第604回:GoogleのSAFEをどう見るか。AIで量産する前に、自社と外注先の制作を確かめる

中小企業を強くするWebマーケティングPodcast — ラウンドナップWebコンサルティング 中山陽平

第604回:Google SAFEとは?AIをコンテンツ作成に使う際に抑えるべきGoogleの動きとは

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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Googleが公開したSAFE(Scaled Abuse Forensics Examiner)という研究を通じて、自社や外注先が、コンテンツをどう作っているか確かめておきたいという話をします。

自分たちでスパムをやっているつもりはなくても、外注先に頼んだ仕事が、実はそうなっていることがあります。新しいお客様にお話を伺うと、「費用も高くないし、効果があるという営業を受けたので、任せたままなんです。内容はよく分かっていません」と言われることがあるんですね。知らないうちに、問題のあるやり方を続けているかもしれない。今回は、その点も気にしていただきたいと思っています。

AI(Artificial Intelligence:人工知能)を使えば、記事や動画を大量に作ることは本当にできてしまいます。作るだけなら簡単ですが、それが負債になり、最悪の場合、Googleからの流入を得られなくなることもあります。今やっていることや、これから受ける営業をどう判断するか。そのために、Googleが何を調べようとしているのかを見ていきます。

SAFEの研究を、Google検索への導入発表と受け取らない

話のきっかけは、2026年9月25日にSearch Engine Journalが掲載した記事です。歴史のあるSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)関連の媒体ですね。Google Researchで公開されたSAFEが、Google検索のスパムアップデートにも関係しているのではないかと取り上げていました。

参照:Search Engine Journal:Google Has Deployed A New AI Spam Detector Called SAFE

ただ、論文で具体的に扱っているのは、YouTubeチャンネルを想定した動画やチャンネル群の不正調査です。この論文から、SAFEがGoogle検索で使われているとは判断できません。2026年9月30日の時点で、9月のスパムアップデートにSAFEが入ったという公式発表も、私は確認していません。ここを拡大解釈した営業もありそうなので、先に区別しておきたいところです。

参照:Google Research:SAFEの研究紹介

論文には「early deployment results」と、初期導入の結果を示す記述があります。ただし、YouTubeの本番で使われているか、使われているならどこまでかは、私には分かりません。内容を見ると、使われていてもおかしくないとは感じますが、Google検索に新しいアルゴリズムが加わったという話として受け取らないでください。

参照:GoogleのSAFE論文:Abstract(1ページ目)

私自身は、Web検索でも同じ方向に進むだろうと思っています。ただ、それは私の見方です。生成AIによって変わったスパムを、Googleがどう見つけようとしているのか。その方向を知り、今のうちに気をつけたいことを考えるための研究として読んでいただければと思います。

動画の中身だけでなく、投稿の仕方やつながりも調べる

SAFEは、大量に作られたAIコンテンツの中から、組織的な不正をAIで調査する仕組みです。フォレンジック調査という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。証拠を集めて調べる、というイメージですね。一つひとつのコンテンツを見るだけでは分かりにくい不正も、周辺の情報と合わせて調べます。

従来のコンテンツ評価というと、まずは中身が低品質か、高品質かという話を思い浮かべますよね。パンダアップデートなど、懐かしい名前です。E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)も、コンテンツの品質を考えるときの観点です。ペンギンアップデートでは、悪質なリンクやプライベートネットワークも問題になりました。内容に加え、リンクなどの関係も見てきたわけです。

参照:Google検索セントラル:E-E-A-Tと品質評価ガイドライン/Google検索ランキングシステムのご紹介:Panda・Penguin

生成AIが普及して、スパムの作り方も変わりました。YouTubeで同じテーマの台本を作り、一定の形式で動画を大量に作る。「そのうち1本でも当たれば、それなりの収益になる」という発想ですね。内容はほぼ同じでも、文章や映像は少しずつ違う。地域ごとの別バージョンを作ることもあります。ここで言うのは、自動吹き替えとは別の話です。まったく同じもののコピーではないので、中身だけでは見つけにくいんですね。

それでも、投稿する量やタイミング、使われるアカウントまで見ると、不自然さが分かることがあります。人間なら「このアカウントと、あのアカウントは怪しいぞ」と気づけても、一つずつ大量に調べるのは大変です。そこで、人間が行う不正調査を、AIで大規模に行おうというのがSAFEの考え方です。

参照:GoogleのSAFE論文:Introduction(1ページ目)

ですから、SAFEを「この動画はAIで作られたか」と調べるだけのシステムと捉えると、少しずれます。どんな内容を、どんな関係にある投稿者が、どう配信しているかまで含めて調べる。コンテンツの中身に加えて、作り方や配信の仕方にも目を向けた仕組みだと考えてください。

AIを使うこと自体が悪いわけではありません。今の時代、AIがまったく関わらずに作る方が難しいのでは、とも思います。Googleが問題にしているのは、価値の乏しいものを大量に作り、検索順位や露出を無理に操作しようとすることです。

参照:Google検索セントラル:AI生成コンテンツに関するガイダンス

SAFEの4つの担当から、何を見ているかを知る

論文では、調査を大きく4つのエージェントに分けています。内容・行動・関係性を調べる3つの担当と、それをまとめる担当がいると考えると分かりやすいと思います。

内容の担当は、既知の違反や見逃されやすい違反を調べる

Content Understanding Agentは、動画や文章の中身を調べます。既知のポリシー違反に加え、従来の検出方法をすり抜けるような微妙な違反も分析する担当です。特定の違反を見分けるよう調整した大規模言語モデルと、少数の事例から新しいパターンを判断する方法を組み合わせています。

参照:GoogleのSAFE論文:Content Understanding Agent(2ページ目)

アンチウイルスソフトに近いイメージですかね。既存のパターンも調べながら、新しいものにもできるだけ早く対応する。私には、これまでの検出を続けながら、日々改善している部分にも見えます。

行動の担当は、投稿の集中や共通する環境を見る

Behavior Understanding Agentは、「何を投稿したか」ではなく、どう投稿しているかを調べる担当です。例えば、次のような情報を見ます。

  • 同じタイミングに投稿が集中しているか。
  • 短時間に大量公開しているか。
  • 異なるアカウントで、端末の環境に共通点があるか。
  • 通信環境などに不自然な共通点があるか。

参照:GoogleのSAFE論文:Behavior Understanding Agent(2ページ目)

論文には、複数のチャンネルで同じOS(Operating System:基本ソフト)のバージョンが使われ、同じ5秒間に投稿が集中する、という例があります。投稿のタイミングと環境を組み合わせて、不自然な活動を調べるわけです。

参照:GoogleのSAFE論文:OSと投稿時間の例(2ページ目)

意図してやっている人は、自分で分かっているのでしょう。ただ、そういうところへ気づかず外注していたり、自社でも「これから動画をやるぞ」と一気に公開したりすると、似た状態になってしまうかもしれません。相当な量の話だとは思いますが、誤検知される可能性もあるのでは、と私は気にしています。自然なやり方で進めた方がいいと思います。

関係性の担当は、チャンネル同士のつながりを調べる

Channel Cluster Understanding Agentは、一つずつのチャンネルに加えて、アカウント同士の関係を調べます。スパムネットワーク全体を把握しようとする担当です。

参照:GoogleのSAFE論文:Channel Cluster Understanding Agent(2〜3ページ目)

投稿内容やタグ付けなどを見て、「このアカウントと、あのアカウントは似ているぞ。実は同じところが動かしているのでは」と考えるわけですね。アカウント間のつながりから、全体を調べるイメージです。

これは、SEOで以前から扱ってきたプライベートネットワークなどの話にも似ています。AIで調査が強化されているのだろうな、と感じます。ただ、最近のスパムアップデートの頻度に、どのくらい影響しているかは分かりません。仮に使われていたとしても、まだ一部なのではという気はしますが、そこも私の推測です。

Root Agentは、3つの担当の評価をまとめる

最後は、おまとめ役のRoot Agentです。管理職ですね。内容・行動・関係性の担当から集まった評価をもとに、組織的な不正なのか、普通の活動なのかを判断します。実質的には3種類の担当と、それをまとめる1人という構成です。

参照:GoogleのSAFE論文:Root Agent(2ページ目)

「これで検索が変わる」という営業とは距離を置く

2026年9月30日時点で、私が把握しているのはここまでです。今後のことは分かりませんが、ここからさらに危機をあおって、「これは絶対に来る」と何かをさせようとする話には、少し距離を置いた方がよいかもしれません。

SAFEによって品質基準が大きく変わったという公式アナウンスも、少なくとも私は確認していません。問題のある活動を見つける方法が、今まで以上に多面的になっているという話です。攻める側がAIで大量生成するようになれば、守る側も進化する。それはそうだろうな、と思います。

SNS(Social Networking Service)を見ていると、「この方法でSearch Consoleの数字がこんなに上がった」といった過激な話も流れてきます。そういう話に安易に乗らないでください。これはGoogleからのメッセージという意味ではなく、私からお伝えしたいことです。

Googleは以前から、SpamBrainなどでポリシーに違反するコンテンツや行動に対処しています。SAFEで急に全部変わったわけではありません。人間なら分かるようなおかしな行動パターンをAIに学習させて、広い範囲を一度に調べられるようにする。そのような方向で見てもらうとよいと思います。

参照:Google検索セントラル:スパム検出システム

別の分野ですが、税務調査でもAIを使うことで、人間だけでは大量にできなかった調査ができるようになった、という話を聞きますよね。私は専門家ではないので、詳しいことまでは分かりませんが、そのWeb版のようなイメージを持っています。

外注先が何を作り、どれだけ効果を出しているか確認する

こうした調査の考え方は、普通のWeb検索にも波及するだろうと私は思っています。ただ、現状でそういう情報があるわけではなく、ここからは想像です。

AIで大量に作った記事をブログへ一気に入れ、それを音声や動画にしてYouTubeへ大量に出す。さすがにやっている方はいないと信じたいのですが、もしやっているなら、多分あまり効果も出ていないでしょうし、この先も厳しいと思います。

それから、「外注先に任せきりで、何をしているか分かりません」という場合は、ちゃんと確認した方がいいですよ。「何本動画を作ります」「何本記事を作ります」と、結果よりも作る本数を押して費用を求めてくるところには、実際にどのくらいの効果が出ているかも確認したいところです。後で大きな負債になる可能性もありますから、この機会にチェックしてみてください。

AIを使った工程を、後から説明できるようにしておく

少し別の問題にも関わりますが、「この画像はAIで作ったのでは」「この内容はAIで作ったのでは。そういうのはよくないですよね」と言われることがあります。中小企業でどれくらい問題になるかは分かりませんが、事実無根でも、説明を求められることはあります。

そのときに反論するには、自分たちがどの工程で、どのツールを使ったかを把握していなければいけません。AIを使うことは全然いいんです。ただ、どの段階で何を使ったか、制作の過程を記録しておくことが、これからのリスクへの備えになるのではないかと思います。

うちの場合は、外注したものも、自分たちが使っているものも、基本的には私が把握して記録しています。「この段階で、これを使った」と、後から説明できるようにしているんですね。でも、それを言えない会社さんも多いと思います。社内でも「実はこれ、AIで作ったんです」ということが分からない場合がありますよね。

その状態が、何年後かに大きな負債になる可能性もあります。どこでAIを使ったのか、問われたときに出せる記録を残しておいた方がよいと思います。今のうちから準備しておきたいですね。

似た内容を展開するときも、一つずつの価値を考える

普通にやっていれば、SAFEのような調査で問題になることはないと思っています。ただ、複数のサイトに同じような記事を一気に出したり、複数チャンネルに切り口だけ少し変えた動画を出したりするやり方は、評価されづらくなる可能性が高いと私は見ています。誤検知への備えも含め、一つひとつを個別に見ても、価値のある内容にしていきましょう。Googleがよく言う、少しふわっとした話ではありますけれどもね。

繰り返しますが、AIを使ったから問題なのではありません。価値の乏しいものを大量生産し、検索結果を操作しようとすることをGoogleは問題にしています。

参照:Google検索セントラル:スパムに関するポリシー

検索結果が役に立たなくなれば、Google自体の価値が下がり、商売が成り立たなくなります。検索広告も、検索エンジンを使ってもらうことが前提です。AIオーバービューやAIモードについて、いろいろな業界から批判されても、Googleとしては、使ってもらわないと食っていけない。だから品質を保つためにいろいろな手を打ち、私たちにも働きかけてくるのだと考えています。

地名だけを変えたページを大量に作っていないか見直す

ここまで考えて、ふと思ったのが、AIで量産しやすくなった今、コンテンツの監査をした方がいいのではないかということです。以前はブラックハットSEOの業者と関わって、検索キーワードや地名だけを入れ替えたドアウェイページを大量に作るケースがありました。今は、さすがにやっていないところも多いと思います。

同じようなページを作って、営業所などの部分だけ変える。ただ、やむを得ないケースもあります。全国展開するチェーン店なら、メニューはほとんど同じで、地域や一部の情報だけが違うこともありますよね。そういうページに、悪意があるわけではありません。

私が怖いと思うのは、自分の営業エリアだからという理由で、地名を差し替えたサービスページを市区町村ごとに大量に作るようなやり方です。やってはいけないと分かっている人が避けてきたことを、AIで簡単にできるようになった結果、やってしまう人がいるのではないか。ふと、そう思いました。今のところ、私が知っている範囲では、そういうケースはほぼありませんけれども。

「分からないから任せている」を、確認しない理由にしない

普通に運営している会社が、SAFEの話を聞いて何か大きなことをしなければいけないとは思いません。ただ、制作の過程を記録して、全体を監査できるようにしておくことは、本当に大切です。

「自分にはよく分からないので、お任せしています」とよく言われますが、企業としてはあまりよろしくないですよね。自分たちやお客様に迷惑がかかるかもしれないのに、分からないからという理由で確認をしない。商売としても、社会に属する人間としても、やってはいけないことだと思います。分からないことは、確認しない理由にはなりません。

自分たちが何をしているのか、把握できるようにしておく。外に出すコンテンツには、ある程度の公共性があります。ですから、自社のコンテンツを監査することから逃げないと考えていただければと思います。

論文にない細かな対策まで広げない

そのうえで、考えすぎないことも大切です。「同じサーバーだと危ないのでは」「分散させないといけないのでは」と、話を広げようと思えばいくらでも広げられます。でも、元の論文を読めば、そこまで細かな対策を求める話ではありません。情報の受け取り方には注意してください。

今回お伝えしたかったのは、Googleがどんなものをスパムとして扱おうとしているかと、自社が出すコンテンツへの責任や、監査する体制を持つことです。Googleからの流入は減ってきていますが、露出まで減れば、AIモードでもAIオーバービューでも、従来の検索結果でも大打撃です。その点は気をつけていただければと思います。

自分たちの状況を診断してほしいという場合は、ラウンドナップWebコンサルティングのホームページで、無料相談・無料診断を行っています。営業はしませんので、お気軽にご相談ください。

まとめ:外注先も含めて、何をどう作っているか把握する

  • SAFEは、動画の内容に加え、投稿行動やチャンネルの関係も調べる仕組みです。2026年9月30日時点で、Google検索への導入やスパムアップデートとの関係を、私は確認していません。
  • 問題はAIの使用自体ではなく、価値の乏しいものを大量に作り、検索順位や露出を操作しようとすることです。
  • 外注先に任せきりにせず、何を作り、どのくらい効果が出ているかを確認する。AIを使った工程も、後から説明できるように記録しておきたいところです。
  • 自社のコンテンツには責任を持って監査しつつ、論文に書かれていない細かな対策まで話を広げないことも大切です。

引用元・参考情報

よくある質問

SAFEはGoogle検索に導入されているのですか?
2026年9月30日時点で、私は導入を確認していません。論文はYouTubeチャンネルを想定した不正調査を扱っており、Google検索や9月のスパムアップデートに使われているとは、この論文から判断できません。
AIで記事や動画を作ること自体が問題なのでしょうか?
AIを使うこと自体が問題ではありません。価値の乏しいものを大量に作り、検索順位や露出を操作しようとすることが問題です。一つひとつを個別に見ても、価値のある内容にすることが大切です。
コンテンツ制作を外注している場合、何を確認すればよいですか?
外注先が何を作り、実際にどのくらい効果を出しているかを確認してください。動画や記事の本数だけで判断せず、制作の過程も把握し、自社でも監査できる状態にしておくことが大切です。
AIを使った工程は、なぜ記録しておいた方がよいのですか?
AIの使用について事実と異なる指摘を受けた場合も、説明できるようにするためです。どの段階でどのツールを使ったかを把握し、問われたときに出せる記録を残しておいた方がよいと思います。
SAFEへの対策として、サーバーを分散させる必要がありますか?
同じサーバーだから危ない、分散させなければいけない、と考える根拠は今回の論文にはありません。自社のコンテンツを監査することは大切ですが、論文に書かれていない細かな対策まで話を広げないようにしてください。

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