第195回:ITツールを導入する前に、社内で何を整理しておくべきか

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

顧客管理や営業支援、Webの分析、業務の効率化。会社でツールを導入しようと思ったとき、まず提供会社を呼んで説明を聞こう、と考えることはないでしょうか。

専門的なことが分からないので、教えてもらいたい。その気持ちは分かります。ただ、自分たちの中で何も考えないまま相談すると、導入する側にとっても、もったいない結果になりやすいんですね。

今回は、ツールの説明を聞く前に、社内で考えておきたいことをお伝えします。

「とりあえず説明に来てください」の前に、困っていることを伝える

「WebやITはよく分からないので、専門家の話を聞いて決めよう」。そうやって人を呼んでも、何に困っていて、何を求めているかが分からなければ、相手も準備に悩みます。

どれくらいの規模の話なのか、どこまで説明すればよいのか。いろいろ用意して訪問したのに、実際に使った資料はほんの一部だった、ということもあるんです。先に分かっていれば、皆さんの課題に絞った提案ができたかもしれません。

ツールの仕組みが分からなくても、自社で何に困っているかは、先に伝えられます。 そこを用意するだけでも、相談の内容は変わってきます。

これは、提供会社の負担を減らしてあげましょう、というだけの話ではありません。皆さん自身も、関係のない説明を聞くより、自社でどう使えるかを話せた方がよいですよね。

提案を作る仕事にも、時間と費用がかかっている

相手の話を聞き、資料を作り、「こう使ってみてはいかがですか」と提案する。それには、人の時間がかかっています。

そうした準備が何度も無駄になれば、提供会社も、どこかでその費用をまかなわなければなりません。利用料や導入費に含めたり、提供する内容を調整したりすることになります。

私が気にしているのは、そうした負担が、結局は利用する側にも返ってくることです。個々の価格が何で決まっているかを一つの理由で説明するつもりはありませんが、準備の手間が消えてなくなるわけではないんですね。

何を相談したいかを考えてから頼むことは、お互いの時間を、自社に必要な提案へ使うことにつながります。

本気で診断し、導入の仕方まで考える提案なら、その仕事自体に対価を払う形があってよいとも、私は思っています。費用を払えば何でもよくなるという話ではなく、提案も一つの仕事だと捉えていただきたいんです。

ツールを入れた後、社内で使い続けられるかを考える

もう一つ気になるのは、深く考える前に入れたツールが、現場で使われなくなってしまうことです。

ツールが勝手に動いて、問題を解決してくれるように感じることもあると思います。でも、業務に深く関わるものほど、今の仕事からどう移行するか、社員にどう覚えてもらうかが大事になります。

機能を選ぶだけでなく、自社の仕事の中へどう定着させるかまで考える必要があります。 そこには、サポートやコンサルティングの役割もあります。

会社の中を一番よく知っているのは、皆さんです。外の人が少し話を聞いただけで、それ以上に分かるわけではありません。

もちろん、社内を調べ、いろいろな方に話を聞き、調整や教育までお願いする方法はあります。ただ、そこまで頼むなら、その分の費用も必要です。その準備がないまま「入れればうまく回るだろう」で進めると、二か月くらいで使わなくなった、ということにもなりかねません。

できるかどうかを決めつけず、変えたい仕事の姿を描く

では、何を考えておけばよいか。まず、今の仕事がどういう仕組みになっていて、何が問題で、どこをどうしたいのかを、自分たちなりに出してみてください。

この作業をこう変えられたら、販売促進がもっと進めやすい。こういうデータが分かれば、判断しやすい。技術的にできるかどうかは、いったん脇へ置いて構いません。

例えば、お客さんに次に訪問するまでの間、もう少しうまく情報を伝えられたらよいのではないか。以前のキャンペーンで反応がよかった内容を、もっと早くホームページへ反映できたらよいのではないか。そういう、普段の仕事から出てくる希望です。

「こういう状態にしたい」という青写真を、自分たちで一度描いてみてください。 それを持って、「実現するには何が必要ですか」「御社のツールで合いますか」「どれくらい費用がかかりますか」と相談するわけです。

数字が取れるなら、それも材料になります。まだ取れていなくても、まずは自分たちの希望や仮説を言葉にするところからでよいと思います。

的外れなことを言わないか、心配しすぎなくてよい

希望を出してみたら、技術的には難しいこともあるでしょう。思ったより費用がかかることもあります。

でも、「そんなことを言ったら恥ずかしいのでは」と、そこで止まらないでほしいんですね。私がご相談を受けるときも、何を変えたいかが分かる方が、一緒に考えやすいです。

実現方法が分からないことと、実現したいことを考えないことは違います。 皆さんが技術的な答えまで用意する必要はありません。そこは相手と相談すればよいんです。

自社の希望と合わないのであれば、無理に訪問や詳しい提案をお願いする必要もありません。先に相談の中身を共有できていれば、お互いに、その判断もしやすくなります。

導入後に困ったときも、最初に考えたことが助けになる

自分たちで仕事の流れを考えていると、導入後に問題が起きたときも、「ここが合っていないのかもしれない」と気付きやすくなります。

社員同士で相談し、使い方や仕事の進め方を直せる場合もあります。何かあるたびに、外へ聞かなければ何も分からない状態とは違ってきます。

導入前に自分たちで考えた過程が、導入後の改善にもつながるんですね。最初の検討は、ツールを買うためだけの作業ではありません。

相手にも、自分たちが何をしたいのかが伝わります。人を介して進める仕事ですから、お互いに話が通じ、気持ちよく取り組めることも、得られるものに関わってくると思います。

まとめ:ツールを選ぶ前に、自社で変えたいことを描いておく

ツールに詳しくなることから始めなくても構いません。今の仕事で何に困っていて、どう変えられたらよいのかを、自分たちなりに考えてみてください。

その青写真をもとに、実現方法と費用、導入後の使い方を相談する。 そうすることで、提案の内容も具体的になり、使い始めてからの改善にも取り組みやすくなります。

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