ここまでで、基本的なフローについてのお話は終わりです。 とはいえ、これだけではなかなかイメージがつかみづらいのです。 そこで、「ある程度WEB 上でマーケティングを行ってきた会社」と「WEB サイトを持っているだけで特に何もしてこなかった会社」について、活用までの仮想事例を作りました。
具体的なイメージ作りとしてご活用下さい。 また、要所要所に細かいフォローも入れていますので、すでにイメージができている方にも楽しんでもらえるかと思います。
「ある程度WEB マーケティングを行ってきた会社」として、工務店を例にします。
この会社が動画コンテンツをどう活用していくには、どうしたらいいのでしょうか。 ストーリー形式で進めていきたいと思います。登場人物は主に「営業部長」「若手の制作担当」の2 人です。
前提と取り巻く環境
以下の2 点が前提です。
- 内外装のリフォームを全般的に行なっている工務店である
- 大きな費用や時間的コストをかけずに行いたいという希望
会社としての強みと現状の営業は
- 地域密着50年の歴史
- 技術力にはそこそこ自信はある
- お客さんは、突然の電話か人づての紹介がメイン
- ホームページは既に持っており、見た人からの問合せが多くて月に1~2件程度
- 社内に多少PCやWEBに詳しい人がいる
会社を取り巻く環境としては
- 一戸建てが多い住宅地がいくつか近くにあり、地域商圏として需要は見込める
- 付近に同じような会社は数社ある、どこも同じくらい老舗
- 取り扱っているサービスはどこも表面的には同じ
を想定します。 また、その中で現状としては
- 潜在的ニーズはあるが、同業で取り合っている状態。
- どこも特に差別化などしているわけでもなく、紹介と偶然に頼っている状態。
- 自社は技術力が優れていると思っているが、それを上手く打ち出せているわけではない。
という状態です。 複雑になるので、今回他社についてはおおまかなイメージで進めます。 会社名は仮に「三引工務店」としますね。サンプル=3Pull ということで…。
ステップ0:仮説立案
三引工務店は、相変わらずぱっとしない景気の中、近所の方や大手デベロッパーの仕事を細かくこなして経営を保っています。 しかし、この状況がもう少し悪化すると危険な状態に入りかねません。今のうちに何か手を打っていこうと思います。
そこで社内で議論した結果、WEB からの集客をもっと増やせないか?という流れになりました。
じゃあ具体的にはどうしようか…と考えていた時、「この間大手HM がYouTubeでCM を流していて、結構見られてるみたいだった、動画を上手く使えないかな」と言う声が、若い人から上がりました。
「動画って、文字じゃ伝わらないことを伝えられるんっすよ」
この言葉に、営業部長がなんとなくピンと来た様子です。 とは言っても、今までのDM や訪問、電話などとは全く異なる「動画」という媒体で。どんなことをしていいかさっぱり見当がつきません。
CM を作れば良いのか?とも思い、ちょっと知り合いに聞いてみましたが、小さい動画でも最低100 万円からという費用に、これは無理だと思いました。 そこで、自社で動画を作り、なんとかできないかと考えています。
さて、ここからどうすべきでしょうか。 まずは仮説を立てるところからです。
お客さんは何を知りたいのか?
まずは、動画以前の問題としてお客さんは何を知りたいのか?ですよね。 それについては、三引工務店も、WEB サイト作成時に制作会社と一緒に色々と考えたようです。 その時の結論としては
- お客さんは実際に施工された人の声を聞きたい → 営業的うたい文句はもう信用できないから
- 他とは違うウリとされている部分を、分かりやすく知りたい → よく分からないものを良いと言われても納得がいかないから
- 実際の施工の状況や仕上がりをリアルに知りたい → 言葉だけではなくて、リアルにどのような結果になるのか知りたい
- どんな人が家に来るのか知りたい → 特に主婦の方は、家の中に入る人がどんな人なのか知りたい。 なぜなら、怖いから。旦那もいないし…。
という点をあぶりだし、それぞれについて文字と写真でコンテンツを作りました。 この経緯があったので、WEB 上で何を出せばいいか?はこれに合わせることにしました。
※この過程を踏んでいない場合
もし、この過程を踏んでいない場合は、まずはこれをやってみてください。一緒に既存WEB サイトも改善するので一挙両得です。 大前提として、今の買い手は昔と違い「直接相対せずに情報を知りたい」と思っています。
なぜなら、会ってしまうと買わなくてはいけない気持ちになるから。 「量販店でむやみに声をかけられたくない、売り込まれるから…」と思われたことはありませんか?それと同じ気持ちなのです。
現代は、昔と違い店舗に行かなくても、営業マンに直接会わなくても情報がいろいろなところから手に入るので、売り手との直接接触は最後になるまで避けられてしまいます。 なので、まずはこの「知りたい情報に応える」ことが最初の関門。
WEBサイトのコンテンツ作成の王道は「お客さんが知りたい情報」をいかに分かりやすく伝えるかなんです。 「あなたの会社がアピールしたいことを伝える」のではありません。それはただの自慢話です。 お客さんの知りたいことをまずは把握するのがスタート地点です。
まずは既存コンテンツを元にして作っていこう
後は、では動画ではどうするか?ですね。これは
「動画って、文字じゃ伝わらないことを伝えられるんっすよ」
この言葉が象徴的です。文字だと伝わらないことがあるんです。 そこで、まず最初のステップとしては、新しいコンテンツを動画で作るのでは無く既存の文字+画像コンテンツで上手くいっていない部分を動画で何とかできないか考えることをお勧めします。 では、今の自社WEB サイトに載せている情報が、きちんとアクセスしてきた見込み客に伝わっているか考えてみて下さい。
考えずとも、直接聞いてしまってもよいですね。 そこで三引工務店もアンケートをし、お客さまの声を聞くと、見てみたけどイマイチぱっとしなかった、よく分からなかったと言う意見が少なからずありました。
なので、動画導入の最初のステップとして、この中で動画で改善していけそうなところを動画で実際に改善する、と言うことに決まりました。 この背景には、営業部長が会議の中でポロッとこぼした「お客さんの言葉」が影響しています。 それは、
「大工さんって怖いと思ってたけど、話してみると、みんな明るくていい人なんだよねぇ~」
という言葉です。 その時部長は
(こういうことを先に伝えられたら、もっといろいろうちのことを、分かってもらえるのだろうなぁ)
と思ったそうです。 当時はどうしたらそれが実現できるのか分かりませんでした。 しかし、動画を使うことで、それが実現できるのではないかと思ったようです。
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コンテンツ一覧
- スタートアップブック:目次
- 第1回:そもそも動画マーケティングとは?
- 第2回「こんな言葉には要注意」
- 第3回「動画の力は検索エンジンの中で発揮される」
- 第4回:事例「家庭用プラネタリウムを買いたい人」
- 第5回:本当はみんな見て触って確認したい
- 第6回:効果のある動画を作る4ステップとは?
- 第8回:効果のある動画を作る4ステップ(ステップ2)
- 第9回:効果のある動画を作る4ステップ(ステップ3)
- 第10回:効果のある動画を作る4ステップ(ステップ4)
- 第11回:仮想事例1:工務店が動画を活用するには(前半)
- 第12回:仮想事例1:工務店が動画を活用するには(後半)
- 第13回:仮想事例2「WEBにあまり力を入れて来なかった場合」
- 第14回:副産物・そして全体のまとめ
- 第15回:おわりに