[23/03/16] EC・ネットショップを始める前に、物流と運用の負担を確かめる

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、これからネットショップを始めようと考えている方に、売上の話より一歩前に押さえておいてほしいことをお伝えします。

ネットショップを始めるとき、どこへ出店するか、どう販売促進するか、といったところから悩む方は多いと思います。まず売上を立てなければいけないという経営者の方の気持ちを考えれば、その通りです。そこから考え始めることに異論はありません。ただ、その前提として確認したいことがあるんですね。

ネットショップは、売れる前から仕事が増える

シンプルに言うと、ネットショップはそんなに楽ではありません。これは売れるか売れないかという話ではなく、売れても売れなくても、運営に必要な工数は相当増えるということです。

特に大変なのは物流だと思います。物を売るだけでなく、実際に運ぶ。そこにはお金も手間もかかります。もう一つ大変なのが、問い合わせやクレームなどの窓口対応です。

商品を登録し、決済の設定が終われば、そのまま事業を回せるというわけではありません。売るための画面の後ろに、日々動かさなければいけない仕事があるんです。

飲食店の配達が広がった背景も、一緒に見る

感染症下では、飲食店が配達などで売上を作った事例が、たくさん取り上げられました。ただ私は、その頃は社会全体で仕組みを作り、飲食店を支えようという流れがあったことも、前提に置く必要があると思っています。

Uber Eatsや出前館などを使う需要があり、配達する人も集まり、ノウハウを共有し合う動きもありました。私には、その環境が取り組みを進めやすくしていたように見えました。

加えて、飲食店の場合には、普段の業務の一部を、店内のお客様へ出す流れから配達へ分けられるという相性の良さもありました。カウンターからお客様へ運ぶのか、配達の方に取りに来てもらうのか。お店にもよりますが、まったく新しい業務を一から作る場合とは違います。

もちろん、販売促進や粗利をどう保つかという問題はあります。それでも、会計なども使いやすい仕組みが用意されていて、仕組みを入れる部分は比較的対応しやすかったのではないか、と私は見ていました。

窓口対応でも、もう一度届けるなど、時間やお金で対応できることがあります。飲食の商品に価値がないという意味ではありません。取り返しのつかない失敗もあるビジネスの中では、そうした対応ができることは大きいんですね。

電話がつながらなくても、忙しいのだろうと受け止めてもらえるような空気もあったと思います。そういう相性の良い部分が注目されたことを、通販全般にそのまま当てはめない方がいいと思うんです。

通販に慣れていない会社ほど、販売後の仕事でぶつかる

製造業やBtoBのサービス業など、これまで通販とあまり縁のなかった会社が、新しい販路としてネットショップを始める場合は、少し事情が違います。販路を広げたい、収益を安定させるために販売経路を増やしたい、という考えで参入する会社さんもありますよね。

そこで、「思っていた以上に通販は大変だ」とぶつかることがあります。モールに出店するか、自社ECにするかといった設定は、誰かに代わってもらうこともできます。

でも、お金、発送、在庫、梱包、クレームへの対応を、社内でどう回すかは別の問題です。どのタイミングで発送するか、伝票はどう発行するか、どの業者へ頼むか。そうしたところで失敗すると、影響は大きいんです。

「商品は登録しました。決済も申し込みました」という段階から実際に動かそうとして、初めて「注文はいつ確認するのか」「一件ずつではなく、まとめて送るなら何が必要なのか」「入金のタイミングはどうなるのか」「返品時の会計処理はどうするのか」と、いろいろな問題に出会います。

これは無視していいものではなく、一つずつ確認しなければいけません。会社同士のBtoB取引だけをしてきた場合には、BtoCの取引で思わぬ仕事が出てくることがあります。

注文から届けた後まで、実際の業務をたどってみる

これから始める方も、すでに準備を進めている方も、受注から発送、問い合わせや返品への対応まで、実際にどう動くかをシミュレーションしてほしいと思います。

人を増やす必要があるのか。今いる人の業務時間の何割かを、ネットショップへ充てる必要があるのか。物流について、先に業者さんへ相談した方がいいのか。単純な送料だけでなく、周囲の仕事も含めて考えなければいけません。

電話窓口を設けるなら、どんなルールで受け付け、担当者だけでは対応できないときに誰へ引き継ぐのか。メールでも同じです。やってみて初めて、いろいろな問題にぶつかると思います。

そこを一つずつ解決しないと、せっかく売れても返品になったり、悪い評判が広がったりして、次につながらなくなってしまいます。

不満なく届けられるか、採算が取れるかを先に考える

店舗に加えてネットショップを始めるなら、まずお客様に不満を感じさせずに商品を届けられるか、それを行って採算が取れるかを考えてほしいと思います。

そこに問題がなければ、売上やマーケティングの計画を、さらに細かく考えていく。最初の段階では、売るための計画だけを精緻にする前に、実際に運営できるかを確かめた方がいいんです。

テレビなどで急に紹介されて、電話対応で大変なことになったり、店舗へ一度に人が来て対応しきれなくなったり、という話もあります。仕事の量が一段変わると、後々まで悪い評判につながることもありますからね。

ネットショップを作ることと、注文に応え続けること。その両方を考えてから始める、という点を押さえていただければと思います。

関連コンテンツ

新しい商品を売るまでに必要な仕事については、Podcast[2023/04/14]:Webで新商品を売るときに考えておきたいことも参考にしてください。

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