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今回の内容について
今回は中小・小規模事業者がコンテンツを作成するときに必ずおさえておきたい「ストーリー」の話です。
コンテンツは「今」だけを切り取っただけでは、反応が頭打ちになりがちです。
そうではなく、「過去」そして「未来」まで含めて作る事ができると、属人的・定性的なサービスはもちろん、型番商品であっても反応アップが見込めます。
今回はその理由と、最初の一歩についてお伝えしています。
エピソード詳細
今回のテーマですが、ストーリーというところですね。
これはうちが戦略を立てる時にも、ホームページのコンテンツを作る時にも特に意識している部分です。
文字おこし・ShowNote
目次
- 1 今回の内容について
- 2 エピソード詳細
- 3 文字おこし・ShowNote
- 3.1 中小企業はストーリー性を重要視するべき
- 3.2 なぜストーリー性を持たせることが重要?
- 3.3 過去と未来を意識するとストーリーがついてくる
- 3.4 今を切り取っただけの説明では顧客は評価が難しい
- 3.5 売る側からストーリーを出して、情報伝達を完結する
- 3.6 「今」という瞬間の情報だけでは伝えきれない
- 3.7 比較検討のための情報が肥大しすぎてしまった
- 3.8 選ぶという行動はものすごくパワーが必要
- 3.9 お客さんが「自分を納得させるために」
- 3.10 ストーリーに大事なこと
- 3.11 買い手の「比較」は一定の所で止まる
- 3.12 貫けるような「オンリーワン」を持ってる企業なんて殆ど無い
- 3.13 まとめ
中小企業はストーリー性を重要視するべき
基本的にすべてのものに対してストーリー性を持たせる、あるいは感じさせるというところを、中小企業の方々は特に重要視した方がいいです。基本的にはすべて行ったほうがいいですね。
例外としては、本当にスペックとか、そういったものだけで完全に評価されるような商材を扱っている場合ですね。
例えば、ITの部品、パソコンの部品ですとか、性能だけで判断されるようなものであれば、ストーリー性を出したところであまり効果がないという意味で、別にやらなくてもいいかもしれません。
そうではなくて、一般的な人間が絡む、定性的な要素が入ってくるサービスですとか、それから定量的な部分が大きくても、他社との競争が激しい業界などであれば、ストーリー性を盛り込んでいくことはプラスに働きます。
なぜストーリー性を持たせることが重要?
では、なぜストーリー性を持たせることが重要なんでしょうか。
まず1つは、単純に、分かりやすい・伝わりやすいっていうところです。これだけでも大きなメリットですね。
もう1つは、そもそも買う側・情報を受け取る側としては、その「前後」、「ストーリー」というものを知りたいっていう欲望があります。
なのでストーリー性を持たせるっていう事は、実に効果的です。
過去と未来を意識するとストーリーがついてくる
そもそもストーリー性を持たせるというのは、どういうことでしょうか。これは、私が考えるイメージとしては、ストーリー性が無いものは「現在」なんですね。
時間軸で言えば過去・現在・未来というふうに一般的に分かれますけれども、その中の「現在」だけを切り取ったものがストーリー性が無いもの、と考えてもらうのがわかりやすいでしょう。
それに対してストーリー性があるものというのは、最低限、「過去」があって現在がある。そしてできれば「未来」ですね。未来に関してはちょっと入れづらいこともあるとは思います。
最低限でも過去の時間軸が組み込まれているか。その商品なりサービスなり、皆さん自身なりを説明するときに、時間軸まで意識してその情報を出しているか、っていうところですね。
今を切り取っただけの説明では顧客は評価が難しい
さっきの2つの項目に戻りますけれども、分かりやすいっていうのはどういうことなんでしょうか。
例えば、ある商品とかサービスが、昔こういうことをやっていて、こういう風になっていて、お客さんからこういう要望が多いから、今はこういう形のサービスになっているんですよ、と過去を含めて説明します。
色々な改良を経てこういう状態になっているんですよとか、あるいはその定型的なサービスじゃない場合にはこういう生産体制になっているんですよとか、それから型番商品を売っているにしても取り扱っている商品の幅とか、ラインナップとか、それから対応する体制とかに対しても、昔はこうなっていてこうだから今こういう風になってるんですっていう形で、過去を見せていきます。
一方、今という瞬間のスナップショットを取っただけの商品説明、これこれはこういうもので、こういうスペックでこういうものです、という所だけ書いてあると、それぞれの評価が難しいんですね。
それがいいものなのか悪いものなのか、その特徴や押しているポイントが、本当に価値があるものなのか、そういうのがわからないんです。
売る側からストーリーを出して、情報伝達を完結する
もちろんいろいろな比較検討する中で、自分で過去を調べてくれればいいですね。
昔のこういった類の製品というものはこういうところが課題で困っていたんだけれども、どこも解決していなかったのが、最近はここの会社がそれに対してこういう解決策を提示したと。
それでできたのがこの製品だよ、みたいなことを自分で調べてくれればいいわけなんですけれども、そこまでやってくれる人は少ないです。
そこまでやってくれない人に対しても、自分たちの中できちんと情報の伝達を完結させてあげられないと、なかなか裾野が広がっていかない、販売先が広がっていかないっていうことになりますよね。
「今」という瞬間の情報だけでは伝えきれない
今この瞬間のスナップショットだけでは、伝えられる情報が非常に少なくなります。それに対して、なぜその機能が付いたのかという経緯や、全世代からどういう進化をしてきたかという情報を付加することによって、自然とそれが判断基準になります。
昔はできなかったけれど今何ができるようになったのか、どういう経緯でそれが追加されたのか、またどういう軸でサービスを選ぶかという判断に役立つ情報をどんどん入れ込むことができるのです。その中で、自分たちの進化の歴史を示すことができます。
さらに言えば、これまでの歴史を示すことで、この先への期待まで意識してくれる人もいます。そこまで含めての商品になっていきます。これは今を切り取るスナップショット的な見せ方に比べて、相当な付加価値が付いている状態です。
比較検討のための情報が肥大しすぎてしまった
昔は自分で商品を選択するための情報をなかなか手に入れられませんでした。そこにWEBが現れて、自分に最適な商品を比較検討できる時代になりました。
では今どうなっているかというと、あまりにも比較検討のための情報が肥大しすぎてしまって、比較検討することに疲れてしまっている状態です。
本当は自分が納得できる立ち止まりポイントを見つけたいというのが、今の情報探索者の根本的なニーズです。
昔なら、例えば服を販売している店は近所に2店舗しかないので、どちらかで買うしかないという状態でした。そこに車を出すと遠くのお店にも行けて選択肢が増えて、その中から一番良いものを選ぶのがせいぜいでした。
しかし今はそんなところはとうに過ぎています。
大型ショッピングモールに行くと、下手すると一日で全店舗回り切ることができません。良さそうな商品を見つけても、この先の店舗でよりお得なもの、より合うものがあるかもしれないと考えたりします。そうなると、良いなと思っても決めることができません。
選ぶという行動はものすごくパワーが必要
売り手側として最悪なパターンは、顧客が歩き疲れて「今日はもういいや」と帰ってしまうことです。選ぶという行動はものすごくパワーが必要なので、ある一線を越えた後は、実は早く自分を納得させてくれるものに出会いたいと思っているのです。完全に比較検討したいという人はほとんどいないと思います。
普通の人は検索結果に膨大なものが出てきても、そこそこの比較にとどめて、この中から選べばいいかなと考えます。
現状たくさんの同業他社がいるので、比較検討は本当に大変な作業です。そんな中で皆さんがどうするべきかというと、「探せばより良いものはあるかもしれないけれど、ここで買っておけばいいか」と思わせるべきなのです。
お客さんが「自分を納得させるために」
自分を納得させるためには、付加価値的な、定性的な情報のほうが響きます。それが一番分かりやすいのが、ストーリーだというのが私の結論です。商品については、過去と未来も含めて情報を与えていきます。もちろんそれを裏切らないようなフォローが必要だし、商品のアップデートは必要です。
そして人が重要になるサービスであれば、会社概要、スタッフ紹介、ブログが重要です。なぜこの事業を始めたのか、このサービスが現状に至るまでどのような出来事があったのか、こういったことが商売全体の付加価値になります。
もちろん、昔からあるような資本金や取引先の情報もあるに超したことはありません。ただしそれだけでは、今は通用しません。あとありがちなのは、独りよがりな創業秘話や商品開発秘話です。「よく分からないけれど俺たち頑張ってきたんだぞ」ということが書いてあるようなものは、むしろ反応を落とします。
ストーリーに大事なこと
ストーリーを出す時に大事なことは、こちらから提供する情報がお客様にとって身近なものとして捉えられることです。
商品やサービスに興味はあるけれど会社概要を見てもピンとこないケースがありますが、それは「君たちはそうなんだろうね」という内容が書いてあるだけで、自分にとってどうなのかという点に達していないのが原因です。
もしストーリーが書いてあれば、お客様が「それっていいね」「そこに着目してこうなっているんだ」と自分に結びつけられる内容になっていることが非常に重要なポイントです。
昔から通販やダイレクトマーケティングに使われてきた漫画を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
直接その商品についてうんぬんもあるかもしれませんが、そうでなくても創業のきっかけや苦難を乗り越える過程自体が、お客様が抱える問題と似ているとか、同じようなことで苦労してきているとか、そういうことでも良いのです。
そうして、お客様が共感するようなストーリーを出していけると、非常に反応が良くなります。
全てが現在というスナップショットで作られてしまっている大手ECモールサイト(amazon等)では、店舗がないので本当に「今」だけが並んでいます。
それがamazonの特徴でもあるのですが。そこと普通のHPを比べた時に受ける印象を想像してもらうと、分かりやすいと思います。
買い手の「比較」は一定の所で止まる
お客様は皆比較検討すると考えがちですが、比較はある一定のところで止まります。なぜかというと、毎年扱われる情報が増えているので、手に負えなくなるからです。
WEBで比較検討できるようになったから、他社に絶対的に勝てるようにしないと売れないという印象を持つ方は結構いらっしゃいますし、そういう売り込みをする会社もあります。
貫けるような「オンリーワン」を持ってる企業なんて殆ど無い
しかし、実際企業がオンリーワンの何かを持っていることのほうが稀です。業界が100種あって、お客様が持つ各業界の判断基準の軸が20あったとしたら、全国で100×20=2,000の軸しかなくて、それぞれにオンリーワンがあるとしたら、2,000企業しか当たらないということになってしまいます。
でも国内の中小企業だけでも400万弱くらいあります。この全てにオンリーワンを見つけられるわけがありませんし、そうしなければ売れないというのであれば、これまで商売してこられていないはずです。
お客様は、そこまできちんと比較しきっているわけではありません。納得できれば選んでくれるのです。ちょっと高かろうが、自分に関係ない部分が多少劣っていようが、問題ではありません。
ボーダーラインを越えていて、信頼できて、選ぶ理由を他者にきちんと説明できる、そういった点さえクリアしていれば、別にオンリーワンやナンバーワンにならなくても売れていきます。
そしてお客様に納得してもらうために重要になるのが、ストーリーなのです。ぜひ皆さんのHPコンテンツ、メインビジュアル、キャッチコピー、会社案内、スタッフ紹介がスナップショットになっていないか、独りよがりになっていないかチェックしてみてください。
おかしい点があれば第三者を交えながらどうしたらきちんと伝わるかを考えていくと、見えてくるものがたくさんあると思います。
まとめ
これがうまくいくと、HPがいきいきしてきます。生きるということは過去があるということなので、HPの中でも過去や、これからどう成長していくかという未来が見えると印象が変わってきます。ぜひそういう部分を盛り込んでいただければと思います。