
- MajesticSEO
- Semrush
- AYIMA ※ツールサービス終了
- RavenTool
- SEOSpyGlass
- ubersuggest by NEIL PATEL
など。
「御三家」としては
- MozのOpenSiteExplorer(MozScape)
- MajesticSEO
- Ahrefs
ではないかと思います。(2024年現在は Semrush や NEIL PATEL 等の方がメジャーかもしれません)
御三家の中で日本でも古参SEO界隈で有名なのはやはり「Moz」でしょう。Yahoo! SiteExplorerが廃止され、その後に代替ツールとして最も注目されたのがMozのOpenSiteExplorerでした。
元々の知名度が比較的高かったことや、APIの使い方に関する情報がネット上・公式ともに分かりやすく書いてあったこともあり、代替APIとしてMozのOSEに乗り換える人が、割合としてかなり大きかったのではないかと思います。しばらくしてAPI制限が厳しくなったので…
当時私も、シロウトプログラミングでYSE亡き後の競合比較ツールを作りましたが、それもOSEのAPIでした(メンテナンスが大変で閉めてしまいましたが)
現在は、Moz以外のツールも進化を繰り返し、恐らく御三家の三国時代になっているのではと思います(利用者数などは調べていません、印象&推測です)
Ahrefsは2011年にローンチしたようです。
2011年の9月頃に海外の有名なバックリンクチェックツールを記事にした際(→海外で使われているバックリンクチェックツール11+10選)にはAhrefsはその中にありませんでした。
急成長したのかもしれません。
2.いったいどのツールを使えばいいのか?
しかしこうなってくると気になるのは「どのツールが最も優秀なのか?」ということです。
価格的には、若干MajesticSEOが安めなものの、それ以外は大差ありません。
具体的には、メインとなるプランは2013年時点では(2024年価格追記、円安がきついですね)
- SEOmoz PRO:99ドル/月から ※9,000円くらい → 2024年:99ドル/月から ※14,500円くらい
- MajesticSEO:49.99ドル/月から ※4.500円くらい → 2024年:50ドル/月から ※7,250円くらい
- Ahrefs:79ドル/月から ※7,000円くらい → 2024年:99ドル/月から ※12,500円
どのツールが良いかというのは、海外でも定期的に話題になっています。
“OSE vs Maj vs WMT vs AHREFS” と、WMT=ウェブマスターツール(※現在のSearchConsole)と並べて4つ比較されます。
3.単純比較は難しい
しかし、比較はなかなか難しいところがあります。
どこのツールも自前のクローラを回していますが、全てに同じ品質でリンクデータを提供するのは難しく、どうしてもムラというか意図せぬ得意不得意があるからです。
「1つのツールで全てはまかなえない、だから3つ全部使っている」という声も少なくありません。
また、ツールごとに数値のネーミング基準が微妙に違うこともあり、ややこしいです。
最近では比較記事に対し、SEOspyglassのサービス元が反論するなんていう事も起こっています。このあたりは、争点そのものが興味深いので改めて記事にします。
なにはともあれ、単純に「こっちのツール方が優れている」という状況では無く、実際に使ってみて、自分の業務や欲しいアウトプットと照らし合わせて、使いやすい物を選ぶのが、ベストです。
4.参考:SEObooksによる比較調査
SEObooksが2012年9月に行った比較調査があります。
これは、
- 対象サイトは「Search Engine Land(https://searchengineland.com/)」
- 数字の出し方と調査方法が、正確に書かれている
- 調査法がおかしいなどのコメントがついていない、受け入れられている
という状況で、参考になる実験結果です。
その結果をここで簡単にご紹介します。ツール選びの参考になれば幸いです。
記事はこちらです。
▼Ahrefs vs Majestic SEO vs Open Site Explorer: Which SEO Link Analysis Tool is Best?
4.1.比較調査したツールと元記事の結論
比較したのは「SEOmoz OpenSiteExplorer」「Ayima」「MajesticSEO」「Ahrefs」です。
結論から言えば
- Ahrefs
正確性、検知性能ともに高いレベルでバランスの取れたツール - SEOmoz
正確性は高い、フィルタリングが厳しいせいか細かいリンクはあまり出ない。バックリンク調査には不向きだが、無価値なリンクをフィルタしてくれるので、競合比較には向いている。また、それ以外のSEO関連ソリューションもあるので、初心者はまずこれでは - MajesticSEO
とにかくバックリンクの検知数が多い。しかし、生きていないリンクや意味の無いリンクも多く検知している。バックリンク調査に使うと選別の手間が大変。しかし「リンクの増減」などのモニタリングやメンションツールとしては最適
という結論になっています。
もし3つを全部使うとしたら
- Ahrefsで競合1サイトごとのバックリンクを調べる
- MajesticSEOで自サイトや注目しているサイトのバックリンクの日々の変化をチェックする
- SEOmozで特定キーワードの競合サイトと自サイトの比較をする
といった使い方になるのかなと思います。
4.2.実際の調査結果
ここからは、元記事がその結論に至った調査結果です。グラフは原則元記事からの引用です。
4.3.SEL(Search Engine Land)のバックリンク数比較
まず単純にバックリンク調査を行っています。外部リンクだけを抜き出しています(SEOmozのTotalLinkはデフォルトでは内部リンクも含んでいますが、このグラフはそれを除いたものです)
結果としては、MajesticSEOとAhrefsが圧倒的に多いです。MozScape=SEOmozはかなり低く、MajesticSEOの10分の1もありません。
リストアップしてくれる数はMajesticSEOが圧倒的、そして続いてそれほど劣らずにAhrefs、かなり少ないのがSEOmozのようです。Ayimaは今回趣旨から外れるのでコメント致しません。
4.4.その中で「生きているページ」だけを抜き出すと?
しかし、先ほどの結果をそのまま信じて良いかというとそうでもありません。
リストアップされたリンクが実際に「生きているか」が肝心です。そこで元記事ではクローラを回して、HTTPレスポンスが200かどうかを調査しました。それが次のグラフです。
赤色が「実際に生きている(と思われる)ページ」です。
これを見ると、MajesticSEOが検出したリンクのうち、かなりの数が「既に存在していないページ」だと分かります。感度が高い故にノイズも多いようです。Ahrefsがここで一位に躍り出ます。SEOmozは少ないながら、正確性はかなり高いことが分かります。
4.5.さらに「そのページが生きていても、リンクが無くなっている」状態では無いか?
元記事では、これだけでは不十分だと述べます。なぜなら、ページ自体が残っていても、そこにリンクが「一時的に」貼られていただけの場合もあるかもしれないから、だと。例えばディスプレイ広告やコメントスパムなど。
そこで、それをチェックするクローラを回して調査したのが次のグラフです。
緑色が、きちんとリンクが現存していたページです。
これを見ると
- 生きているリンクの検知数はAhrefsが最も多い
- MajesticsSEOは、リンクの検知性能は高いがその分ノイズ的な物が結構多い(53.73%の残存率)
- SEOmozは、絶対数は少ないが、正確性が高い
ということが分かります。
また、これに加えて「PageRankが1以上ついているサイト」について「CブロックのIPがユニークな数」でフィルタリングしたところ以下の結果になりました。
なんとMajesticSEOが最下位になってしまいました。
1ページの中に複数リンクがあった場合を1とカウントせずに、そのリンクの数だけカウントしたり、あるいはJavaScript内のURLなど「リンクではない」ものもカウントしているのかもしれません。
4.6.この結果を踏まえると
この結果を踏まえて元記事が出した結論が以下です。(若干本文を読んだ上で意訳・追記しています)
- Ahrefs
正確性、検知性能ともにバランスの取れたツール - Moz
正確性は高い、フィルタリングが厳しいせいか細かいリンクはあまり出ない。バックリンク調査には不向きだが、無価値なリンクをフィルタしてくれるので、競合比較には向いている。また、それ以外のSEO関連ソリューションもあるので、初心者はまずこれでは - MajesticSEO
とにかくバックリンクの検知数が多い。しかし、生きていないリンクや意味の無いリンクも多く検知している。バックリンク調査に使うと選別の手間が大変。しかし「リンクの増減」などのモニタリングやメンションツールとしては最適
5.結局は「使い道に合わせた物を」
このように、一見Ahrefs一押しのように見える状態になってしまいましたが、決してAhrefs一択だとは思いません。
実際私は、Ahrefsの前はSEOmozを使っていましたが、ページごとのソーシャルの言及数もエクスポート出来たり、また、OpenSiteExplorer以外にも、内部要因チェックツールやSEOクローラなど便利な機能もあり、トータルとしてとても良いツールです。
MajesticSEOも、日々の変化などを把握したり、あるいは虱潰しに調べるときにはこれ一択です。そもそもデータがなければ始まらないのですから。
私の場合は、リンクをしてもらえる可能性があるところを探ったり、ペンギンリカバリや対策を行ったりすることが少なくない関係で、Ahrefsが一番使いやすいのでこれを使っています。SEOmozがバージョンアップしたらまた出戻りするかもしれません(実際一度出戻りしている)。
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幸い、どのツールも30日のトライアルが用意されています。1つのメールアドレスで1回しかトライアルできませんが、フル機能を使えますので、実際に使ってみて、使いやすいものを選ぶのが良いのです。
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから