第138回:Webディレクターの役割とは?何でも一人に求めず、窓口と進行の力を育てる

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

Webディレクターには何を任せ、どんな力を育てればよいのでしょうか。必要なスキルを並べ始めると、企画、デザイン、プログラミング、解析、経営の知識まで、際限なく増えてしまいます。

私が制作の現場で特に大切だと感じているのは、お客さんと制作チームの間に立ち、仕事を円滑に進める役割です。何でも一人でできる人を目指す前に、まずその仕事をきちんと評価していただきたいと思います。

「何でもできる人」より、案件を進める役割を明確にする

Webディレクターという名前でも、実際に担当する仕事は現場によって違います。私が見てきた中でも、進行管理から担当する案件を広げた方もいれば、デザイナーが対外的な窓口を兼ねている場合もありました。

お客さんから質問を受け、社内を調整する仕事ですから、知っていると役立つことはいくらでもあります。経営者と話せる知識も、技術の理解も、あるに越したことはありません。

ただ、持っていると役立つ知識を、最初から一人が全部担うべき仕事にしないでください。幅広いスキルの一覧を、そのまま採用や育成の条件にしてしまうと、どこから手を付ければよいのか分からなくなります。

まずは自社の案件で、ディレクターにどこを担ってもらう必要があるかを考えましょう。私であれば、お客さんへの対応、進捗の把握、社内との調整を、最初にしっかり担ってもらいたいと思います。

分からないことを確認し、相手に伝わる答えを返す

私が一緒に仕事をする現場では、ディレクターに、今中で何が起きているかを確認し、こちらへ分かりやすく伝えてもらっています。すべてその場で答えられる必要はありません。

技術の話を聞かれて、詳しい担当者へ確認することもあります。そのときに、単に質問を転送するだけでなく、相手が何を知りたいのかを確かめ、必要な答えを持ち帰ってくれると、とても助かります。

自分で作業を全部できることより、適切な人へ確認し、相手が判断できる形で返せることが大切です。知識があれば事前に見当を付けやすくなりますが、分からないからディレクターとして失格、ということではないと思います。

お客さんの知りたいことを先回りして伝える。分からなければ、何を確認したいのかを聞く。こうしたやり取りを丁寧にできることも、専門的な力です。

調整がうまくいっていることを、会社として評価する

デザインなら出来上がったものが見えますし、プログラムなら動くものがあります。一方、調整や進行の仕事は、うまくいくほど問題が起きないので、その価値が見えにくいところがあります。

でも、何かあったらこの人に聞けば状況が分かり、必要な調整もしてもらえる。そういう窓口がいる現場と、誰へ聞けばよいか分からない現場では、進み方が大きく違います。

案件が滞りなく進んでいることにも、その人の仕事が表れていると考えていただきたいんですね。ただ間に立って連絡しているだけ、と見てしまうと、大切な仕事を見落としてしまいます。

優れたデザイナーやプログラマーがいても、お客さんが求めるものとうまくつながらなければ、その力を十分に活かせません。社内の仕事を、お客さんにとっての価値として伝える役割も含めて、評価してほしいと思います。

会社の不足を、ディレクター一人で埋めようとしない

お客さんから求められることが増えているのに、会社の中に対応できる人や体制がない。その結果、窓口にいるディレクターが全部引き受けることになってしまう場合があります。

解析も、企画も、制作も、外とのやり取りも一人で、と広げていけば、どこかで無理が出ます。それを本人の勉強不足だけの問題にしてよいのでしょうか。

会社として提供する仕事を、誰が支えるのかまで考える必要があります。ディレクターに窓口を任せるのであれば、その後ろで確認や実作業を担える人も必要です。

大切な人が、つらいだけの仕事だと感じて離れてしまうのは、会社にとっても損失です。役割の大きさに見合う待遇や、仕事を続けられる体制まで含めて考えていただきたいと思います。

窓口と進行の力を土台に、必要な知識を広げる

育成も、最初から全部を求めるより、順序を付けたほうがよいと思います。まずお客さんとやり取りでき、進捗を管理し、社内で意思をそろえて案件を進められること。その土台を作ります。

そこから、もっとスムーズに提案するためには何が必要か、お客さんの要望をより深く理解するには何を学ぶとよいかを考える。企画や経営、技術の知識を、実際の仕事につながる形で増やしていきます。

必要な場面を経験しながら知識を広げられる、育成の道筋を作ってください。一覧にある知識を覚えるだけでなく、使う機会があってこそ力になります。

ディレクターが社内の人の良さを引き出せると、制作チーム全体の力も変わってきます。誰でも代われる仕事と捉えず、会社の仕事を支える役割として育てていただければと思います。

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