SEOを自社ではなく外部にアウトソーシングする、あるいは伴走支援を受ける企業は多いでしょう。内製化できている方が珍しいと思いますし、内製化が正義というわけでもありません。
餅は餅屋という言葉が示すとおり、税金・税務・財務は税理士に相談するのと同じようにSEOも専門家の助けを借りる方が一般的には効率が良いです。
しかしここで問題になるのは「どこに頼めば良いのか?」です。
そこで今回は、意外と知られていない公式コンテンツの1つ、Google公式の動画「良いSEOの専門家を雇うためのヒント」の内容を踏まえつつ、SEOを依頼する先の選び方について取り扱います。
Googleの動画が日本語化されていないこともあり、私見を多めに挟みつつ私の言葉でエッセンスを紹介できればと思います。
では具体的にどういうポイントをおさえて「人や会社を選ぶ」のがよいのでしょうか?
大きく3つのポイントがあります。
目次
抑えるべき3つのポイント
ポイント1:強い言葉のSEO情報・発信者は避ける
SEOにおいて「誰かだけが知っている」裏技や特別な「トリック」は限りなく少なく、効果のあったものもそれがガイドラインに反する者であれば無効化されています。
15-20年前など、ネットが広く普及する以前であればあったかもしれません。
しかし現代では情報は簡単に拡散し検証されます。そして本当であったとしても多くの人がその情報を使えば、相対的に効果が無くなります。全員が勝つ世界はあり得ません。
SNSなどでそういった発言・情報は少なくありませんが、多くが実際には微妙な物ばかりです。プロフィール欄に誘導あるいは外部サイトでの有料コンテンツなどは私は基本見ません。それで困ったこともありません。
総じて、強い言葉を使う専門家・エージェントに依頼するのはやめた方が良いです。「絶対に成功するDM戦略」とか、ないですよね。SEOは今や「地道で地味な仕事」に近いです。
Googleの方向性に沿っているか、ガイドラインに準拠した施策を行えるかも重要です。企業はペナルティを受けたら大きなダメージだからです。替えがすぐに効かないからです。1つしか取れないcojpドメインに何かあったら大変です。
また、今は外部からある程度あなたがどんなSEO施策を行っているか分かります。リンクを買ったりすればバレるんです。レピュテーションに影響も出かねません。
ポイント2:マーケティング全体ではなく、SEO領域しか分からない人は避ける
マーケティング全体を考えず、ただSEOだけに注力していても成果は頭打ちになることが少なくありません。
- 成果を上げている人たちはSEOだけではなく、ビジネスからマーケティングを考え
- そこから降ろして手段としてSEOを行っている
- 検索エンジンからの集客はあくまでWebマーケティングの一部。他の様々な手段と絡みあっています。
例えば、ユーザーが検索結果でクリックするその瞬間だけに着目するのではなく、ユーザーの購買体験全体を改善する視点が必要です。
リアルの世界も地続きです。特に地域商圏の方はそうですね。
結局「人」なんですよね。
ホームページ以外の接点の方が多いですし、お客さんとの。
ホームページや検索エンジンを過信してはいけないんです。ネット上でどんなに負けていても、平たく言えば人間力で案件は発生することは少なくありません。
また、ポイントの3つ目にも関わりますが、周辺領域が広いのが現代のSEOの特徴です。
特に、触れること必須のコンテンツ作成やキーワード選定に関しては「日本語力」が必要。適当に文章を書けば何とかなる時代ではないのです。
※国語力や日本語力に関してはこちらのwebセミナーをご覧下さい。
また、コンテンツを作るにしても、自分たちが世の中にどんな価値を提供し、誰に何を売るのかというコンセプトメイクをしておく必要もあります。
それがなければ、一貫性のあるコンテンツを作ることができないからです。色々なところで言うことが違う企業なんて誰も信頼しません。コンセプトの見直しから始め、SEOも考慮しながら、お客さんの反応を見ながら全体の施策を組んでいく。
それに現場が動かない場合には、現場で効果が出るものを優先的に取り組まないと進みません。なぜなら、現場にインパクトがあることを提案することで動き出す物だからです。
非常に広い範囲にSEOという領域は広がっています。現場に身を置いて実務やってないと厳しいですねと思います。
ポイント3:システム面が分からない人は避ける
最後のポイントは「システムやプログラムなどに疎い人は避ける」こと。
サーバーや通信の仕組みや、Googleのアルゴリズムに関する知識、お客さまがクラウド型ツールやCMSなどを使っている場合は、そのツールも含めてプログラムやデータベース周りなどの領域にも取り組む必要があります。
自分でできれば最も良いです。そうではなくても、少なくともお客さまとシステム会社、そのお互いの共通言語を持つ翻訳者となれることは必要です。
WordPressが普及したことにより、大規模なサイトではなく中小規模のサイトでもシステムやプログラムが絡むことが日常茶飯事になりました。
サイト全体を外見上だけ見て意気揚々と提案書を作っても、ふたを開けてみたらクラウドツールを使っており、ほとんどカスタマイズできず実行不可能なこともあります。
事前にどんなシステムを使っているのか、その中でどんなことが実現可能なのかを把握することが必要です。自社での開発やオープンソースを改造している場合などなら改修は可能ですし。
- 依頼した時にどれくらいお金がかかりそうか
- お客さんに代わって指示が出せそうか
- どこをゴールにするか
- 仕様を定義できるか…
適切な妥協案を見つけ、お客さんが理解できるようにするなどがとても大事になってきます。また、お客さまからのニーズも高いです。
企業に対してSEOをやるなら、システムの専門家との対話が必要だと考えた方が良いです。
海外のSEOerの情報を追っているとシステムの話とか普通にたくさんでてきますし。
また、大規模サイトを中心に必要な「テクニカルSEO」はまさにシステムの事が分からないと出来ないことです。
クローラーの制御や、大き情報の効率的な伝達方法、情報の整形などなど…。
1ページ1ページチューニングするような世界ではありません。システム的な見方をしデータを使っていかないと無理です。
今の時代の流れを考えればAIに関する知識も必要になるでしょう。
3つのポイントのまとめ
成果の出るSEOを行える人やSEO会社を選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントでした。
「Googleの方向性を理解しているか」「SEOの領域に留まっていないか」「システム面に関しても知識があるか」です。
Googleの方向性を理解することは非常に重要。また、SEOの領域に留まらず、ビジネス全体を考慮できるかどうかが重要です。SEOだけでなく、マーケティングやセールスなど、ビジネス全体の視点を持っているか?システム面に関する知識も必要。工数削減も出来ますしね。
動画で出てくるこの3つは私も現場感として重要だと思う所です。
そして大事なこと
その上で、お客様が動けるようにしないと、SEOの施策はなかなか進まない
ここまでを押さえた上で最後に重要なポイントです。
SEOに限らず、サイト改善の最大の難関は
SEO担当者あるいはSEO業者の提案を実行できる社内の時間を確保できるかどうか
です。組織全体でSEOの改善に取り組むためには、時間だけでなく、そのための体制を整えることも大切です。
SEOの改善を依頼する前に、組織として受け入れ準備をおすすめします。あるいはそこから依頼することをお勧めします。
決してお客様のせいにするつもりはありません。
しかし現実的にお客様が動かないと、Webマーケティングの改善はほとんど進みません。時間が足りない場合でも、できることから実践できるようにすることが重要です。
これは経営者・上役の役目ですね。下の人が担当者レベルで言ったところでなかなか組織動かないですからね。
皆さんは、アドバイスを請うことに遠慮する必要はありません。
専門家は皆さんの状況を理解した上で、紙砕きをしてくれるはずです。ただ、わかりにくいことを説明されても、解決策が見えないという状況は避けたいですね。質問をする権利があるので、皆さんどんどん遠慮なく質問してください。
有名な人が実務的に優れているかは、分からない
また、有名だからといってSEOが現場で実行できる人とは限りません。これはSEOに限らずWeb業界全体でそうとも言えますが…
SEO業界は非常に競争が激しく、離れるとすぐに置いていかれるため、知名度で判断することは避けた方が良いんじゃないかなと思います。
※啓蒙活動をミッションとして尽力されている方は例外です。
知名度って「過去の蓄積」ですから。現在どうなのかは別問題です。
実際私がSEOに限らず「凄いな…」と思う方で、いわゆる有名な人は1人もいません。
知る人ぞ知るという感じです。素晴らしい仕事をされています。
名前は出せませんが。彼らは勝手に仕事が来るために、目立つ必要はないのです。
SEOに関しては、10年-15年前さらにその前を思い出すと本当に混沌としていました。主としてGoogleのスパムやブラックハット対策、情報発信や対話などにより、そして産業としての自浄作用により来れでもずいぶんすっきりしてきています。
昔を思い出せば、怪しいSEO塾が多数存在していました…当時はそれは大きく問題視されておらずむしろ攻略のような形でみな当たり前のように抜け道やテクニックを探していました。
正直言えば、私自身も今考えれば15年前くらいにはそっち系の塾に入ってコンテンツを読んで試したりしていましたし。
しかし現在ではSEOのそのインスタントなスキルアップへの道が閉ざされたこともあり、SEO人材は減っています。
まとめ
というわけで、長くなりましたがSEOの専門家を雇う際のポイントでした。
ポッドキャストの話題を再構成してお送り致しました。ぜひPodcastもご覧下さい。
検索エンジンの代名詞とも言えるGoogleが近いうちに、対話型検索エンジン・AIチャットボット式と言われる検索「Bard」のベータ版が近日中に出てくると予想されています。
BingやNeevaAIなどが既に同様の機能を実装していますが、影響力が段違いに大きいGoogleが出すことで今後の流れを作るものとなるでしょう(そういえば、Yahoo!はどうするんでしょうね)
改めてSEOへの取組が重要になります。
今回の内容が、皆さんのお役に立てば幸いです。
※こちらにも関連するコンテンツがありますので、ぜひ後ほどご覧下さい
「SEO業者(代理店、コンサルタント)とは| Google 検索セントラル | ドキュメント | Google Developers」https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/do-i-need-seo?hl=ja
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから