第266回:Webサービスは価格だけでなく、継続性と乗り換えの負担で選ぶ

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

使っているサービスが値下げされたり、同じ値段でできることが増えたりすると、ありがたいですよね。ただ、価格だけを見て選んでいくと、後で自分たちに大きな負担が返ってくることがあります。

私がサービスを選ぶときに、特に大事にしているのは、きちんと提供を続けてくれそうかということです。今の料金だけでなく、その先の継続性まで含めて考えてみていただきたいと思います。

自社の値下げと、他社の値下げを同じ目で見る

自分たちの会社については、中の事情が分かっています。これ以上値下げをしたら持たない、ここでコストを削ったら品質が落ちる、納期をそんなに短くするのは難しい。いろいろな事情を考えると思います。

ところが、相手の会社になると、「そのくらいしか下がらないのか」「ほかにもっと安くやっているところがあるのだから、そちらもできるでしょう」と思ってしまうことがあります。

自社には事情があると考えるなら、サービスを提供する相手にも事情がある、という目線を持ってください。意識して使い分けているならともかく、無意識に見方を変えてしまっている場合があるんですね。

相手も苦労しながら価格を下げているかもしれません。あるいは、一時的に赤字を覚悟し、お客様との接点を作って、その後の展開につなげようとしているケースもあります。

大きく安くなったときには、企業努力や新しい技術によって無理なく実現できているのか、それとも、どこかに無理がかかっているのか。その中身を考えておいた方がいいと思います。

安いサービスが終わると、乗り換えの仕事が発生する

以前からファイルの同期サービスなどを見ていると、安い価格や手厚い条件で始まったものが、有料になったり、条件を変えたり、なくなったりすることがありました。

利用する側が、とにかく無料、あるいは容量当たりの単価が一番安い、という基準だけで選んでいると、終了するたびに別のサービスへ移らなければいけません。

サービス料金が安くても、何度も乗り換えるための仕事が発生すれば、事業には相当な負担になります。この乗り換えのコストが、意外と見えないんですね。

なぜ見えにくいかというと、社内の人件費で処理してしまうからです。「このサービスが終わるらしいから、ほかへ移しておいて」と誰かに頼んでも、その場で別の請求書が来るわけではありません。残業代が大きく増えるようなことがなければ、お金がかかっている感じがしないんです。

でも、その作業をしている人は、本来するはずだった仕事ができなくなっています。追加の支出として見えなくても、その分の時間は使っているわけですよね。

無理な条件を続けて、サービス自体が終わってしまう方が困ることもあります。値段が上がった、条件が変わったというだけで判断せず、続けてもらうための変更という面も考えたいところです。

ホームページの置き場所は、続けられるかも含めて選ぶ

分かりやすいのが、オンラインでホームページを作るサービスです。選ぶときには、機能や価格、サポートの手厚さを比べると思います。それに加えて、サービスを提供し続けてくれる可能性を大事にしたいんです。

もちろん、未来永劫続くかどうかは分かりません。その中でも、どこが継続してくれる可能性が高そうか、という目線で見ておくことですね。

値下げを重ねて何とか続けていたけれど、この価格ではもう維持できない。会社として事業を売却するか、畳むことになった。そういうことが起きると、利用している側は移行を考えなければいけません。

ホームページのように事業の土台になるものは、今の使いやすさだけでなく、終わったときにどうなるかも含めて考えます。移行を助けてくれる会社もあるでしょうが、終了するときには、その余裕がない場合もあります。

そうなると、自分たちで別の場所へ移すことになります。場合によっては手作業で一つずつ移さなければならず、移した後も同じように動くとは限りません。単に引っ越すだけと言っても、技術が絡むので難しいところがあるんですね。

私も、その瞬間だけを見れば、安くていいなと思うサービスは見つかります。でも、それだけで積極的にお勧めすることは、なかなかできません。後で大きな負担を受けないかというところまで考えてしまいます。

多少高くても、続けて使えることに価値がある

ホームページだけでなく、アクセス解析や計測など、事業で使うサービスにも同じことが言えます。多少高くても、きちんと事業を続けてくれそうなところを選ぶ方が、後々の大きな負担を避けられることがあります。

価格だけで選ぶことによって、何を失う可能性があるのかも見ておいてください。料金表に載っている数字と、会社として実際に負担するものは、同じとは限りません。

提供する側にも、もし自分たちに何かあったら、次の場所へ移れるようにしておいてほしいと思います。オフィスビルがなくなるなら引っ越せばいいのですが、インターネット上では、技術的に移すのが難しいこともありますからね。

自分たちの会社を見るときと、相手の会社を見るときの目線をそろえる。そして、今安いということだけでなく、継続して使えるかを考える。サービス選びでは、その辺りを大事にしていただければと思います。

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