デジタル人材の確保は多くの企業にとって大きな課題となっていますが、外部に頼るのではなく自社内で育成していくことが重要です。しかしそれは完全にインハウス化・内製化するということではありません。それは非現実的ですし、デジタルに限らず目指すべき崇高な姿でもありません。
必要なのは、社内と社外をつなぎ翻訳する「コネクター」になる人材やチームを作ることです。それが「デジタル人材」言いかえると「現場をデジタルに繋げることができる人材」なのです。
本記事では、マーケティングコンサルタントの視点から、デジタル人材の確保と育成について解説します。
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私が独立して仕事を始めたのは、大学在学中の21歳頃でした。それから20年以上経つわけですが、デジタルやウェブの人材が不足しているという状況は、実はあまり変わっていません。人材が豊富だった時代があったのかというと、正直そうは思えません。
結論から言えば、人材不足は確かに深刻な問題ですが、専門のデジタル人材を採用するのはやめた方がいいでしょう。現場経験のない人材は役に立ちません。あえて「兼務」でデジタル人材を育成していくことが大切です。会社としてもナレッジを蓄積していく前提で変えていくことをお勧めします。
外部人材に頼らず、社内で兼務させながらデジタル人材を育成すべき
事業会社の担当者の方から、「人材がなかなか得られないから、最近セールスも多いし、外部からマッチングやなどで得るしかないでしょうか」という話を聞くことがあります。しかし、私はお勧めしません、短期プロジェクトが限界です。それ以上の中長期でうまくいった例は、過去を振り返ってもあまりありません。
うまくいっている会社の特徴は、売る場所と作る場所の距離感が近いということ。
売っている場所のフィードバックがしっかりと作っている場所に伝わり、作っている場所は売る場所の空気感を理解している。このように、売る場所と作る場所の距離が近く、その間をつなぐ人材がいることでユーザーの移ろう興味関心を摑みつつ、地に足の着いた商品性を保つことができます。
ネガティブに語られがちな「兼務」が強い
これは、あなたのビジネスを理解している人でなければ無理です。つまりはマッチングなどで引き合った外部の人間には難しいのです。また、同様の理由で「専業」で人を雇うのもオススメ出来ません。実は、ネガティブに語られがちな「兼務」が強いのです。
だからこそ、兼務でデジタル人材を育成していくことをおすすめします。兼務なら業務を軽減できますし、中小企業であれば、最初からフルタイムでデジタル業務だけをする人材は必要ありません。むしろ、兼務で現場にフィットさせていくことが大切なのです。
完全なインハウス化・内製化は非現実的
一方で、デジタル人材を全て社内で揃えようとするのも現実的ではありません。デジタルに限らず、全てを内製化するのは容易ではないですし、そもそもそれが目指すべき姿でもないのです。
必要なのは、社内と社外をつなぐ「コネクター」となる人材
そして、中小企業に本当に必要なのは、社内と社外をつなぎ、翻訳する「コネクター」となる人材やチームを作ることです。
「コネクター」とは、現場をデジタルにつなげられる人材
「コネクター」とは、言い換えれば「現場をデジタルに繋げることができる人材」のことです。彼らは社内の現場感を理解しつつ、デジタルの知識や外部リソースも活用できる存在です。営業や事務など、他の部署の人材が兼務でデジタルに携わることで、現場感を持ちながらデジタルの知見も深められるのです。
デジタル人材というと「プログラムが書ける」「SNS等に詳しい」「SEOが分かる」「広告をうまく運用出来る」などテクニック面やスキル面に注目されがちですが、そういった、最終的な「何をする」の部分は外注で良いのです。
中小企業にとって必要なデジタル人材は「こうなりたい、をデジタルの力で実現することができる、橋渡し、翻訳者のような存在b」です。あるいは、それを引き出してくれる人材です。
現場感を大事にしながら、デジタル人材を育成する
デジタル人材を育成する際、課題になるのは誰がそれを教えるのかということですね。
極論言えば、2000年代に頑張っていた会社は、自分たちで頑張っていました。いろんなところから情報を集めて、自分たちでトライアンドエラーを繰り返していたのです。特に経営者がもともとダイレクトマーケティングをやっていたようなケースでは、この傾向が強いですね。
できれば、このように自分たちでプロセスを経験するのが一番いいのですが、最初は難しいかもしれません。
そういう場合は、うちのようなコンサルティング会社や制作会社、ダイレクトマーケティング会社など、気に入った担当者がいるところに相談するのがいいでしょう。1年ぐらい伴走支援を受けながら、あとは自分たちでやっていくという形がおすすめです。
OJTは非常に効率が良いです。
付記:デジタルは販売に関わる全ての人が知っておくべき
今の時代、デジタルは販売に関わる全ての人が知っておくべきものです。特に広報やマーケティングに関わる人は、アナログの媒体だけでなく、デジタルの媒体についても理解しておく必要があります。
検索エンジン経由なのか、AIなのか、広告なのか、ソーシャルメディアなのか。これらは並行して存在するものなので、それぞれの担当者が個別に任せるのではなく、少なくとも共通言語として持っている必要があります。販売部門だけがうることを考えているとしたら危険です。
経営者自らがデジタルに取り組むのはありだが…?注意点も
一番早いのは、経営者自らが興味を持ってバシバシやってくれるパターンですが、さすがにそれは従業員が少ない小規模事業者でないと難しいでしょう。
ある程度の規模になったら、経営者はウェブマーケティングではなく、経営に専念すべきだからです。従業員が何十人もいるのに経営者がSEOや広告の最前線にいるなんて事があってはいけませんし、そういうことを言う業者は避けた方が良いです。
「今のところは経営者がやるしかないが、いずれ外部無いし従業員に移管する」前提で動くべきです。
大企業でもデジタルへの取り組みが不十分なケースが多い
大企業でもデジタルへの取り組みが全然できていないことがよくあります。大企業が失敗するパターンは、大企業だからという理由で有名な会社に丸投げして失敗するケースですね。最近ではニュースにもなることがあります。丸投げはダメなのです。
まとめ:「コネクター」となる人材を育成し、社内外をつなごう
人材不足は確かに深刻な問題ですが、専門のデジタル人材を採用するのはやめた方がいいでしょう。現場経験のない人材は役に立ちません。それよりも、自社で兼務しながらデジタル人材を育成していくことが大切です。
また、この分野の人材は「Web担当者」という言葉でまとめられがちですが、セルフイメージを狭めるので良くないと思います。2世代前くらいの言葉だと思います。デジタル担当者の方がいいかなと。
さておき、外部に丸投げするのではなく、社内で「コネクター」となる人材を育成していくことが重要です。現場感を持ちつつデジタルにも精通した人材が社内にいれば、外部リソースも効果的に活用できます。
お悩みの場合はお気軽にご相談下さい。チャットでのプロセス含めた伴走支援が効果的です。
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから