第176回:導入事例の書き方:読み手が導入後を想像できる構成と伝え方

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

ホームページに導入事例を載せているけれど、商品への関心や問い合わせに、どれくらいつながっているのか分からない。事例は増えてきたものの、写真と実績を並べるだけになっている。そんなことはないでしょうか。

事例は、取材して掲載するまでが大変ですよね。だからこそ、載せた後はそのままになりやすいところです。今回は、今ある事例を見直すときに、どこを見るとよいかをお伝えします。

事例を読んだ人が、導入後の自分を想像できるか確かめる

私がお客さんに導入する商品を選ぶときも、ケーススタディや導入事例は確認します。機能の説明だけでは分からない、「実際に使ったらどうなるのか」を知りたいからです。

事例の役割を少し思い切って言うと、お客さんに夢を見てもらうことだと考えています。もちろん、都合のよい話を作るという意味ではありません。「うちに取り入れたら、こんなふうに変わるかもしれない」と、実際の事例に自分を重ねてもらうということです。

どの会社に、何を、何台入れたのか。いつ導入したのか。そうした情報は必要ですが、それだけでお客さんが導入後の姿を思い浮かべられるでしょうか。商品の仕様やスケジュールを載せただけでは、使う人にどんな変化があったのかが見えません。

これはB2Bに限った話でもありません。B2Cの事例でも、写真がたくさん並んでいるだけだと、見た方は「きれいだな」で終わってしまうかもしれません。そのサービスを受けて、何が変わり、どんな気持ちになったのか。コメントや説明もあって初めて、自分の場合を想像しやすくなります。

読みやすさを、お客さんの言葉で見直してみる

改善するときの一つ目のポイントは、理解しやすさです。社内の人が読めるかではなく、その商品を検討しているお客さんが、無理なく読めるかを見てください。

専門用語が続いて、何度も読み返さないと分からない。そんなページを見ると、私自身、「このサービスを使うのも大変そうだな」と感じることがあります。それだけでなく、「この会社の方は、こちらの事情をあまり考えてくれないかもしれない」と思ってしまうこともあるんですね。

商品そのものは使いやすく、サポートも丁寧なのに、説明の仕方で違う印象を持たれたら、もったいないですよね。お客さんが普段使っている言葉で説明し、文章だけでは分かりにくいところは図やグラフも使ってみてください。

誰にでも簡単にすればよいわけではない

ただし、すべての事例を、誰でも読める簡単な説明にそろえる必要はありません。専門的な内容を理解している方に検討してほしい商品なら、その方に必要な詳しさがあります。

対象ではない方からの問い合わせが増えて、対応に追われてしまうことも考えられます。簡単か難しいかだけで決めず、どんな方に読んでほしいのか、その方にとって適切な説明になっているかを確かめましょう。

結果だけでなく、そこへ至るまでの話を伝える

もう一つのポイントは、事例に話の流れがあることです。数値や事実を一つずつ並べるだけでなく、困っていた人が何を考え、何を選び、どう変わったのかを伝えてほしいのです。

例えば、業務が効率化したという数字があったとします。その数字に加えて、「その結果、週末にこんなことができるようになった」と分かると、生活や仕事が変わった様子まで想像できます。数字を減らすということではなく、その数字が使う人にとって何を意味するかまで伝えるわけです。

記事の最初で導入後の変化が分かり、その後に経緯をたどれると、読み手も入りやすくなります。例えば、次のような流れです。

  1. 導入前には、どんな問題で困っていたのか。
  2. 解決策をどう知り、ほかの選択肢と何を比べたのか。
  3. なぜ、この商品や会社を選んだのか。
  4. 導入してから、どんな苦労や工夫があったのか。
  5. その結果、仕事や生活がどう変わったのか。

「導入しました。よくなりました」だけで終わらず、その間にあったことも見せてください。入れただけで何もかもうまくいったわけではなく、最初は大変なこともあった。それでも取り組んで、今はこうなっている。その流れがあると、お客さんも自分たちに置き換えて考えやすくなります。

現場の話を記事にできる人を、社内で育てていく

こうした事例を作るのは、仕様や実績を並べるより手間がかかります。文章に慣れていないと、「そこまでは書けないから、今のままでいいか」となりがちです。

でも、本当に役に立つ商品なのに、そのよさが伝わらず、お客さんが別の商品を選んでしまったらどうでしょう。「うちを使ってくれたらよかったのに」と思っても、伝わっていなければ選んでもらえません。

私もコンサルティングでは、事例を外から読んだときの印象をお伝えし、「ここに説明が欲しい」「こういう写真があると分かりやすい」といった提案をすることがあります。そのときに必要なのは、社内にある情報や、お客さんとの間で実際に起きた話です。

その素材を拾い、読んでもらえる形に整える力は、社内でも育てていきたいところです。担当者だけに任せきりにせず、どう情報を集め、どう記事にしたかを共有しておけば、人が変わったときにも引き継ぎやすくなります。

まとめ:今ある事例を、お客さんになったつもりで読んでみる

事例を増やす前に、今ある一つを読んでみてください。お客さんが無理なく理解できる言葉になっているでしょうか。困っていたことから、選んだ理由、導入後の変化までが分かるでしょうか。

事例で伝えたいのは、実績の多さだけではありません。「自分たちにも役立ちそうだ」と考えてもらえることです。写真や数値は残しながら、そこにいる人の話を加えていく。まずは、その見直しから始めてみてください。

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