第219回:送料無料ラインの問題から考える、お客様の感覚と配送コスト

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

通販で送料を設定する時、売る側には配送の費用がありますし、お客様には「思ったより支払う金額が増えた」という感覚があります。この両方を見ないと、買ってもらう仕組みは作りにくいんですね。

楽天の送料無料ラインの統一をめぐるニュースを見た時にも、単に送料を安くすることへの賛否として見るだけでは、足りないと感じました。送料はお店の売り方に関わる一方で、お客様にはその事情が見えにくい。今回は、そのずれと、事業の中で人や物を動かすコストについて考えます。

送料無料の下限は、買い方を左右する

送料無料になる金額は、お客様が普段どれくらい買うかに合わせて、売る側が調整している部分です。あと少し買えば送料無料になるという置き方によって、購入する金額も変わってきます。

反対に、その金額まで買うのが難しいと、「今日はいいや」「もう少し欲しいものがたまってからにしよう」となるかもしれません。ほかに、ちょうどよく買える店を探すこともありますよね。単に送料の数字を置けば済むという話ではないんです。

送料無料の下限は、平均的な購入額やお客様の買い方と結びついた、売り方の一部です。そのため、下限を自分たちで調整できなくなることへの反発には、送料負担だけでは説明できない面があります。

また、設定されている金額から、お店の位置づけを感じ取る人もいます。急に下がると、安さを売りにする店になったのかなと受け取る人もいるかもしれません。売上や店の印象に関わるものとして、扱う必要があるということです。

お客様には「余分に払うもの」に見えやすい

売る側がこうした事情を持っていても、買う側は「安くなるなら良い」「送料が分かりやすくなるなら助かる」と考えます。商品の価格を見て安いと思ったのに、最後に送料が加わって高くなる。その経験があれば、なおさらですよね。

物を運ぶにはお金がかかる、と伝えたい気持ちは分かります。ただ、その事情を説明すれば、お客様が送料を喜んで払うようになるかというと、私は難しいと思っています。

送料を商品価格へ含めるなど、いろいろな試みがされるのも、そこに扱いづらさがあるからでしょう。実際に発生するコストなのに、お客様にとっては、多く支払わされているように感じやすいんです。

お客様の感覚を間違いだとするより、その感覚があることを前提に、商売を組み立てる必要があります。売る側の事情を理解してほしいという気持ちと、実際にどう買われるかを考えることは、分けておいた方がよいと思います。

自分が動く時間のコストは、実感しにくい

なぜ運んでもらうことの価値が伝わりにくいのか。私は、自分が普段やっている作業に、あまり値段をつけないことも関係しているのではないかと思います。

例えば、自分でスーパーへ行って、商品を持ち帰りますよね。その時、自分の移動や作業にいくらかかっているかを、毎回計算するわけではありません。直接お金が出ていかなければ、無料のように感じてしまう。

時間単位で仕事をして収入を得ていると、一時間失うことがどれくらいの損失かを考えやすいかもしれません。でも、日々の生活で、いつもそういう実感を持つのは難しいと思うんですね。

自分がすることのコストを感じにくいと、それを代わりにしてくれる人の仕事にも、値段がつきにくくなります。これは私なりの見方ですが、送料だけでなく、人が動いて何かを代行するサービスを考える時にも、意識したいところです。

動かす費用は、事業全体で見て残すか決める

人や物を動かせば、どうしても費用がかかります。だとすれば、事業の仕組みを見直す時にも、移動をどこまで省けるかを考えておきたいんです。

うちでも紙のニュースレターを無料で送っていますが、印刷や配送には費用がかかっています。印刷したものを運んでもらい、さらに発送してもらう。Webの会社ですけれども、ここは大きなコストなんですね。

PDFで送れば、その費用は大きく下げられるでしょう。それでも冊子で送るのは、お客様の層を考えた時に、まとまったものを集中して読んでいただき、順を追って考え方を受け取ってもらうことに意味があると考えているからです。マーケティング全体を見て、プラスになると判断して続けています。

費用がかかるから全部やめるのではなく、その移動が事業全体で何を生んでいるかを見て判断します。その上で、うちでも人の行き来はかなり減らしています。必要なものへ費用をかけるためにも、省ける移動を見直すことには意味があります。

送料のニュースは、通販のお店だけの話で終わらせず、自分たちの事業にも置き換えてみてください。お客様に負担と感じられやすい費用がどこにあるのか。その前提で、人や物の移動を減らし、利益や別の仕事に使える時間をどう残すか。特に小さな会社では、考えておきたいところだと思います。

配信スタンド

■Podcast /Webinar への質問は

こちらのフォームへどうぞ。
https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7

運営・進行

株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)

代表取締役・コンサルタント 中山陽平

Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/

このWebサイトをフォローする
中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ)
無料公開中 令和時代の買い手を理解する Webコンサルの基礎資料