第147回:国の調査にある企業の声を読み、自社の強みや課題を考える

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

統計の数字だけでなく、企業のコメントも読む

同じような商売をしている会社が、何に困っているのか。自分たちだけが苦労しているのか、それとも周りも同じなのか。知りたいと思っても、競合する会社から直接聞くのは難しいですよね。

その手掛かりになるものとして、国などが公表する調査の中にある、企業のコメントに注目してほしいと思います。数字をまとめた資料でも、その後ろに、調査に答えた企業の声が載っていることがあります。

私が当時目を留めたのは、2018年に公表された中小企業景況調査の資料です。業況などを表す数字だけでなく、調査対象企業のコメントがあり、そこにかなり具体的な話が載っていました。

全体の数字を見ることに加えて、個々の企業が何を感じているかを読むと、自社と比較するきっかけが得られます。ここでは当時の景気を今の状況として捉えるのではなく、そのコメントをどう読んで商売を考えるかをお伝えします。

同じ悩みと、悩んでいない部分の両方を見る

ほかの会社も、自社と同じことで困っている。それが分かれば、業界として抱えている課題なのかもしれないと考えられます。その状況を前提にどう動くか、ほかの部分に力を使うべきなのか、といった問いが生まれます。

反対に、周りが困っているのに自社は困っていないことがあれば、そこには何か理由があるはずです。立地や条件が違うのかもしれませんし、自社のやり方に強みがあるのかもしれません。「なぜうちは困っていないんだろう」と考える材料になります。

自社だけが困っているように見える場合も、自分たちのやり方に見落としがないかを考えられます。比較して違いを見つけると、何を調べるべきかが見えてくるんですね。漠然と自社の強みや課題を考えるより、具体的な入口を作りやすくなります。

ただし、コメントがあるからといって、その内容が業界全体を代表しているとは限りません。その会社だけの事情である可能性もあります。あくまで参考情報として、考え始めるきっかけにしてください。

コートが売れたという声から、売り方の違いを調べる

当時の資料には、宮城県の小売業から、厳しい寒さで冬物のコートなどが動き、冬物を売り切れたのは良かった一方、春物の動きが鈍い、という趣旨の声がありました。

もし同じような地域で洋服を扱っていて、「うちはそんなにコートが売れなかった」としたら、なぜ違うのだろうと考えられます。コメントだけでは、どの会社かも分かりませんし、売れた理由までは分かりません。

そこで、ほかの店舗ではどうだったか、どんな売り方や見せ方をしていたかを調べてみる。そうすると、自分たちが試せそうなことが見えてくるかもしれません。ネット販売について考える場合も、同じように比較の入口になります。

コメントを答えとして受け取るのではなく、自社との違いを調べるための出発点にするのです。「寒かったから売れたらしい」で終わるか、「同じ寒さでも、うちはどうだったか」と考えるかで、情報の使い方が変わります。

営業の努力だけでは説明できない変化にも目を向ける

また、秋田県の印刷会社からは、発注が減る中で材料費は上がり、販売価格に転嫁しにくく、価格競争に巻き込まれているという趣旨の声がありました。

私も以前この業界にいたので、こうした話は実感を持って受け止めます。同じ状況が周りにもあるなら、売上が伸びないのを、自社の営業努力だけの問題として考えてよいのか、という問いが出てきます。

もちろん、一社の声だけで業界全体の流れは決められません。それでも、ほかの情報も見ながら、価格以外の付加価値をどう作るか、商売の形をどう変えるかを考えるきっかけにはなります。

自社の中だけで原因を探していると見えないことが、外の声と比べることで見えてくる場合があります。数字にまとめられる前の具体的な言葉には、そういう刺激があるんですね。

分かったことを、サイトで伝える内容につなげる

ほかにも、人が足りず仕事を制限しているという声がありました。そうした課題を自社でも抱えているなら、採用をどう進めるか、仕事の進め方をどうするかといったことを考えられます。Webの話でいえば、通年で採用につなげられるページや、伝える内容を整えることも検討対象になります。

自社が選ばれている理由や、これから伸ばしたい強みが見えてきたなら、ホームページやメールマガジンにどう反映するかも考えられます。調査を読んで終わるのではなく、自分たちの商売に戻して考えてください。

ホームページは商売の方針を下敷きにして作るものですから、その方針を考えるための情報にも目を向けてほしいと思います。Webの中だけを細かく直していても、何を伝えるべきかが定まっていなければ、大きな改善にはつながりにくいんです。

統計の資料は数字ばかりで難しそうだと感じる方も、企業のコメントがあれば、まずそこを読んでみてください。自社と同じところ、違うところを見つけ、次に調べたいことを考える。その使い方をしていただければと思います。

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