第222回:異業種コラボは、お客様が一緒に済ませたいことから考える

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

他社と比べられた時に、うちはここが違うと言いにくい。以前は強みだったものも、競合が似たことを始めて、選ばれる理由が弱くなってきた。こうしたご相談は、昔からよくいただきます。

その時、自社で新しいものをすべて生み出そうとすると、なかなか大変ですよね。他の業種やお店とつながることも、一つの方法です。ただ、お互いの事情で組み合わせるだけではなく、お客様の生活の中で何が便利になるかを、先に考えていただきたいんです。

一社で全部そろえることだけが、差別化ではない

お客様は検索をすれば、近くのお店だけでなく、離れた場所のサービスも知ることができます。ずっと良いと思っていたお店と似たものが、ほかにもあると分かる。多少遠くても自分に合う方を選ぶ、ということも起きます。

売る側からしても、他社がどんなことをしているかを知りやすくなりました。その中で、自分たちが今できることと、これからできるようにしたいことを考え、強みを作っていく必要があります。

とはいえ、全部を自社だけで開発するのが、いつでも効率的とは限りません。既にお客様を集めていて、自分たちと相性のよい会社とつながることも考えられます。

足りない価値を自社だけで作るのではなく、既にあるサービスと一緒に届ける方法も持っておきましょう。ただし、組み合わせれば何でもよいわけではありません。そこに、お客様が使いたくなる理由が必要です。

お客様の一週間を描き、一緒にできると助かることを探す

まず、自分たちのお客様が普段どんな生活をしているかを考えてみてください。一週間くらいを単位にすると、描きやすいと思います。

自分たちのお店へ来る前後に、どんなことをしているのか。サービスを使う時に、これも一緒にできたら楽なのに、と感じていることはないか。実現したいことはあるけれど、周りにそのサービスがなくて困っていないか。そういうところを見ていきます。

もちろん、頭の中で想像して終わりではありません。お客様へ話を聞いて、実際の行動を確かめる必要があります。その上で、こことここが近くにあれば使いやすい、という組み合わせを探すわけです。

連携先を探す出発点は、業種の珍しい組み合わせではなく、お客様の行動のつながりです。自分たちを利用している人が達成したいことに、もう一つのサービスがどう役立つかを考えてください。

待ち時間のある場所に、相談や用事を組み合わせる

この観点で面白いと感じたのが、調剤薬局とカフェを組み合わせた事例です。薬を受け取る場所に、お茶を飲みながら薬剤師の方へ相談できる接点がある。普段の利用の流れの中に、別の価値が加わるんですね。

忙しい時には、薬の説明を受けるだけで終わってしまうこともあります。もう少し話を聞きたいという気持ちに応える場所があれば、利用する方にとって意味があるのではないかと感じました。実際にどこまでのサービスができるかや、品質を保てるかは別に考える必要があります。

ここで良いと思ったのは、一から「薬剤師がいるカフェ」を作って集客するのとは違うことです。薬局を利用するという既存の生活の流れがあり、そこでカフェの存在を知ってもらえる。接点の作り方が自然なんですね。

既にある利用の流れに、求められている機能を加えると、新しいサービスにも触れてもらいやすくなります。名前の珍しさよりも、このつながりに注目したいと思います。

コインランドリーを使う時間に、何ができるとよいか

もう一つは、コインランドリーとカフェを組み合わせた例です。洗濯を待つ時間があるので、その時間を過ごせる場所が一緒にあると、使い方が変わってきますよね。

アイロンやミシンなどを使えるようにしたり、フリマアプリで売るものの梱包や発送をできるようにしたりする組み合わせもあります。洗濯という用事の周りに、その人が一緒に済ませたいことを集める考え方です。

こうした場所が利用する方の生活に合えば、単独の設備ではなく、いろいろな用事をする拠点として見てもらえるかもしれません。ただ、人が集まっているから何でも置けばよいということではありません。

使う人の目的や、そこで過ごす時間に合うものを足すことが大切です。短時間で買って帰りたい場所と、じっくり選んで過ごしたいサービスを一緒にするなら、本当に使いやすいかを考えないといけません。組み合わせた側には意義があっても、お客様の流れがつながるかは別なんです。

店舗を一つにしなくても、連携は始められる

他店とつながるといっても、必ず同じ建物に入る必要はありません。ポイントカードのようなところから始めたり、お互いのお店で相手のサービスをきちんと紹介したりすることもできます。

お客様が使うものを一緒に考え、地域でまとまりのあるサービスとして届けていく。自分たちのお客様に合う機能を、外から持ってくるという考え方もあります。託児や子ども連れへの対応を加えることも、その延長で捉えられると思います。

自社の商売を広げる時に、自分たちだけで頑張ることへ選択肢を狭めないでください。どんな相手とつながれば、お客様が使いやすくなるのか。実際の生活や行動を聞きながら、そこから協業の形を探っていただくとよいと思います。

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