顧客の購買行動を促進するためには、ただのサービスや商品紹介ページではなく、さまざまなコンテンツが必要です。なぜなら、インターネットの普及により、類似サービスや商品が簡単に比較検討できる時代だからです。
今までは「これでいいかな」と近場を回って決めていたものが、今や国内いや海外まで含めた”世界”の中から、買い手は「自分にとっての最高」を探せます。諸手を挙げて「良いこと」ではないでしょうが、少なくとも選ぶ側はたくさんの選択肢に囲まれているのは事実です。
B2Bにおいて重要な「事例コンテンツ」
では、そのような買い手に対してどのようなコンテンツをWebサイト(ホームページ)上に展開していけば良いのでしょうか。
もちろんたくさんありますが、今回B2Bを前提とするとやはり「事例」の優先順位は高いでしょう。そこで今回は事例(ケーススタディ)にフォーカスします。
しかし事例コンテンツは、事例作成専門会社もあるくらい一筋縄では行かない物です。
よくある失敗例としては
- ただビフォーアフターの写真を載せているだけで何をくみ取ればいいか分からない
- 実際にサービスや商品提供を行ったことによる変化が全く見えない
- 掲載されている声やコメントが匿名で、信頼性が全くない
などです。
余談:お客さまの声を載せられない…と言う方へ
余談ですが、「あまりお客さまの声を載せられないんですよね」とおっしゃるケースがあります、弊社が関わった物ではなくても散見します。
ただ、ごく一部の特殊な世界を除いて「諦めるのは早い」と思っています。
言い方を変えれば「顔出し・本名だしOK」を取れるようにしないといけないのです。それを喜んでやってもらえるような環境作りも仕事のうちです。
匿名希望の感想ばかりが並んでいるお客さまの声ページなんて、誰も信じないのですから。むしろ、他のサービスページに対する信頼感を毀損する可能性すらあります。
何となく文体や内容で分かるケースも少なくありませんが…。
意思決定で最もインパクトがあるのは「事例・ケーススタデイ」
以前にB2Bにおいて最もインパクがあるコンテンツは何かというアンケートを採ったとき、圧倒的に1位だったのは「事例」でした。会社案内や資料なども重要度は高かったですが、事例にはじまり事例に終わるという印象でした。
私も経営者として想像すると納得がいく話です。何せ自分が経験したことのない世界のことが多いわけで、そうすると過去の歴史をおさえて上手くいく可能性の高低をはかるのは自然なこと。歴史から学ぶわけです。
目的・会社規模・予算規模・リテラシーなどの要因が近ければ近いほどインパクトがあります。網羅は難しいですが、事例のカテゴリ作成の際はお客さんが自分をカテゴライズする際の軸を基準にすると良いでしょう。
その軸を持たないお客さまが閲覧しているケースが多いなら、軸を教えてあげるコンテンツをマイルストーンコンテンツとして用意するのがおすすめです。
※マイルストーンコンテンツとは「最初に読んでもらいたい重要なコンテンツ」のことです。多くの場合、そのサービスのコンセプトや、類似サービスの中での自社の特性やターゲットなどを示すページ、判断基準軸を提示するコンテンツが、マイルストーンコンテンツとなるケースが多いです。
「夢を見させるために」事例コンテンツはある、と考えて下さい
その上で事例コンテンツを作る時には、この観点で作りましょうと私はお客さまにご提案させて頂いています。
それは「夢を見てもらえるようなもの」を作るということ。
「ドリーム」というより「イマジン・イメージ」でしょうか。「自分がこのサービス・商品を導入することによってどういう姿に変わっていくのか」という夢を見せてあげるために事例ページを作る。
このことを忘れて、事例だから事実を記載しさえすれば良いと考え、ただただ導入商品のスペックや導入スケジュールなどを並べただけの事例は、機能していない。
そのようなページがその先何かしらのアクションを生むことはほとんどありません。
「ドリルを売るのではなく、穴を売れ」のようなイメージですね。
だから必要な3要素は「過去・現在・未来」です。
- 昔はこういうことで困っていました、そこでこのサービスに出会いました
- 導入の中でこういうことがあり、こういう苦難もありましたが、変わっていきました。今やこんなふうになって大成功です
- これを土台にして今こういうことをやっています、これもやろうと思っています。
- こうなりたい方は、是非検討してはどうでしょうか。
という流れです。
ポイント1:「明瞭簡潔」「理解容易」かどうか
砕いて理解するのが大変なコンテンツは、そのサービスは導入が難しく労力が必要だという認識につながってしまいがちです。先を読みたいと思わせないと、なかなか文章は読まれない物です。
その時に最も大切なのは、細かい所はともかく「明瞭簡潔」「理解容易」かどうか。
最初の一歩を踏み出してもらえれば分かってもらえる系の商品(業務効率化ツールなど)の場合は、とにかく図・グラフ・専門用語を除いた平易な文章を使ったほうが、背中を押すことに繋がります。
※逆に、しばらく忍耐を要するような物は、あまり最初に簡単さを押し出しすぎると後にクレームになったり、少なくとも現場担当者は板挟みになる可能性も。
皆さんが見せている事例が、果たしてターゲットにとって適切な易しさなのか考えてみて下さい。
繰り返しになりますが、これは決して、みんながみんな易しくすれば良いということではありません。きちんと理解できる人だけが問い合わせてほしい、対象外の人たちが入ってくると無駄が多くなってしまうという場合には、あえて難易度を上げていくという戦略はアリです。
ポイント2:ストーリー性を持っているか
必要な3要素は「過去・現在・未来」です。
- 昔はこういうことで困っていました、そこでこのサービスに出会いました
- 導入の中でこういうことがあり、こういう苦難もありましたが、変わっていきました。今やこんなふうになって大成功です
- これを土台にして今こういうことをやっています、これもやろうと思っています。
- こうなりたい方は、是非検討してはどうでしょうか。
という流れと書きました。これは時間軸に沿った物語がある事も重要ポイントです。
なぜかというと、全体の絵面がパッと頭に想像しやすい。ビフォーアフターが、スッと頭に入ってくる。これは数字とグラフを並べるだけでは、うまく伝わりません。
分かりやすいのがベネッセ系というか進研ゼミ漫画ですね。あれは「過去・現在・未来」をまっしぐらに書いています。よく読んでみると結構都合の良い所はありますし、サービスの説明もほとんどないんですよ(笑)でも、伝わる物があるじゃないですか。
ストーリー性のあるコンテンツを書くのは、普通の説明ページを作るより難易度は高いです。ともすれば「やらせくさい」話になりますし逆に「感情移入できない薄い物」にもなりがちです。
しかしそこは一歩踏み出して、お客様がそこで夢を見てくれるようなコンテンツを作っていけるようにしなくてはいけません。
そうでないと、良い結果をもたらしているサービス・製品があっても、そのメリットがうまく伝わらないがために見込み客のよそへの流失につながってしまいます。
ぜひターゲット層に伝わるストーリー事例を作れるようにしてい苦事をお勧め致します。「読みやすくストーリー性を持つコンテンツがあるかどうか」ということは、HPの品質や成果に直結します。
終わりに
Googleは正のフィードバックループとして、検索結果でのユーザー行動を見ています。なので、商品カテゴリー+事例を整理し直すことで、精読率や直帰率が改善し、同時に掲載順位も上がるようなこともあります。SEO的な観点も念頭に置いて、ぜひこの部分に投資してみてはいかがでしょうか。
当社でコンサルティングを行う際には、客観的な印象やコンテンツ作りのアドバイスをお伝えしていますが、皆様でもできる部分はたくさんあります。ぜひトライして頂ければ幸いです。
今回の内容は、Podcastセミナー176回のアップグレード版です。
ぜひオリジナル音声も違う情報がありますのでお聞き下さい。
アップグレード元Podcast
第176回:事例コンテンツ・ケーススタディの反応を上げる為の2つのポイントと考え方 – 中山陽平の会社と経営者を強くする実践WebコンサルティングPodcast
https://roundup-inc.co.jp/nakayama/podcasts/vol176_case-study-headup/
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから