第349回:アテンションエコノミーの世界で”注目最優先コンテンツ”に溺れるとスキルアップは出来ない

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

このPodcast/書き起こしで得られること(要点)

  • 注目を集めている情報から学び始めると、自分の軸ごと借り物になりやすいこと
  • スキルアップはノウハウ集めより先に、その分野の世界観をつかむことから始まること
  • 仮説を持って他人の意見と比べることで、振り回されにくく深い学びに変わること

今回は、アテンションエコノミーの世界で学ぶときに、何に気をつけるべきかという話です。今は情報が多すぎるので、何かを学ぼうと思った瞬間に、まず「目立つもの」「分かりやすいもの」「今みんなが見ているもの」が先に飛び込んできます。便利ではあるのですが、そこからそのまま学びを始めると、スキルが積み上がる前に、自分のものではない価値観が中に入りやすいんですね。

私はWebの担当者の方や、社内でスキルアップしていきたい方と一緒に仕事をする中で、そこにかなり大きな分かれ目があると感じています。遠回りに見えても、自分の中に仮の軸を持ったうえで学んだほうが、最終的には深く身につきます。

注目最優先コンテンツが学びの入口をねじ曲げる

たとえば何かを学ぼうと思ったときに、「何を学べばいいかから調べる」「役に立ちそうなものを探す」「今の流行りを見てみる」という入り方をしていないでしょうか。こういう入口自体が全部悪いわけではありません。ただ、それで最終的な学び方まで決めてしまうのは危ないと私は思っています。

なぜかというと、今の世の中で前に出てくる情報は、まず注意を引くものだからです。YouTubeの再生回数、検索結果の上位、いいねやシェアの多さ。こうしたものは、中身の良し悪しだけで前に出てきているわけではなく、まず「見たくなる」「気になる」と思わせる強さで勝ち上がってきています。つまり、私たちが最初に触れる情報の多くは、内容の相性よりも注目の集めやすさで選ばれているんですね。

これは広告や集客の世界では自然なことですし、それ自体を否定するつもりはありません。ただ、学びの入口までそれに預けてしまうと、本来自分に必要なものよりも、目立つものに引っ張られやすくなります。ここがまず最初の落とし穴です。

学びは世界観の把握から始まる

私は、何かを学ぶというのは、単に知識を集めることではないと思っています。最初に必要なのは、その分野をどう見るかという世界観をつかむことです。Webマーケティングであれば、「何を大事なものとして見るのか」「どういう基準で良し悪しを判断するのか」という考え方・方向性が先にあり、そのうえで個別の指標や施策の意味が見えてきます。

たとえばページビューやコンバージョンレートも、言葉の定義だけ覚えても実際の現場では使えません。その数字が何を表していて、どんな場面で意味を持つのかという背景があって初めて、問題の理解や次の行動につながります。つまり、世界の考え方・方向性を知ること、事象を理解すること、そこから自分の行動を決めること。この順番で積み上がるのが本来の学びだと思うんです。

ところが、アテンションエコノミーの中では、この最初の世界観の部分まで、インスタントに渡されやすいんですね。「これが正しい考え方・方向性です」「今はこう考えるべきです」という形で、根っこの部分ごと入ってきます。ここを考えずに受け取ってしまうと、その後に学ぶ知識まで全部その土台に引っ張られてしまうんですよね。

借り物の価値観では軌道修正できない

自分の中に仮の考えもないまま、人気のある人や権威のある発信を丸ごと取り込んでしまうと、無防備な価値観のインストールが起きやすくなります。しかも今は、それが起きやすいように情報の側も加工されています。分かりやすく、断定的で、乗ったほうが得だと思わせる形で次々に入ってくる。これは本当に怖いことです。

怖いのは、正しいか間違っているかをその場で決められないことよりも、後から修正しにくくなることです。広告はこう使うもの、SNSはこう動かすもの、お客さまにはこう接するもの。そうした前提が借り物のまま固まると、うまくいかない場面にぶつかっても、どこを直せばいいのか自分で分からなくなります。

学ぶほど自由になるどころか、学ぶほど誰かの考え方に縛られてしまう。私はそこが一番危ないと思っています。昔は情報が少なかったので、自分で考えるしかありませんでした。今は逆に情報が多すぎるので、考える前に何かを受け取ってしまいやすい。この違いはとても大きいです。

仮説をぶつけながら学びを深める

ではどうするかというと、最初から完璧な意見を持つ必要はありません。ただ、自分の中に仮説は持っておいたほうがいいです。自分はなぜこれを学びたいのか、何を解決したいのか、この分野はたぶんこういうものではないか。まずはその程度で十分です。その仮説をぶつけながら、他の人の意見や本や動画に触れていくんです。

その中で、自分の考えと何が合っていて、何が違うのかを見る。違いが言葉の違いなのか、前提の違いなのか、価値観そのものの違いなのかを見ていく。納得できるものがあれば、いったんそれに乗ってみるのもいいと思います。ただし、そこで終わらず、疑問を持ち、他の考え方・方向性にも触れながら、自分の中で組み直していく。そういう守破離のような学び方のほうが、最終的には一本筋の通った力になります。

実際、そうやってスキルを積み上げた方と、表面的な情報を追いかける形で学んだ方では、話したときの濃さがかなり違います。懇親会のような場でも、前者の方は言葉の奥に自分の判断基準があります。後者の方はどうしても、誰かの受け売りの範囲から出にくい。差が出るのはそこだと思っています。

だから、私のポッドキャストも鵜呑みにしないでほしいんです。学びに使っていただけるのはとてもうれしいのですが、毎回「とはいえ本当にそうか」と見てほしいですし、違うと思ったら意見も持ってほしい。そういう距離感のほうが、結果的に自分の力になります。

まとめ:自分の軸から学びを始める

アテンションエコノミーの時代は、学びの材料が豊富です。その一方で、最初に目に入るものの多くが、注目を集める力で前に出てきた情報でもあります。だからこそ、学びを始めるときに必要なのは、人気のある答えを探すことよりも、自分の中に仮の世界観を持つことです。

そのうえで他人の意見と比較し、納得できるものを取り入れ、違和感があれば組み直していく。この順番で進めると、流行に振り回されにくくなりますし、スキルも表面ではなく自分の中に定着していきます。学びを急ぐほど目立つ情報に寄りたくなりますが、そこで一度立ち止まって自分の軸を置くことが、結果として一番強いスキルアップにつながります。

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