第354回:Webの成果を支える、社内で育てたい日本語の力

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

WebやITを活用する人材というと、プログラムやシステムに詳しい人を思い浮かべるかもしれません。ただ、それと同じくらい、日本語や国語の力を持った人が社内にいるかどうかは、大事だと感じています。

長い記事を書ける人を育てよう、という話だけではありません。キャッチコピーや見出し、一つの文章が、読む人へどんな印象を与えるか。そこを考え、判断できる人がいることの意味をお伝えしたいと思います。

似たサービスの中で、言葉や応対が選ぶ理由になる

同じようなサービスが並ぶと、お客様は違いを判断しにくくなります。必要な機能や条件がだいたいそろっていれば、価格や場所、やり取りしたときの印象などで選ぶこともあるでしょう。

私も、お客様のためにメールマーケティングのツールなどを選ぶとき、条件に合わせて探すと、どれもある程度大丈夫そうだなとなることがあります。価格帯も似ていて、欲しい機能もある。あとは使ってみた感じやサポート、問い合わせたときの対応を見よう、ということになるんですね。

購入を考える過程で受け取る言葉や対応も、会社を選ぶ材料になります。なんとなく良かったという印象で選ぶこともあれば、その印象が、細かな違いの評価に影響することもあります。

これは、ただ雰囲気で決めるから良くないという話ではありません。相手のことを考えて対応できるか、自分にとって分かりやすい言葉で伝えてくれるかは、その会社のコミュニケーションの力を表していると思います。

ところが、人を育てるときに技術のスキルだけへ目が向き、言葉で伝える力には何もしていないことがあります。それが、もったいない状態を生むんです。

社内にある良さを、お客様に伝わる形へ変える

サービスについて伺うと、こんなこともしている、こんな声もいただいている、ここが他とは違うと、いろいろ出てくることがあります。それなら選ぶ理由になりそうですねとお伝えしても、なかなか伝わらないんです、と返ってくることがあります。

でも、言葉を変えたり、場合によっては動画を使ったりすれば、十分伝えられる内容も多いんですね。

自社の良さを知っていることと、それが相手に伝わる文章を判断できることは、別の力です。社内にその力を持つ人がいると、伝え方の問題が解決しやすくなります。

こういうことを伝えたいから、この文章にしました。外部の制作会社から出てきたコピーに対しても、その言い方はうちらしくない、これではお客様に伝わらないかもしれない、普段はこう説明していますと、具体的に意見を返せます。

自分たちで全部を作らなくても、そうやって関わることで、魅力を伝えられるホームページへ近づけます。社内にそのような人がいるかどうかで、進めやすさが変わることを、日々感じています。

作ることを頼んでも、言葉の判断は社内に残す

システムやプログラムは、欲しい機能や実現したいことをまとめて、専門の会社へお願いできる部分があります。ある程度の知識を持ち、何を頼むかを伝えることは必要ですが、外の力を使う方法があります。

その一方で、自分たちのメッセージを作ったり、上がってきた文章が合っているかを評価したりすることは、すべて外へ出しにくいと思います。

お客様と接している自分たちが、どんな言葉なら伝わるかを判断できるようにしておきたいんです。文章の制作を外注するかどうかとは、また別の話です。

年賀状、DM、セミナーのお知らせなども同じです。誰にどう伝えるかという部分を、外の人へ渡して終わりにしようとしても、うまくいくイメージは持ちにくいのではないでしょうか。

例えば、分かりやすい説明を求める方へ、専門用語を並べてしまう。法律関係などでも、噛み砕いて知りたい人に、そのままの用語で説明すれば伝わりにくくなります。相手に合わせた言葉になっているかを、見られることが大切です。

添削で、自分の言葉がどう伝わるかを知る

国語の力は、もともと文章が得意な人だけのものではありません。私も本を出したり、記事を書いたりしているので、昔から書けたと思われることがありますが、ひどいものでした。

社会人向けの文章の講座を受けたときには、十点中二点でした。たぶん会社で最低だったと思います。受験のときの小論文も、通信教育で最初に戻ってきた点数は、百点満点で十八点くらいでした。

書いたものを見てもらい、直す経験を重ねることで、言葉への感覚は育てていけると思います。私も真面目に取り組んで、一応、本を出せるところまでは来ました。本のときも、かなり直していただきましたけれども。

自分が使った言葉は、相手にこういう印象を与えるのか。順番を変えるだけで、こんなに分かりやすくなるのか、逆に分かりにくくなるのか。言葉に向き合うと、そういう発見がたくさんあります。

文章を書く講座や教材はいろいろありますが、私は、誰かからフィードバックをもらえるものを選んだほうがよいと思います。自分だけで勉強して終わらず、実際にどう読まれるかを確かめられる機会が欲しいんですね。

文章の型だけでなく、伝わり方を判断する力を育てる

ライティングの方法やフレームワークを学ぶことにも、意味はあります。論理的な文章を組み立てる助けにはなるでしょう。

ただ、それだけで語彙が増えたり、どの言葉がどんな印象を与えるかという感覚が育ったりするわけではありません。土台の部分も上げていかなければ、型を覚えたところで伸びが止まってしまいます。

文章を組み立てる方法と一緒に、相手にどう届くかを見て、直せる力を育ててください。WebやITの教育というと関係なさそうに見えるかもしれませんが、会社の魅力を伝えることに直結します。

AIなどを使って文章のたたき台を作る場合にも、その内容が良いか、何が足りないか、どこを直すかを判断する役割はあります。お客様へそのまま見せてよい言葉なのか、自社が伝えたい内容になっているかを見なければなりません。

ゼロから書き出す負担が減ったとしても、出てきたものを評価して調整する力は必要です。そこにも、日本語の力が関わります。会社として人を育てるときに、技術だけでなく、言葉を読むこと、伝えることにも時間を使っていただければと思います。

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言葉を判断する力を、実際の記事の改善に使うときは、Podcast 第509回:文章の伝わり方を見直す5つのポイントも参考にしてください。

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