第282回:オンライン接客を対面の再現で終わらせない。非対面ならではの価値を作る

オンライン接客を始めたものの、対面のときのように伝わらない。お客様の反応もつかみにくい。そんなとき、対面でやっていたことを、そのまま画面越しに再現しようとしていないでしょうか。

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。私は、非対面の接客を考えるときには、非対面だからできることから組み立ててみることをお勧めしています。その方が、お客様にとっても選ぶ理由のあるサービスを作りやすいからです。

対面と同じにすることを、目標にしない

対面ではできたのに、画面越しではできない。そうした違いはあります。相手の様子の見え方も違いますし、商品に触ってもらうことも、同じようにはできません。

ここで対面を理想の状態に置いてしまうと、「足りないものをどう埋めるか」ばかり考えることになります。でも、自分たちの工夫だけでは埋められない違いもあるんですね。

非対面という条件を受け入れたうえで、お客様に何を提供できるかを考えてみてください。対面との違いを減らすことだけが、良い接客を作る方法ではありません。

私もご相談を受けるときには、やり取りの仕方まで含めて、非対面で提供するサービスを組み立てることをお勧めしています。対面のやり方から少し離れると、考えられることが増えてきます。

お客様が自宅にいることも、接客に生かす

例えば、家具や暮らしに関わる相談を考えてみてください。お客様が自宅から話しているなら、部屋の配置や今使っているものを、その場で見せてもらえるかもしれません。

サイズを確認したり、部屋の雰囲気を共有したりしながら相談できる。お店で説明を聞くだけでは伝えにくかったことを、お客様の側から見せてもらえるわけです。

また、店頭に置いていない商品も、資料やデータを共有しながら説明できることがあります。画面を通しているから不便、で終わらせると、こうした使い方が見えなくなってしまいます。

お客様がいる場所や手元にあるものを生かせると、非対面ならではの相談のしやすさが生まれます。自社の商売なら、どんな場面で役立つかを考えてみてください。

接客方法に合わせて、商品やサービスも組み直す

今の商品を、そのまま非対面で売ろうとしてもうまくいかないことがあります。実際に触れたり、その場で作業をしたりすることが欠かせないサービスなら、画面越しのやり取りだけで完結させるのは難しいですよね。

その場合は、説明の仕方だけを変えるのではなく、何を提供するかまで考える必要があります。非対面で提供できる内容を、別のサービスとして用意する余地がないか、ということです。

非対面に合う商品やサービスを、接客の進め方とセットで考えると、無理な置き換えを避けられます。今あるものをすべて画面の中に収める必要はありません。

対面にはこういう良さがあり、非対面にはこういう良さがある。「どちらがご都合に合いますか」と聞けるくらい、それぞれに選ぶ理由を作れるとよいと思います。

距離と時間の制約が変わることも考える

非対面で提供できるようになると、遠くのお客様ともやり取りしやすくなります。近くに来てもらえる方だけを対象にしていた商売でも、届けられる相手が変わるかもしれません。

さらに、同じ時間につながっていなくても利用できる内容なら、お客様の都合のよい時間に受けてもらうことも考えられます。距離を越えられることと、時間を合わせなくてよいことは、分けて考えると分かりやすいですね。

誰が、どこから、どんな時間に利用できるようになるかを見ると、サービスを広げる方向が見えてきます。対面でできないことを補うだけでなく、今まで届けにくかった相手へ届けるという考え方です。

ただし、自社のサービスで本当に提供できるかは確かめる必要があります。お客様にとって使いやすい形と、自社が続けられる形を一緒に考えていきたいところです。

伝わりにくいときほど、お客様が判断できるようにする

オンラインでは情報が多く、自分たちの説明を見てもらうだけでも大変です。そこで、何とか相手を動かそうとして、納得するための説明を飛ばしてしまいたくなるかもしれません。

でも、その場で買ってもらうことだけを目指しても、後から「なぜこれを買ったんだろう」と思われてしまったら、良い関係は続きません。私は、相手が考えずに動くように仕向けるより、判断しやすくなるように情報を伝えることを大事にしたいと思っています。

お客様が価値を理解して、気持ちよく「買う」「買わない」を決められる接客を目指してください。説明に興味を持ってもらう工夫と、相手の判断を置き去りにすることは別です。

サービスの魅力を伝えるときも、何ができて、何ができないのかを分かるようにする。対面と非対面のどちらが合うかを選んでもらうためにも、そうした説明が必要です。

買わなかった方にも、次につながる印象を残す

営業の結果を見るとき、買ってくれた方だけに目が行きがちです。でも、そのほかの方にどんな印象が残ったかも考えていただきたいんですね。

「悪いサービスではないけれど、今の自分には必要ない」と思われることと、「しつこい会社だな、もう関わりたくない」と思われることでは、その先が違います。

今は選ばれなくても、必要になったときに相談できる相手として残ることが大切です。目の前の反応を取るために、将来のお客様との接点を失ってしまってはもったいないと思います。

非対面ならではの価値を作り、それをきちんと理解して選んでもらう。接客方法の工夫と、お客様との関係の作り方を、両方あわせて考えてみてください。

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