第608回:Google Discoverの変化とGoogleのAI検索”以外”まで視野を広げることの必要性

中小企業を強くするWebマーケティングPodcast — ラウンドナップWebコンサルティング 中山陽平

第608回_GoogleDiscoverからの変化から見る、中小企業がおさえるべきGoogleのサービス範囲

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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

Google Discoverという名前は知っていても、普段は使っていない方もいると思います。私も、実はほとんど使っていません。ところが、Google Discoverに関する求人情報を見ていくと、GoogleのAIを検索画面だけで考えていては、見落とすことが増えそうだと感じました。

今回は、Google Discoverがどう変わりそうなのかを手掛かりに、Googleを通じてお客さんとどうつながっていくかを追いかけていきます。

もちろん、求人に書かれた構想と、すでに使える機能は分けて見ていく必要があります。確定した仕様の紹介ではありません。ただ、今のうちに何へ目を向けておくかを考える材料になります。Googleがどこに行こうとしているのかを早く知ることは重要です。

Google Discoverの求人から見る変化

今まで:興味に合う記事を推薦する場所

Discoverは、Googleアプリなどで、興味に合いそうな記事や情報が並ぶ場所です。自分から検索語を入れなくても情報を受け取れます。名前を知らないまま、普段から使っている方もいるかもしれません。情報を届け、記事を読んでもらいたい媒体にとっては、大きな接点になっています。

参照:Google検索ヘルプ「Discoverをカスタマイズする」

これまでのDiscoverは、ネット上のさまざまな記事から、その人に合いそうなものを推薦する場所という印象でした。普段から旅行に関心があれば旅行の記事が多めに出る、といった形です。

興味に合う情報を並べるところから、さらに先へ進もうとしているのではないか。そう考えるきっかけになったのが、今回の求人です。

これから?:関心から行動へつなぐ場所へ

海外のSEO系ニュースサイト、Search Engine Journalが2026年10月11日に紹介した記事で、Googleの求人を知りました。対象は、DiscoverのUX(User Experience:ユーザー体験)を担当する「Principal, UX, Search Discover」という求人です。これからDiscoverをどう変えていきたいかが、職務の説明に表れています。

参照:Search Engine JournalのDiscover求人紹介記事/Google Careers「Principal, UX, Search Discover」

求人には「proactive, hyper-personalized concierge」という表現がありました。ざっくり言えば、先回りして、一人ひとりに合わせて案内する体験です。

さらに「from inspiration to action」と、関心を持つところから行動へ進める方向も書かれています。ただ記事を薦めるだけでなく、その人が目標に向かって進む手助けをする、ということですね。

  • YouTubeとの連携
  • ショッピングとの連携
  • ChromeやAndroidとの連携

参照:Google Careers「Principal, UX, Search Discover」の職務内容

こうしたサービスを横断してつなぐなら、ニュースを読むだけで終わる話ではなさそうです。何かを買う、予約する、動画を見るといった行動へ、Discoverからつないでいく。ほかのGoogleのサービスも使いながら、行動を案内する方向なのではないかというのが、私の見方です。

ただ、今あるのは求人情報です。何を、いつ、どんな形で提供するかまでは書かれていません。この方向性は読み取れても、具体的な機能や提供時期まで決まったとは言えません。そこを飛び越えて、「Discoverはこうなる」と断定することはできないんですね。

まず押さえておきたい:Discoverの利用規模と端末の違い

Google Discoverの利用規模

ここまで聞くと、「でも、Discoverってそんなに使っていないよね」と思う方もいるでしょう。私も最初は、小さな変更の一つなのかなと思いました。そこで利用状況を調べたところ、Googleの別の求人には、Discoverには1日あたり5億人を超えるアクティブユーザーがいると書かれていました。求人上でのGoogleの説明ですが、かなり大きな規模です。

参照:Google Careers「Senior Product Data Scientist, Discover Experience」

Reuters Instituteの「Digital News Report 2025」は、48市場、約10万人を対象にしたニュース利用調査です。Discoverを使った人の割合は、市場全体で27%と報告されています。これは調査の回答者についての数字で、Google利用者全員の27%という意味ではありません。ニュース流入全体の27%をDiscoverが占める、という数字でもありません。

参照:Reuters Institute「Digital News Report 2025」の主要結果

同じ報告では、Android端末の割合が高い中南米やアフリカでDiscoverの利用が多いとしています。ただ、端末に組み込まれているため、調査で正確に把握しにくいという留保もあります。利用する地域や端末の違いを含めて読む必要がありますね。

iPhoneとMacで見かけない理由(私が)

私がDiscoverをあまり見ないのは、普段iPhoneとMacを使っていることも関係していると思います。検索したいものをブラウザーのアドレスバーに入れるので、Googleのホーム画面を経由することがあまりありません。同じGoogle検索を使っていても、どこから入り、何を見るかは違うんですね。

Googleアプリから情報を見ている方なら、iPhoneでもDiscoverが目に入ることはあります。Androidでは、機種や設定によって、ホーム画面を横にスワイプして開く使い方もあります。自分の端末で見かけないことを、お客さんも使っていない根拠にはできません。

参照:Google検索ヘルプ「Discoverをカスタマイズする」

日本ではiPhoneを使う人も多いですよね。MMD研究所の2026年8月の調査では、主に使うスマートフォンの種類を把握している34,838人のうち、Androidが54.1%、iPhoneが45.6%でした。調査全体は18~79歳の男女4万人が対象です。調査全体の人数と、機種の割合を計算した対象人数は分けて読む必要があります。

MMD研究所の調査:主に使うスマートフォン
種類 割合
Android 54.1%
iPhone 45.6%

参照:MMD研究所「2026年8月スマートフォンOSシェア調査」

iPhoneを使う人が多いことも、日本でDiscoverの話題をあまり見かけない理由の一つかもしれない、というのが私の見方です。ただ、機種の割合はDiscoverの利用率ではありません。自分の利用環境と、お客さんが情報に接する環境を分けて考えたいですね。

GoogleのAI=AI検索のこと、と無意識に絞っていませんか?

GoogleのサービスにAIが入ってくる、それは検索だけではない

今回、Discoverの規模だけを見ているわけではありません。ほかの動きと合わせると、Googleがどこへ進もうとしているかが見えてきます。検索からAI検索への変化だけで、Google全体のAIの動きを捉えないことが、今回お伝えしたい点です。

AI Modeへいつ切り替わるか、AI Overviewsに自社が引用されるか。それを気にすることも必要です。ただ、Googleは検索画面だけをAIの接点にしようとしているわけではないと、私は考えています。Googleのさまざまなサービスの中に、自然にAIを入れていく。Discoverの構想も、その流れの一つとして見ると分かりやすいんですね。

検索では自社が出ているけれど、お客さんが使う別のGoogleのサービスでは全然出ていない。そういうことが起こりそうです。自分たちのお客さんが使うサービスで、必要なところに情報が出ているかまで、視野を広げていく必要があると思っています。

「Googleマップに相談する」体験

例えばGoogleマップには、Ask Mapsという、AIへ質問する機能があります。利用できる機能には、地域や言語などの条件があります。「この近くに静かなカフェはないか」「一人でも入りやすいレストランはないか」といった聞き方です。店名やキーワードを入れて探す使い方から、条件を伝えて相談する使い方もできるようになっています。

参照:Google公式ブログ「Ask Maps and Immersive Navigation」/Google公式ブログ「Ask Mapsの提供地域拡大などの更新」(2026年8月6日)

Googleは、Ask Mapsが3億以上の場所の情報や、5億人以上の投稿者による口コミなどを使うと説明しています。店舗やサービスについての情報が、AIの提案にも関わってくるわけです。Googleマップの中でも、AIがお客さんとの間に入ってくるんですね。

参照:Google公式ブログ「Ask Maps and Immersive Navigation」

使ってみると、体験としてはすごく面白いです。これまでは「ランチ」と入れるか、「ラーメン」と入れるかを考え、営業中などの条件を付けていました。それが、相談する形で候補を出してもらえます。ただ、私が使った範囲では、回答の品質はまだまだだと感じることもあります。微妙な候補が出たり、普通に検索したときと並び方が違って、どちらを信じようかと迷ったりします。

私が使っているChromeでも、Geminiに相談する表示やサイドバーが目に入るようになっています。いかにも「これからAIを使います」と切り替えるというより、普段のサービスの中へ、自然にGeminiが入ってくる感覚です。こういう提供の仕方も、Googleの動きとして見ておきたいところです。

例えばビジネスプロフィールの情報はAIにつながる

そのとき、どこへどんな情報を置くかが気になってきます。Googleビジネスプロフィールは、特にサービスの欄が適当だったり、まったく設定されていなかったりするケースもよくあります。自社が提供しているサービスを、利用者が分かる形で載せているか。検索画面の順位だけを見ていては、こうした情報の不足を見落とします。

参照:Googleビジネスプロフィールヘルプ「ビジネスプロフィールに表示されるサービスを管理する」

口コミにも、ガイドラインを踏まえた対応が必要です。例えば「何がどうだったか」を具体的に聞くことで、実際の体験が分かる内容になる場合があります。良かったことも、そうでなかったことも含めて、実際に使った人が何を感じたか分かる情報があるかを考えたいですね。

参照:Googleマップ「禁止または制限されているコンテンツ」

能動的状態と受動的・潜在意識化の状態、両方を考えよう

能動的な探索と、後回しにしたニーズ

お客さんが情報に接する状況は、大きく二つあると思っています。検索語を入れて、意識して探しているとき。それから、一度考えたけれど後回しになり、いったん意識から外れているときです。お客さんが常に、何かを熱心に探しているとは限りません。

情報に接するときの違い
状態 情報に接する行動
能動的に探している 検索する、物を探す、AIに条件を伝えて質問する
後回しになっている 情報を受け取ったときに、必要だったことを思い出す

後回しにしたままでも、情報を受け取ったときに「そうだ、この件があった」「これはよさそうだ、ここにしよう」と動くことがあります。いわゆるパルス消費の話ですね。自分から探しているモードを前提にするだけでは、捉えきれない行動があると思っています。

→ 第513回:その常識もう通用しない?AIによるマーケティングファネルの変化

今は情報も多く、決めなければいけないことも多いので、いろいろな用事が水面下で残っている。何かいいものがあれば、と待っているような状態です。その人が思い出すタイミングで、自分たちの情報が出てくるか。Googleが用意するさまざまな接点を、広く見ていく意味はそこにもあると感じます。

AIで引用されることを目指すGEO(Generative Engine Optimization)やLLMO(Large Language Model Optimization)という言葉もあります。

ただ、AIの回答で引用されるかだけに視野を絞ると、ほかの接点を見落とすかもしれません。Google以外にも、ChatGPTやClaude、SNS(Social Networking Service)など、お客さんが使う場所はいろいろあります。

情報を集めることは、楽しいとは限らない

私たちはつい、「お客さんは自分の利益になるなら、喜んで情報を探し、比較検討してくれる」と考えがちです。こんなにちゃんと情報を載せたのに、なぜ読んでくれないのか。

欲しそうな情報をバナーに置いたのに、なぜ見てくれないのか。お客さんにとって、比較したり調べたりすること自体が楽しいとは限らないんですよね。

満足して、後悔せずに選べるなら、それが一番いい。わざわざ調べるのは、誰かに「ちゃんと調べたの?」と言われるから、という場合もあります。「こういうふうに調べました」と説明したい。

あるいは自分に対して「調べた結果だから仕方ない」と言えるようにしたい。調べる行動の裏には、納得したい、説明できるようにしたいという事情もあります。

企業間の取引でも、社内で話を通すことや、担当者の評価が関わってきます。「ベストなもの」より「これで通せるもの」を求められることもあります。私も、「それは分かるけれど、通しづらいからこういう流れにしないか」と言われることがあります。人は、商品の良さだけでなく、いろいろな事情の中で選んでいるんですね。このあたりの感覚は、まだAIが難しいところだとも思っています。

価値を伝える情報発信を続ける

価値を伝える活動は残る

こういう話をすると、「では、もうSEOはいらないのか」となるかもしれません。それはSEOをどう定義するかにもよるので、簡単には言い切れません。ただ、いい商品やサービスを作っていれば、AIが自然に見つけてくれる、と考えるのは違います。

どんなに良いものでも、気付かれなければ伝わりません。ゴッホではありませんが、良いものを作ることと、その価値を知ってもらうことは別です。Googleを通じて、自分たちの価値をどう伝えるかは考え続ける必要があります。SEOという名前を付けるかどうかより、マーケティングや販売戦略として扱う話だと思っています。

AIが進んだから広報や情報発信が不要になる、というより、ちゃんと伝える必要は変わりません。その時代に、お客さんとの接点を持っている媒体やサービスへ出していく。商品やサービスの価値が伝わるように、その時代に合う伝え方を続けることが必要なんですね。

Google全体の動きへ目を向ける

Googleは検索だけを提供している会社ではありません。マップ、ブラウザー、YouTube、ショッピングなどを通じて、人と情報、企業とお客さんをつないでいます。AI OverviewsやAI Modeの話だけに、Googleの動きを小さくまとめないようにしたいですね。

自分の会社には関係がなさそうなニュースでも、Google全体の方向と合わせると意味が変わってきます。Discoverの求人も、その一つです。自社のお客さんがどのサービスを使っているかを考えながら、Google全体の変化を見ていくことをお勧めします。

お客さんの使う場所へ一次情報を届けるには、と視野を広げて考える

すべての場所へ、完璧に情報を出している会社など、そう多くはありません。一部の潤沢な企業を除けば、中小企業でできていないところがあるのは当たり前です。お客さんとの接点を広く見た上で、できることを一つずつ行っていく、という考え方でよいと思っています。

実務では、まだ固まったKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)がなく、手探りの部分もあります。「これはやっておいた方がいいと思うけれど、効果のほどは保証できません」とお伝えするものが増えてきました。どうお客さんに報告するか、私も悩みながら取り組んでいます。数字で説明しやすかったインターネットの世界が、また難しくなってきた感覚がありますね。

それでも、大前提は変わりません。お客さんの方を向いた商品やサービスがあり、その価値を表現する一次情報のコンテンツがある。そして、お客さんと接点を持っている媒体へ出していく。お客さんに価値を届けるという仕事は同じで、その間の方法が変わっていく。そこを、私たちも頑張っているところです。

まとめ:Discoverの動きから、検索以外の顧客接点も見る

  • Discoverの求人には、個々に合わせて先回りし、関心から行動へつなぐ構想が表れています。具体的な仕様や提供時期が確定した発表ではありません。
  • マップやChromeなどにもAIとの接点があります。GoogleのAIを検索画面だけで捉えないことが、今回の主題です。
  • お客さんが熱心に探しているときだけでなく、後回しにしたニーズを思い出すときもあります。お客さんが使う場所と、情報に接する状況を広く考える必要があります。
  • 良い商品やサービスでも、価値が伝わらなければ選ばれません。AIが進んでも、価値を伝える情報発信は必要です。
  • すべてを一度に完璧にする必要はありません。自社の一次情報を、必要な接点へ届けるためにできることを一つずつ行う、という考え方で進めましょう。

引用元・参考情報

よくある質問

Google Discoverは、どのように変わろうとしているのですか?
Googleの求人には、Discoverを一人ひとりに合わせた先回りの案内役にし、関心から行動へつなぐ構想が書かれています。YouTubeやショッピング、Chrome、Androidとの連携にも触れています。ただし、求人に書かれた方向性であり、具体的な機能や提供時期が確定した発表ではありません。
自分がDiscoverを使っていないなら、会社の情報発信には関係ありませんか?
自分が使っていないことだけでは判断できません。使う端末やGoogleへの入り方によって、情報を見る場所は違います。自社のお客さんがどのサービスを使い、どこで情報に接しているかを考える必要があります。Discoverの求人は、Google全体の動きを見る手掛かりにもなります。
GoogleのAIへの対策は、検索画面で引用されるかだけ見ればよいですか?
AI(Artificial Intelligence:人工知能)との接点は、検索画面以外にもあります。マップやChromeなど、GoogleのサービスにもAIが入ってきています。例えばマップの機能には、地域や言語の条件もあります。検索での引用に加え、お客さんが使う場所で自社のサービスや価値が伝わる情報を出しているかも考えたいところです。
いい商品なら、AIが自然に見つけてくれるようになりますか?
良い商品やサービスを作ることと、価値を知ってもらうことは別です。AIが進んでも、自社の価値を伝える広報や情報発信は必要だと考えています。お客さんと接点を持つ媒体やサービスへ、その時代に合う形で情報を届けることは変わりません。
中小企業は、どこから情報発信を見直せばよいですか?
お客さんが使うサービスと、情報に接する状況へ目を向けることをお勧めします。例えば、ビジネスプロフィールのサービス情報や、実際の利用体験が分かる口コミなどです。すべてを一度に完璧にする必要はありません。自社の価値を表現する一次情報を、必要な接点へ届けるために、できることを一つずつ行う考え方でよいと思っています。

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