第97回:デザイン案の判断基準が分からないとき、制作会社に何を聞けばよいか

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

制作会社からデザイン案を見せてもらったものの、何を基準に判断すればいいのか分からない。そういうご相談は、いろいろなところからいただきます。

かっこよく見えるし、社員もいいと言っている。でも、本当にこれで決めていいのか。デザインの仕事をしてきた方でなければ、悩むのも無理はないと思います。

今回は、提示された案にどう接するか、それから自分の中に判断の材料をどう蓄えていくか。この二つについてお伝えしたいと思います。

分からないまま、デザイナーの説明にうなずかない

デザインを提案してもらうと、色や配置についていろいろな説明があると思います。そこで「専門家が言っているんだから、きっといいものなんだろう」と、よく分からないままOKを出してしまうことがあるんですね。

私自身、最初はDTPのデザイナーでした。そこからWebを独学で学び、Webデザイナーとして独立して、今のコンサルティングに至っています。紙とWebの現場を経験してきて感じるのは、デザインの専門用語や考え方と、普段そういう仕事をしていない方の感覚には、やはり隔たりがあるということです。

だからといって、「理解できない自分がいけない」と考える必要はありません。ホームページを見るお客さんも、多くはデザインの専門家ではないですよね。その方々に、会社の価値やメッセージが伝わらなければいけないわけです。

分からないところは、自分たちが理解できる言葉で説明してもらってください。 専門家の判断基準に、無理に自分を合わせなくていいんです。

色や配置を選んだ理由を、一つずつ聞いてみる

私がデザイナーだったとき、何度も教わったことがあります。A4一枚のチラシでも、B2のポスターでも、「なぜここにこの色を使ったのか」「なぜここにこの図形を置いたのか」を、お客さんに聞かれたら説明できなければいけない、ということです。

なんとなくでは駄目だと言われると、作るときにも考えます。これを見る人に何を感じてほしいのか、そのために何を選ぶのか。デザイナーは、伝えたいことを形にする翻訳者であるべきだと、私は思っています。

案を見せてもらったら、例えばこんなことを聞いてみてください。

  • この部分に、この色を使ったのはなぜですか。
  • 同業他社のサイトと違う配置になっていますが、どういう意図がありますか。
  • コーポレートカラーと少し違って見えますが、何を狙っていますか。

きちんと考えて作っている方なら、選んだ理由を話してくれます。その説明を受けて「なるほど、そういうことだったんだ」と理解できるか。ここを見てほしいんですね。

意図を聞き、納得できない部分を伝え、必要な修正を相談する。 このやり取りを重ねて、双方が納得できる形にしていくのが、私のおすすめする進め方です。

ただし、皆さんとデザイナーだけで盛り上がり、お客さんの目線を置き去りにしては困ります。自分たちの好みに合うかだけではなく、お客さんに何を伝えようとしているのかを確かめてください。

デザインの意図を、問い合わせ対応や接客にもつなげる

説明を聞くことには、もう一つ大きな意味があります。なぜ自社のホームページがこのデザインで、この言葉や写真を使っているのかを、自分たちも理解できるようになることです。

実店舗で考えてみてください。お客さんから「素敵なお店ですね。どうしてこういう色合いにしているんですか」と聞かれたとき、スタッフが「よく分からないです。最初からこうだったので」と答える。あるいは「私はあまり好きじゃないんですけどね」と思っている。

それでは、お店が大切にしていることに沿った接客は、なかなか難しいと思うんですね。

「こういう気持ちで、こんな時間を過ごしてもらいたいから、この内装なんです」と分かっていれば、スタッフもそれに沿った行動を取りやすくなります。経営者の立場で言えば、そこまで社内に伝えられているか、という話です。

ホームページで伝えている雰囲気と、その後の電話・メール・サービスの対応には、一貫性が必要です。 問い合わせを得た後にも、お客さんとの接点は続きます。

そこで期待と違う対応をしてしまうと、商談が進まなかったり、利用後の満足度が下がったりしかねません。デザインを理解することは、画面の見た目だけの問題ではないんです。

納得できる説明をしてくれる相手と進める

質問しても、納得できる説明がもらえない。そんなときは、私はお客さんに「そこへ頼むのはおすすめしません」とお伝えしています。

もちろん、昔から本当に信頼している人で、能力もよく知っているから任せたい、という場合はあるでしょう。ただ、そういう関係がないまま「なんだかよさそうだから」で進めるのは、やはり気になります。

デザイナーと発注する側は、対等に話をしてよい関係です。 分からないことを聞くのに、気後れしなくていいんですね。説明を受けて分かったら、「ありがとうございます、そういうことだったんですね」と伝えればいいと思います。

少し強く聞こえるかもしれません。私もデザイナーの側にいたので、「そこまで言わなくても」という気持ちは分かります。それでも、受け取る側が遠慮して、分からないまま進んでしまう場面があるからこそ、ここはお伝えしておきたいところです。

日常の「いいな」を、判断の材料として蓄える

とはいえ、質問する側にも、判断の材料があった方が話はしやすくなります。ぜひ日常の中で、「これ、いいな」と感じたものを少し分解してみてください。

なぜ、こちらではなくこちらを選んだんだろう。丸い形ではなく四角い形がよく見えたのは、どうしてだろう。そう考えると、自分がどこを見ているのかが、少しずつ分かってきます。

ほかの人が選んだものについても、「どうしてそっちにしたの?」と聞いてみる。特に、自社のお客さんに近い方の意見を聞けるといいですね。似ている二つのうち、どこに違いを感じているのかを聞くだけでも、自分とは違う見方に気付けます。

自分がいいと思った理由と、お客さんがいいと思った理由の両方を知っておく。 それが、次にデザインを見たときの助けになります。

全部を覚えておく必要はありません。日々そうやって考えていると、案を見たときに「あのときも、ここが気になったな」と、蓄えたものが出てくるんです。説明を求めるだけでなく、自分たちも学んでいく。その両方があると、デザインについて話しやすくなると思います。

まとめ:デザイン案は、意図が分かるまで対話して決める

デザインの専門家でなくても、色や配置を選んだ理由を聞いて構いません。納得できないところを相談し、お客さんに何を伝えるための案なのかを理解してから判断してください。

デザインの意図を自分たちでも理解し、その後のお客さんへの対応までつなげる。 そのためにも、分かる言葉で説明してくれる相手と進めたいですね。日常で感じる「いいな」の理由も、少しずつ判断の材料として蓄えていきましょう。

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