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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- 労働供給制約社会で、中小企業が考えるべき業務改善とは
- 業務の無駄を見つける5つの切り口、古い仕組み、目的不明、会議・調整、過剰対応、空気の仕事について
- AIを入れる前に、自社のどの業務に無駄があるのか当たりをつけられる
- 仕組みで改善しやすい無駄と、個別対応が必要になりやすい無駄を分けられる
今回は、AI活用そのものの話というよりも、AIを使う前に会社の中で見直しておきたい「無駄」について。
最近はAIの話題が本当に増えました。私自身、AIには大きく二つの使い方があると感じています。
- 一つは、できることを掛け算のように増やしていく使い方
- もう一つは、今ある業務の無駄を減らしていく使い方
ただ、「無駄を減らしましょう」と言うのは簡単です。
難しいのは、実際に自社の業務の中から、どれが無駄なのかを見つけること。
なんとなく無駄な気はする。けれども、誰かの役に立っているような気もする。ここまでやる必要はないかもしれない。けれども、やりすぎて悪いわけではないから、そのまま続いている。こうした業務は、現場に入っていると本当に多いと感じます。
労働供給制約社会がどんどんと覆い被さってくる
今回のきっかけは、経済産業省と中小企業庁から出された「労働供給制約社会における中堅・中小企業の稼ぐ力強化戦略」という資料です。
この資料は、強い中小企業を増やしていくために、事業再構築、生産性向上、事業再編、投資、取引適正化、賃上げなどを支援していくという内容です。
大きな方向性としては、労働生産性を高め、事業を変え、賃上げもできる会社になっていく必要がある、という話。
ここで重要なのは、人を増やせば何とかなる、という前提が置きづらくなっていることです。
リクルートワークス研究所の「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」では、働ける人口の減少や、地域によって労働供給が不足していく見通しが紹介されていますので、今回はそれの一部をご紹介します。
中小企業の現場では、すでに人が集まりづらい状況。
そこからさらに人が減っていくなら、今までのやり方をそのまま続けるのは難しくなります。そのため、まず自社の中に残っている無駄を見つける必要があります。
無駄は「何となく」では見つからない
無駄を見つけるときに難しいのは、現場の人ほど、その作業に慣れていて気づきづらいこと。
引き継ぎや日々の処理で手いっぱいになっていると、まずはミスなく進めることが一番大事になります。
もちろん、それ自体は大切です。ただ、その状態が続くと、「そもそもこの手順は必要なのか」「紙でやる必要があるのか」「毎回この会議に全員が出る必要があるのか」といった問いが出にくくなる。
他部署の人から見れば、「なぜまだ紙でやっているのですか」とすぐ分かることでも、当事者にとっては当たり前になっている。そうすると、気づくのは難しくなるんですよね。
部門長や管理職が横断的に見直す。別部署同士でレビューする。新しく入った人の違和感を聞く。こうした仕組みがないと、現場だけではなかなか変わりません。うまく「外」を使う。
業務の無駄を見つける5つの切り口
今回の中心テーマは、企業の無駄をどう分類するか。
リクルートワークス研究所の資料にある27項目をきっかけに、私なりに大きく5つへ整理しました。
切り口1:古い仕組みの無駄
一つ目は、やり方や仕組みが古いことによる無駄です。
- 頻度や一回あたりの業務量が多すぎる作業
- 手順が多いまま放置されている作業
- システム化できるのに紙でやっている作業
- 簡単な方法があるのに、時間がかかる方法で続けている作業
- 手戻りが多い作業
- 誰かのミスや対応遅れによる手待ち時間
こうしたものは、比較的見つけやすく、仕組み化によって改善しやすい領域です。ただし、当事者だけでは気づきにくいものです。そのため、定期的に棚卸しする仕組みが必要です。
切り口2:目的や成果が曖昧な無駄
二つ目は、目的や成果が曖昧なまま続いている無駄です。
- 何のためにやっているか分からないけれども毎回続けている業務
- 上司や関係者が必要だと言うので実施している作業
- いつか利益につながるはずだと信じて続けている作業
- 他社もやっているという理由で、深く考えずに自社でもやっている作業
他社のやり方を真似ること自体は悪くありません。最初は型を真似て、そこから自社に合わせて崩していく。いわゆる守破離のような流れは大切です。ただ、その後の最適化が抜けると、形だけが残ってしまいます。
新しく入った人が「これは一般的なのでしょうか」と疑問を持つことがあります。そうした違和感は、大事にしたいものです。業務に慣れてもらうだけでなく、今の仕事を見直す機会にもなるからです。
切り口3:会議・調整・関係者対応の無駄
三つ目は、会議、調整、関係者対応の無駄です。
- 自分の出番がほとんどないのに、念のため参加する会議
- 議事録を読めば済むのに、参加を求められる会議
- 上司や関係者の意見の不一致に、現場が巻き込まれる作業
- 決裁権がない人たちだけで話し合って、後からひっくり返される打ち合わせ
会議は、始まる前に大枠が決まっているべきことも多いです。管理職同士が事前に詰めておけばよい話を、その場で始めてしまうと、周りの人の時間を奪います。
その会議は意思決定の場なのか。提案づくりの場なのか。情報共有の場なのか。どこまで決めてよいのか。この違いを曖昧にしたまま始めると、会議はすぐに無駄になります。
切り口4:過剰品質・過剰対応の無駄
四つ目は、品質や対応が過剰になっている無駄です。
- 不必要に細かすぎる確認
- 必要以上に高い品質を求められる作業
- 品質に影響しない上司や関係者の好みに対応する修正
- お客様を過剰にもてなすための業務
- 社外にいい顔をするために借り出される作業
もちろん品質は大事です。ただ、すべての仕事で同じ粒度の品質を求める必要はありません。この仕事ではどこまで合わせれば十分なのか。何が成果に影響して、何が好みの問題なのか。そこを分けないと、作業時間は際限なく増えていきます。
切り口5:評価や空気から生まれる無駄
五つ目は、評価、空気、個人都合で生まれる無駄です。
- 付き合い残業
- 長時間働いて頑張っているように見せるための労働時間
- 働いていないと思われるのを避けるためのアリバイ仕事
- 残業代を確保するために作業を引き延ばすこと
- 自身の能力不足によって発生している作業
この領域は、かなり根深いです。
本人だけに責任を負わせても、うまくいきません。
仕組みで6割から7割は減らせるかもしれませんが、残りは個別対応が必要になる。
そのため、最初からここを真正面から扱うよりも、まずは仕組みで改善しやすい領域から手をつける方が現実的です。
仕組みで改善しやすい無駄から、手をつける
今回の5分類の中でも、やり方や仕組みが古い無駄、目的が曖昧な無駄、会議や調整の無駄、過剰品質の無駄は、比較的仕組みで扱いやすい領域です。
もちろん、一つひとつの業務には事情があります。外から見れば無駄に見えても、実は必要な理由があるかもしれません。そのため、単純に「無駄ですからやめましょう」と言えば済むわけではありません。
それでも、問いを立てることはできます。
- この作業は、何の成果につながっているのか。
- この会議は、誰が何を決める場なのか。
- この品質は、本当に必要なのか。
- 紙や手作業で続けている理由は、今も残っているのか。
- 新しく入った人が見たとき、どこに違和感を持つのか。
こうした問いを、個人攻撃ではなく業務改善として扱うことが大切です。
AIに丸投げする前に、ゴールと前提を作る
ここで注意したいのが、「AIに聞けば全部分かるのではないか」という考え方です。
AIは便利です。業務改善にも使えます。
ただ、AIへそのまま投げれば良い答えが返ってくる、というものではありません。
AIは、ゴールや前提を設計しないと、実行に移しやすいアウトプットを返しにくいからです。
たとえば、「このチェックリストに当てはまる業務を探して」とAIに聞いても、自社の具体的な業務文脈がなければ、よくある回答で終わってしまいます。
MicrosoftのWork IQのように業務のコンテキストを読み込める仕組みが整っていれば別ですが、多くの会社ではまだそこまで整っていない。
そのため、順番を逆に考える必要があります。
まず自分たちで、「なぜこの作業が残っているのか」「どこなら手元で楽にできるのか」を考える。
そのうえで、AIやデジタルで部分的に実装できる作業単位へ切り出す。そこまで整理してからAIに相談する。
この方が、現実的に成果につながりやすいと考えています。
違和感を言語化する空気が必要
AI推進や業務効率化が難しい理由は、技術だけではありません。文化や受け入れる気持ちの部分も大きいです。
- 自分たちでいろいろ放置してきたものがあるのだと気づく
- 昔からのやり方を続けているだけかもしれないと気づく
- 会議や確認作業の中に、成果につながっていない時間があるかもしれないと気づく
そうした違和感を、前向きに扱える空気があるかどうかが大事です。
業務改善というと、どうしても「誰が悪いのか」という話になりがちです。
しかし、今回扱っているのは、労働供給制約社会という文脈です。働いてくれる人がどんどん少なくなる中で、今いる人の時間をどう大切に使うかという話です。
そのため、まずは仕組みで減らせる無駄を減らす。そのうえで、残る根深い問題に向き合う。この順番が大切だと思います。
まとめ:AI活用の前に、無駄の正体を言語化する
今回お伝えしたかったのは、AIを使う前に、まず自社の業務の中にある無駄を言語化しましょう、ということです。
人手が増えづらくなる中で、今まで通りのやり方を続けるのは難しくなります。そのため、古い仕組み、目的不明の作業、会議や調整、過剰対応、評価や空気から生まれる仕事を、一度分けて見ていく必要があります。
AIは、その後に使うものです。何でも丸投げするのではなく、ゴールと前提を作り、解決したい作業単位を切り出してから使う。そうすることで、AI活用も業務改善も、より現実的なものになります。
業務の無駄を見直したい、外部の視点も入れて改善したいという方は、ラウンドナップWebコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
参考メモ:ムダの5系統
やり方・仕組みが古いムダ(見直されていない)
- 頻度や1回あたりの業務量が多過ぎる業務・作業
- システムがない・古いことで、紙でやらざるを得ない業務・作業
- 簡単な方法があるのに、わざわざ面倒だったり時間がかかる方法でやっている業務・作業
- 手戻りが多い業務・作業
- 誰かのミスや対応遅れなどで発生する手待ち時間
目的や成果が曖昧なムダ(何のためか分からない)
- 成果や実施の目的が分からない業務・作業
- 自分では必要性を感じないが、上司や関係者が必要だと言うので実施している業務・作業
- いつか利益につながる、日の目を見ると信じられているために行っている業務・作業
- 他社でも実施しているという理由で、深く考えずに自社でも実施している業務
会議・調整・関係者対応のムダ(やり方のムダ)
- ほぼ自分自身の出番はないが、念のために参加している場や、それにともなう業務・作業
- 上司や関係者間の方向性や意見の不一致に対応するための業務・作業
- 上司や関係者からの支援が不足する中で行う業務・作業
- 業務の関係者の能力・努力の不足の穴埋めをするための業務・作業
- 部外者からの思いつきでのアドバイスや提案に対応するための業務・作業
- ポイントが曖昧、長い、同じ話を繰り返すといった上司や関係者に付き合う時間
過剰品質・過剰対応のムダ(やりすぎのムダ)
- 不必要に細かすぎたり、必要以上に高い品質を要求される業務・作業
- 品質に影響がないのに、上司や関係者の志向や好き嫌いに対応するための業務・作業
- お客様を過剰にもてなすサービスに費やす業務
- 社外に、いい顔をするために、駆り出される業務・作業
評価・空気・個人都合で生まれるムダ(めんどうなムダ)
- 付き合い仕事、付き合い残業
- 長時間働いて頑張っていることをアピールするための労働時間
- 「働いていない」と上司や周囲から思われるのを避けるために使っている労働時間
- 残業代を確保するために、増やしたり、のんびり行っている業務・作業
- 自身の能力の不足によって発生している業務・作業
- 自身の成長のためにあえて引き受けている業務・作業
- 自身の評価・評判を高めるためにあえて引き受けている業務・作業
- 必須ではないが、付随的な得があるために行っている業務・作業
FAQ
- 労働供給制約社会で中小企業が最初に見直すべきことは何ですか。
- 人を増やす前提だけで考えるのではなく、まず既存業務の無駄を見つけることです。頻度や手順が多すぎる作業、目的が曖昧な作業、会議や調整に時間を取られる作業から見直すと着手しやすくなります。
- 業務の無駄はどのように分類して考えるとよいですか。
- 今回の内容では、やり方や仕組みが古い無駄、目的や成果が曖昧な無駄、会議や関係者対応の無駄、過剰品質や過剰対応の無駄、評価や空気から生まれる無駄の五つに分けて考えています。
- AIを使えば業務の無駄はすぐに減らせますか。
- AIだけに任せればよいわけではありません。AIはゴールや前提を設計しないと実行しやすい答えを返しにくいため、まず自社で何が無駄なのか、なぜ残っているのかを言語化することが重要です。
- 会議や調整の無駄を減らすには何を確認すべきですか。
- その会議で意思決定するのか、提案を作るのか、情報共有だけなのかを先に分けることが大切です。決めてよい範囲や関係者間の方向性を事前に整えないと、参加者全員の時間を奪いやすくなります。
- アリバイ仕事や付き合い残業は仕組みで解決できますか。
- 一部は仕組みで減らせますが、すべてを仕組みだけで解決するのは難しい領域です。まずは仕組みで改善しやすい業務の無駄から手をつけ、残る問題は個別対応として扱うのが現実的です。
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