第150回:小さな会社のIT活用はどこから?経営者が判断する時間を作る第一歩

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

WebやITを活用したいけれど、一体どこから手を付ければいいのか。小さな会社の経営者の方から、こうしたお悩みを伺います。

私がお勧めしたい入口は二つあります。一つは、すでにある程度仕組みになっている仕事を、もっと効率よくすること。もう一つは、経営者の方が判断するための時間を空けることです。特に後者は、次に何を導入するかを考える、その一歩前の話なんですね。

すでに手順が決まっている仕事から、効率化を考える

会社の中で仕事がどう回っているのか、お金や物がどう動いているのか、よく分からない。その状態で「これをうまくIT化したい」と言われると、なかなか難しいです。

まず業務そのものを見えるようにしなければいけません。人の勘に頼っていたり、記録が残っていなかったりする部分も整理する必要があるので、時間もお金もかかります。

もちろん、それをする価値はあります。ただ、最初から会社全体の仕組みをきれいにするのは大変だ、ということは押さえておいてください。

その点、給与計算や経費精算、記帳などは、会社の中である程度ルールが決まっていることが多いですよね。「このファイルに書いて、経理へ出してください」という流れがすでにあれば、その流れをもとに、どこをシステムで効率よくできるか考えられます。

最初の入口としては、すでに仕組みになっている部分を、より効率よくすることを考えてみてください。 そこで空いた時間や費用を、別のことへ使っていく感覚も持っていただきたいと思います。

営業の仕組みは、ツールを入れれば整うとは限らない

事務のコストを減らすだけでなく、売上を生み出すところにもWebやITを使いたい。そう考えるのは自然だと思います。

ただ、そこでいきなり営業管理や顧客管理の大きなシステムを入れて、「これで何とかなるだろう」と考えると、うまくいかないことがあります。

価格を重視して選んだ結果、必要なものがなかった。そのツールを使うには、ある営業のやり方が前提になっているのに、自社はそういう仕事の進め方ではなかった。こうしたずれも起こります。

自分たちに合うかを判断できないまま、導入だけを先に進めないことです。 同じ業種の事例があっても、会社ごとに独特のルールがあります。新しいやり方に慣れるための時間も必要になります。

判断する人が、調べたり聞いたりする時間を確保する

では、その判断ができるようになるには、何が必要でしょうか。知識を取り入れる、実際に触ってみる、人に聞く。そういう時間が必要なんですね。

小さな会社では、物事を動かせる人、最終的な決裁をする人が、とても忙しいケースがあります。経営者の方ご自身が目の前の売上を作っていると、どうしてもそちらが大事になります。毎日ドタバタして一日が終わり、将来に向けたことは何もできなかった。実際にそういう方にも、たくさんお会いしてきました。

だからこそ、まずは経営者の方が、WebやITを判断するための時間を空ける。そのために使えるものを探してほしいんです。

大きな仕組みを入れる前に、今の一日の時間の使い方を見直してみてください。「ここが変われば、三十分空くな」というところはないでしょうか。

移動や定例作業を見直して、小さく時間を空けていく

例えば、毎回訪問しているお客さんでも、この打ち合わせならテレビ電話でよいかもしれない。毎月同じように行っている作業なら、ツールを使って自動化できるかもしれない。そういうところです。

Excelの細かい作業をマクロで簡単にできるなら、作れる人に頼む方法もあります。大きなシステムではなくても、日々繰り返している作業が楽になるだけで、時間の使い方は変わります。

私は、例えば一日一時間を空けることを目標にするなら、最初は「三時間空けるとしたら、どうするだろう」と考えてみるのもよいと思っています。最初から一時間だけを考えると、なかなか案が出ないことがあるからです。

実際にやってみれば、気付かなかった問題や、実現できないことも出てくるでしょう。全部はできず、結果として一時間ほど空いた、ということでもよいんです。

どのツールがよいかより先に、自分のどの時間を空けたいのかを考える。 その観点で探すと、必要なものも絞りやすくなります。

空いた時間を、自社に必要なものを見極めるために使う

空いた時間で休むのも、もちろん大事です。経営者の方は忙しいですから、少し息を入れつつ、新しいものを見たり、人に聞いたりする時間も作ってみてください。

情報収集をして、問い合わせをして、話せる人を増やしていく。そういうことがたまってくると、「これはうちに使えそうだ」「これは必要なさそうだ」という感覚が、少しずつ分かってきます。

その中で気になるものがあれば、「うちはこういう状況なのですが、使えるでしょうか」と具体的に聞いていく。何となく安いものを探して、少しでも効果が出ないかと期待するより、判断しやすくなるはずです。

WebやITをうまく活用するために、まず、それを考えられる時間を作る。 この順番を大切にしてほしいと思います。

私も、目の前のことが苦しくて、将来を考える余裕がない時期がありました。今そんなことを考えている場合ではない、という気持ちはよく分かります。ただ、それを一年後、二年後も続けるのはつらいですよね。同じ小さな会社の経営者として、将来へ向けて動ける時間を持つことは、本当に大切だと感じています。

まとめ:IT活用の第一歩に、経営者の時間を空ける仕事を選ぶ

小さな会社がWebやITに取り組む入口として、すでに手順が決まっている仕事の効率化と、判断する人の時間を空けることをお勧めします。

空いた時間で調べ、試し、人に聞くことで、自社に必要なものを判断できるようにしていく。 導入するものを選ぶ前に、その判断ができる状態を作るところから考えてみてください。

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